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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
207/1227

4-17 属性化と、神具【MRリュネット】。

***********************


 ララコバイア王国・国王直轄島ネットハルト島


強制奴隷収容棟(終身刑務所)


 収容人数    : 4051人

 実際の収容人数 : 2893人


 囚人名簿(リスト)によると、

 この100年間で死亡した囚人は4人。


***********************


 正確な囚人名簿の作成。


 囚人コンラート・ジーメンスの捜索。


 旧坑道と収容棟の大清掃。


「お兄ちゃん。ここの(・・・)班長と看守達だけでは心許無い。隊員達に手伝わせた方が良いと思うんだけどどうかなぁ~」


「ろ、老師。まさか我々を監獄島に残し、御自身は王都に・・・・・・などと言う事はありませんよね?」


「お兄ちゃんや私が居てもやれる事は無いからねぇ~。私は王都で報告を待つことにするから。お前達はここで頑張ってくれたまえ~」


 老師は、隊員Aに答えた。


「「「「全員ですか?」」」」


 隊員B、C、D、Eである。


「な、お前等ぁっ!まさか私だけを残し王都に・・・帰るつもりだったのかぁっ!」


「「「「・・・・・・」」」」


 隊員Aの問いに、顔を見合わせる隊員B、C、D、E。


「班長。私の部下を5人置いて行くから好きに使ってやってくれて良いぞ。貸し1つだからなぁ~」


「借りかぁ~。頼んでもねぇ~のに・・・しゃぁ~ねぇ~覚えてたらなんか返すわぁ~。んじゃ、借りんぜぇっ!!!」



 俺は、神授スキル【マテリアル・クリエイト】で真偽の魔導具【正式名称はまだ無い】を11個創造し、班長(代官)に渡した。


 そして、老師ナディアと眷属神エリウスと3人で、ララコバイア王国の王都ラワルトンクにある王城アウフマーレライ城のグロリオサの間へと移動した。


 俺達がネットハルト島へ行っている間も、待機組は協議を続けていた。


 囚人で偽物のコンラート・ジーメンスに関しては、ネットハルト島から報告が届くまでは保留。


 旧教の元大司教で本物のコンラート・ジーメンスとその家族の処遇に関しては、容疑が晴れている為、バイタリテの悲劇の被害者として、悲劇から帰還した奇跡の人として、正史に残す事を約束。


 また、旧教無き今旧教に成り代わり全面的に補償するとともに、選王民特権階級への復権を提案。


 王族の旧霊廟バイタリテ宮殿と新大海水(セアン)の祠に関しては、正創生教会と王国が共同で管理する事となった。


 カトラシア王国時代の建造物【フィアテル宮殿】【バイタリテ宮殿(現在は王族の旧霊廟)】【バスプリト公会堂跡地(王城地下の旧監獄)】【王都フォン・ブレス公爵邸】に関しては、1万年以上の歴史を持つ建造物として調査する事となった。


 魂の守り人(バイタリテ)の呪いの解呪と、王城の地下に眠る解呪士達の石化の解除に関しては、秘密裏に俺が(・・・)行う事になったそうだ。


 そして、


 バイタリテの悲劇の被害者達に関しては、コンラート・ジーメンスと同様の提案を行う事となった。


 宝妃ティルア・カトラ(18)と王太孫セリム・カトラ(2)に関しては、ララコバイア王国王家の問題であり、内々に解決するそうで、不明である。



―――アシュランス王国・王都スカーレット

 エルドラドブランシュ宮殿・屋上の工房

R4075年9月10日(大樹)16:30―――


 昼食を済ませ、足取り軽く屋上の工房へと移動し、属性化の実験を開始した。


 地属性化は大地石(ソル)化。水属性化は水なのに大海石(ラメール)化。火属性化は大火石(フゥー)化。風属性化は大風石(ヴァン)化。


 ソルダイヤモンド(大地金剛石)ラメールダイヤモンド(大海金剛石)・・・・・・。ラメールは響きは良いんだけど、何か違うんだよなぁ~。


 いっそのこと鉱石や宝石に属性を......


