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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
188/1227

4-1 舞踏会への招待状と、アウフマーレライ城。

リーファ(R)歴4075年9月7日、邪の日の夕方。


 6:00 光の時間、横陽と縦陽が昇る。

15:00 正午

24:00 闇の時間、横陽と縦陽が沈む。


30:00=0:00

――― R4075年9月7日(邪)22:30


 アシュランス王国王都スカーレット・パレスエリア・グランディール城内にある国王代理執務室。主はアランギー・フゥファニー公爵。料理の神様chefアランギー・フゥファニーの事である。


 俺達は公務で国王代理執務室に集まっている。


「おんや。陛下ぁ~。本日は、仮面(・・)舞踏会ではなく仮装(・・)舞踏会ですぞ。些か地味ですなぁ~。はい」


「うんうんだね。もっと過激にだねぇ~・・・あぁ~何だな。アランギー。過激な仮装とは何だね?」


「そうですなぁ~。例えばですが、こんな感じは如何ですかな。はい」


≪パンパン


 フゥファニー公爵は、右耳の横で掌を叩いた。


 被り物?


 突然、俺の衣装がチェンジした。


「おぉ~良い感じだね。皆もそう思うかね?」


≪はい♪(一同)


 これって、着ぐるみ?


「あのぉ~。どんな格好をしてるのか、全く分からないんですけど」


「陛下。実に御似合いですぞぉ~。はい」


「安心するね。似合ってるね。皆もそう思うかね?」


≪はい♪(一同)


「それでは、ララコバイア王国王都ラワルトンクの王城アウフマーレライにあります≪王宮内王族聖人教会(・・・・・・・・・)≫へ行きますぞぉ~。はい」


≪はい(一同)


「うんうんだね」


「お願いします」


 狭い視界。たぶん着ぐるみの被り物の目の部分だと思われる場所から、フゥファニー公爵を見やる。


  フゥファニー公爵は、俺と視線が合うと、


≪パンパン


 右耳の横に構えた右手の掌に、左手の掌を2度当てた。



「御待ちしておりました。女神フォルティーナ様。神アランギー様。守護聖人アシュランス王連合代表陛下。奥方様方。アシュランス王国の皆様方。(わたくし)は、正創生教会のララコバイア王国教区で教区長を務めます。ヴォカール・ボマーと申します」


「私は、王宮内王族聖人教会で司教を務めております。ハンネマン・ホイスと申します」


「同教会で司祭を務めております。レッカー・キューネルです。本日は案内役も務めさせていただきます。宜しくお願い致します」


「こちらこそ、宜しく」


 お願いします。って、言っちゃうところだったよ。丁寧過ぎるのは良く無いんだったよな。


「国王陛下でございますか?」


「左様。アシュランス王国国王ロイク・ルーリン・シャレット陛下で間違いありませんぞ。はい」


「こんな格好で失礼します」


 どんな格好なのか自分では良く分からないんだけどね・・・。


「い、いえ・・・まさか・・・そ・・・・・・」


 まさか。そ。って、何?・・・え?



「正門扉の前に馬車を待機させてあります。本日の会場となっておりますフィアテル宮殿までは、馬車で御案内致します」


 俺達は、教会を後にした。


「おんや。キューネル司祭。馬車は1両のみですかな?はい」


「王国教区長様と王都教区長様専用の馬車を御用意しております」


「うん?何を言ってるね。馬車2両でどうするね」


「フォ、フォルティーナ様。申し訳ございません。転移の魔力陣で一度に転移移動可能な人数は9人前後が常識。転移後は衝突を避ける為、暫く時間を空けるのがルール。まさか、魔力陣ではなく祭壇の前に30人以上が同時に転移移動してくるとは予想も出来ず・・・は、はい」


「まぁ~何でも良いね。ロイク。輓獣車を出すね」


 相変わらずだ。


「フォルティーナ様。違いますぞ。陛下ですぞ。はい」


「あぁ~・・・そうだったね。忘れてたね。陛下。輓獣車を出すね」


「フォルティーナ様。願う立場だという事をお忘れですぞ。はい」


「う~ん。面倒臭いね・・・」


「フォルティーナ様」


「わ、分かったね。次から気を付けるね」


 俺が知ってる限りでは、フォルティーナに次ぎは存在しない。悪い事をしたらその場で説教し諭す。間違いに気付いた時はその場で正す。そうしないと幼い子供と同じで彼女は忘れてしまう。


 ただし、諭す行為も正す行為も、時間を大切にするなら、彼女に対しては控えた方が良いだろう。何故ならとっても長くなるからだ。


「キューネル司祭。教会で準備可能な馬車は2両で間違いありませんか?」


 ユマン()族の姿に化現中のエリウスは、丁寧な対応を心掛けている。


 3日前の正午頃(15時)、転位転移の魔力陣魔法陣を利用しララコバイア王国から届いた仮装舞踏会への招待状。その日から、エリウスとフゥファニー公爵の2(・・)は、作法やら何やらを練習していた。


