0-2 男爵家の子息と令嬢
まだ、プロローグです。説明ばかりで申し訳ございません。
2019年6月13日 修正
・本文冒頭のサブタイトル等を削除しました。
「あれ?・・・バラって個体レベル10じゃなかったっけ?」
―――マルアスピー村の回復道具屋
「それがさ、今朝の薬草採取で、11に上がった」
「へぇ~。って、何か、上がるの早くないか?」
「うん、親父の話では、24歳で、個体レベル11はかなり早いらしい」
「だよな・・・10になってから1週間もしないで11って、何やったらそうなるんだ?」
「特に変わった事はして無いかな。森の中で、スキル【警戒】を発動させながら、スキル【Évaluation・GRASS】で薬草を採って、店に戻ったらスキル【調合】で商品を作るだけ。あとは店でお客さんの相手かな」
「普通だな。と、言うか。どうしてそれだけで、1週間に2つも上がるかなぁ~?」
「さぁ~?」
「さぁ~って、バラは所持スキル何だっけ?」
「またぁ~?今日は来るお客さん皆に同じ事ばっか聞かれてさ~。・・・えっと。【SENSE・SKILL】が、【土属性の心得】レベル2【土属性魔術】レベル1【商業会計】レベル2【利益還元】レベル1。【LIFE・SKILL】が、【Évaluation・GRASS】レベル3【調合】レベル3【警戒】レベル1。【BIRTHDAY・SKILL】神授は残念だけど持ってない」
同じ事を聞かれるって、来る客皆に11に上がったって話しているからだろうけど。でも、こんなに早く個体レベルって上がる物なのか?
スキルレベルは、5日前【Évaluation・GRASS】を購入した時、行商の【商人・スキル屋】レベル7に【Évaluation・SKILL】レベル5MAXで鑑定して貰ったそうだ。
「警戒しながら薬草採って、調合して、店番しながら会計して、商人レベルが上がるなら理解できるけど、個体レベルが上がる理由はなんだ?」
「ロイクも【Évaluation・GRASS】覚えてみたら。一気に上がるかもよ」
「・・・考えておくよ」
今日までの狩りで、獲物を1000匹仕留めた俺は未だに個体レベル1。獲物を仕留めた事も無いバラが薬草採取で個体レベル11って、獲物1匹よりも薬草1本の方が経験値が上って事は無いだろうし・・・そうなると、理由は鑑定スキルじゃないよなぁ~
「バラ、【利益還元】ってどんなスキルだ?前は、持ってなかったよな?」
「あぁ~、そうそう。行商の話だと、商売をしているだけで、取得経験値が10%UPするらしい」
「それって、個体レベルの経験値が10%UPってって事か?」
「【Évaluation・GRASS】を早くやってみたくて、そっちは余り詳しく聞かなかったから良く分からないけどぉ~。たぶんそうかな」
「経験値10%UPは良いなぁ~」
本当にそうなら是非欲しいかも。
「・・・で、何買うんだっけ?」
「おっ、そうだった。さっさと買い物をすませて家に帰らないと。えっと、【回復水・HP用】を10個と【回復水・毒用】3個と【回復水・火傷用】3個。頼むわ」
「明日の狩りって、こんなに必要になる?」
「JOB・NBT非戦闘型の参加者が居るし、俺はLBT準戦闘型だけど見習いだから、多めに持って行こうって思ってさ」
「あ~ぁ~。参加したくないなぁ~」
「薬草を採取しながらで、気楽に参加したら?個体レベル12に上がるかもよ」
「獣や魔獣と皆が戦ってる横で、僕が一心不乱に薬草採取してる姿想像できる?」
「う~ん。バラなら可能かもよ。俺よりも10も個体レベルが上な訳だし。まっ、違和感は凄いだろうな、なんせ狩りしてるメンバーより、薬草摘んでるバラの方が大きくて強そうだからな」
「確かに僕の方が個体レベルの数値だけで考えたら強いだろうけど、装備武器とか戦闘経験とかやっぱり差が出るんじゃない?」