***********************


 地属性化 → ソル化


 水属性化 → オー化


 火属性化 → フー化


 風属性化 → ヴァン化


 聖属性化 → サン化


 邪属性化 → マル化


 光属性化 → ルミ化


 闇属性化 → テネ化


***********************


......工房ロイスピーは、【魔石】【魔晶石】【鉱石】【宝石】【武具】【雑貨】【家具】に限らず、属性化させたらこれでいこう。



 カッパー()シルバー()ゴールド()プラチナ(白金)ニッケル(魔銅)クロム(魔硬石)ミスリル(魔銀)ヴレミスリル(神銀)も、ブロンズ(青銅)アイアン()スチール(鋼鉄)...... ......ティン()レッド()オブシダン(黒曜石)クリスタル(水晶石)も、ソル化させた時だけ固有の効果を持つ事が分かった。


***********************


 ≪ソル(地属性)化時の効果≫


 ①鉱石宝石により固有の効果を持つ。



 ≪オー(水属性)化時の効果≫


 ①【水属性耐性】レベル1~10

  ※スキル【水属性の心得】を未所持でも※

 ②【水属性魔術・特化】レベル1~10

  ※条件:スキル【水属性の心得】を所持※

 ③【MP消費〇%・水属性限定】レベル1~10

 ④【ミュール・水属性限定】レベル1~10


 注意:高レベルにすると水神玉になって

    しまう確率が高い。

    水神玉になると装備出来ない。



 ≪フー(火属性)化時の効果≫


 ①【火属性耐性】レベル1~10

  ※スキル【火属性の心得】を未所持でも※

 ②【火属性魔術・特化】レベル1~10

  ※条件:スキル【火属性の心得】を所持※

 ③【MP消費〇%・火属性限定】レベル1~10

 ④【ミュール・火属性限定】レベル1~10


 注意:高レベルにすると火神玉になって

    しまう確率が高い。

    火神玉になると装備出来ない。



 ≪ヴァンー(風属性)化時の効果≫


 ①【風属性耐性】レベル1~10

  ※スキル【風属性の心得】を未所持でも※

 ②【風属性魔術・特化】レベル1~10

  ※条件:スキル【風属性の心得】を所持※

 ③【MP消費〇%・風属性限定】レベル1~10

 ④【ミュール・風属性限定】レベル1~10


 注意:高レベルにすると風神玉になって

    しまう確率が高い。

    風神玉になると装備出来ない。


***********************


 ソル(地属性)化は便利だけど、これだとMP消費の面で地属性だけが圧倒的に不利だ。MPの消費を抑える物かぁ~。


 試してない鉱石や宝石はまだまだ沢山ある。焦らず進めていく事にしよう。



 同属性装備は、レベル10まで重複の効果が反映する。レベル10以上にはならない。



 多属性装備は、劣位属性の効果が無効となり優位属性の効果のみが有効となる。ソル化とフー化。ウー化とヴァン化。組み合わせが可能なのは、この2つだけって事になる。この2つの組み合わせは優劣位属性の相関関係に無いからだ。


 ミュールの効果だけで考えたら、サン(聖属性)化が最も優れてる事になる。ただ、現状サン化は無理。同じようにマル(邪属性)化も無理だった。


***********************


 ≪ルミ(光属性)化時の効果≫


 ①【光属性耐性】レベル1~10

  ※スキル【光属性の心得】を未所持でも※

 ②【光属性魔術・特化】レベル1~10

  ※条件:スキル【光属性の心得】を所持※

 ③【MP消費〇%・光属性限定】レベル1~10

 ④【ミュール・光属性限定】レベル1~10

 ⑤光源として利用可能


 注意:高レベルにすると光神玉になって

    しまう確率が高い。

    光神玉になると装備出来ない。



 ≪テネ(闇属性)化時の効果≫


 ①【闇属性耐性】レベル1~10

  ※スキル【闇属性の心得】を未所持でも※

 ②【闇属性魔術・特化】レベル1~10

  ※条件:スキル【闇属性の心得】を所持※

 ③【MP消費〇%・闇属性限定】レベル1~10

 ④【ミュール・闇属性限定】レベル1~10

 ⑤闇源として利用可能


 注意:高レベルにすると闇神玉になって

    しまう確率が高い。

    闇神玉になると装備出来ない。



***********************


 現状だと、ルミ化させた物を装備。・・・違うなぁ~。ソル化させた物には、邪属性の1部の攻撃に対し効果的な物があった。あっ、でも呪いの多くは闇属性だから、ルミ化させた物を装備しておけば・・・でも、邪獣様や邪神様の眷属神様や眷属の皆さんが存在している訳で・・・超越した存在を考慮したら何をやっても無駄な気もする。


