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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
211/1227

4-19 魔力陣。


「つまりですなぁ~。......


***********************


 ≪魔力陣の説明≫


【魔法陣】【魔術陣】【魔導陣】【術式】


【魔法陣】

 魔法(精霊魔法)を扱う為に開発された魔力陣。

  ・転位転移の魔力陣・魔法陣

   正式名称【転位魔法陣】 など

 ※コルト下界に魔法陣は4種類のみ存在※


【魔術陣】

 魔術を扱う為に開発された魔力陣。


【魔導陣】

 付与や属性特化を施す為に開発された魔力陣。

 ※ロストテクノロジー※


【術式】

 自然魔素(まりょく)の集積。魔力陣の制御。等々。


***********************


......まぁ~、自前の【MP】(まりょく)や魔晶石に蓄えられた自然魔素(まりょく)を利用し運用している現代の魔導具に......



......と、いう訳でしてぇ~。複雑な工程を挟むのは難しいでしょうなぁ~。はい」


「付与技術の発展が魔力陣の衰退を招いたって事ですか?」


「その通りですぞぉ~。例えばです。火属性の下級魔術を自前で扱う事が出来ない者が居たとしましょう。現在のコルト下界では、付与のスキルや魔導具を用いて、スキル【火属性魔術】レベル1か2か3をライフスキルに付与する事で、火属性の下級魔術であれば誰でも扱える様になります。勿論、スキル【火属性の心得】を所持している事が前提となります。はい。仮に所持していないのであれば、これも付与のスキルや魔導具を用いて、レベル1か2か3をライフスキルに付与するだけの事ですからなぁ~」


「ですね」


「ところがところがところがですぞぉ~、付与技術が劣っていた大ゼルフォーラ時代以前のコルト下界では、火属性の下級魔術を自前で扱う事が出来ない者が火属性の下級魔術を扱おうとした場合、魔力陣この場合は魔術陣になりますが、魔術陣を自然魔素(まりょく)に耐えられる何かに描くか耐えられる何かに刻み持ち運ぶ。この方法が最もポピュラーだったのですぞぉ~。はい。まぁ~、付与のスキル制限が解除されるまでは、どの世界も皆一様にこんな感じですなぁ~。物理や化学と言った・・・あぁ―――・・・ですなぁっ!はい」


 chefアランギー様は、話を無理矢理まとめ終わらせた。


 気になるワードが幾つかある。が、この感じからして、聞いても教えて貰えないだろう。だったら、脱線無しで話を進め少しでも有益な情報を手に入れるべきだ。


「付与技術が劣ってるって言っても、今よりも遥かに優れた魔導具が沢山存在していた訳ですよね。付与の魔導具や魔力陣とかなかったんですか?」


「付与の魔導具が登場したのは、付与のスキルの後でしたからなぁ~。大ゼルフォーラ時代の初期頃だったと記憶しておりますぞぉ~。大ゼルフォーラ時代以前の付与と言えばぁ~・・・・・・大掛かりな魔力陣と言いますか魔導陣を用いて武具等に付与を施すのが主流。1度の成功で国家間のパワーバランスが大きく変わってしまうレベル。まさに国家を挙げての大プロジェクト。ただぁ~武具以外の物には余りお奨め出来ませんぞぉ~」


「どうしてですか?」


「失敗99%以上、成功1%以下。と、言えばお分かりになりますかなぁ~。はい。・・・・・・もう少しだけ詳しくお教えしましょう。当時スキルの付与を行う為には、付与したいスキルの魔力陣こ......


***********************


 ≪魔導陣の説明≫


 ①付与する対象が魔術であれば魔術陣を

  付与する対象が精霊魔法(魔法)であれば魔法陣を

  準備する。


 ②付与を施す為の魔力陣を準備する。

  ・①が魔術陣であれば②は魔術陣。

  ・①が魔法陣であれば②は魔法陣。


 ③魔力陣①②の起動と発動を制御する為の

  魔力陣を準備する。

  ・②が魔術陣であれば③は魔術陣。

  ・②が魔法陣であれば③は魔法陣。


 ④魔力陣③へ自然魔素(まりょく)を送る為の

  魔力陣を準備する。

  ❶魔術陣を用いる場合。

   ・大型にする事で自然魔素(まりょく)

    集積時間を短縮出来る。

  ❷術式を用いる場合。

   ・多く刻む事で自然魔素(まりょく)

    集積時間を短縮出来る。

   ・高度な技術が必要。

  ❸魔法陣を用いる場合。

   ・集積時間を大幅に短縮できる。

   ・コルト下界の存在には概ね不可能。

  ※可能な限り❸を用いた方が良い※


 ⑤魔力陣④を制御し運用する魔力陣を準備する。

  ・④が魔術陣であれば⑤は魔術陣。

  ・④が術式であれば⑤は術式。

  ・④が魔法陣ではれ⑤は不要。


 ⑥魔力陣①②③④⑤の暴走を制御する為の

  魔力陣を準備する。

  ・魔力陣④が魔法陣であれば⑥は不要。


***********************


......と、まぁ~、他にも色々と何だかんだと必要になる場合もありますがぁ~、概ねこんな感じでしょうか。端的にではありますが、これらを一まとめにした物を魔導陣と呼ぶ訳ですぞぉ~。ただぁ~、大掛かりで複雑な割に......


