1-12 クッキーと、悲恋の扉?
作成2018年2月18日
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【タイトル】 このKissは、嵐の予感。
【第1章】(仮)このKissは、真実の中。
1-12 クッキーと、悲恋の扉?
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――― コルト町 大聖堂 19:47
俺は、コルト町の世界創造神創生教会のコルト大聖堂に来ている。神様の指示に従い19:40に間に合う様に大聖堂の大講堂に移動した。大聖堂の聖属性や聖属性の結界の痕跡に気付いた俺に対して、マルアスピー様は当時を知る者に聞くのが1番早いと提案してきた。彼女の母精霊、前任の大樹の聖域の精霊樹に宿りし大精霊ミト様は健在で精霊樹の精域に滞在中らしい。
そして、今はコルト大聖堂の大神官長様の神授スキルを、俺の神授スキル【オペレーション】し終えたところだ。
「大神官長様の【zungereparieren】は、大神官長様には認識出来ていませんでしたが、スキルとしては存在していた事になりますよね?」
「・・・そうなりますね・・・つまり、ロイク君には、私が意味を認識出来なかった神授能力の他に、私が存在その物を認識出来ていない神授能力があると言う事なのかね?」
「そういう事になります」
「なるほど。ロイク君、君は・・・詮索するのは年寄の悪い癖だな」
「いえ、普通の反応だと思います」
「ありがとう。先程の話に戻るのだが、30ラフンとはどういう意味かね?」
あぁ~・・・そっか、時間の概念が俺達以外には無いんだった。どう説明したら良いんだろう・・・
『フフフッ。こればかりは、口で説明しても理解してくれる人は、少ないと思いますよ』
ですよね・・・って・・・
「えっとですね。これも俺の神授能力の1つなんですが」
「ほう」
「大神官長様は、1日をどの様に区分して生活していますか?」
「ん・・・私の1日の話かね?」
「はい。例えば朝はどのようして朝だと認識し起床していますか?」
「陽が2つ顔を出した時ですな」
「陽が2つ昇った時を、俺のスキルでは、06:00と認識します」
「ふむ」
「では、昼食の時間をどのようにして決めていますか?」
「陽が2つ重なった時ですな・・・」
「陽が2つ重なった時を、俺のスキルは、15:00と認識します。夜と認識し夕食の時間をどのように決めていますか?」
「陽が2つ沈んだ時ですな」
「陽が2つ沈んだ時を、俺のスキルは、24:00と認識します」
「ふむ・・・」
「1日は、0から始まって30で、次の日になります。1日は30時間らしいのです。この0から30まで増えるカウントを時と呼び。この0から1になるまでのカウントをラフンと呼びます。ラフンは0から60まで増えるカウントで、60までカウントすると、時が1つ増え、ラフンは0からまた60までカウントをし直します。更に、このラフンが0から1になるまでのカウントをカウンと呼びます。カウンも0から60まで増えるカウントで、60までカウントするとラフンが1つ増え、カウンは0からまた60までカウントをし直します。因みに、俺の神授能力では、今の時間。つまり今は1日のどの辺りに居るのかを正確に知る事が出来ます。今の時間は」
≪現在19:53です。
「19:53です。つまり、後4時7ラフンで、夜になり夕食の時間という事になります」
「良く分からないが、陽の昇る時間と重なる時間と沈む時間が決まっていて、1日は30時かん?」
「そうです。30ラフンは、30時間を30等分した1の半分の時間です」
「なるほど。つまり、1日は、1800ラフンであり、108000カウンという訳だな?」
「えっと・・・そうです」
計算した事ないや・・・
「つまり、私の【zungereparieren】は、破損した時から、1800カウン以内のカウントであれば直せる修繕出来る能力という事になるのかな?」
「カウントの速さにもよりますが、だいたいそういう事になると思います」
「因みに、カウンのカウントの速度はどの位なんだね?」
大神官長様ともなると、やっぱり知識や知恵、理解力が凄いや。
「そうですね。俺のもう1つのスキルで目と耳と身体で認識してみますか?」
「そんな事が出来るのかね?」
「はい。【タブレット】可視化:対象:コルト大聖堂の大神官長様・今回のみ」
≪・・・認証更新しました。
*******≫版≪*19:54*******
本日は、4075年6月1日(無の日)です。
現在の時刻(時間)
