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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
199/1227

4-9 水の中精霊キュライレーサと、亜神尾鱓河鵜。

 俺はマルアスピーを抱き抱え、神授スキル【フリーパス】で前方20m

へ移動し、崩落と共に突然襲ってきた何かを神授スキル【神眼】で確認していた。


***********************


 ≪ロイクの神眼による視認情報≫

 ※意図的に視認レベルを下げている※

 ※今は少しだけ視認レベルを上げている※


【名前】なし 【個体レベル】――

【神名】尾鱓河鵜

【種族】亜神獣種亜神鳥類鵜種尾鱓河鵜族

【身分】迷い神、元聖鵜獣

【状態】浸食()・闇属性


【神気】1


―――

 ≪体力・生命力≫

【HP】4,200,000 × 神気1

―――

 ≪魔素・魔力量≫

【MP】  172,448 × 神気1

―――

 ≪物理攻撃力≫

【STR】   10,111 × 神気1

―――

 ≪器用さ・応用力≫

【DEX】    9,377 × 神気1

―――

 ≪物理防御力≫

【VIT】   11,600 × 神気1

―――

 ≪素早さ・敏捷性≫

【AGI】   22,209 × 神気1

―――

 ≪知識・智慧・記憶・魔術魔法攻撃力≫

【INT】      992 × 神気1

―――

 ≪魔術魔法防御力・状態異常耐性≫

【MND】    1,199 × 神気1

―――

 ≪運・悪運・フラグ≫

【LUK】      200 × 神気1

―――

***********************


≪シュゥ―――ウ ザバザバザバドダァ―――ン


「麿の攻撃を躱しただとぉ~~~!?あっ―――!何処に行ったぁっ!!!姑息なヒューム」


 河鵜の亜神様?それとも鱓の亜神様?


 体長40m尾50mの鳥の様な魚の様な存在は、魚の部分を激しく動かし俺達を探している。さっきから鳥の部分の目だと思われる物と俺の眼が何度も合っているのだが、気付く気配は無さそうだ。


「精霊眼で視認出来てますか?」


「ダメ。全てunknownだわ」


 そうなるとステータス通り精霊様より上位の存在。本物の亜神様って事になるか。


「どうやら亜神様らしいです」


「精霊眼では視えないはずね」


「自力で亜神様に高位進化した聖鵜獣様みたいです」


「元は鵜の聖獣なのね。・・・尾が魚で体は鳥。何が起こったらあんなにも残念な姿になってしまえるのかしら・・・」


「どぉ―――どうやって麿の後ろにぃっ!!!あの時の様にまたもや姑息な手を使いおってぇ~~~!!!!」


 あっ、気付かれた。


≪シュゥ―――ウ ザバザバザバ


 亜神様は、魚の部分から突っ込んで来る。鳥の部分の足がジタバタと水を掻く姿は本当に残念だ。


「亜神様に危害を加えちゃまずいと思うんで、拘束します」


「そうね。・・・・・・亜神様を拘束するのもどうかと思うのだけれど、他に良い手段があるとも思えないわ。ロイク。お願い」


「それでは」


 俺は前方に右腕を伸ばし、神気【時空牢獄】で亜神様を拘束した。


「何だ。これは?姑息なヒュームめぇっ!!!こ、これかぁっ!これで(ラメール)の祠に宿りし精霊キュライレーサ様を勾引かしたのかぁっ!!!」


 さてさて、拘束はしたものの、どうしたものか。


 事の発端は・・・。



――― 4ラフン()程前


≪ドバババババ ゴォ―――


・ ゴゴゴゴゴゴゴゴ


≪ピキッ ビキビキビキ ダァ―――ン バァ―――ンドゴォ―――ンゴゴゴゴゴゴ ザバァ~


 天井にある大きな亀裂から、黒く淀んだ汚い水が勢い良く流れ込んで来た。


 水の勢いに耐えられなかったのだろう。大きな亀裂から天井一面に罅が走り、天井は崩落した。


 それは、あっという間の出来事だった。やばいと思った時には遅過ぎた。落下してくる天井だった巨岩や大岩や1階の床の物だと思われる大理石のタイル。そして、黒く淀んだ汚い水。


