3-44 温泉宿で強化合宿の日④~取得経験値は1の17倍~
リーファ歴4075年8月22日、地の日の朝。
「□○×△##+・・・・・・【アニマ】≫」
付与したばかりの風属性最上級魔術【アニマ】が、ロックドラゴンに命中した。
消費【MP】は156、削った【HP】は39,882。良い感じだ。
昨日、上級魔術ブラストを連射させたのは見事に失敗だった。消費する【MP】が約83から約69に減り、削る【HP】は約13,027。風属性の魔術レベルを1つ落とし、レベル8のブラストを連射している状態に陥ってしまった。
削っては回復され、回復されては削るイタチゴッコ。結果的に、時間切れとなり強制終了。
今日は、サクッと倒して次に進むぞ。
「□○×△##+・・・・・・【アニマ】≫」
消費【MP】152、削った【HP】39,015。
「カトリーヌさん。もっと集中して風属性への変換効率を意識してください」
「はい」
カトリーヌさんは、ロックドラゴンにアニマを打ち込み続ける。
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「≪『主殿。アニマは風属性の魔術のレベルが10以上で発動可能な最上級魔術なのですよね?』→ロイク」
念話?
「≪『ですよ。それがどうかしましたか?』→エリウス」
「≪『私は風属性の攻撃がどちらかといえば得意な方です。ただ、魔法しか扱えませんので、魔術の【MP】消費と効果の程がいまいち良く分からないのです』→ロイク」
「≪『属性が存在し、自然魔素を使うって点だけは似てますが、魔術と精霊魔法は全く別の存在です。魔術を使った事がある者じゃないと魔法との差は分かり難いと思います。かく言う俺も、魔術に関しては全くの素人ですけどね』→エリウス」
「≪『主殿もこの機会に風の魔術を練習されては如何ですか?』→ロイク」
おっ!それもそうか。カトリーヌさんの事ばかり考えてて、自分の修練を忘れてた。
「≪『ちゃんと発動するか分からないので、邪魔にならない様にカトリーヌさんの横で静かに練習でもしますかね・・・』→エリウス」
【SMP】や【GMP】を使わない様に意識しつつ、体内に蓄積された【MP】(自然魔素)だけを使って発動させる。俺の体内に蓄積された【MP】は無属性。発動したい魔術の属性に変換する効率は非常に良いはずだ。
問題は加減だな。
「カトリーヌさん」
「はい」
「俺も、魔術の練習がてら、ロックドラゴンに風属性の魔術を打ち込みます」
「魔術の練習ですか?」
「えぇ、俺って精霊魔法はそれなりに扱えるんですが、魔術はどうも苦手で」
「自然の力の循環から自然魔素を集積して発動するのが魔法でしたよね?」
「そうです。【MP】の最大値まで集積し発動する事が出来るので、【MP】次第では下級の精霊魔法でも凄い事になってしまいます」
「魔術と違って【MP】切れの心配が無いのが羨ましいです」
「自然の力の循環が弱く自然魔素が少ないところでも、安定した威力で発動出来る魔術も便利で良いなって思いますよ」
「お互い無い物ねだりですね」
「俺はヒューム属なんで、体内の【MP】を消費して発動する魔術が使えないって事は無いはずなんですけど・・・」
そう、俺の場合は無い物ねだり何かじゃない。
「そうでしたね。ロイク様は人でしたね」
人でしたね。って、・・・地味に傷付くなぁ~。
「間違い無くユマンです。さてと、それじゃぁ~俺も修練開始です」
「タイミングもありますので、魔術を放つ際は一言お願い出来ますか?」
一言かぁ~・・・。
「詠唱とか知らないんで、魔術の名前とかでも良いですか?」
「はい」
「早速、【アニマ】≫・・・・・・あれ?」
「□○×△##+・・・・・・【アニマ】≫」
カトリーヌさんの風属性最上級魔術【アニマ】が、ロックドラゴンに命中した。
「あれ?おかしぃーなぁ~」
俺のアニマは、発動すらしなかった。
「ロイク様。今のですが、体内の【MP】に何の反応も無かった様に見えました」
「ふむふむ」
【MP】を対象の属性に変換する以前の問題か。って事は、まずは【MP】を思い通りに消費する練習からだな。
「カトリーヌさんは、俺に構わず続けてください」
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風属性の核に【GMP】を纏わせると、こうなる。
