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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月の軌跡ー・-強化合宿編ー
180/1227

3-46 温泉宿で強化合宿の日⑥~遊具と夫婦と子供の事情~

リーファ(R)歴4075年8月22日、地の日の夜。

 俺達は、神界で大ブームの娯楽【吹き矢ダーツ】【ビリヤード】【エアホッケー】【カラオケ】が楽しめる。ゲーム(憩い)の間へと移動した。


「このアイデアは実に素晴らしいです。遊びつつ競いつつで、吹き矢の練度精度を高める事が出来ます」


「バジリア殿。こちらのビリヤードとかいう訓練器具もです。見てください。棒で球を突き穴に入れるという一見簡単に思える動作を繰り返すだけらしいのですが、これもまた素晴らしいのです。成長に重要な精神力や競争心、闘争心を養い。尚且つ、順番を待つ事で我慢する事を学び忍耐力が身に付く仕様になっている様なのです」


「サンドラ、バジリア。フッフッフッフゥーだね。それだけではないね。ビリヤードは冷静な思考、つまり戦略戦術を練る修練にも繋がるね」


「な、何とぉっ!フォルティーナ様。サンドラ殿。私は感動しております」


「私もです。バジリア殿」


「うんうんだね」


 フォルティーナはご満悦の表情を浮かべていた。


 凄いのは、考案した存在だと思います。が、・・・・・・何も言うまい。


「ロイク様。この小さな穴が幾つもある台は何をする物なのでしょうか?」


 テレーズさんは、エアホッケーという娯楽を楽しめる台の上に置かれた、マレットというらしい材質素材が全く分からない赤い器具を手に取った。


「ただの台って事はなさそうね」


 アリスさんは、青いマレットを手に取る。


 すると、台の中央にパックというらしい円盤状の材質素材が全く分からない黒い物体が出現した。白い台の上に黒い円盤状の物体は良く映える。


「それはだね。温泉では定番の遊具の1つだね。サラ、パフこっちに来るね」


「はい。フォルティーナ様」


「私もですか?」


「そうだね。パフ。君もだね」


 サラさんとパフさんは、フォルティーナに呼ばれエアホッケー台の傍へと移動する。


「これはだね。左右の存在同士が呼吸を合わせる事で連携や意思疎通の修練訓練が出来るね。そして、動体視力や反射神経を鍛えるね。相手の目や筋肉の動き、パックの動きを瞬時に予測しチームを優位な状況へと導く極めて難易度の高い遊具だね」


 嘘癖ぇ~・・・。


「うんうんだね。まずは、サラはアリスと組むね。青いマレットを持ってアリスと並んで台の前に立つね」


「はい」


「私はサラとチームって事ね」


「パフはテレーズと組むね」


「赤いマレットという小さな盾を持てば良いんですね」


 盾と呼ぶには小さ過ぎると思うが。


「うんうんだね。さて、一番小さいパフにハンデをやるね。パフ。アリスとサラの真ん中にある細長い穴があるね。そこにパックをマレットで打ち込むね」


「はい」


≪カコーン


≪テッテレレ ブルー0vsレッド1


「何をやってるね。アリスとサラは、入れられ無い様にだね。そのマレットでパックを弾いたり抑えるね。弾く時はレッド側の穴に入れる様に打ち込むね」


「そういう器具な訳ね」


「フォルティーナ様。これは、見た目からは想像も出来ない程にハードな訓練器具だったのですね」


「うんうんだね。さぁ~始めるね。あっ!一応、今のはチュートリアルという事で0vs0に戻してやるね」


≪パチン



≪テッテレレ ブルー3vsレッド2


 青のサラ&アリスチームが1ポイントリードした。1回のラリーが10ラフン()以上も続くという激しい攻防が繰り広げられ、青のサラ&アリスチーム、赤のパフ&テレーズチーム共に疲労の色が浮かんでいた。


 神界では、15ポイント先取で勝利或いは、前半1時間、休憩15ラフン()、後半1時間でポイント数の多いチームが勝利。ただしポイント数が同じ場合は、15ラフン単位で延長戦を行い、延長戦終了時点でポイント数の多いチームが勝利。