***********************


 ≪魔導陣の危険性≫


 ①消滅

  ❶空間消滅

   ・空間諸共消滅する現象。

  ❷地域消滅

   ・空間以外消滅する現象。

  ❸対象消滅

   ・付与対象が消滅する現象。


 ②消失

  ❶リセット

   ・全ての効果を失う。

   ※対象が物の場合のみ※

  ❷コラップス

   ・思考精神を失う。

   ※対象がヒュームの場合のみ※


***********************


......と、まぁ~、失敗が非常に多く、しかも失敗した際のリスクが尋常ならざる感じなのが魔導陣をお奨めしない理由でしょうか。はい」


「消滅か廃人か・・・ですか」


「左様ですぞぉ~」


 リスクがハンパないな。



「因みに、魔力陣のサイズはと言いますとぉ~。大きい物ですと直径300m。小さい物なら直径4~5m」


「300m!?」


「ですぞぉ~。多層多術(分散)式型の魔力陣が開発され、更に並列処理、並列分散処理、分散処理、逐次処理等々の技術が発達する以前は、魔力陣といえば皆一様に巨大だったのですぞぉ~」


「マイクロフォンに刻み込まれた魔力陣は直径1cm大です。300mから1cmですよ。そこまで発展した技術が魔導陣ごとロストって・・・う~ん・・・付与の魔導具の発展や付与スキルの登場だけでロストしちゃうもんかなぁ~?何かピンと来ないんですよね。他に原因とか無かったんですか?」


「ありますぞぉ~。はい」


 あるんかい。・・・それで、


「何があったんですか?」


「この世界。コルト下界が13回目の成長期を迎えたからですぞぉ~。下界にとって13回目の成長は成長のラストを飾るビッグイベントですからなぁ~。盛大なのですぞぉ~。はい。この成長によって齎された自然の力の循環、自然魔素(まりょく)の循環量の増加が大きな原因でしょうなぁ~」


 来たぞぉ~。新しワードがまた来たぞぉ~。


「下界にも成長期があるんですね」


「至極当然の事ですぞぉ~。故に、スコーンっと抜けておりました。パトロン殿には、まずはここから話を進めるべきでしたかなぁ~。はい。因みにですがぁ~。自然魔素(まりょく)の増加により、魔力陣や術式の自然魔素(まりょく)集積効率が劇的に向上した為、魔力陣のサイズは自ずと縮小しました」


「今の話だと、魔導陣が衰退する理由にはならない様な気がするんですが」


「縮小したのは集積用の魔力陣や術式ですぞぉ~。制御用の魔力陣や術式に負担を掛けない為、魔力陣の暴走を防ぐ為にも、縮小する必要があったのですぞぉ~。はい」


 集積用の術式の方円が魔力陣より小さいのはそれでなのか。元のサイズを知らないから何とも言えないけど、自然魔素(まりょく)はどれだけ成長したんだ?


「古代魔導具が盛んに造られてた時代と比べると、自然魔素(まりょく)はどれくらい増えてるんですか?」


「そうぉ~ですなぁ~・・・。ざっと30倍以上ですなっ。はい」


 さ、30倍!?


「そんなにですか・・・」


「つまり、成長前の魔力陣を成長後にそのまま運用してしまうと、ざっと30倍の効率で自然魔素(まりょく)の集積が行われ、当然制御は間に合わず暴走必須の状態に陥る訳ですなぁ~」


 今まで大丈夫だった安全に運用出来てた物が突然暴走しだす。悪夢だな。しかも、当時の・・・今の人達もだけど


自然魔素(まりょく)が増えた事って」


自然魔素(まりょく)操作に長けた存在。精霊や聖邪獣と親しく接する存在。勘が鋭い存在。知り得た存在も当然の事ながら存在していたでしょうなぁ~。ですがぁ~九割九分九厘九毛九糸九惣九微...... ......九渺九漠ほとんどの存在は気付かずその内に慣れ当たり前に成っていたでしょうなぁ~。はい」


 やっぱり、そうなるよなぉ~。


「慣れて当たり前になるなら」


「それは難しい話ですぞぉ~。何故なら生まれながらに順応性や適応性を持ったコルト下界のヒュームと、そのヒュームによって描かれる魔力陣。この場合は、魔術陣や魔導陣という事になりますが、この2つは無限の可能性と汎用性を秘めてはいますがぁ~所詮は道具。自らで環境に適応する能力は持ち合わせておりませんからなぁ~。はい」