「そういえば、バラは武具関連のスキル所持して無いな。薬草採取の時とか調合の時に、短剣を使ったりしないのか?」
「採取の時は警戒発動しっぱなしで獣が近付いて来たら速攻で逃げてるし。調合の時は細かく刻むだけで使ったうちに入らないかな」
「NBTはちゃんとNBTな訳か・・・JOB【樵】の斧とか、JOB【農家】の鍬とか鎌って破壊力ありそうだけどどうなんだろうな?」
「破壊力はありそうだけど、木も草も襲ってこないし、まず動き回らないから」
「なるほど・・・まっ、諦めて・・・明日は宜しく頼むよレベル11のバラ様!」
「はぁ~。僕も回復道具沢山持って行く事にするよ・・・で、お会計だけど、HP用が1個200NLで、毒用が1個250NLで、火傷用が1個280NLだから全部で3590NL。ロイクは取引税が免除だから18%OFFの2944NLになるけど良い?」
「サンキュー。買い物の時だけは親父に感謝だわ・・・」
なぜなら、
*****税の説明*****
【出入国管理税】
:出国・入国する際に国に納める王国税
1人(老若男女奴隷関係無く一律)
:6000NL
【貴族領入領税】
:貴族領地に入領する際に納める地方税
1人(老若男女関係無く一律)
:500NL。奴隷は1人:80NL
【通行管理税】
:検問・関・砦・橋・管理区を通過する
際に納める王国税
1人(老若男女奴隷関係無く一律)
:40NL。輓獣・家畜1匹:3NL
【物品取引税】
:物品取引売買成立時に
課せられる王国税&地方税
1商品:王国税13%と地方税5%
(水、穀物、加工前の食材素材は対象外)
商人商家協会に所属する者同士の取引は
1商品:王国税8%と地方税2%
【輓獣車両管理税】
:車両を所有する者に課せられる王国税
※毎年10月1~10日の期間に納める税※
11人乗り以上の車両1台:35000NL
7人~10人乗り用の車両1台:24000NL
4人~6人乗り用の車両1台:14000NL
1人~3人乗り用の車両1台:5000NL
荷車(大きさに関わらず)1台:500NL
荷押し車:非課税
【SKILL付与税】
スキルを【LIFE・SKILL】に付与する際に
課せられる王国税
公共付与:非課税
※褒美、報酬、贈呈※
王宮 学芸院 騎士団 各協会
商人付与:物品取引税とは別に
※商人から購入し付与※
付与スキルレベル1:10000NL
付与スキルレベル2:16000NL
付与スキルレベル3:25000NL
教会付与:物品取引税は免除
※世界創造神創生教会に寄付寄進し付与※
付与スキルレベル1:お布施の10%
付与スキルレベル2:お布施の16%
付与スキルレベル3:お布施の25%
【宿泊滞在税】
:宿泊施設に宿泊する際に課せられる地方税
1泊(部屋単位、部屋の大小に関わらず一律)
:50NL
※冒険者探検家協会に所属する者は免税※
【奴隷管理税】
:奴隷の所有者マスターに課せられる
王国税と地方税
※毎年10月1~10日の期間内に納める税※
専従期間限定奴隷
(税金滞納等で奴隷になった者)
1人:王国税5000NLと地方税400NL
専従奴隷
(C級・D級犯罪等で奴隷になった者)
1人:王国税9000NLと地方税800NL
犯罪者奴隷
(A級・B級犯罪等で終身奴隷になった者)
1人:王国税非課税と地方税3000NL
特別奴隷
(C級・D級犯罪等で奴隷になた貴族階級の者)
1人:非課税
【娯楽税】
:娯楽、嗜好品、贅沢品)の取引売買時に
課せられる王国税と地方税
外食、アルコール、興行、他
:王国税10%と地方税4%
※宿屋、屋台等は非課税※
ギャンブル、大人の遊び、他
:王国税16%と地方税7%
宝石、絵画、彫刻、陶器漆器、
楽器、工芸品、他
:王国税20%と地方税10%
【住居税】
:家屋を所有する者に課せられる
王国税と地方税
※毎年10月1~10日の期間内に納める税※