 マルアスピーと俺は、何千何万tもの瓦礫と数百数千tもの汚水に瞬き程の時間で飲み込まれた。


 飲み込まれたと言っても、所詮は何千何万t程度の重さの瓦礫である。この程度の衝撃でどうにかなってしまう俺達ではない。


 だが、自然の力の循環。闇属性の自然魔素(まりょく)を主に、地属性、水属性、火属性、風属性、無属性が複雑に混ざり合う。数百数千t程度の重さの黒く淀んだ汚い水(・・・)となると話は別である。


 俺の周りに自動展開する聖属性の結界と、マルアスピーの周りに俺が展開した聖属性の結界。この結界は、ほぼ全ての衝撃を無効化し、ほぼ全ての存在を弾く。ほぼ全ての存在を通さないはずの結界が、どういう訳か黒く淀んだ汚い水を無害と判断し通した。誤動作では無い。何故なら衝撃を無効化した上で通していたからである。


 正確に言おう。俺達は、黒く淀んだ汚い水(・・・)に、飲み込まれた。


≪シュゥ―――ウ ザバザバザバ ドゴォン


 飲み込まれると同時だった。後方から何かが結界にぶつかって来た。


 数百t程度の岩がぶつかった程度で、音なんか響かないはずだ。


 俺は、慌てて振り返る。


「麿の不意を突いた死界からの体当たりを防いだだと!?・・・・・・何とも姑息なヒュームの雄がやりそうな事よ」


 後ろから不意打ちして来ておいて、・・・なんだこの魚?・・・・・・いや、鳥?。・・・どっちだ?



 魚鳥は、巨岩大岩が漂う黒く淀んだ汚い水を気にする事無く水面へと泳ぎ、水中を離れた。


 水中を離れて宙に出たみたいだし魚では無いのか?


「ロイク。来るわよ」


「みたいですね」


≪ドッダァ――――――ン シュゥ―――――――――――――――


 俺達目掛け、たぶん鳥は宙から水中に飛び込んだのだろう。たぶん鳥を、覆っていた泡空気の層が消えると、そこには口を大きく開き鋭利な歯をギラギラと見せつけながら突っ込んで来る魚の頭があった。


 やっぱり魚なのか?


 俺達は衝突の寸前、神授スキル【フリーパス】で200m程左へ移動した。


「何処へ行ったぁ―――!姑息なヒューム。何処だぁ~!!!隠れて無いで出て来い卑怯だぞぉ~!!!」



「あれ、何だと思いますか?」


「一瞬過ぎて分からなかったわ。・・・大きな鳥と魚かしら?」


「嘴に羽に水かきにギザギザの歯がある口に鰓。身体的な特徴は間違い無く魚と鳥ですね」


「見つけたぞぉ―――ぉ――――」


≪シュゥ―――ウ ザバザバザバドダァ―――ン


 と、いう訳である。



――― 現在。


「どうしましょう?」


「そう~ねぇ~。まずは挨拶かしら。ねぇ~貴方。貴方は鳥なのかしら?魚なのかしら?」


 挨拶になってない。


「聖獣である麿に、虫けらの分際で気安く話掛けるなぁ―――!!!」


≪ドォ―――ン ドゴォ―――ン


 亜神様は、時空牢獄の壁に体当たりした。


 亜神様とはいえ神様も拘束出来る神気【時空牢獄】って凄いかも。あっ、でも神気だから、神様を拘束出来たとしてもおかしくはないのか。


「貴方はキュライレーサの名を口にしていました。知り合いなのかしら?」


(ラメール)の祠に宿りし精霊、中精霊のキュライレーサ様を呼び捨てにするとは何たる不敬。いやいやいや、ヒューム如きが、その名を口にぃ―――!!!」


≪ドォ―――ン ドゴォ―――ン


「考えただけでも、悍ましい汚らわしいぃ~!!!!」


「先程から何を言ってるのかしら。ここにヒュームはいないわ」


 マルアスピーさ~ん。いますよぉ~。ホラ、ここに。


「それに貴方は、聖獣ではないわ」


「麿を、こ、この麿を聖獣ではないだと。ヒュームの雌覚悟は出来ているであろうな。中精霊キュライレーサ様の名を口にした罪。麿をただの獣呼ばわりした罪。その命で償わせてやろうぉ―――!!!」