ゼルフォーラ大陸時間 19:54
ネコトミサール大陸時間 23:54
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「ロイク君、君の目の前に浮かんでいる透明な版は何かね?」
「今、この版を拡大し、先程説明しました時間という物を浮き上がらせます」
版の拡大・約10倍・今回の可視化時のみ。時間をカウンまで表記・今回のみ
≪・・・認証更新しました。拡大します。時間を表示しました。
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現在の時間 19:55:04
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「おぉ~、宙に数字が・・・この6、7、8、と増えているのがカウンというカウントかね?」
「そうです。【タブレット】・カウンのカウントを音に出して」
≪11
≪12
≪13
≪14
「この声は?」
「このカウントがカウンの速度です」
「なるほど・・・」
≪19
≪20
≪21
「・・・これは、凄い能力です。統一された共通の速度でカウントが行われるとして、この時間という正確な区切りで皆が生活した場合、あらゆる分野に生活魔術の発見と同じ様な革命をもたらしますぞ」
「ですが、今は俺のスキルの範囲内ですから・・・カウントを停止。不可視」
≪・・・認証更新しました。
「あ、消えました・・・今日は驚く事ばかりです」
「驚かせる気は無かったのですが・・・ハッハッハ」
「今の速度のカウントで1800以内という訳ですね」
「そうなりますね」
≪ガチャ
「・・・大神官長様。大講堂にいらっしゃったのですね」
「おぉ~君もこちらに来ると良い」
「はい」
≪コト コト バタン コト コト
1人の女性が大神官長様と俺が座る椅子の前までやって来た。
「ロイク君。こちらは、アリス・パマリ。ステファン・パマリ侯爵様の次男ジェルマン・パマリ子爵様の娘さんです」
「パマリ家の方でしたか。俺は、マルアスピー村のロイク・シャレットと言います」
「貴方が、一瞬で数百数千匹の魔獣を倒したと言うマルアスピーの英雄ですか?」
「数千は言い過ぎです。それに英雄って、コルト町に来た途端急に言われても困ります」
「王都の騎士団は、貴方の噂で持ちきりでした」
「はぁ~・・・」
『ロイク』
ん?何ですか?
『パマリ家の人間種なのよね?贈物を渡す機会ではないのですか?』
あぁ~・・・そっか。タブレット:武具:装備:アリス・パマリ限定装備・取り出し
≪・・・俊足の外套を防具より取り出しました。
「え?貴方、その外套を何処から出したのです?」
「俺の神授スキルです」
「魔導具では無い様ですし・・・道具が宙から現れたので驚きました」
「この外套ですが、アリス・パマリ様に差し上げます」
「始めて会った私にですか?」
「はい。先程、ミント・パマリ侯爵第一夫人様にも受け取っていただきました」
「御祖母様のお知り合いの方でしたか」
「アリス様。今朝の正門扉の事件ですが、扉を開けたのが、このロイク君です」
「・・・貴方が・・・マルアスピーの英雄は、悲恋を閉じ込めた扉を開け2人の愛を成就させたのですね。あぁ~何て素晴らしい結末でしょう。4000年もの長い月日...」
何だ?
「大神官長様。彼女は何を言ってるんですか?」
「そうですね・・・ここコルト町の住民で取り分け女性達にとって、大聖堂の悲恋話や開かずの扉の伝承は何と言いますか特別な存在なんです」
「助祭長様も同じ様な事を言ってた様な・・・」
「ロイク君の事は、既に多くの住民が知っていると思いますが、明日には女性達の間に知らぬ者がいない位にはなってるでしょうね」
「はぁ~・・・」
マルアスピー様
『・・・』
マルアスピー。
『何かしら』
ミト様の伝承って、この町で凄い事になってるみたいですよ。
『そうみたいね』
興味ないんですか?
『親の恋路に興味ある?』
無いですね!
『私もよ・・・』
・・・たぶんですが、神様の指示で大聖堂に来ましたが、アリス・パマリさんに会って贈物をする為だったのかと、後は大神官長様のスキルですかね。
『ロイク』
はい?
『夕食会ってもう少し遅くならないのかしら?』
どうしたんですか?
『まだ、お昼を食べてから3時間経って無いでしょう』
そこは、食べるタイミングを自分で調整するしかないですよ。
『そうね・・・分かったわ。パフちゃんを連れて、少し運動してくるわ』
はっ?
『私は副リーダー権限があるのよね?」
えっと、PTカードの話ですよね?
