4-18 半神具の魔導具【MRアイズ】。
―――アシュランス王国・王都スカーレット
エルドラドブランシュ宮殿・屋上の工房
R4075年9月13日(水)05:40―――
あと20ラフンで光の時間、朝になる。
神具【MRリュネット】を基に創造した魔導具【MRアイズ】を目に被せ、窓越しに闇の時間の海を見やる。
大空に輝く幾万幾億の星と、闇が支配する混沌静寂の海。
うん。良く見える。神眼が無ければ水面に映る星達の小さな輝きに気付く事すら無かったんだろうな。光度を無視する眼・・・か。実に感慨深い。って、違う違う。
視界に異常なし。っと。
海から視界右上の隅へと視線を移す。
05:41:04・05:41:05・05:41:06
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05:41:10
半神具【モントレアプレVer.3】とMRアイズの関連付けも問題無し。っと。
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こうすれば表示したままに出来るのか。
視界右上の隅に......
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R4075/9/13(水)
―05:43:33―
気温25℃/湿度54%
風速11kn/風向ESE
環境状況:闇・良好
・
......と、表示してみた。
次はぁ~・・・。
工房のテーブルの上に置かれたティーカップへと視線を移す。
8.426m
ティーカップの横に数字が現れた。
俺との距離だよな?・・・m、cm、mmに......
頭の中で思い描きながら、MRアイズに指示を出す。
......変更。っと。
8m42cm6mm
今はこんな感じで良いよな。さてと、次はステータスを・・・。
頭の中で思い描きながら、MRアイズに指示を出す。
視界の左側にステータスが......
・
名前 ロイク・ルーリン・シャレット
性別 男
種族 ユマン
レベル 1620
生年月日 R4051年3月10日・大樹
年齢 24
血液型 B
状態 正常
・
......表示された。
OK。っと、次はステータス値を表示。
頭の中で思い描きながら、MRアイズに指示を出す。
視界の左側に表示されたステータスがステータス値に切り替わり......
・
HP error
MP error
STR error
DEX error
VIT error
AGI error
INT error
MND error
LUK error
BONUS error
SMP error
GMP error
・
......表示された。
OK。じゃないな。全部errorって・・・タブレットとの同期ミス。それとも神眼との関連付けの方か?数値以外は表示されてるしなぁ~。
・・・う~ん。もう1度同期からやってみるか。タブレットの収納画面を表示。
頭の中で思い描きながら、MRアイズに指示を出す。
視界中央にタブレットの画面とは明らかに異なる半透明の収納画面が......
・
☆注意☆ 未使用アイテム あり
~表示・ON/【OFF】~
タブレット収納資金 9800万3871NL
(内訳) NL大金貨 196000枚
NL 金貨 18枚
NL小金貨 1枚
NL 銀貨 3枚
NL小銀貨 2枚
NL 銅貨 1枚
NL小銅貨 6枚
アシュランスカード預金残高
261兆5555億1903万0000NL
創神具・武器 ~表示・ON/【OFF】~
・防具 ~表示・ON/【OFF】~
・装飾品 ~表示・ON/【OFF】~
・アイテム ~表示・ON/【OFF】~
・素材 ~表示・ON/【OFF】~
神具・武器 ~表示・ON/【OFF】~
・防具 ~表示・ON/【OFF】~
・装飾品 ~表示・ON/【OFF】~
・アイテム ~表示・ON/【OFF】~
・素材 ~表示・ON/【OFF】~
精霊具・武器 ~表示・ON/【OFF】~
・防具 ~表示・ON/【OFF】~
・装飾品 ~表示・ON/【OFF】~
・アイテム ~表示・ON/【OFF】~
・素材 ~表示・ON/【OFF】~
コルト・武器 ~表示・ON/【OFF】~
下界・防具 ~表示・ON/【OFF】~
・装飾品 ~表示・ON/【OFF】~
・アイテム ~表示・ON/【OFF】~
・素材 ~表示・ON/【OFF】~
・その他 ~表示・ON/【OFF】~
その他・その他 ~表示・ON/【OFF】~
・
......表示された。
同期はOK。って、事は神眼との関連付けが問題って事か・・・。
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―――アシュランス王国・王都スカーレット
エルドラドブランシュ宮殿・3階・朝食の間
R4075年9月13日(水)08:40―――
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朝食後。
「......と、言う訳でついに完成しました。そして、これが魔導具【MRアイズ】です」
両目の神眼に装着した魔導具【MRアイズ】を強制解除し、家族の前で発表した。