1軒(大きさに関わらず)
:王国税4000NLと地方税1800NL
【災害対策税】
:災害対策費として課せられる王国税と地方税
※毎年10月1~10日の期間内に納める税※
王民:王国税1200NLと地方税1600NL
(未成年者0歳~15歳と50歳以上は免除)
領民:王国税2400NLと地方税1600NL
(未成年者0歳~15歳と60歳以上は免除)
奴隷:王国税300NLと地方税300NL
(未成年0歳~15歳と100歳以上免除)
【その他】:王都、直轄地、
貴族領、自治領には、
独自の税制度が存在する。
*****税の説明おわり*****
*****貴族爵位と特権の説明
ゼルフォーラ王国版*****
≪貴族爵位≫
【天爵】
:国王の兄弟・伯父・叔父・甥
【公爵】:3家
【デェイビュー家】
【トゥージュー家】
【ミィストゥリィー家】
【侯爵】:5家
【アヴィル家】
【ヴィクナン家】
【トニナス家】
【パマリ家】
【ブオミル家】
【辺境伯爵】:4家
【スラリス家】
【デュポン家】
【マーガレット家】
【フェトロング家】
【伯爵】:8家
【アルカド家】
【イリノイ家】
【ダリウス家】
【チューナー家】
【モンロー家】
【ヘルネ―家】
【ラカコア家】
【ラミア家】
【子爵】:16家
【カルゼノイ家】
【ヌー家】
【マググリード家】
他
【名誉子爵】:多数
《王宮(宮廷)一代貴族》
【男爵】:29家
【アンカー家】
【デイビッド家】
【ペイオール家】
【ボルニー家】
他
【准男爵】:多数
《各貴族家の次男》
【名誉男爵】:多数
《王宮(宮廷)一代貴族》
【半爵】:多数
《各貴族家の三男以下全ての男子》
【士爵】:多数
【シャレット家】
【シン家】
他
≪特権≫
【免税特権】《全貴族家》
:ゼルフォーラ王国内、全ての税の免除
【優先特権】《全貴族家》
:出入国・領・検問・関・砦・橋・管理地区の
通行の優先権
【議会参政特権】
《天公侯辺伯・許可を得た者》
【議会傍聴特権】
《伯子男士・許可を得た者》
【議会書面参政特権】
《伯子名子男名男・許可を得た者》
【議会参政傍聴代行特権】
《准男半士・に許可を得た者》
【王国軍臨時司令特権】
《天公侯辺伯・許可を得た者》
【師団臨時指揮特権】
《伯子男・許可を得た者》
【領軍編成義務特権】《領地貴族》
【家来爵位叙勲特権】
《天公侯辺伯、伯子男》
※王や国から受勲される爵位とは
異なり、各貴族家の家臣爵位※
*****貴族爵位と特権の説明おわり*****
≪ガチャ キー カラーン カラーン カラーン
「あっ、いらっしゃい」
≪トコトコトコ コトコトコト コツコツ
≪キー トン カラーン カラーン カラーン
御者らしき男が店のドアを開けると、身なりの良い20代後半の男と20歳前位の女の子が入って来た。御者らしき男は2人の入店を確認し最後に入って来た。
「マルフォイ様、レオナ様。こちらが回復道具屋でございます」
「ふぅ~む。汚い店だな。まぁ~良いだろう。店主、腕は確かなのかい?」
なかなか横柄な凄いえらい奴が来たようだ。客商売ってこれがあるから大変だなって思う。
「はい、家の店の商品ですが、今のところ使って問題があったと苦情を言われた事はありませんので大丈夫だと思います」
「ならば、300個だ。回復水・HP用を今日中に屋敷まで届けるように」
「お客様。申し訳ございませんが、ただいま店の在庫に300個も商品がございません。明日の奉納祭の為に行われます、森猪狩りに参加する青年団員へ優先する様に言われておりますので、お渡しできるとすれば、80個程になってしまいますが、それでも宜しいでしょうか?」
「ふぅ~む。ならば問題はない。今日中に300個だ。届けておくように」
「・・・はぁ~・・・」
話の通じない身なりの良い阿呆あほうが相手だ・・・バラ、ガンバ!