≪ドゴォ―――ン


「何なのだ。この忌まわしい目に見えぬ壁はぁっ!いったい何なのだぁ―――!!!」


「勘違いしているみたいね。貴方は聖獣から高位進化した亜神よ。キュライレーサより上位の存在。以前まで大樹の森の聖域の精霊樹に宿りし精霊だった私よりも上位の存在よ」


「大樹の精霊だっただと!?」


「そう」


「ま、まさか。ヒュームの雌。名を名を・・・」


「私はマルアスピー。大精霊でありこの世界を管理する者の助手であり妻」


「だ、大精霊のマルアスピー?・・・フッ、ハッハッハッハァ~。大樹の森の精霊様は大精霊のドゥーミナ様。大樹の森の精霊を騙るとはな。ヒュームの雌よ何と愚かな」


 マルアスピーの祖母でミト様の母ドゥーミナ様が、精霊樹に宿っていたのって、4075年より前だったはず。亜神様は神様なのにそんな事も知らないのか?


「私の祖母ドゥーミナは精霊界へ戻り聖光の精霊。母精霊として役目を果たしているわ」


「大精霊ドゥーミナ様の御孫様だぉっ!?」


「違うわ。母精霊ドゥーミナの孫よ」


「証拠を見せろぉっ!!!」


「無理ね。もう大樹の森の聖域の精霊樹に宿りし大精霊ではないもの」


「フッ。ヒュームの雌。全て嘘だな。麿は騙されるぬぞぉ―――!!!」


≪ドゴォ―――ン



「これ、説得するの無理だと思いませんか?」


「そうね」


「闇属性に浸食されてるせいかも知れませんが、俺達の神気どころか、自身の神気にすら気付いていないみたいです」


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう」


(ラメール)の祠に行きたいのだけれど、あの亜神も一緒に可能かしら?」


(ラメール)の祠ってサンガスにある方の祠の事ですよね?」


「えぇ」


「そうですねぇ~。試してみないと分からないのでっ!」


 神授スキル【召喚転位・極】 ≫


 成功だ。


 時空牢獄ごと亜神様を、目の前から倒れた祭壇の前へ移動させてみた。


「転位転移は可能みたいです。次はあそこから、目の前に召喚してみます」


 神授スキル【転位召喚・極】 ≫


 成功だ。


 俺達の目の前に、時空牢獄ごと亜人様が現れた。


「ヒュームの雄。・・・聖獣である麿を召喚したのかぁっ!!!・・・・・・あ、あ、貴方様はいったい・・・まさかぁっ!!!高尚なる精霊様!?・・・ま、ま、まさか崇高なる神々様な・の・で・すか!?」


 矛盾してるし、間違ってるし。何なんだ全く。


「俺は、ロイク。歴っきとした人間ですよ」


「麿を召喚・・・・・・。そ、そんなはずは無い。ヒューム如きに麿が召喚される訳が・・・・・・そんなそんなそんなそんな・・・」


 何か、情緒不安定になってないか?