 防御や耐性よりも、優劣位の相関関係に無い()属性装備で魔術・特化やMP消費の軽減を考慮した方が・・・・・・。


 結論。


 水属性と風属性の心得を所持する者が有利。理由は、ウー化とヴァン化2属性を戦闘時は装備し、非戦闘時は聖属性や邪属性での奇襲攻撃はほぼ無いものと諦め、邪属性の1部の攻撃に対しピンポイント耐性を持つソル化を装備するか、四大属性と闇属性と光属性攻撃をほぼ無効かするルミ化を装備する。あくまでも、商品として売り出す場合の話である。


 俺や家族や眷属の場合は、属性化させた何かを装備するよりも、センススキルに各属性の耐性やMPの消費を抑えるスキルを付与した方が早い。



 魔力陣の多層構造と並行処理の実験も当然行った。まずは、神授スキル【マテリアル・クリエイト】で魔導具マイクロフォンを再現してみた。


 マイクロフォンを口の前に構え、


≪あぁ―あぁ―あぁ―。テス、テス聞こえますか?


≪シーン


≪・・・・・・あっ!


 対の魔導具スピーカーフォンが無いや。・・・音声の送受信は、スキル【念話】や神授スキル【レソンネ】があるから、今じゃ無くても良いか。


 そうなると、今日は多層構造の魔力陣。2層式に挑戦して......


「≪『おんや。パトロン殿よ。如何なされましたかなぁ~はい』→ロイク≫」


 ......みる、ん?


≪えっ?


「≪『聞こえてますぞぉ~。はい』→ロイク≫」


≪えっ?・・・。


「≪『しっかしぃ~。また随分とヒストリーロマンな遊びを始めましたなぁ~。はい』→ロイク≫」


≪えっと、どういう事でしょう?


「≪『あのぉ~ロイク様。聞こえていますがぁ~。何か御用でしょうか?』→ロイク≫」


≪アルさんにも聞こえてるんですか?


 いったい何が起こってるんだ。


「≪『パトロン殿よ。これは神格を持った存在には些か音が大きいですぞぉ~。もう少し音量を下げ、相手を気遣う優しが欲しいところですなぁ~。はい』→ロイク≫」


「≪『ですから。私にも聞こえてますよぉ~』→ロイク≫」


≪何か話が噛み合って、


「≪『なんだね。プティソンムしてないね。起きてたね』→ロイク≫」


≪あっ。フォルティーナにもやっぱり聞こえてるんですね。


「≪『距離の問題ですぞぉ~。私はグランディール城の政務室。アル殿はスカーレット大神殿。フォルティーナ様はスタシオンエスティバル(中空の避暑地)クリュの神宮殿の運の女神の寝殿(寝室)。この音量から察するにフィーラ周辺域までは余裕で届いていると思われますぞぉ~』→ロイク≫」


≪フィーラですか?・・・半径4Km位のはずなんですが・・・。って、まずいじゃないですか。他の神様達にも迷惑掛けてるって事ですよね?


「≪『おんやまぁ~。ざっと半径400Kmの間違いではありませんかなぁ~。はい。それと他の神への心配は不要ですぞぉ~。これは8888ch』→ロイク≫」


≪8888ch?