≪ウォホッン
「えぇ~申し遅れました。こちらの気品溢れる高貴なお方はアンカー男爵家の次期御当主マルフォイ・アンカー様です」
ん?気品は溢れてないと思うけど。・・・横柄で乱雑な勘違い野郎には見えるけど。
「そして、こちらの見目麗しい貴女はアンカー男爵家のご令嬢レオナ・アンカー様でございます。私はマルフォイ様の従者兼御者のポートと申します。以後お見知りおきを」
従者兼御者のポートさん・・・大丈夫?20歳前位の女の子レオナ・アンカーさんは確かに、端整な顔立ちで美形だと思うけど、筋張った様な、引き締まった様な、女性特有の柔らかさを感じさせない寧ろ強靭とか屈強と言った方が適切で、見目麗しいとは真逆な人に見えますが・・・
「ところで、ここはビリー殿の店だったと記憶しておりましたが」
「はい、ここは、ビリーの回復道具屋で間違いありません。僕はビリーの息子でバラです。こちらこそ御贔屓に宜しくお願いします」
「うん?君は店主じゃないのかね?」
「はい、息子のバラと申します」
「店主はどうしたのかね?次期領主が来たにも関わらず挨拶の1つも無いとは」
「えっと・・・御領主様。父は10月の納税月の件で、村の商家の旦那衆皆で役場に行っておりますので、今は不在でございます。申し訳ございません」
「マルフォイ様、1月に亡くなった代行官の後任にマルフォイ様が就任する事を旦那衆は知らないのではありませんか?」
「何たる杜撰さだ。私が市長になる事を我が領民は聞き及んでいないのか」
市長って、ここ村だから、貴方がなるのは村長ですから。
「ふぅ~む。その件は屋敷に戻ってから罰を与えるとして、店主の息子。300個だ。今日中に届ける様に」
「えっと・・・」
バラ。この偉そうな男はマルフォイ・アンカー。ちゃんと覚えないと君商人でしょう。
「・・・御領主様。先程も申し上げましたが、狩りに参加する青年団員に優先して渡す事になっております。それに店の在庫もそんなにありませんので80個程しかお渡しする事ができません。それでも宜しいでしょうか?」
「ふぅ~む。問題無い」
「ビリー殿の息子殿。問題無いと言いますのも、こちらのマルフォイ様とレオナ様ですが、明日あす行われます。春の大樹の森・大奉納祭の初日の森猪狩りに、団長副団長として参加する事になっております。伝統行事の1つ森猪狩りの指揮を取るようにとドムトン男爵様より仰せ付かっております」
妹の方は森に入っても大丈夫そうだけど、兄の方は大丈夫なのか?・・・ただのデブに見える。
「御令嬢様も大樹の森に入るのですか?」
あぁ~バラから見たら、妹の方も小さな女の子か・・・
「あら?私わたくしが副団長では御不満ですか?」
「あ、いえ、そんな事はありません。ただ」
「ただ、ただとは何でしょうか?」
「小さい女の子が凄いなと思っただけでして・・・申し訳ございません」
「小さい女の子か!確かだね。ふぅ~む。見た目に惑わされるのも構わないが、妹はこれでいてなかなか勇ましいところがあってね。我がアンカー家の武人としての片鱗。隠し切れない才能だ」
「はぁ~。リトル・アンカー様の話なら子供の頃から何度も聞いて知っていますが」
バラが言う。リトル・アンカーの話とは、当時国王の直轄地だったマルアスピー村の危機を救った1人の男の話で、男はその功績により当時の国王から士爵位を叙勲され【執政代行官】今の村長職に任命された。その後、在職50年の功労とし当時の国王から男爵位を叙勲されマルアスピー村は直轄地からアンカー男爵領となった。武人として武勇に優れた人というよりも、健康で長生きした長寿の人って印象だ。現当主ドムトン男爵の祖父にあたり、亡くなってからまだ20年だ。
「実に偉大な方だよ」
「はい、リトル様は誠に素晴らしい男爵様でいらっしゃいました。そして、リトル様の血を受け継いでおられます。マルフォイ様とレオナ様は、御幼少の砌より学問、芸術、武芸、魔術に秀で、16歳。神授の年には、王宮騎士団に推挙され名誉ある王宮騎士団第13師団に配属された程です」
王宮騎士団の中でも貴族家の子弟からなる第13師団は別名【Lemon Knights】と揶揄されている。知らぬは御偉いさん貴族様ばかり。因みに、俺の家は最下級名前だけの貴族家だ。騎士団に家の力で入隊するとか不可能です。
「ふぅ~む。私に言わせれば、まだまだだが、妹もそれなりに優秀なのさ」
「数多くの武功を重ね。騎士団を名誉除隊した御兄様には到底及びませんが、必ず追い付いて御覧に入れますわ」
「まっ、焦る事はない。・・・ふぅ~む。閃いたぞ!明日の猪狩りは、我が妹に花を持たせようではないか。私は指揮官として団の統率に専念しよう。殲滅は妹よ、お前に全て任せようではないか?」