 15ポイント先取のルールが優先されるらしいが、神界には14vs14の際に特別ルールが存在するそうだ。それは、先に2ポイント連取したチームが勝つという温泉郷(プロ)リーグルール。


「やるわね。テレーズ」


「アリスこそ」


「パフさん。左側面からの反射に対し動きが遅れていいます」


「はい」


「さぁ~いくわよ」


≪カコーン



 4人の激しい戦いは暫く続いた。



「どういう事ですか?・・・中央の小さな緑色に3本とも刺さったというのに、どうして私の負けなのですか?」


「バジリアさん。フォルティーナ様が仰っておられたではありませんか。私のは20ポイントのトリプルゾーンと呼ばれる赤い部分に3本です」


「中央が50ポイントで、トリプルゾーンは60ポイントなのは何故ですか?」


「バジリア。良く考えるね。中央は身体の中心だね。トリプルは首だね。リスクが大きいのはどっちだね。確実に仕留める事が出来るのはどっちだね」


「心の臓だと思います」


「・・・そ、それはそうだね。だがだね。人間は基本的には首が弱点だね」


「戦闘に於いては、首は鎧等で厳重に守られている場合が多いです。それでしたら、目や関節を狙った方が良いと思うのですが」


 これらは、遊具なんだよね?


「あれだねあれ・・・吹き矢で鎧を貫いて心臓を射るのは難しいね。だがだね。首ならチクッと簡単だね。その為だね」


 うわぁ~・・・流石は適当な女神様だ。


「なるほど」


 え?・・・納得出来たんですかぁっ!?


「分かってくれればそれで良いね」


 え?



「次は私の番ですね」


 アルさんは、俺の正面でキューを構える。


 おっ!!!


 凝視・・・凝視・・・。


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう」


「何処を見てるのかしら」


「え、えっと・・・ぼ、ボールです」


「そっ」


「そ、そうです・・・」


「えいっ」


 おっ!!!


「ガッハッハッハッハなのじゃぁ~。ちょっとしか前に進んでないのじゃ~」


「これ難しいです」


「次は私なのじゃぁ~」


「何を言っておる。次は(わらわ)の番ではないか」


「お前と私は同じなのじゃぁ~。私が入れても同じなのじゃぁ~」


「幼き精神状態の妾と夜の女王なる妾が同じなはずがなかろうが。旦那様よそうは思わぬか」


「トゥーシェ。順番位守って貰えませんか?」


「う~ん・・・そうなのじゃぁ~」


 トゥーシェは俺に左手の掌を見せる。


「何ですか?」


「【MP】回復の為に、チョコが欲しいのじゃぁ~」


 食事以外の時間は、水か神茶のみ。【MP】回復ねぇ~・・・。



 俺は、マルアスピー、アルさん、トゥーシェ2人とビリヤードを楽しんだ。たぶん楽しんだ・・・。



 バルサさん、メリアさん、カトリーヌさん、マリレナさん、ミューさんは、宙に表示されたカラオケの映像を囲む様に設置されたソファーに腰掛け、神茶を楽しみながら聞いた事も無い音楽と見た事も無い文字に苦戦。ソファーに腰掛け神茶を楽しんでいるだけの状態になっていた。


「何をやってるね。カラオケはだね。1時間熱唱するだけでだね。42.195Kmを走ったのと同じだけの運動効果が得られるね。更にだね。今は神聖文字で表記されているがだね。ガイドラインをONにする事で、神聖文字を学習する事も出来るね。つまりだね。この機能を使うとだね。表記やガイドを変更する事でだね。アルブル語(ユマン種)ウヴェール語(セリアン種)カノン語(エルフ&フェアリー種)エーヌ語(ウィザード種)古代語(古代魔術)を文字で覚えながら、神聖文字やコルト語やナンフ語の正しい発音を覚える事が出来るね。つまり、詠唱の修練修行になると言う訳だね」


 聞いてる限りでは、何か凄い様な・・・でも、凄く嘘臭ぇ~。


「あたしが、見本を見せてやるね」


≪パチン


 フォルティーナは指を鳴らした。


「L・ヴァン・B作曲、J・C・F・フォン・S作詞【交響曲第9番ニ短調125】。さぁ~あたしの歌を聴くね」


≪ ♪


 音楽がゲームの間に大音量で響く。


「Freude, schöner Götterfunken,Tochter aus Elysium Wir betreten feuertrunken. Himmlische, dein Heiligtum! ......