俺は右手の掌に、風属性の小さな渦を出現させ直ぐに消滅させた。
精霊風属性下級魔法【ブロウ】☆1☆1☆1だと、こんな感じ。
俺は、右手の掌に、風属性の小さな渦を出現させ直ぐに消滅させた。
いよいよ本番だ。まずは、【MP】を風属性の自然魔素に変換、変換、変換、変換、変換。
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変換
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変換
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変換・・・・・・ダメだ。おかしいぞ。
「主殿よ。先程の天罰ですが、風属性の自然魔素を核として秘めた際に、主殿の体内の【MP】が一瞬でしたが風属性の自然魔素として反応していました」
「本当ですかぁっ!」
「はい」
つまり、神気を纏わせる前の、風属性の核だけを意識して・・・。
俺は、右手の掌に風属性の小さな小さな粒を出現させる。
「間違いありません。その風属性の粒が出現する際に、自然魔素が掌へと一瞬だけほんの僅かでしたが流れています」
核って【MP】を1以下で消費してたのか。どうりで気付けなかったはずだ。使った先から直ぐに回復し満タンになってたんだからな。
次は、この核を大きくするイメージで・・・。
核が一回り大きくなった。
胡麻より少し小さいけど、なかなか良い感じじゃないか。
俺は、神眼を意識し自分のステータスを確認した。
消費【MP】は、・・・えっ、まだ2なの!?マジでか。・・・後148も掌に集めないとアニマにならない。
俺は、核を大きくするイメージを続けた。
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核は、サクランボ程の大きさに成っていた。
消費【MP】は、150。よしっ!これをアニマとして発動させれば、ギリギリだけど変換効率100%のアニマだ。それでは早速。
「カトリーヌさん。今からアニマを打ち込みます」
「はい」
「【アニメ】≫」
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・・・何が起こったんだ。
「ろ、ロイク様・・・」
「主殿・・・これは・・・また・・・」
俺が放った風属性最上級魔術【アニマ】は、ロックゴーレムを粉々に粉砕し大きな砂の山へと変えた。
「あ、あ、アニマだったのですよね・・・」
「【MP】を150消費したので・・・ギリギリアニマだったと思います」
「最上級魔術のアニマの最低レベルの威力がこれ?・・・ですか・・・」
「・・・ロイク様。私のアニマは、消費【MP】が152~156なのですよね?」
「・・・えぇ」
「主殿。もう1度、自然魔素を150溜めていただけますか?」
「そうですね。確認した方がよさそうです」
俺は、核を発生させ、核に消費【MP】150まで自然魔素を注ぐ。
「あ、主殿・・・。何をやっておられるのですか?」
「何って、【MP】を150以上消費しないとアニマにならないから、【MP】150分をこの核に集めて」
「そのサクランボサイズの球体からは、私の【MP】の最大値よりも遥かに高い自然魔素を感じるのですが・・・」
「変だなぁ~・・・。ステータス値では、【MP】を150消費って、あぁ~流石に視てももう分からないか、この位なら直ぐに回復しちゃうんで」
「最上級の魔術2発分が、もう回復したのですか?」
「ですよ。1カウンで、【MP】なら1割。【HP】なら2割回復するらしいです。今の状況になってから、【HP】も【MP】も消費した事が無かったんで、回復の感じが実感出来て良かったです」
「1カウンで1割ですか・・・・・・【MP】を消費し続けながら回復もしているって事は無いですよね?」
「主殿。カトリーヌ様の話で納得致しました」
エリウスは、小さく頷くと、俺の右手の掌に浮かぶ風属性の粒を凝視する。
「何か分かったんですか?」
「はい。主殿は、【MP】が150減るのを確認し、核に自然魔素を注ぐのを止めていますよね?」
「そうです」
「主殿の【MP】は1カウンで幾つ回復するのですか?」
「そうですねぇ~。......