「ありがとうございます。御兄様」
「何て素晴らしい兄弟愛でございましょうか。このポート感動致しております」
「そうだろう。そうだろう。当然だ!」
何か勝手に明日の森猪狩りの話が進んでいる様だけど、この2人が団長副団長で大丈夫なんだろうか心配になってきた。
身なりの良い横柄で乱雑なアンカー家の次期当主マルフォイ・アンカーは、虹彩シュベーフェル色、髪色デリーブラス色、髪型ロング、身長180cm。体型ビッグ。肥満とまでいかないが恰幅の良いデブだ。吊り上がった細い目が特徴的な世間知らずと言ったところだろう。王都ではこれが普通なのかもしれないが・・・
妹のレオナ・アンカーは、虹彩髪色は兄と同じで、髪型はランダムレイヤー、身長160cm。体型スリム。女性特有の柔らかさを感じさせない引き締まった身体。童顔な美少女だ。
「あのぉ~御当主様にお願いがあるのですが」
「ふぅ~む。何かね店主。・・・いや、店主の息子だったかな」
「はい、店主の息子のバラです。僕も明日あすの森猪狩りに参加する事になっているのですが、御領主様のお力で何とかなりませんでしょうか?」
「ふぅ~む。商人が青年団員として狩りに参加するのかい?」
「御兄様、この者は、森猪狩りの参加資格をお金で買い。参加するだけでは飽き足らず、森猪を奉納するという名誉の為、御兄様に取り入ろうとしているのではありませんか?」
「なんと、何て、浅ましい」
あれ?何だかバラの話がおかしな方に展開しているような?
「あ、いや。回復道具を沢山提供する代わりに、青年団員のパーティーメンバーから外していただけないかと思いまして」
「ふぅ~む。店主の息子よ」
「バラです」
「君は、名誉を何だと思っているのかね?金で買った参加資格なのはこの際目を瞑ろう。私も鬼ではない。人間自分自身の可能性を信じ、認めて貰う為に努力する事は美徳だ。だが、怖気付いて名誉の機会を辞退するなど愚行そのものだよ」
「はぁ~。僕は商人なので、名誉よりも命の方が大切なものですから・・・」
「レオナ様。大樹の森の伝統行事森猪狩りでございますが、第2王女殿下様による女性の地位向上評議会の採決内容の影響もありまして、ドムトン男爵様の御命令でこの伝統行事にも女性の参加が認められる様になりました。それに伴いまして、NBTの者にも同じく名誉の機会を与える事となりました。アンカー領の住民であれば誰でもが参加できる様になったと聞き及んでおります」
「あら、流石は御父様ね」
「・・・・・・ふぅ~む。レオナは知らなかったのかい? 王女殿下様や御父上は素晴らしいお方なのさ。貴族や平民、奴隷。BTやLBTやNBT。男も女も関係なく全ての身分に名誉の機会をお与えになった。これもまた美徳だ」
「はい、マルフォイ様。誠に美徳でございます」
えっと、因みに、奴隷に参加資格は与えられていない。
「王都に住み、御父様の領地に初めて来たとはいえ、王女殿下様や御父様の日々の努力にも気付けず恥ずかしく思います。このレオナ明日の森猪狩りを必ず成功させて御覧に入れます。指揮官として団をまとめ上げる御兄様の足枷にならない様に頑張りますわ。そこの商人も御兄様の邪魔にならない様に努力する事です」
「あぁ↓・・・はい・・・」
「・・・ふぅ~む。閃いたぞ。店主の息子よ」
「バラです」
「私は気分が良い。回復水・HP用を500個だ。今日中に屋敷まで届けてくれたまえ」
「あのぅ~・・・御領主様」
「遠慮は要らん。共に盛り上げようではないか」
バラ、ガンバ。さてと、話もまとまった様だし、買い物を済ませて帰宅しよう。別に逃げたい訳じゃないから。
「じゃぁ、バラここに2944NL置いとくから、また明日な」
俺は、ドアに向かい歩き出した。
「あら?御兄様、先客がいらした様ですよ」
「おい、お前、お前は私達の話を聞いていなかったのかい?」
バラに絡んでいっぱい喋っただろうに、まだ喋り足りないのか、次は俺に絡んで来た。
「私の買い物は終わりましたので、どうぞ」
「ふぅ~む、当然だ」
「それでは、失礼致します」
俺は店を出ようとドアノブに手を掛けた。
「おい、お前」
「はい」
「それは、回復水・HP用ではないのかね?」
鞄に入り切らなくて見えていた様だ。
「はい」
「話は聞こえていたのだろう?」
「はい」
「ならば、置いていけ。我が妹とこの店の店主の息子が有意義に使ってやろう」
「バラです。あのぉ~御領主様」
「何かね。店主の息子」
「そちらのお客様も明日の狩りの参加者です」
バラ、要らない事言うなよ。
「ふぅ~む。そうなのかい?」
「あら、貴方も伝統行事に参加するのね。ここの商人よりも数段ひ弱に見えますけど」