『パフちゃんをメンバーに入れるわね。また、後で連絡するわ』
え?あ・・・
「...あぁ~時を越え結ばれる2人の愛・・・神様は・・・」
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――― 20:15
アリス・パマリ様は、10ラフン程1人で喋り続けやっと落ち着いてくれた。
「ミント・パマリ侯爵第一夫人様に受け取っていただきました防具【神話の外套】も、アリス・パマリ様に受け取っていただきました【俊足の外套】も装備者指定武具です」
「この外套は、装備者指定武具なのですか?」
「はい。それと、アリス・パマリ様に受け取っていただきました武具と同じ物を、マリア・パマリ子爵夫人様にも準備してあります」
「お母様にも、こんな高価な武具をいただけるのですか?」
「ついでに言うと、ジェルマン・パマリ子爵様用にも違う物ですが準備してあります」
「パマリ家は侯爵家ですが、中央での発言力はそこまで大きくはありませんよ」
「それは気にしていません。あくまでも、シャレット家からの贈物です。王宮への召集命令の序に、コルト町、鉱山都市ロイ、王都モルングレー、港湾貿易都市サーフィスに立ち寄って見聞を広げる事にしたのですが、我が家は下級貴族とは言え一応貴族家ですので、立ち寄った先の領主一族様へは贈物をする様にと両親に言われたのです」
「貴族領へ立ち寄っただけで、こんなに高価は贈物をしているのですか?」
「高価とは言っていますが、自分で手に入れた素材を。自分で加工しただけなので、実感がありません」
「はぁ~・・・英雄と呼ばれる方は、器が大きい物だと御父様から聞いた事がありましたが、貴方の御両親シャレット士爵夫妻もなかなかですね」
「おや、アリス様は、御存じありませんか?ロイク君の父シャレット士爵様は、トミーサス大行進の英雄です」
「・・・えっ?・・・えぇぇぇぇ・・・あ・・・・あの、バイル様の御子息なのですか?」
「はぁ~、バイル・シャレットは確かに俺の父ですが・・・」
「神授スキル【遠望】と類稀な弓矢の技量。私と私の御母様の憧れの人です」
へぇ~・・・あの下品な親父がねぇ~・・・親父が聞いたら大変な事になりそうだ。・・・あっこの人、俺と同じ狩人なんだ。狩人レベルは5で個体レベルは9か。
「狩人なんですね」
「え?私、狩人だと言いましたっけ?」
「あぁ~俺の神授スキルです」
「そうなんですね。・・・。大神官長様。バイル様の御子息とのお話はもうお済ですか?」
「神授能力の話をしていただけですから、終わったと言えばそうなりますね」
「それでしたら、バイル様の御子息をお借りします」
え?
「ですが、私に何か用事があったのではないのですか?」
「バイル様関連の方が優先です」
「左様ですか、それでは後ほど、お聞きします」
「さぁ。バイル様の御子息様。これから私の御母様に紹介します。一緒に来てください」
「えっと・・・何処に行くんでしょうか?」
「貴族街にある私の家です。普段は王都に住んでいるのですが、御父様の騎士団の都合で、実家のあるコルト町に先日から滞在しています。大聖堂の前に馬車を停めてありますので急ぎましょう」
急ぎましょう。って・・・
アリス・パマリは、興奮した様子で、正門扉へ向かって歩き出す。
「ロイク君」
「はい」
「時間がある時にまたスキルについて話をしましょう」
「引き留めてくれないんですね」
「はい」
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――― ジェルマン・パマリ子爵家の馬車の中
俺と、アリス・パマリ様は、コルト大聖堂を出ると、侯爵邸の西に整備された貴族街に向け、ジェルマン・パマリ子爵家の馬車で移動を開始した。
「俺の事は、ロイクと呼んでください」
「それなら、私の事は、アリスと呼んでください」
「子爵家の御令嬢様を、呼び捨ては出来ないですよ」
「それなら、バイル様の御子息様を、私も呼び捨てなんて出来ません」
「う~ん・・・平行線ですね」
「そうなりますね」
互いの呼び方をどうするのか、そんなくだらない議論だけで、目的地ジェルマン・パマリ士爵邸に到着してしまった。
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――― ジェルマン・パマリ子爵邸
俺は、子爵邸の応接間に通されると、アリス・パマリに『ソファーに座って待っていてください。御母様を連れて来きます』と、言われ、フカフカのソファーに腰掛けていた。そんな俺を、子爵家の使用人というには強面な、警備員の様な男性6人が目を光らせ立っていた。
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あぁ~・・・時間が・・・今の時間は?
