3-35 スタンピード・アンデットの日⑧~心得と魔術の付与~
リーファ歴4075年8月15日、風の日。
「今日の反省点であり問題はここからです」
≪問題?
「問題だぁー。難しい話はぁっ!パスだパス」
「珍しくやる気みたいだいな」
「そのパスじゃねぇーよぉっ!面倒事を俺に振るなぁっつぅーのぉっ!」
スルーの意味でのパスでしたか・・・。ですよねぇ~・・・。
「実はですね。バルタザール殿が神授により転職したサクレシュヴァリエには、下位JOBで元々所持していた神授JOBサンシュヴァリエとJOBシュヴァリエの他に、元々所持していないJOBエペイストとグラディアートルとゲリエとアーマーゲリエとメルセネールとA級メルセネールとS級メルセネールのJOB効果とスキル効果が含まれています」
「はぁ?」
「シュヴァリエの転職は本来1つの系統からで可能ですが、3系統全てのJOBがサクレシュヴァリエに統合しています。それと、停止中だった為政家とエリートマージも稼働しているので、騎士系として魔術系として政治家として活躍の機会を得た事になります」
「げっ!マジでかぁー。バルタザール王子様ぁー頑張れよぉっ!」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。私はサクレシュヴァリエでありながらエリートマージでもあるのかね!?」
「ですよ」
「物理攻撃主体のJOBと非物理攻撃主体のJOBの併用が出来るのかね?」
「出来るも何も、バルタザール殿は......
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JOB・cho1:神授
:戦闘型・JOB【サクレシュヴァリエ】レベル1
※【サンシュヴァリエ】レベル10を統合※
※【シュヴァリエ】レベル10を統合 ※
※【グラディアートル】レベル10を統合※
※【エペイスト】レベル10を統合 ※
※【アーマーゲリエ】レベル10を統合 ※
※【ゲリエ】レベル10を統合 ※
※【S級メルセネール】レベル10を統合※
※【A級メルセネール】レベル10を統合※
※【メルセネール】レベル10を統合 ※
JOB・inh:母系
:戦闘型・JOB【エリートマージ】レベル5
※【マジシャン】レベル10を統合 ※
JOB・inh:父系
:準戦闘型・JOB【為政家】レベル8
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......です。魔術が使えない方がおかしいと思います。それに、サラさんも剣術と魔術の両方を使ってます」
「試してみても良いかね?」
「魔術をですか?」
「騎士職にありながら魔術を使える時が来ようとは・・・あぁ~」
「バルタザール王子。同じ騎士として実に羨ましいです」
「ハッハッハッハ。ジェルマン。そう言うな。私は母上より魔術系JOBを継承していた。父上より継承した騎士としての適性の他に、魔術の適正も生まれた時から持ってはいたのだよ」
「私の母も魔術系JOBを継承する家系なのですが、・・・・・・残念です」
あれ?継承とか血統で決まるのって、JOBとしてのJOB・inhだけで、適正はスキル依存だったような・・・。
「ロイク様」
「うん?」
「バルタザール王子様と団長の話から、逆もまた然りですよね?」
「逆と言いますと?」
「私は、昨晩の神授により神授JOBではありませんがグランマージに転職しました」
「みたいですね」
「そして、私は父より戦闘型・JOBゲリエブウクリイェを継承しています。スキルにも盾の心得を所持しています」
俺は神眼を意識し、デイムロレスのステータスを確認した。
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JOB・cho1:神授(非神授JOB)
:戦闘型・JOB【グランマージ】レベル1
※【エリートマージ】レベル10を統合※
※【マジシャン】レベル10を統合 ※
JOB・inh:父系
:戦闘型・JOB【ゲリエブウクリイェ】レベル1
※【ゲリエ】レベル10を統合 ※
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「盾を装備し盾のスキルを使用しながら魔術を扱うデイムロレス。カッコいいいかも」
「可能という事ですね」
「だと思います」
大きな盾を装備し騎馬で疾走出来る魔術系JOBの人が存在したら凄くないか。機動力と防御力と中距離遠距離火力。場合によっては、近距離火力もありか。
「デイムロレス。いっその事、シュヴァリエもJOBに加えて、騎馬で移動する盾を装備したグランマージなんてどうですか?」
「魔術系JOBの私が自分の馬に乗り移動ですか。戦い方がまた変わりますね」
「【MP】に問題がなければ、先日開発した魔導具【空飛ぶ絨毯】で移動するとかもありなんでしょうが・・・」
「空飛ぶ絨毯?」
おっと、まだ内緒だったっけ・・・。
「それは置いといて、シュヴァリエになりますか?」
「騎士団に所属し呼称として名乗るデイムから、正式にJOBシュヴァリエとしてデイムを名乗る事は憧れです。ですが、私がシュヴァリエに転職する為には、アーマーゲリエをレベル10。エペイストをレベル10。グラディアートルをレベル5にする必要があります。ゲリエのレベルが10と少しだけ条件が優しくはなっていますが、継承組ではありませんので最短でも10年はかかってしまうかと・・・」
「10年?・・・冗談ですよね。JOBを付与するだけですよ」
「ロイク君。下級JOBと違って、シュヴァリエは上級JOBと言ってだね。転職する為に条件があるのだよ」
「ジェルマン殿。俺も転職の条件位は流石に知っています。これは転職では無く付与。スキルを付与する感じでJOBを付与するだけなんで、条件とかは特に気にする必要はないんです」
「JOBを付与する?」
あれ?通じてないのか?それならぁっ!