強制解除と言っても、眼球に固定したMRアイズを無理矢理引き剥がした訳ではない。タブレットの収納機能を使い収納し手元に取り出しただけである。
また、家族とは、創造神様公認の嫁許嫁’s、両親、2神様公認の許嫁?サンドラさんの事である。
「フォルティーナ様の最新式のMRリュネットと同じタイプですね」
「はい。アルさん。フォルティーナの最新式MRリュネットの形状が最も安定してるみたいだったんで、コンタクトレンズタイプにしました」
「食事の時間以外、工房に籠っていったい何をやっているのかしらと思っていたのだけれど、魔導具を開発していたのね」
「フッフッフッフッフフゥ~。マルアスピー。これはただの魔導具じゃぁ~ないんです。神授スキル【マテリアル・クリエイト】で神気を使って創造した魔導具って事はぁ~つまり。俺が創造したのに、概ね神具な半神魔導具なのです」
「・・・そ、そう。良かったわね」
何となく呆れられている。そんな表情に見えなくもない。だが、今日の俺は気にしない。
「アトリエガトーからカカオ含有率97%のチョコレートを大量に運び出していましたよね?・・・その魔導具に使われたのですか?」
「うげぇ~なのじゃぁ~。あ、あ、あ、あ、ああの甘くないチョコレートは身体に毒ペッペッペッペェ~なのじゃぁ~」
≪パチン
「ギャ~ァァアア―――アァァ~~ハァ~・・・ハァ~、なのじゃぁ~」
「トゥーシェ。うるさいね。汚いね」
トゥーシェとフォルティーナは・・・・・・無視で良いだろう。
「ハハハ。アルさんに見られてましたか。甘い物が欲しくなって菓子工房に行った時ですね。最初は欠片を幾つか貰うだけのつもりだったんですが、気付いたら箱ごと貰って全部食べちゃってました」
「ほとんどカカオそのままを全部食べちゃったんですか!?」
「あれ食べると何か覚醒した感じになって良い感じで集中出来るんですよ。ハハハ」
「ロイク様。それカカオ中毒ではないかと」
そうかもしれない。だが、今日の俺は気にしない。
「闇の時間の海に向かって叫んでいるようでしたが。・・・それででしたのですね」
「エルネスティーネさん。俺がですか?」
静かに眺めてはいたが、海に向かって叫ぶ。何て恥ずかしい事、
「ウオオォォォ――――来たぁ~。とか、これだ。これだ。これだよぉ~おい。とか、ウッヒョ―――。等と叫んでいましたよ」
「メリアさん。それマジでですか?」
「はい」
・・・・・・。・・・・・・。・・・。だが、今日の俺は気にしない。
「ロイク。頭は大丈夫かね」
だが、今日の俺は、・・・こ、こいつにだけは言われたく無い。
・
・
・
気を取り直して、
「それでは、皆に配りたいと思います。いえ、配ります。まずはマルアスピー専用のMRアイズです」
タブレットから、マルアスピーの目の前にMRアイズを取り出す。
「リングケース?」
「目の中に入れる物をむき出しってのもどうかと思いまして、とりあえず適当なケースに入れました」
「そう。何となくリングケースにしただけなのね」
「はい。さぁ~。ドンドン行きますよぉ~。パフさん!・・・サラさん!・・・アリスさん!・・・テレーズさん!・・・バルサさん!・・・メリアさん!・・・カトリーヌさん!・・・エルネスティーネさん!・・・サンドラさん!・・・アルさん!・・・トゥーシェ!・・・それともう1人のトゥーシェ!・・・マリレナさん!・・・バジリアさん!・・・ミューさん!神獣眼や精霊眼を持ってるマルアスピーやアルさんやマリレナさんやミューさん。魔眼のトゥーシェや、これから精霊眼を持つバジリアさんには必要ないかもしれませんが頑張って創造したんで使ってくだ......」
「ロイク。あたしのはどうしたね?」
「......さい。って、・・・ちゃんと返します」
取る訳無いじゃないですか。死んでも祟られそうだし・・・。面倒な事になる前にさっさと返してしまおう。
「参考になりました。ありがとうございました」
タブレットから、フォルティーナの目の前にフォルティーナから借りたMRリュネットを取り出す。
「ホント神具って素晴らしいですよね」
フォルティーナは、MRリュネットを右手の親指と人差し指で拾い上げ、左手の掌の上に置くと、俺の顔を凝視しながら、
「これは何だね」
と、不満そうに言った。
「何だねって、フォルティーナのMRリュネットですよ」
「見れば分かるね」
フォルティーナは、視線をテーブルに移し、もう片方を拾い上げ、そっと掌の上に置くと、また俺の顔を凝視しながら、
「これは、最新式ではないねぇっ!!!」
と、超絶不満そうに言い放った。
「はぁ?・・・それ、間違い無くフォルティーナの神具【MRリュネット】です。chefアランギー様に確認して貰っても構いません」
「確かにあたしのMRリュネットだね。だがしかしだね。これはMRアイズではないね。しかもだね。ロイク、君がこれを最新式と呼ぶのかね。はぁ~、良いかね。これを旧式にしたのは何を隠そうロイク、君だね。そもそもだね。...... ......つまり、最早これは時の長物だね」
何言ってるんだ。こいつは。要するに、
「MRアイズが欲しいと?」
「当然だね。あたしのMRリュネットは無用の長物と化したね。もう要らないね。ロイクにあげるね。あたしのが無くなったね。さぁ~、MRアイズをよこすね」
・・・創造神様。こいつは本当に神様なんですよね?