≪現在20:40です。
予定では、貴族領軍私兵詰所に行って、王国軍騎士団事務所に行かないといけないんだけど・・・
≪カチャッ
「御母様。御父様。こちらです」
応接間の扉が開くと、アリス・パマリの声が聞こえ、彼女が部屋へ入って来た。その後ろには、1人の男性と1人の女性が続いた。俺は、フカフカのソファーから立ち上がり軽く会釈をした。
「あぁ~畏まらなく良いよ。座りなさい」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて」
俺は、男性が腰掛けるのを確認してから、フカフカのソファーに腰掛けた。
「御父様。こちらの方が、あの英雄バイル様の御子息様で、ロイク様です。そして、ロイク様は何と英雄であり、コルト大聖堂の悲恋の扉を解放した愛の伝道者様なのです」
「ほう。君は英雄であり愛の伝道者という訳か」
「いえ、英雄と呼ばれているのを知ったのは今朝ですし、伝道者と呼ばれたのは今が初めてです」
「ハッハッハッハ。なるほど、娘が勝手に呼んでいるだけか。おっ、申し遅れた。私はジェルマン・パマリ。ここコルトの町の領主の次男坊です。そして、妻のマリア・パマリ。私達夫婦が王都の騎士団に所属しているせいなのか娘のアリスはどうもお転婆でな。ハッハッハッハ」
「まぁ~貴方ったら」
「御父様。お転婆とは言い過ぎです」
「君は、王都でも話題の、アンカー男爵領マルアスピー魔獣襲撃事件闇炎牙狼討伐の英雄。そして、あのトミーサス大行進の英雄バイル殿の息子という訳か」
「英雄かどうかは分かりませんが、マルアスピー村のバイル・シャレット士爵の息子に間違いは無いです」
「確かに、バイル殿に何処となく似ている様な・・・」
「父を知っているのですか?」
「知っているよ。トミーサス大行進の時も、その後の騎士団の時も行動を共にした仲間だったからね」
「仲間ですか・・・」
「何も聞いて無い様だね。それなら、今度、バイル殿から直接聞くと良いよ」
「はい。そうします」
って、親父って、パマリ家と親しくしてたのか?騎士団って名誉騎士団員とか言ってたけど騎士団員として所属してたって事なのか?
「さて、折角お会い出来たのですが、私はこれから騎士団事務所に行かなくてなりません。妻と娘にバイル殿の話をしてやってください。夫で父の私が焼いてしまう位、バイル殿のファンですから」
「はぁ~・・・あっ!そうでした。ジェルマン・パマリ子爵様と奥様のマリア・パマリ様へシャレット家から贈物があります」
「さっきの、あの外套ですか?」
「はい、外套はマリア・パマリ様とアリス・パマリ様用です。ジェルマン・パマリ子爵様へは、指輪が2つです」
「男の私には指輪で、妻と娘には外套なのか?」
「そうです・・・」
可視化:武具:防具:【俊足の外套】【聖の指輪】【邪の指輪】・取り出し。
≪・・・俊足の外套、聖の指輪、邪の指輪を取り出しました。
「んん?ファルダ―ガパオではないな・・・何処から出したのかね?」
「俺の神授スキルからです」
「珍しい能力を所持している様だね。それで、その外套と指輪が贈物という訳だね。見た処、どれもかなりの魔力を秘めているようだが・・・どういった物なのかな?」
「はい、外套の方は、先程アリス・パマリ様にも話しましたが、防具名を俊足の外套と言いまして、スキル【俊足】レベル3がライフ・スキルに付与されます。また、【AGI】の最高値が+30。地属性・水属性・火属性・風属性・闇属性の特化レベルが+1。地属性・水属性・火属性・風属性・闇属性の耐性が50%UPし、弓矢の矢の飛距離が20%UPする効果が付加されています」
「御父様。御母様。それだけでは無いのですよ。・・・これ等は、全て装備者指定武具何です」
「まさか、この指輪もか?」
「指輪も装備者を指定する魔術を施してあります。因みに、指輪は2つ一緒に装備する事で効果が増幅しますので、気分で1つだけ装備というのは控えてください。この白色で輝いている指輪が聖の指輪と言いまして、【HP】を回復させる聖属性魔術レベル2が付与されています。スキル名は【天使の輪】です。1度の魔術で約100回復します。【MP】の消費は25です。また、【HP】の最大値が300%UPし、状態異常耐性が50%UPします。地属性・水属性・火属性・風属性の耐性も50%UPします」