「はい。本日は王都中の転移の魔力陣と正創生教会の馬車と教会騎士団がフル稼働で対応しておりますので・・・」


「正創生教会側からの同行者は何名ですか?」


「私と教会騎士10名が同行致します。騎士は騎馬がありますので、馬車の席は私1人分です」


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう」


「ここは王宮の敷地内なのよね?」


「だと思いますが」


「王妃様?」


「左様。下等とは言え、美しくも気高き闇の一族。青白く血色の悪い表情と白くそれでいて鈍く光る2本の牙。そう下等なるヴァンパイアに扮しておられるのは、何を隠そうアシュランス王国が王妃の1人マルアスピー・R・ルーリン・シャレット様でございます。はい。王妃様は大樹の聖域の精霊樹の大精霊を経てこの度助手精霊へと昇格。助手精霊とは......


・フゥファニー公爵の説明が続く。


......という訳ですぞぉ~。はい」


「アランギー様。ありがとうございます。大変、勉強になりました」


 マルアスピーの仮装のコンセプトはヴァンパイアだったのか。牙を見るまで、死体に仮装してるんだと思ってた。


「おんや。アシュランス王国の国王代理として当然の事をしたまでですぞぉ~。はい」



「王妃様。王宮の敷地内を騎士が同行するのは警護の為ではありません。我が国では古くからの伝統で、国賓の方々の王宮内の送迎は、教会の馬車と教会騎士が行う事になっております。未だに残っている旧教の無駄の1つです。ララコバイア王国ではこの伝統を維持継続する為だけに、宗教『正創生教会の王宮内王族聖人教会』のみに教会騎士団(・・・・・)を組織する事が認められています。騎士団と言っても甲冑姿で騎馬に跨っているだけで戦う能力はありません」


「だそうです」


「10人の騎士は、何の為に馬車に随行するのかしら?」


「旧教が決めたルールだし、意味とか無いかもしれませんよ」


「ふぅ~ん。ねぇ~ロイク。輓獣車は2両よね?」


「はい」


「足りないわよ」


「実はですね。フゥファニー公爵と打ち合わせをしていたんです」


「陛下。今ですぞぉ~。はい!」


 俺はタブレットから空飛ぶ絨毯を大量に取り出した。


「あら、広告としては申し分ないタイミングね」


「です」


「おんや。見てないで、絨毯を広げ座るのですぞぉ~。はい」


「絨毯に座るのですか?」


「1人1枚ですぞぉ~。余った分は回収しますぞぉ~。はい」


「そうだ。家の家族はリビングセットを固定した絨毯で移動するし、絨毯が余ります。教会騎士の皆さんも今日は騎馬では無く絨毯に乗って移動しませんか?」


「おんや。名案ですなぁ~。実に素晴らしいですぞぉ~。はい」


「アランギー。お前に聞きたい事があるね」


「何ですかな。フォルティーナ様」


「アスピーは、ロイクと呼び捨てしてるね。何であたしは駄目だね」


「マルアスピー様もアル様もフォルティーナ様もトゥーシェ様ももう1人のトゥーシェ様もマリレナ様もミュー様。世界創造神様によって公認されしアシュランス王国国王ロイク・ルーリン・シャレット陛下の正式な嫁です。つまり王妃様が複数人存在するという前代未聞な状態です。ですが、創造神様公認は絶対ですぞぉ~。はい」


「つまり何だね」


「夫婦としては平等です。眷属として考えるならば、フォルティーナ様は陛下よりも上位です。ですが、王国として考えるならばフォルティーナ様は陛下より下位です。分かりますか?はい」


「平等で上位で下位かね・・・」


「マルアスピー様は常日頃より平等よりな下位で接していますが、フォルティーナ様は使い訳が全く出来ておりません。つまり、出来てない以上、今日は終始下位の立場で接する様に心掛ける必要がるのですぞぉ~。はい」


「何でだね?」


「本日は、鴨が葱・・・国賓級が集まる大切なパーティ―――ですぞぉ~。私の邪魔・・・アシュランス王国の邪魔はさせませんぞ。分かりましたかな。はい」


「なるほどだね。それは、あたしにもメリットがあると言う事かね」


「はぁい・・・」


 神が2(・・)。ニヤニヤとほくそ笑む様は見たくない物だ。



「皆、乗りましたかな?・・・」


 フゥファニー公爵は、周囲を見回すと、


「・・・それでは、」


≪パンパン


 絨毯が浮遊を開始する。


「本日は、私が全ての絨毯を統制しましょう。その最小サイズの、そ・ら・と・ぶ・絨毯!を操縦する為に必要な【MP】(魔力量)は......