「・・・」
何、この人達、バラに絡んでいた時は阿呆にしか見えなかったけど、いざ自分が絡まれるとなると不愉快極まりないんですけど。
「おい、お前、我が妹を無視する気か?」
「・・・」
俺としては、寧ろ次期男爵の貴方を無視したいのですが。
「私はマルフォイ・アンカー次期男爵。そして、妹はレオナ・アンカーだ!」
何故、また名乗るかなぁ~。
「お前は、名前の名乗り方も知らないのかね!」
あぁ~それが言いたかったのか。それなら、さっさと名乗って帰ろう。
「私は、ロイク・シャレットと申します。大樹の森で猟師をしております。明日の森猪狩りに参加致しますので、団長副団長の御2人にはお世話になると思います。明日は宜しくお願いします。それでは、明日の準備がありますので失礼します」
「ふぅ~む。ロイク君。大樹の森で猟師をしている訳だね」
俺は、ドアノブに手を掛けたままだ。
「はい、そうですが」
「ポート。苗字持ちの様だが、この者について知っているか?」
「そこのお方。差し支えなければ、御身分を明かしてはいただけませんでしょうか」
まだ帰っちゃ駄目って事ね。
「隠す様な身分ではございませんし。言葉足らずで申し訳ございませんでした。父が一代貴族の士爵号を叙勲された王民なだけでして、私は士爵家の息子というだけでございます」
「おや、我がアンカー領にも、王民貴族が住んでいたのだね」
「はい、王民居住地区に、シン士爵家と家の2家が定住しております」
「ふぅ~む。ロイク君。君の苗字をもう一度教えてくれ」
「はい、シャレットと申します」
「御兄様、シャレット・・・何処かで聞いた覚えがありますわ」
「ふぅ~む。一代貴族とは言え、同じく国王陛下にお仕えする者同士。何処かで名前を聞いたのかもしれないな」
「それでは、私は明日の準備がありますのでこれで失礼します」
≪カチャ キー カラーン カラーン カラーン
「ロイク君、待ちたまえ」
「はぁ~、何でしょか?」
「明日の森猪狩りの計画を、お茶でも飲みながら語り合おうではないか」
「明日の準備がありますので、今日のところは、遠慮させていただきます」
「ふぅ~む。店主の息子。君も一緒にどうだね?」
あれ?俺、断ったと思うんだけど・・・
「店番がありますから・・・」
「ポート。この店で良い茶の用意を」
「ビリー殿の息子殿、台所を拝借致します。紅茶の葉は馬車に備えて御座います」
「あ、えっと、どうぞ・・・」
ポートさんは俺が開けたドアから駆け足で店の正面に停めてある馬車に向かった。暫くしてお茶の入った瓶とティーセットを抱え戻って来た。
――― 自宅(シャレット家)のロイク自室
バラと俺は、アンカー家の御子息と御令嬢と紅茶を飲みながら明日の森猪狩りの話を何となくした。マルフォイ次期男爵が1人で喋り続けていたのは言うまでもない。
『それでは、明日は共に名誉を』と鼓舞するマルフォイ次期男爵の言葉を結びの挨拶としてやっと解放されたのだ。
夕食を済ませ、俺はいつもより多目の回復水ポーションで嵩張る鞄の中を、明日の為に整理してから、ベッドに横になった。
何だか今日はとっても疲れた。
≪≪≪≪≪登場人物紹介≫≫≫≫≫
―――マルアスピー村の次期村長で
アンカー男爵家の次期当主の紹介―――
【名前】マルフォイ・アンカー【性別】男
【種族】人間族 【個体レベル】13
【生年月日】R4046年11月29日
【年齢】29歳 【血液型】A型
【身分】王民貴族
【階級】男爵家の次期男爵
【賞】なし
【罰】なし
【虹彩】シュベーフェル色
【髪色】デリーブラス色
【髪型】ロング
【身長】180cm 【体重】90Kg
【体型】ビッグ 【利腕】左
【状態】異常なし
【JOB・cho】
NBT:【為政家】レベル1≪任意17≫
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
【JOB・inh】
NBT:【商人・宝石商】レベル1
≪父系・inh≫
【JOB・inh】
NBT:【醸造職人】レベル1≪母系・inh≫
≪STATUS≫
【UNKNOWN】
≪LIFE・SKILL≫
【剣の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【槍の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【杖の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【軽鎧の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【盾の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【乗馬の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【火属性の心得】レベル3