「≪『日常的に精神の共鳴(レソンネ)で繋がった存在にのみ響く優先チャンネルの事ですぞぉ~。はい』→ロイク≫」


「≪『懐かしいです。念話を覚える前の子供の頃にこんな感じの遊びが大流行して、皆で伝言ゲームや遠距離お喋り。恋バナとか女子トークで盛り上がったものです』→ロイク≫」


「≪『えっ。って、何を言ってるね。だから起きてたね』→ロイク≫」


≪おっと・・・。


 3(・・)と同時に会話なんて無理だ。神授スキル【レソンネ(共鳴)】に切り替えよう。


「≪『こっちに切り替えました。マイクロフォンという魔導具の実験をしてたんです。お騒がせしました』→chefアランギー様&アルさん&フォルティーナ≫」


≪シュッ キュピーン


 アルさんが目の前に現れた。


≪フワッ


 フォルティーナが目の前に現れた。


(・・)を潰しに来たね。・・・突然大声で話し掛けられて驚いたね」


「ロイク様。マイクロフォンですよね?」


「はい」


「懐かしいです」


「懐かしい?」


「えぇ。マイクロフォンは、神域に存在する子供達の間で」


≪スゥ―――


「お待たせしました」


「うわぁっ!!!......」


 chefアランギー様に真後ろから声を掛けられた。


「......近いです。っていうか、後ろに現れていきなり話掛けないでくださいって言ってるじゃないですか」


「書類仕事を片付け急いで来たものですからぁ~。はい」


 ・・・理由になってないし。


「ロイク様?」


 おっと、アルさんの話を聞いてる途中だった。


「アルさんすみません。それで、この魔導具が子供達の間でどうしたんですか?」


「とっても流行っていたんです」


「魔導具がですか?」


「はい」


「パトロン殿のマイクロフォンは、神具【MRリュネット】の超々々超劣化ヴァージョンの番の片割れですぞぉ~。確か、コルト下界ではぁ~・・・・・・マイクロフォーン。スピーカーフォーン等と呼ばれていた様な。はい」


「マイクロフォンとスピーカーフォンであってます」


「しっかしぃ~。随分と綺麗な古代魔導具ですなぁ~。はい」


「あぁ、これ、さっき俺が創造した奴です」


「なるほどなるほどぉ~。と言う事はですなぁ~・・・パトロン殿の神授スキル【マテリアル・クリエイト】は、神具に限りなく近い魔導具の創造が可能という事になりますなぁ~。はい」


「アランギー知らなかったのかね?ロイクは、神界神域にのみ存在するレミレりラス(神星石)レインボー(神虹石)を創造出来るね。一度でも触れた事がある存在なら創造出来るみたいだね」


「おんや。素晴らしいですなぁ~。はい」


「うんうんだね。あたしは、それでかなり懐が・・・何でも無いね」


 こいつ。俺に隠れてかなり儲けてるな。


「ロイク様。これを」


「サングラス?」


 アルさんから、サングラス?を受け取った。


「おぉ~。パトロン殿。それは私が先程話しました神具【MRリュネット】でずぞぉ~。はい」


「へぇ~。これが、そうなんですね」


「1つでもそれなりに楽しいのですが、1(・・)だと飽きるのも早くて・・・。それでですね。同じ物を幾つか創造して貰えたらなぁ~と、思いまして・・・」


「直ぐ終わるだろうし構いませんよ。幾つ欲しいですか?」


「そうですねぇ~。ロイク様とフォルティナ―様とアランギー様とマルアスピーさんと...... ......他にブツブツブツブツ」


 アルさんは指を折りながら数を数えている。


「アル。あたしは自分のを持てるね。・・・これがあたしのMRリュネットだね」


 おっ!アルさんのは太い黒縁フレームの黒くて厚いレンズのサングラスみたいな感じなのに、フォルティーナのは小指の爪よりも小さい透明なレンズ?に見える。同じ神具なのか?