・説明が続く


......と、まぁ~簡単に説明しましたが、こんな感じですぞぉ~。はい」



 案内役のキューネル司祭は、空飛ぶリビングの客人用ソファーに腰掛けている。


「フォルティーナ。それって何に仮装してるんですか?」


「分からないかね?」


「えぇ。分からないんで聞きました」


「あたしはだね。プリマドンナだね」


「はぁ?」


「だからだね。プリマドンナだね」


「それ何ですか?」


「バレリーナを知らないのかね?」


「知らないです」


「端的に言うとだね。踊る仕事だね」


「へぇ~。仮装舞踏会って、仮装しながらの舞踏会ですよね。何かの仕事姿に仮装するのはありだと思うんですが・・・踊る仕事で舞踏会ってありなんですか?」


「何を言ってるね」


「何って、踊る仕事に仮装して舞踏会に参加って良いのかなって」



「フゥファニー公爵は皇帝ペンギンですか?」


「おんや。それは違いますぞ。今日の私は皇帝でも王様でも女王様でもありません。ただの非常に大きなだけのペンギンです。尻尾が燕尾服の様に見えるのが特徴ですぞぉ~。はい」


「そ、そうなんですね・・・」


「因みにです。陛下の本日の衣装は、私と妖精のお仕事が夜業をして誂えた物ですぞぉ~。まぁ~実際には家事の合間の時間を使い3日程掛け準備しました。はい」


「あ、・・・ありがとうございます」


「喜んでいただけた様でなによりですぞぉ~。はい」


 ・・・で、俺っていったいどんな姿なんだ?



***********************


 ≪仮装パーティーの衣装≫


【マルアスピー】 → 青白いヴァンパイア

 ※白く鈍く光る牙が2本※

 ※死体に仮装していると思っていた※


【アル】     → キャビンアテンダント

 ※KANBE下界の飛行移動時の専属メイド※

 ※親父曰く:夜の匂いがプンプンする※


【フォルティーナ】→ プリマドンナ

 ※レース生地の全身タイツ姿だと思った※


トゥーシェ(騒がしい方)】  → 新鮮な魂

 ※白いシーツを被ってるだけ※


トゥーシェ(女王様な方)】  → バニー

 ※毛の無い兎耳狼に仮装していると思っていた※


【マリレナ】   → 英雄アルゲマイン

 ※ララコバイア王国出身の英雄※

 ※1000年程前に活躍した英雄※

 ※この世に存在する全ての武具を扱えた※

 ※百技(ひゃくわざ)のアルゲマインと呼ばれていた※

 ※クーランデール・アルクバーンを装備中※


【ミュー】    → おデブな三毛猫


【パフ】     → 悪魔種(大雑把)

 ※背中に黒い蝙蝠の羽※

 ※先端が尖ったハート型の黒い尻尾※

 ※黒を基調としたドレス※


【アリス】    → マルアスピー

 ※マルアスピーのワンピースに似た物※

 ※精霊様に仮装しているらしい※


【サラ】     → フォルティーナ

 ※胸の小さなフォルティーナ※

 ※女神様に仮装しているらしい※


【テレーズ】   → ドラゴン

 ※動き難そう※


【バルサ】    → 合気道ガール

 ※KANBE下界の道着※

 ※晒をまいている為、苦しいらしい※

 ※似合っている※


【メリア】    → 天使

 ※背中に真っ白な白鳥の羽※

 ※頭上には天使の輪が浮く※

 ※天使アラキバには似ていない※

 ※可愛らしい(普段と変わらない気が)※


【カトリーヌ】  → ロイク

 ※紛らわしいだけ※


【バジリア】   → ナース

 ※淡い桃色のナースウェア※

 ※ちょっぴり丈が短い気が※


【エルネスティーネ】

         → リアルなゾンビ

 ※リアルな特殊メイク過ぎてキモイ※


【サンドラ】   → 武者修行中の冒険者

 ※説明されないと絶対に分からない※


【アランギー】  → ただの大きなペンギン


【エリウス】   → ユマン()

 ※護衛を兼ねる※


【ロイク】    → 不明


【バイル】    → ふんどし姿の漢

 ※KANBE下界では漢の証※

 ※深紅の長いふんどし※

 ※正直ほぼ全裸普通に恥ずかしい※


【メアリー】   → 街角の花売りの少女

 ※ただの花売りではなく、

  街角に佇む花売りの可憐な少女らしい※


【オルキデ】   → 怪しい男

 ※スーツ姿で男装しているだけ※


【その他13名】  → 色々


***********************

ありがとうございました。

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