≪学芸院王都本部付与≫
【火属性魔術】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【火属性耐性】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【火属性特化】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
≪SENSE・SKILL≫
【回復道具効果向上】レベル5
(回復道具の効果が50%UP)
【逃奔逐電】レベル4
(逃走の成功確率400%UP)
【交渉・皮肉】レベル2
(相手を激怒させ交渉を有利に進める)
(交渉成功率2%UP)
≪BIRTHDAY・SKILL≫
【Évaluation・WINEワイン】(ワイン限定の鑑定)
―――マルアスピー村の次期村長で
アンカー男爵家の次期当主の紹介おわり―――
―――アンカー男爵家の御令嬢の紹介―――
【名前】レオナ・アンカー【性別】女
【種族】人間族 【個体レベル】7
【生年月日】R4057年5月14日
【年齢】18歳 【血液型】A型
【身分】王民貴族
【階級】男爵家の令嬢
【賞】なし
【罰】なし
【虹彩】シュベーフェル色
【髪色】デリーブラス色
【髪型】ランダムレイヤー
【身長】160cm
【体重】44Kg
【体型】スリム
【利腕】右
【状態】異常なし
【JOB・cho】
BT:【剣士】レベル3≪任意16≫
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
【JOB・inh】
NBT:【為政家】レベル1≪父系・cho≫
【JOB・inh】
NBT:【商人・宝石商】レベル1
≪父系・inh≫
【JOB・inh】
NBT:【舞踏家】レベル2
≪母系・cho≫
≪STATUS≫
【HP】390(62+328.6)
【MP】41
【STR】61(47+14.1)
【DEX】36
【VIT】52(40+12)
【AGI】65(50+15)
【INT】48
【MND】45
【LUK】29
【N/A】
≪LIFE・SKILL≫
【乗馬の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【盾の心得】レベル3
≪王宮騎士団第13師団付与≫
【火属性の心得】レベル3
≪学芸院王都本部付与≫
【火属性耐性】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【火属性特化】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【風属性の心得】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【風属性耐性】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【風属性特化】レベル3
≪学芸員王都本部付与≫
【強化・身体】レベル3
≪世界創造神創生教会王都大聖堂付与≫
※【HP】【STR】【VIT】【AGI】を30%UP※
≪SENSE・SKILL≫
【短剣の心得】レベル2
【衣の心得】レベル3
【軽鎧の心得】レベル2
【杖の心得】レベル1
【土属性の心得】レベル2
【土属性魔術】レベル2
【土属性耐性】レベル1
【土属性特化】レベル1
【Évaluation・JEWELRY】(宝石限定の鑑定)
≪BIRTHDAY・SKILL≫
【自動回復・HP】
(【HP】が10秒間に5回復する)
【活性・HP】
(【HP】が500%UP)
―――アンカー家の御令嬢の紹介おわり―――
―――マルフォイ・アンカーの
従者兼御者の紹介―――
【名前】ポート 【性別】男
【種族】人間族 【個体レベル】20
【生年月日】R4019年5月27日
【年齢】56歳 【血液型】O型
【身分】領民
【階級】領民一般
【賞】なし
【罰】なし
【虹彩】ガンビア色
【髪色】オリーブブラウン色
【髪型】ベリーショート
【身長】183cm
【体重】88Kg
【体型】ローバスト
【利腕】右
―――マルフォイ・アンカーの
従者兼御者の紹介おわり―――
ありがとうございました。