「それも、MRリュネットなんですか?」


「あたりまえだね。神界に行った時に飲み・・・入手した最新のMRリュネットだね」


「何が違うんですか?」


「見て分からないのかね?・・・はぁ~まったく。アルのはダサダサの黒縁のサングラスタイプだね。あたしのはコンタクトレンズタイプだね。はぁ~」


 呆れられても困るんですが・・・。


「サングラスは使い方が分かるんですが、それどうやって固定するんですか?」


「な、何を言ってるね。コンタクトレンズは目に入れるね。眼球に被せるに決まってるね」


「・・・目に入れる?・・・そんな物目に入れたら大変な事に・・・」


「これだから、下界は困るね。これはだね。メガネと同じだね。しかもだね1度眼球にセットすると更新するまで補助するね。あたしは自前の瞳で何でも良く見えるからセットした事は無いがね。ハッハッハッハッハ」


 結局のところ、


「形が違うだけって事ですか?」


「ロイク様。形状を変えただけで新型とは言わないと思います」


「ですよね。・・・フォルティーナ。それ貸して貰えますか?」


「構わないね。だがしかしだね。これはあたしのだね。絶対に返すね」


「取りませんよ」


 俺は、フォルティーナからもMRリュネットを受け取ると、神眼を意識しMRリュネットを見比べる。



「パトロン殿。何か分かりましたかなぁ~。はい」


「ロイク様」


「どうやら、コンタクトレンズタイプは、サングランスタイプの欠点を解消したモデルみたいです」


 あれ?chefアランギー様もアルさんも視認出来るはず。何で俺に聞くんだ?


「欠点ですか。遊んでいて不便を感じた事は無いのですが・・・」


「アルさんはどんな事をこれで?というか、神眼で視認出来ますよね?」


「存在を視認する事は出来ます。ですが、最新式のMRリュネットの様に精密神具の詳細視認は私の神格位では出来ないんです」


「へぇ~。神眼って神格位で視認出来る物に違いがあったんですね。知りませんでした」


「パトロン殿は神格を持たずして神眼持ちですからなぁ~。神格位による規制を受けずに済みます。ですのでアル殿や私より視認出来る物が多く存在しているはずですぞぉ~。ですがコルト下界の干渉規制の中に存在しているのも事実。私達より視認出来ない物も多く存在します」


 まるでとんちだ。


「因みに、上級神特級の神眼で最新式のMRリュネットを視たところ、存在の認識、名称の認識、品位の認識しか出来ませんでした。品位A1の神具、当然と言えば当然ですかなぁ~。はい」


「ロイク。神具には品位があるね。下から【E】【D】【C1】【C2】【C3】【B1】【B2】【B3】【A1】【A2】【A3】【A4】【A5】【SA】。創造神が創造した神具、創神具は全て【A2】以上の品位だね」


「品位がA1のこのMRリュネットは神具としては品位が凄く高いって訳か」


「そういう事だね」


「フォルティーナは何処まで視えるんですか?」


「あたしかね。あたしはたぶん全部視えるね。ただ1度も使った事が無いね。だから視比(みくら)べても良く分からないね」


 それ、俺もですよぉ―――。



「話を戻しますが、アルさんはこのMRリュネットでどんな遊びを?」


「私は、百人一首に、カルタに、トランプに、チェスに、囲碁に、将棋に、オハジキに、コマに...... ......福笑いとかでしょうか」


 ・・・知らない遊びばかりで何とも言えないんですけど。


「アル。君は鳥にしてはインドア派だね」


「そうでしょうか」


「アル殿は。卓上ゲーム派でしたか。なるほどなるほど」


 卓上ゲームか。だったら納得だ。


「サングラスタイプでも支障が無かったはずです。サングラスタイプの方は、激しく動きまわると落下したり上下に揺れ動き視認レベルを著しく低下させるといった不具合があった様で、それを改善したのがコンタクトレンズタイプみたいです。眼球にセットすると最新版に更新するか、強制的に取り外さない限り視認補助を続ける仕様になってるそうです」


 アルさんのサングラスタイプは4002年前に創造されていて、フォルティーナのコンタクトレンズタイプは0年前に創造。0年・・・まだ1年経って無いって事なのかな?


「それと、機能も2つ改良されてるみたいです。サングラスタイプは最大8柱相互共有で、コンタクトレンズタイプには上限がありません。もう1つの改良点は数値の改善です」


「数値の改善ですか。はい」


「数値?」


「そこだね。あたしもそこが良く分からなかったね」


「ステータス値の見やすさを大幅に改善したとしか説明が・・・」


「ロイク様。フォルティーナ様のMRリュネットを皆の分お願いします」


「皆?」


「はい。家族や眷属皆にです」


 皆で卓上ゲームをやるつもりなのか?