「なんという指輪だ・・・」
「そして、もう1つの深紅に輝いている指輪が邪の指輪と言いまして、【MP】の最大値を200%UPし、状態異常耐性を50%UPし、邪属性・闇属性耐性も50%UPし、【STR】の最大値を+100にします。2つの指輪も装備者指定武具で間違いありません」
「貴方。この様な防具は見た事がありません」
「あぁ~。この次元の防具は、良品や優品のレベルではない・・・まるで神具ではないか!」
「ですが、御父様。この武具は、素材集めから加工まで、バイル様の御子息様が1人で行った物なんだそうです。御祖母様にも、伯父上様にも異なる防具を贈ったそうです」
「バイル殿!・・・ついバイル殿と・・・ロイク君。この武具は君の作品で、他にも同じ様な物を、私の母や兄上にも渡したのかね?」
「まだ、他にもパマリ家の皆さん用に準備してありますので、この4つに関しましては是非受け取ってください」
「そういう意味ではないのだが・・・ふと価値を考えてしまってな」
「価値ですか?」
「私と妻と娘がいただいた武具だけでも、10億NLいや、それ以上だろう・・・装備者指定武具であり、魔導具でもあり、その付加付与の次元が神具級だ」
「御父様、この外套は、神具級の武具なのですか?」
「あぁ~・・・神具級というかもはや神具と言っても過言ではないかもしれん」
「そんな凄い物を・・・いただけません」
神様何やってくれちゃってるんですか・・・高価過ぎて拒絶されてますよ。
『ロイク。キャビンに戻りました。そちらの用事が終わりましたら迎えに来てくださいね』
あ、はい。・・・って、今立て込んでるので、また、連絡します。
「あのぉ~・・・ジェルマン・パマリ子爵様。マリア・パマリ様。アリス・パマリ様。残念ですが、受け取っていただきます。何故なら、装備者指定武具だからです」
「ハッハッハッハ。なるほどな。指定された者が触れた瞬間から装備者指定武具な訳か・・・これはやられたな・・・ハッハッハッハ。アリス。これはもう受け取るしかないぞ」
「ですが、御父様・・・」
「貴方どうしましょう。家からシャレット家に・・・ロイクさんに、お返し出来る相応の物何てありませんわ・・・」
「そうだなぁ~。陛下よりいただいた剣や魔術書も霞んでしまう次元だからな。ハッハッハッハ。こりゃ~アリスでも嫁に貰って貰うしか無いかっ!ハッハッハッハ」
「そうですわね。貴方」
「なっ何で私が・・・・」
神様からいただいた武具で、人身売買・・・って、話が確実におかしな方に行ってますよ。神様・・・
「ちょっと、貴方も何とか言いなさいよ」
「あ、はい。えっと、この場合は、何て返答すると良いのか、両親からも学んでいないもので・・・」
「何言ってるのよ。断れば良いのよ」
「冗談に返しても・・・」
「え?あっ、冗談。そうですわよね・・・アハハハハハ」
「御父様、バイル様の御子息様をからかうなんて、お止めください」
「ん?ハッハッハッハ。そうだな!」
「まぁ~アリスったら」
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「おぉ、いかんいかん。神具級の武具と愉快な話につい我を忘れてしまった。騎士団事務所に行かなくては」
「ジェルマン・パマリ子爵様」
「どうしたのかね」
「実は、俺も、貴族領軍私兵詰所に寄ってから、騎士団事務所に行く予定だったのです」
「おぉ~、ならば一緒に侯爵邸に行くかね?」
「ジェルマン・パマリ子爵様さえ良ければ是非お願い致します」
今の時間は?
≪現在21:30です。
もうこんな時間か・・・マルアスピー様とパフさんと合流して、今から隊長室に行っても1時間も過ぎてるし・・・騎士団事務所も30ラフンも過ぎてるし・・・執務室に行った方が良いのかな?
『ねぇ、ロイク。次の予定は、どれも侯爵邸の中でよね?』
そうだけど、それがどうしたんですか?
『そこにいる人間種達はパマリ家なのでしょう?会食会に招待されているのかしら?』
たぶん、そうじゃないでしょうか?
『ふ~ん』
どうしたんですか?