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【名前】ロイク・ルーリン・シャレット
【性別】男
【種族】ヒューム属ユマン種ユマン族
【レベル】1619
【生年月日】R4051年3月10日(大樹)
【年齢】24 【血液型】B
【身分】アシュランス王国国王
ゼルフォーラ王国副王
連合国家フィリー代表
【階級】王
【使命】コルト下界の守護者聖人管理者
【眷属隷属先】
世界創造神様の眷属
運の女神フォルティーナの眷属
邪の女神の眷属
【虹彩】フロス色
※RGB値:RED255・GREEN239・BLUE223※
【髪色】ゼウス色
※RGB値:RED0・GREEN29・BLUE42※
【髪型】セミロング
【身長】168.7cm
【体重】55Kg
【体型】リーン
【利腕】右利き
【状態】正常
【JOB・cho1】:神授
BT・JOB【エロー】レベル108
※神授JOB以外の全てのJOBレベル10を統合※
≪称号≫
多数
≪ステータス値≫
【神気】38160
※ヴァリアーブルの短剣装備中※
※フォルティーナの眷属効果無し※
※自身の眷属・神効果無し※
【精霊気】2500
※上記数値の更に38160倍※
【HP】 507,600,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【MP】 756,180,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【STR】403,200,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【DEX】400,480,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【VIT】492,960,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【AGI】523,770,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【INT】337,280,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【MND】1,000,000,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【LUK】10,000,200,000,000
※上記数値の更に38160倍※
【BONUS】0
※各ステータス値の端数調整に使用※
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......1カウンで回復する【MP】は2885兆5828億8000万かな」
「・・・あの硬いロックドラゴンが一瞬で砂の山になるはずです」
「ロイク様。それ、1割なのですよね・・・」
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俺達は、【#地中】の扉の先にいた。ダイヤモンドドラゴンを倒し、ダイヤモンドと古代種の竜の肉と素材を大量にGETした。
そして、【#地上】の扉の先にいた。ミスリルドラゴンを倒し、ミスリルと古代種の竜の肉と素材を大量にGETした。
そして、【#邪下】の扉の先でアセディドラゴンを、【#邪中】でアンヴィドラゴンを、【#邪上】でコレールドラゴンを倒し、古代種の竜の肉と素材を大量にGETした。
そして、【#火下】でフランムドラゴンを、【#火中】でエタンセルドラゴンを、【#火上】でマグマドラゴンを倒し、古代種の竜の肉と素材を大量にGETした。
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俺は、【#光下】の扉の前である事に気が付いた。
「あれ?」
扉の前で立ち止まり振り返る。
「どうかしましたか?」
「主殿、休憩になさいますか?」
「タブレットの画面で、俺達の個体レベルと経験値を確認してたんですが、ドラゴンの経験値がおかしいんです」
「おかしいと言いますと?」
「それが、マルアスピー、アルさん、フォルティーナ、トゥーシェ、トゥーシェ、マリレナさん、ミューさん、バジリアさん、パフさん、サラさん、アリスさん、テレーズさん、バルサさん、メリアさん、カトリーヌさん、サンドラさん、俺。離れた場所で修練修行訓練をしているにも関わらず、神授スキル【連携の歓喜】で取得経験値は17倍になってはいるんですが・・・」
「この洞窟のドラゴン達は、エインシェントスピーシーズです。想像以上に経験値が高かったのですね」
「・・・それが、その逆なんです」
「逆と言いますと?」
「少な過ぎるんです」
「えっ?」
「9匹もエインシェントスピーシーズを倒したのに、取得した経験値は、たったの153です」
「ロイク様。・・・17倍で153なのですか?」
「はい。ドラゴン1匹の経験値が1って事です」
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強化合宿で修練修行訓練を開始してからの履歴を確認した。
何を倒しても取得経験値が1という現象は、聖獣の楼閣迷宮、邪獣の地下迷宮、無作為迷宮、古代竜の巣窟。4ヶ所全ての場所で起こっていた。
「他の皆の所も、同じ現象が起こっています」
「ここ以外の場所でも同じ事がですか・・・」
「履歴を確認しましたが、何を倒しても取得した経験値は17。つまり経験値は1って事です」
「ロイク様。私の経験値はどの様な状況になっていますでしょうか?」
「エリウスは神獣様。神様なのでステータスの詳細は分かりません」
「ロイク様の神眼でもですかぁっ!・・・てっきり、未熟故に神獣眼を使い熟せていないのだとばかり思っていました」
エリウスには、自身のステータス値も視えていない訳か・・・。
「聖獣の時とは異なり、己の数値を視れませんので、感覚に任せ力を使っているのが現状です」
「最大値が不明って不便何ですよねぇ~」
「はい。ですので普段は聖獣だった時の感覚を頼りに、当時の5割から8割を意識しています。この洞窟に入ってからは最大値に近い状態が続いていると思います」
「最大値に近い状態ですか。だとすると、エリウスの【STR】は、だいたい27万から28万です」
「おぉ~私の【STR】は聖獣だった頃の約5倍でしたか。ですが、どうして27万から28万だとお分かりになられたのですか?」
「ロックドラゴンの攻撃力と防御力が2倍になった時に、ギリギリ抑えられるって言ってましたよね」
「はい」
「ロックドラゴンの【STR】が、135100だったので、その2倍の27万よりは高いと判断しただけです。ギリギリなので28万は無いかもしれないですけどね」
「ロイク様。最初のドラゴンは【STR】が135100もあったのに、経験値は1だけなのですよね?」
「えぇ」
ありがとうございました。