 それなら、


「ヒュームが30倍の自然魔素(まりょく)に慣れ、魔力陣を運用したなら」


自然魔素(まりょく)が急増した世界に住む存在に全員であはありませんが共通して起こる現象がありましてですなぁ~。水の傍に住まう存在は水属性の適性を火の傍に住まう存在は火属性の適性を、地なら地属性、風なら風属性の適性を、心得や魔術耐性特化をセンススキルに所持する存在が増加するのです。こうなってしまうと、付与や特化を目的に開発され発展を遂げて来た魔導陣の価値は激減。まして自由気まま気の向くままに暴走するような代物ですからなぁ~。はい。後は......



......と、まぁ~、色々あった訳です。パトロン殿には機が熟した時にお教えしますぞぉ~。その代わりと言っては何ですが、パトロン殿が気になっているであろう事をば1つ。魔導具マイクロフォンに刻み込まれた魔導陣は3層5術式並列分散処理型。3層の魔術陣と自然魔素(まりょく)制御の術式が3つと自然魔素(まりょく)集積の術式が2つ。最盛期の技術を用いた最もポピュラーな魔導具の1つですぞぉ~。はい」


「え?マイクロフォンに刻み込まれた魔力陣って、魔導陣なんですか?」


「3つの魔術陣と5つの術式で組まれた典型的な3層5術式の魔導陣ですぞぉ~。余談になりますが、マイクロフォンは魔導陣を刻み込まれた魔導具と言うよりは混合金属と言った方が正解かもしれません。混合金属に音声を送信する魔術を使用する時だけ付与する仕組みになっているようですからなぁ~。はい」


「付与ですか」


「パトロン殿も魔導具を創造する際に同じ事をやっておりますぞぉ~」


「え?」



「1cmの魔術陣の集積効率ですか。ふむふむ。そうですなぁ~・・・・・・。極限まで集積の展開速度を引き上げたとしても火属性の下級魔術レベル3ですからなぁ~・・・・・・。集積効率よりも変換効率を高める必要がありますぞぉ~。まず大地や大気中から集めた地属性や風属性の自然魔素(まりょく)を火属性に変換。火属性に変換した自然魔素(まりょく)だけを蓄積。そして、未変換の自然魔素(まりょく)は暴走の原因となりますからぁ~速やかに火属性に変換するか放出する必要があります。術式を倍にするか魔術陣を増やす事をお奨めしますぞぉ~。はい」


「えっと、つまり?」


「属性変換用の術式を12個程新たに刻み込むか、属性変換用に3cm程の魔術陣を1個ないし2個程新たに刻み込む事で、火属性の下級魔術レベル3であれば、5ラフン()と言ったところでしょう」


「下級魔術の発動に5ラフンもですか。ありえないですね」


 想像以上に使えない事が分かってしまった。


「地属性や風属性であれば変換は不要。集積効率も良いので2ラフン以内で発動可能だと思いますぞぉ~」


「魔術陣のサイズを2cmにすれば1ラフンって事ですよね?」


「ざっくり言えばそうなりますかな。ただぁ~。並列処理型の魔術陣を1つで運用するよりも......



......地属性の自然魔素(まりょく)のみを集める魔術陣と、風属性の自然魔素(まりょく)のみを集め制御する魔術陣と、風属性の自然魔素(まりょく)を地属性に変換する術式を6~12個と......



......魔導陣にして運用した方が確実に効率が良いでしょうなぁ~。地属性の下級魔術レベル3程度の発動であれば、5~6カウン()と言ったところでしょうなぁ~」


「1~2カウンで詠唱し詠唱終了と同時に発動する自前の魔術の方が、魔導陣で発動するよりも普通に有利って事か」


「有利不利メリットデメリットですか。個人の【MP】(魔力量)や連射。中級上級魔術の詠唱時間と起動時間。私の記憶に間違いが無ければ最終的に扱う者を選ばず汎用性に富みメリットが多いのは魔導陣ですぞぉ~。目先の何かに囚われロストしてしまったコルト下界は本当に残念でしたなぁ~。はい」


 詠唱時間は下級、中級、上級と長くなる傾向がある。【MP】の消費も多くなる。魔導陣なら【MP】を消費しない訳だから......


≪トントントン


≪陛下。宜しいでしょうか?


......おっと、何だろう。


「どうぞ」


≪ガチャ


「失礼します。ララコバイア王国のルーカス第1王子が拝謁を希望しております。如何いたしましょうか?」


「パトロン殿よ。手紙の件でしょうなぁ~」


「だと思います。この話はまた今度にしましょう」


「おんやぁ~。非常に残念ですなぁ~。はい」


ありがとうございました。

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