『何でもないわよ。少し気になっただけよ』
そうですか・・・
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「ジェルマン・パマリ子爵様。予定に遅れているのでしたら、俺の【転位】魔術で侯爵邸に行きませんか?」
「転位が使えるのか?」
「はい」
「凄いなロイク君は・・・バイル殿が羨ましいぞ!」
「パーティーはどうなっていますか?」
「今はフリー状態だ。もしロイク君がパーティーに入っている状態なのであれば、私をメンバーに入れてくれ」
「分かりました。PTカードで・・・」
カードの使い方ってどうやるんだ?・・・もう良いや、今はオペレーションで・・・【オペレーション】、ジェルマン・パマリ子爵様にパーティー要請してOKっと。
「私のPTカードだ!」
ジェルマン・パマリ子爵様は俺にPTカードを差し出した。
「あれ?どうやら、私の勘違いだった様だ。騎士団のパーティーから抜けたと思っていたんだが・・・うん?リーダー:ロイク・シャレット。サブリーダー:マルスピー・シャレット。メンバー:パフ・レイジィー。メンバー:ジェルマン・パマリ。どうなってるんだ?」
後で説明した方が良さそうだな・・・
「御父様、私も御一緒致します」
俺が右手に持ったPTカードに、アリス・パマリは自身のPTカードを重ねた。すると、俺のカードに加入申請の文字が浮かんだ。
「ほら、了承して」
「あ、はい・・・って、何してるんですか?」
「私も転位したいのよ」
「ロイク君。済まないが娘も一緒に頼む」
「分かりました」
「始めてなのよ・・・ちょっと緊張するわ」
「私は王都で何度か経験があるがなかなか便利だそ転位は」
今日は、人に使われてばかりだなぁ~・・・
「それでは、マリア・パマリ様。旦那さんと娘さんを侯爵邸まで連れて行きます。侯爵邸の夕食会でまた宜しくお願いします」
「夕食会?・・・」
【フリーパス】【タブレット】:コルト町北輓獣車両停車場:自分の所有するキャビン前・発動≫
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――― コルト町 輓獣車両停車場
「ん?何だ?輓獣広場か・・・ロイク君、転位にしては随分とスムーズだな・・・」
「御父様。私、家着のままですわ」
「私は家用の靴のままだ。ハッハッハッハ」
「ロイク君。侯爵邸に飛ぶ前に、家に寄ってくれるか」
「分かりました。・・・すみません確認しないで移動してしまって。パーティーメンバーと合流して、直ぐに子爵邸に戻りますね」
マルアスピーさ・・・マルアスピー。パフさんと一緒にキャビンの外にお願いします。
『今、パフちゃんが靴を履いているわ』
≪ガチャ
マルアスピー様とパフ・レイジィーがキャビンから顔を出した。
「パーティーメンバーが揃ったので、子爵邸に1度戻ります。紹介は後ほどです」
【フリーパス】【タブレット】:コルト町:貴族街:ジェルマン・パマリ子爵邸・発動。
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――― ジェルマン・パマリ子爵邸
「あら?貴方戻って来たのですか?」
「靴を履き替えにね」
「私は服を着替えに戻りました」
二人は慌てて、応接間を後にした。
「ロイクさん。侯爵邸で夕食会があるのよね?」
「はい。マリア・パマリ様。次期侯爵様からは、夕食会を催すと聞いてます」
「それでしたら、私も一緒に行っても良いかしら・・・」
「パーティーメンバーにまだ余裕がありますし、転位には問題ありませんよ」
「ありがとう。私も着替えて来ます。ロイクさんソファーに座ってお茶でもお飲みになって待っていてください。そこの可愛らしいお嬢様方御二人もどうぞ」
マリア・パマリ様も慌てて応接間を後にした。
デジャヴだ・・・
≪モグモグモグモグ
『ロイク。このお菓子美味しいわよ』
良かったですね。
「パフちゃん。これ美味しいわよ。食べてみて」
「あ、はい。マルアスピー様」
≪モグモグ
「あ~とっても甘くて美味しいです・・・」
「これは、何てお菓子なの?ロイク分かる?」
「それは、クッキーだよ」
「へぇ~・・・パフちゃん。クッキー美味しいわね」
「はい」
ここでのんびりしていて良いのだろうか?
『大丈夫よ』
根拠はありませんよね?
『そうね。フフフッ』
笑って誤魔化さないでください。
「パフちゃん。こっちのクッキーも美味しいわよ」
≪モグモグ
「はい」
≪モグモグ
・
・
・
あぁ~時間が・・・
≪現在21:55です。