...... Wo dein sanfter Flügel weilt♪」


≪パチパチパチパチ


 へぇ~。


「フォルティーナ」


「なんだね」


「歌は以外に上手かったんですね」


「歌は?かね・・・。ロイク。君は何か勘違いしているね。あたしは、歌も上手いね」


 ・・・どうやったらそんなに自信満々でいられるんだろう。


 フォルティーナは、ドヤ顔を決めていた。


 美しい顔が勿体ない。実に勿体ない。でも、なんだかちょっと羨ましい。



 俺+嫁許嫁’sに眷属達も加わり、ゲームの間は一段と賑やかになっていた。


 俺は、マルアスピー、アルさん、フォルティーナ、マリレナさん、サラさん、サンドラさんと、カラオケ用かは不明だが、カラオケの映像を囲む様に設置されたソファーに腰掛け、神茶を飲みながら話をしていた。


「ところで、サンドラさん」


「なんでしょうか?ロイク様」


 俺はさっきから非常に気になっている事があった。


「サンドラさんは、スルステルマルドゥメナージュに入れたんですね」


 凝視したから気付いた訳ではない。


 スルステルマルドゥメナージュは、俺+嫁許嫁’s専用の温泉だ。つまり、俺或いは俺の嫁或いは俺の許嫁の為の温泉。サンドラさんは、フォルティーナが勝手に決めた大人な関係の嫁候補で、創造神様の公認を得られるのは来る日を無事に乗り越えてから1ヶ月か2ヶ月先の予定になっている。


「はい。姫専用の暖簾を潜ってはいるのですが、何度やってもスルステルマルドゥメナージュの脱衣所に出てしまうのです」


「当たり前だね。ここはロイクと嫁許嫁’s専用の温泉だね。サンドラ。君はロイクの子供を産んでから嫁になる言うなれば、出産前提の許嫁だね」


 出産前提で許嫁って許嫁て夫婦になる前の段階の事のはず。・・・というか、産んでから嫁になるのも問題の様な気もしないでもない。


「フォルティーナ様。私は大雑把な性格ですので、気にしてはいないのですが、どうやら世間の常識とは些か異なるらしいのです」


 サンドラさん。少しは気にしましょうよ・・・。


「何がだね」


「普通は、創造神様の前で愛を誓い夫婦となり、その後子を設ける物だと」


「何を言ってるね。それは普通の話だね。この状況が普通だと思えるのかね」


 は?フォルティーナ。サンドラさんは普通はって!・・・コルト下界の一般常識をですねぇ~・・・。


「いえ。この状況を普通だと認識する事は私には出来ません」


「サンドラさん。俺もこの状況が普通だって思った事は1度もないです」


「当然だね。ここに居る皆は普通の状態では無いね」


 普通じゃないねぇ~。普通じゃない状態にしてるのって、貴女ですよね。痴女女神様・・・。


「叔母上様。不思議に思った事なのですがお聞きしても宜しいでしょうか?」


「何かしらサラ」


「ロイク様の奥方として許嫁として認めていただけるのは来年の3月か4月なのですよね。それまでは創造神様の公認は無いのですよね?」


「その様に、神授をいただきました。今、子が出来ては来る日に、ロイク様と共に立ち向かう事が難しくなります。無事に乗り越えてから公認をいただくまで1ヶ月から2ヶ月の猶予があるのは、それまでの間にユマンとして子をという創造神様の御計らいです」


「ロイク様の子供をですよね・・・」


「サラ。つまりだね。ロイクの周囲(ハレム)には、ユマンとして子を生せる存在はサンドラだけだね。サンドラ以外は残念だがだね。どちらかといえばユマンではないね。当然生まれてくる子供はどちからといえば何となくユマンなだけだね。子を生す事を創造神は認めてるね。つまりだね。サンドラはロイクと子供を作る事を公認された存在という事だね」


 ・・・嫁としては公認してないけど、子供を作るのは公認っておかし過ぎませんか?創造神様ぁっ!