・
・
・
≪スゥ―――
chefアランギー様がフォルティーナの後ろに現れた。
「ティータイムは、トミーランティーで宜しいですかな。・・・おんやぁ~。3日で完成させてしまいましたか。すんばらしですなぁ~。はい」
「かなり苦戦しましたが、やり遂げました」
「同期の壁は、いったいどのように?」
「実はですねぇ~。自分自身の情報を表示させる為に、イヴァリュエイション系スキルとリンクさせ調整してたんですが、イヴァリュエイション系スキルってレベルによって確認可能な情報が変化するじゃないですか。そのせいでステータスやステータス値やスキルの表示がおかしくなってたみたいなんです」
「ふむふむ」
「本人の情報を表示させたいだけなんで、アシュランスカードとリンクさせてみたところ、これが予想以上に上手く運びまして」
「アシュランスカードとですか。なるほどなるほどぉ~。パトロン殿が創造した存在同士ですからなぁ~。相性が良いのでしょう。はい」
「清算とか直接カードを使わないと手続き出来ない事はMRアイズでも流石に出来ませんが、アシュランスカード内の個人情報は全て視界に表示可能です。ステータス、ステータス値、スキル、スキルの詳細、JOBの詳細、預金残高、各カード情報、自然魔素の残量、パーティーメンバーの居場所。アシュランスカードそもそもが多機能な魔導具なんで、MRアイズとリンクさせた事でかなり凄い事になっちゃいました。ハハハ」
「最終的にはMRアイズで事足りる様になってしまいますなぁ~。アシュランスカードの普及の妨げになってしまっては困りますぞぉ~。はい」
「その心配は要りません。MRアイズを渡すのは、家族と眷属隷属だけの予定です」
「それは何よりですなぁ~。・・・・ふむふむ・・・・・・ふ~む。なるほどなるほどぉ~。パトロン殿のMRアイズと他のMRアイズは違う物の様ですなぁ~。はい」
「あっ、やっぱり分かっちゃいましたか。そうなん......
・
・
・
......ただ、MRアイズで操作するよりタブレットを直接操作した方が俺の場合は早いんですけどね。ハハハ」
「確かに直接操作した方が早いでしょうなぁ~。ですが、ながら操作に特化したMRアイズの簡易機能もなかなか良い感じではありませんか。はい」
「それは分かったね。無駄話が終わったところで、あたしには言いたい事があるね。あたしのは何処だね?」
「目の前にあるじゃないですか?」
「何を言ってるね。これはロイクにやったね。返品は受付無いね。さっさと渡すね」
「そんなにMRアイズが欲しいんですか?」
「当然だね。時代の最先端に常に立ち続けて来た存在。それがあたしだね」
フォルティーナは、ニヤニヤととても残念で立派なドヤ顔をキメていた。
・
・
・
親父、母さん、chefアランギー様。そして、フォルティーナにもMRアイズを渡した。
chefアランギー様とフォルティーナのMRアイズは神授スキル【マテリアル・クリエイト】で急遽創造し準備した。
不思議な事に、イヤ不思議でも何でもない。フォルティーナ専用のMRアイズは、俺専用のMRアイズと全く同じ状態で創造する事が出来た。つまり、タブレットと完全同期型という事である。
chefアランギー様専用のMRアイズは本人の希望もあり、俺の神授スキル【タブレット】、魔導具【アシュランスカード】、半神具【モントレアプレ】とは完全に独立した仕様で創造した。つまり、最早MRアイズでは無く普通の神具【MRリュネット】という事になる。
因みに、一応魔導具【MRアイズ】は、......