「このまま向こうの祠に移動させたら大変な事になるような気がするんですが気のでしょうか?」


「・・・画面を拡大して貰えるからしら」



 マルアスピーは、タブレットの画面を操作している。


≪ 検索【水の中精霊キュライレーサ】



 サンガスにある(ラメール)の祠に反応がある。反応が社と重なっているし、凡そ、精霊域の中に居るのだろう。


≪ 拡大表示【水の中精霊キュライレーサ】


「ロイク。良く見て」


 画面には綺麗な女性が映っている。


「この方、中精霊のキュライレーサ様ですか?」


「キュライレーサ様だと!?・・・いったい何をしているのだ!?」


「少し静かにして貰えるかしら。今、忙しいの。見て分かるでしょう」


 マルアスピーって、フォルティーナとは別の意味でゴーイングマイウェイだよな。


「顔を覚えたわね」


「流石にちょっと見ただけで覚えるのは無理ですよ」


「そっ。それなら仕方が無いわ。この画面を見ながらで構わないわ。キュライレーサをここに強制召喚して貰えるかしら」


「はっ?精霊様を許可も無く召喚するんですか?」


「そうよ」


「それはまずいんじゃ」


「構わないわ。既に精霊より上位の存在亜神様を許可無く拘束し許可無く召喚したのだから問題無いわ」


 確かに・・・そうですが・・・。


「なっ、今キュライレーサ様をここに召喚すると?」


「貴方は残念な姿に加えて情緒が不安定みたいなの。本当は私達が会いに行くべきなのだけれど、今の貴方は感情の統制が出来ていないみたいなの。だから、キュライレーサに来て貰う事にしたの。ロイク。お願い」


 ・・・この世界の精霊様を束ねるマルアスピーが言うんだから仕方ないよな。ありだよな。


 神授スキル【転位召喚・極】 ≫



――― 10ラフン()


「キュライレーサ様。こちらの御方は本当に大樹の精霊様なのですか?」


「前任の精霊様で間違いありません。それと何度訂正したら正しく覚えるのですか?大樹の精霊様では無く、大樹の森の聖域の精霊樹の精霊様です」


「も、申し訳ございません。キュライレーサ様」


 亜神様が中精霊様に土下座してるし・・・。


「ロイク様。マルアスピー様。眷属が御迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。それで、この者は聖鵜獣だったはずなのですが、何故この様な姿になってしまったのでしょう」


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう?」


「この汚い水の中に居る必要はあるのかしら?」


「それ、最初に言って欲しかったです。亜神様。キュライレーサ様。大海水(セアン)の祭壇があった場所に移動します。先に、マルアスピーと俺が移動します。直ぐに召喚しますので、待っててください」


「分かりました」


「本当にヒューム・・・なのか?」


「です」



 俺達は神授スキル【フリーパス】で、大海水(セアン)の祭壇の前へ移動した。


 神授スキル【転位召喚・極】 ≫



「亜神様。時空牢獄から解放します。暴れないですよね?」


「ロイク様」


 様?


「キュライレーサ様の前で、麿がその様な醜態を晒すとお思いですか?」


 それもそうか。


 俺は、時空牢獄を解除した。


「その姿に成ったのは、亜神様に高位進化する前だと思うんですよ。聖鵜獣様だった頃。気絶している間に、この」


 俺は、タブレットから翡翠玉を3つ取り出す。


「水神玉。翡翠玉から絶え間無く湧き出している闇属性の自然魔素(まりょく)を多く含んだ水の傍に居たからじゃないかと思うんです」


「麿が目を覚ました時、麿は大切なその宝玉を胸に抱いていた」


「闇堕ちした水神玉から直接闇属性を体内に取り込んでしまった可能性が高いです。なので、体内の闇属性を調べさても良いですか?」


「調べるとは、麿の体内の自然魔素(まりょく)をでしょうか?」


「亜人様ですが、神気が通常精霊様と同じ1なので、たぶん俺が何かしたとしても抵抗は無いと思います」


 俺は、亜神様の鳥部分の額に触れ、闇属性のみを探る。


 尾の魚部分に闇属性が多く集まってる。鳥部分にはそこから闇属性が循環してる感じなのか。


「この魚部分ですけど、聖鵜獣だった頃もこんな感じでしたか?」


「目が覚めた時にこうなっていた」


「なるほど。魚部分から闇属性が体内に循環してるみたいなんで、この循環だけ止めてみたいと思うんですが、良いですか?」


「この頭の中を霧の様にモヤモヤと蠢く正体は闇属性の自然魔素(まりょく)であったか。・・・分かりました。ロイク様宜しくお願い致します」


「それでは」

宜しくお願いします。

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