「フォルティーナ様。神様の世界はコルト下界とは夫婦や子供の在り方が異なるのでしょうか?」


「何を言ってるね。サラ、良く聞くね。夫婦とはだね。長い会話そのものだね。長い時間に2つの存在では無く1つの存在として存在する事だね」


 また、意味の分からない事を・・・ん?・・・そうでも無いか。珍しく意外に良い事を言ってる様な・・・。


「そして、子供とはだね。かけがえのない存在だね。子供の数だけ存在する存在と夫婦としての1つの存在が更に1つの存在として存在する事だね。つまり、これが家庭という物だね。まぁ~子供が居なくても立派な家庭ではあるね。個を主張し個を尊重する最も小さな社会の枠組みだね」


「フォルティーナ様。出来れば、フィアンサイユやマリッジやアクーシュマンについて教えていただけませんか?」


「あぁ~なるほどだね。サラはスケベェ~だねぇ~」


 フォルティーナは、ニヤニヤといやらしい表情を浮かべている。


「そ、その様なつもりでは」


「まぁ~良いね。神に結婚という概念は存在しないね。紙切れ1枚や、神に勝手に誓った夫婦の誓いや、行政管理上の書類が何になるね。心の問題、気の持ちようだね。その方が楽だね」


「楽と言いますと?」


「サラ。良く考えるね。1000年後。2000年後、1憶年後。ロイクを臭いと思った時、結婚していたらどうするね。行政書類は何処にあるね。1000年も1憶年も前の書類を探し結婚を解除するのは大変だとは思わないかね。何よりだね。神の前で誓ったと言っても何の神だね。どの神だね。違う神に結婚を訂正して貰うかね?」


「はぁ~・・・」


「つまり、結婚していなければだね。次の相手とサクッと子供が作れるね」


「それは・・・ただだらしないだけの様な・・・」


「何を言ってるね。アスピー、アル、サンドラ。君達には分かると思うがだね。自然界ではどうだね?」


「そうですね。私としては子を生す機会に恵まれるのであれば、出来る限り強い男の子供を産み育てたいです」


「うんうんだね」


「そうね。獣も鳥も魔獣も強い雄が子孫を残すわね。ヒュームも同じだと思っていたのだけれど、どうやらヒュームは力の弱い存在でも子を残す事が出来るみたいね。財力、権力、血統、暴力。ヒュームはあらゆる可能性を利用し理由として子孫を残すみたいね」


「神の世界は、コルト下界より自由だね」


「確かに人間よりも神々は自由そのものです。誰の子供か分からない系譜の不明な神々が沢山存在します」


 へぇ~。


「「なぁっ!?」」


 サラさんと、サンドラさんは、余りのフリースタイルさに絶句する。


「当然だね。優秀な次代の神を残す事は、現代の神の責務だね」


「フォルティーナ。神界って、何億年も同じ感じなんですよね?」


「当然だね。・・・まぁ~何だね。最初の頃と比べると随分と増えて賑やかになったがだね。概ね同じだね」


 相変わらず意味が分からないや・・・。


「サラさん。サンドラさん。神界や神域はですね。親が誰なのかよりも個としての存在の意味や意義を大切にします。厳しい神格位社会の中で個が優先され個が存在を保証します。それに、神々の半分以上は個で子を生す事が出来ますし、創造神様によって創造された神も沢山存在しますので、フォルティーナ様が言われた通りで概ね問題無く今迄続いているのです」


「つまりだね。神界と数多く存在する下界の1つコルト下界とでは違い過ぎて説明が難しいという事だね」


 へぇ~・・・・・・。


 サンドラさんには、エルドラドブランシュ宮殿や中空の離宮の別荘(ハレム)に部屋がある。つまり、創造神様公認の嫁や許嫁では無いが、同じ様な物として認めていただいているのだろう。


 だから、スルステルマルドゥサンドラが与えられ、スルステルマルドゥメナージュに出入り出来る。


 フォルティーナの説明では何も分からなかったが、俺なりに出した結論である。

明けましておめでとうございます。


今年も宜しくお願いします。


新年早々、ありがとうございました。

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