***********************
【名称】MRアイズ
【種類】半神具・装飾品・コンタクトレンズ
【品位】A1
【素材】神気
【効果】視認補助
視覚強化
視界共有
ロイクの神授スキル【タブレット】と同期
※所有者により同期レベルが異なる※
モントレアプレの時計と同期
リュニックファタリテと同期
アシュランスカードと同期
他・・・
≪セキュリティー≫
①半神具【モントレアプレVer.3】
・リュニックファタリテ・改
※認証コード1として使用※
②魔導具【アシュランスカード】
・リュニックファタリテ
※認証コード2として使用※
③神授スキル【眷属隷属の主】
・称号【眷属・〇〇〇】
※認証コード3として使用※
④神授スキル【タブレット】『収納』
・共有財産管理
※認証コード4として使用※
※共有財産を所持する者のみ※
***********************
......である。
・
・
・
「......と、いう訳で、両目に1つずつ入れてMRアイズを起動しちゃってください」
「まじでかぁっ!?・・・これを目ん中に入れろっつうのかよぉっ!」
「親父ぃ~。説明聞いてなかったのか?」
「ほらぁ―。俺ってめっちゃ視力良いだろうぉ―。だからさぁ―いらねんじゃねぇ―って、あぁ―――、あれだぁっ!服が透けるとか何か他にねぇ―のかよぉっ!」
・・・。こ、こいつも無視だ。
・
・
・
・
・
・
「装着しましたね。説明した通りですが、何か質問はありますか?」
「ねぇロイク」
「はい。何でしょう?」
「今日1日使ってみて、それから意見を出し合った方が良いと思うのだけれど、どうかしら?」
「そうですね。マルアスピーの言う通りですね。そうしましょう。それじゃぁ~夕食の時に聞くんで色々やってみてください」
・
・
・
・
・
・
―――アシュランス王国・王都スカーレット
グランディール城・国王政務室
R4075年9月13日(水)09:07―――
11日12日。2日間に渡り放置した政務を精力的に熟す。
溜まった書類の山をタブレットに収納し取り出す。
書類仕事はこれで終わりっと。報告書の内容を確認した方が良いよな。
11日と12日の書類から報告書のみを抜粋。時系列に整理し表示。
頭の中で思い描きながら、MRアイズに指示を出す。
・
R4075年9月11日(無)
切替≪R4075年9月12日(地)≫
09:45 ~表示・ON/【OFF】~
ゼルフォーラ王国の親書
※転位陣ネットワーク・使者持参※
11:26 ~表示・ON/【OFF】~
ララコバイア王国の第1王子の手紙
※転位陣ネットワーク・使者持参※
17:53 ~表示・ON/【OFF】~
ロメイン・バトンの手紙
※普通の連絡鳩※
19:02 ~表示・ON/【OFF】~
アイゼンタール王国の親書
※高速の連絡鳩※
19:17 ~表示・ON/【OFF】~
ベトギプス王国の親書
※通常の連絡鳩※
23:49 ~表示・ON/【OFF】~
コルト大聖堂からの手紙
※転位陣ネットワーク・手紙のみ※
・
おや、結構多いぞ。珍しいな。
≪スゥ―――
「パトロン殿よ。・・・」
chefアランギー様が、机を挟み目の前に現れ、綺麗に片付いた俺の机の上を、これでもかと言わんばかりに凝視している。
「パ、パトロン殿よ。あの書類の山はどちらに?」
「ドアの横の台の上にありますよ」
「ドアの横にですか・・・。まだ10ラフンも経っておりませんですぞぉ~。それなのにもう完了の台にですか・・・。ふ~む。一体全体どの様なトリックをばぁ~。はい」
chefアランギー様は、神眼120%で俺を凝視する。
「・・・・・・ふむふむ。JOBにもスキルにもおかしな点は見当たりませんなぁ~。神授スキルにも違和感は無い様ですしぃ~・・・この視認出来ないのは、創造神のきまぐれ。・・・私に内緒で書類仕事限定の神速化スキルを所持しているのではないかと思ったのですが徒労の様ですな。はい」
「あれ?言ってませんでしたっけ?タブレットの機能に『エード』ってのがあって、このエードを......