「アランギー。MRリュネットは卓上ゲームの為の神具かね?」


「おんや違いますぞぉ~。MRリュネットはもともと神眼補助ユニットとして開発された神具で、神獣眼用、精霊眼用と派生の神具が次々に開発されたのですぞぉ~。思い出しますねぇ~。あれは私が幻の食材を求め」


「それでだね。神眼の補助ユニットが、視認補助になった訳かね?」


「・・・左様です。はい。凡そ精霊達からコルト下界に伝わり、ハイエルフ(高位樹人)族、或いはハイウィザード(上位魔人)族によって、マイクロフォンとスピーカーフォンの魔導具になったと思われますぞぉ~。はい。まぁ~音声を送信し受信するだけの物になってしまっては、珍しい食材を使った修行に」


「なるほどだね。アランギーもういいね。視認で確かめたね」


「・・・左様ですか。はい」


「ロイク。MRリュネットを増やしたら、早速入れてみるね。あたしも入れて試すね」


「私も」


「然らば、不肖このアランギーも、幼少の頃に戻った気持」


「でだね。創造する際に、神授スキル【タブレット】と関連付けするね」


「タブレットとですか?」


「世界が変わるかもしれないね」


 フォルティーナは、ドヤ顔を決めながら、左目でウィンクした。



 神授スキル【マテリアル・クリエイト】...... ......神授スキル【タブレット】と、ここからどうしたら良いんだ?


≪・・・・・・。神授スキル【タブレット】の複製命令を解除しました。


 またダメだ。MRリュネットにタブレットへのアクセス権を付与しようとしただけなんだけど、今のも複製判定になるのか。



 神授スキル【マテリアル・クリエイト】...... ...... ≫


≪コルト下界干渉規制コードに該当する為、命令を解除しました。


 う~ん。


「まだかね。飽きたね」


「パトロン殿よ。政務に戻っても良いですかな。はい」


「ロイク様。巫女の皆さんとの打ち合わせに戻りますね。完成を楽しみにしていますね。それでは」


≪シュッ キュピーン


 アルさん・・・。


「10月は大樹の休息月。公務の引継ぎ月らしく今月は決算書類が多くて忙しいのです。パトロン殿はあの書類の山を良く。まぁ~その件は後程という事で、はい」


≪パンパン スゥ―


 何か俺が忙しい2(・・)を呼んだみたいになってるんですけど・・・。


「ロイク。何をやってるね。さっさと創造するね」


 ・・・。こいつはまだいたのか・・・。



 神授スキル【マテリアル・クリエイト】...... ...... ≫


≪≪コルト下界干渉規制コードに該当する為、命令を解除しました。



 神授スキル【マテリアル・クリエイト】...... ...... ≫


≪≪コルト下界干渉規制コードに該当する為、命令を解除しました。



 俺、何やってるんだろう。確か、多層構造の魔力陣の実験・・・。


「まだかね」


 ・・・。


「飽きたね」


 ・・・。我慢だ。我慢。


「≪『ねぇロイク』→ロイク≫」


「≪『はい、なんでしょう』→マルアスピー≫」


「≪『さっきからタブレットの画面が変なの』→ロイク≫」


「≪『変と言いますと?』→マルアスピー≫」


「≪『何かを何度も解除してるみたいなのだけれど、解除の度に画面が落ちて作業が進まないの』→ロイク≫」


「≪『・・・ご、ごめんなさい。それ俺のせいです』→マルアスピー≫」


「≪『そっ。それなら良いわ』→ロイク≫」


「≪『良いんですか?』→マルアスピー≫」


「≪『理由が分かったから良いの。レシピ整理は後でやる事にするわ。忙しの。また後でね』→ロイク≫」


 マルアスピーは相変わらずマイペースだなぁ~。


「ロイク。まだかね。あたしは暇じゃないね」


 ・・・・・・昼寝(プティソンム)してた癖に。

ありがとうございました。

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