・
・
・
......修正から差戻の指示まで全部やってくれるんですよ」
「・・・な、な、何とぉ~。・・・・・・パトロン殿よ。私のMRアイズですが、使ってみたところ1点のみ気付いてしまった事が。はい」
「普通のMRリュネットですよね?」
「いえ、MRアイズです」
「いやいや、普通に神具のMRリュネットですよ」
「いえいえいえ、これはパトロン殿が3日無いし2日強で完成させ創造したMRアイズです」
・
・
・
・
・
・
「それで、さっきはタブレットとの同期は不要だと拒否したけど、拒否を撤回するから同期しているMRアイズと交換して欲しい訳ですか」
「その通りですぞぉ~。はい」
「何でまた?」
「MRアイズの素晴らしさに気付いてしまったのです。料理の次にですが、素晴らしいのです」
≪パンパン
書類の山が書類を片付け終えた俺の机の上に出現した。
「本日のランチより一品常に多く出しましょう。はい」
・
・
・
・
・
・
「午前中の貴重な時間を奪うだけしか能のない書類が片付きましたので、昼食後に予定していました報告会を前倒しして行いましょう。はい」
「そんな予定入ってましたっけ?」
「おんやぁ~。パトロン殿が工房に籠りすんばらしぃ~MRアイズの開発に集中していた11日と12日の報告ですぞぉ~。はい」
「そうでした。視界に表示させたまま違う事をやってて忘れていました」
って、あれ?・・・意識してないと勝手に消える仕様になってるのか?
「照らし合わせて確認したいんで、chefアランギー様も視界に表示してください」
「分かりましたぞぉ~。それでは。はい」
・
R4075年9月11日(無)
切替≪R4075年9月12日(地)≫
09:45 ~表示・ON/【OFF】~
ゼルフォーラ王国の親書
※転位陣ネットワーク・使者が持参※
11:26 ~表示・ON/【OFF】~
ララコバイア王国の第1王子の手紙
※転位陣ネットワーク・使者が持参※
17:53 ~表示・ON/【OFF】~
ロメイン・バトンの手紙
※普通の連絡鳩※
19:02 ~表示・ON/【OFF】~
アイゼンタール王国の親書
※高速の連絡鳩※
19:17 ~表示・ON/【OFF】~
ベトギプス王国の親書
※通常の連絡鳩※
23:49 ~表示・ON/【OFF】~
コルト大聖堂からの手紙
※転位陣ネットワーク・手紙のみ※
・
「まずは11日の報告ですぞぉ~。9:45。ゼルフォーラ王国より使者が親書を持って来ました。王から王への手紙。親書親展と言われてしまっては私にはどうする事も出来ません。パトロン殿に火急の用が何たらと使者が騒いでおりましたがぁ~。手紙を熟読し精査した上で判断する。何より、工房で悪戦苦闘するパトロン殿の邪魔になっては一大事。すんばらしぃ~MRアイズを開発していた訳ですからなぁ~。帰らせました」
「え?」
「大丈夫ですぞぉ~。親書はタブレットに整理済。後程、時間がある時に読むと良いでしょう。はい」
「火急の用事なんですよね?今、目を通すんで」
「私には判断しかねますなぁ~。はい。報告を続けますぞぉ~」
「あ、はい」
・・・後で読もう。
「午前11:26。ララコバイア王国より使者が手紙を持って来ました。王子から王への親展。親書親展と言われてしまっては私にはどうする事も出来ません。何より工房で悪戦苦闘するパトロン殿の邪魔になっては一大事。邪魔なので帰らせました」
「えぇ?」
「大丈夫ですぞぉ~。手紙はタブレットに整理済。後程、時間がある時に読むと良いでしょう。はい」
「そ、そうします・・・」
「しかしぃ~。このMRアイズは便利ですなぁ~。創神具のタブレットとほぼ同じ事が出来る半神具。タブレットに触れられるパトロン殿や私には慣れ親しんだ感が若干ありますが、コルト下界の者達にとっては奇跡のオンパレードですなぁっ!おっと、報告を続けますぞぉ~。17:53。宝石商のロメイン・バトンより手紙が届きました。親書でも親展でもありませんでしたので、国王の代理として、財務金融経済産業大臣として、アシュランスカードの番人として拝見したところ、バトン商会は鉱石事業に参入するそうですぞぉ~。・・・このON/OFFで切り替える訳ですなぁ~。然らば、ポチっとな。おぉ~。手紙を読みながらで構いません。説明を続けますぞぉ~。鉱石事業への参入に伴いゼルフォーラ王国ブオミル領侯都ロイの15番商業地区の鉱山出口正面に1店舗、ゼルフォーラ王国オーレリー王子領ガダムのサス鉱山搬入口近くに1店舗、アシュランス王国ダカイラ州州都ダカイラに1店舗、ドラゴラルシム王国王都ドルガに1店舗。計4店舗支店を出すらしいですぞぉ~。また、本店と支店にはアシュランスカードのATMを設置したいらしく近々相談しに来るとの事です。ダイヤモンドの販売は好調。パトロン殿が少しだけ渡したドラゴン種の鱗もかなりの高額で取引出来たらしく、相談しに来た際に鱗の代金の1部を渡すと書いてありました。はい」
・
17:53 ~表示・【ON】/OFF~
ロメイン・バトンの手紙
バトン商会は......
・
・
・
......幸いです。
バトン商会
代表 ロメイン・バトン
・
「みたいですね」
「報告を続けますぞぉ~。19:02。アイゼンタール王国より連絡鳩で親書が届きました」
「親書だから読んで無い訳ですね」
「左様。さぁ~報告を続けますぞぉ~。19:17。ベトギプス王国より連絡鳩で親書が届きました。これも」
「親書だから読んで無い訳ですね」
「その通りですぞぉ~。ただ、アイゼンタール王国、ベトギプス王国からの親書は拝見するまでもありますまい。戦費食料の支援或いは援軍の要請といったところでしょうなぁ~。はい」
「支援ですか。援軍を出すのは難しいですねぇ~」
「ユマンとユマンによるただのユマンの領土戦争ですかならぁ~。続けますぞぉ~。23:49。コルト大聖堂より手紙が届きました。ララコバイア王国王都ラワルトンクで世界創造神創生教会の大司教を務めていたコンラート・ジーメンスなる元聖職者が、正創生教会で創造神様の真の教えを学び正しい神官の道を歩みたいと」
「ちょ、ちょっと待ってください。コンラートさんがですか?」
「おんやぁ~。お知り合いでしたか。それでしたら話が早いですぞぉ~。親書でも親展でもありませんし。不肖このアランギーがエスコートしましょう。表示をポチっとな」
・
23:49 ~表示・【ON】/OFF~
コルト大聖堂からの手紙
守護者・管理者・聖人ロイク殿に御相談......
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......以前教わりましたスキルも......
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......お見せ致します。
コルト大聖堂 神官長代行
クレメンス・カルヴァン
・
なるほど。コンラートさんはパマリ領侯都コルトに家族全員で移住を計画してるのか。アイダさんも移住するのかな?
コンラートさんの偽物と、コンラートさんの事は別物として考えた方が良いって提案したのは俺だし、バイタリテの悲劇に巻き込まれた皆には力になるから何でも相談して欲しい。って、言っちゃったしなぁ~。
「ところでパトロン殿。1つ確認しますが、親書を読まれた後は、当然の事ながらぁ~関係閣僚には開示ですかな。はい」
「chefアランギー様とルードヴィーグ卿とマクドナルド卿は、俺への親展以外全部開示で良いです。親書だろうが構いません。ドンドン読んで処理しちゃってください」
「分かりました。ルートヴィーグとマクドナルドにはその様に伝えておきましょう。・・・もう1つだけ確認したい事があります。パトロン殿は、魔導具マイクロフォンの実験をしていたはず。神授スキル【マテリアル・クリエイト】他にも多くの神授スキルを所持しているのにも関わらずどうして古代魔導具に興味を?」
・・・。そうだった。対の魔導具スピーカーフォンは今度確認するとして、まずは多層構造の魔力陣。2層式の魔力陣の実験をする予定でいたんだった。
「古代の魔導具に興味を持った訳じゃないんです。刻み込まれた魔力陣が気になたんです」
「魔力陣にですか。・・・・・・ふむふむなるほどなるほどぉ~。先日の魔導具マイクロフォンは3層5術式並列分散処理型。対の魔導具ヘッドフォンは5層2術式逐次処理型でしたな。はい」
えっと・・・意味が・・・。
「分からないです」
ありがとうございました。