「バルタザール殿」
「うん?」
「ジェルマン殿に、戦闘型・JOBマジシャンのレベル10を付与します。折角だし2人で魔術を確かめたらどうですか?」
「レベル10だとぉっ?」
「JOBマジシャンを付与する?」
「初回転職時のレベルは1のはず」
「バルタザール王子。それ以前の問題です。ロイク君は適正を持たない私がマジシャンに転職出来ると・・・」
「ありえんな」
自身の価値観を信じて疑わないバルタザール王子と、狐につままれた様な表情でバルタザール王子と俺の顔を交互に見つめるジェルマン殿。
「論より証拠です」
俺は、神眼を意識しサラさんを視認する。
神授スキル【パーフェクトコピー】 ≫
ジェルマン殿は、スキル【火属性の心得】【火属性耐性特化】を所持してるから、【地属性の心得】【水属性の心得】【風属性の心得】と【地属性魔術耐性特化】【水属性魔術耐性特化】【風属性魔術耐性特化】それと【火属性耐性特化】に【火属性魔術】を加えれば良いから・・・低い火属性耐性特化は上書きで良いか。よっと。
俺は、サラさんのセンススキルから該当するスキルをコピーした。
そして、ジェルマン侯爵を視認する。
神授スキル【オペレーション】 ≫
サラさんからコピーしたスキルをジェルマン侯爵のセンススキルに付与した。
このままでも、魔術を扱う事は出来ると思うけど、説明が面倒だから・・・
神授スキル【オペレーション】 ≫
俺は、この世界に存在する神授JOB以外のJOBを、付与したり没収する事が出来る。ジェルマン侯爵に、JOBマジシャンを付与した。
「終わりました。ジェルマン殿。JOBにマジシャンとセンススキルに地水風属性の心得と地水風属性魔術耐性特化と火属性魔術を付与しました。確認してください」
「えっ?・・・あぁ・ぁ・ぁ・あ・・・・・・」
ジェルマン侯爵は、恐る恐る自身のステータスとスキルを確認する。
「そんな馬鹿な事がぁっ!継承の鏡はぁっ!!!それにセンススキルにスキルを付与しただとぉ~!?」
バルタザール王子が声を荒げた。
本来転職は、各ギルドや聖人教会や神殿やオルドルロアやアカデミーや宮殿等で行うか。創造神様の神授でのみ可能とされている。
方法は簡単で、【継承の鏡】と呼ばれる偽物の創神具の前で、センススキル【ジョブチェンジ】を所持する者に、JOBの書き換えをして貰うだけで転職が完了する。実際はセンススキル【ジョブチェンジ】のみで転職は可能だ。
偽物の創神具【継承の鏡】は、世界創造神創生教が世界中に広めた善良な者達から金銭を巻き上げる為に考え貫かれたトランプで、正創生教へと改宗が進む中、4000年近い歴史を背景として未だに転職の際に用いられている。
スキルは、神授スキルの【バースデイ・スキル】。適正スキルの【センス・スキル】。そして、アカデミーや各ギルドやスキル商人から購入したり、聖人教会や神殿に財貨を寄付寄進したり、オルドルロアや宮殿で恩賞や報酬等で付与して貰う生活スキルの【ライフ・スキル】。
ライフスキルの付与も方法は簡単で、センススキル【スキルグラント】を所持する者に、付与して貰うだけで完了する。付与して貰えるレベルは3までだが、ライフスキルとして使い続ける事で、レベル4以上に成長可能なセンススキルへと移行する場合がある。また、付与する者が所持するスキルのみ付与する事が出来る。ただし、バースデイスキルをライフスキルに付与する事は出来ない。
「あれは、トランプです。クリスタルを創造神様の祭壇に奉納し祈りを捧げるだけで、創神具になるとでも?」
「・・・そ、それはそうだが」
「転職に継承の鏡は必要ありません。それと、転職にはスキル【ジョブチェンジ】が必要ですが、俺の場合は転職では無く付与なので不要です。スキルの付与もスキル【スキルグラント】が必要ですが、それはライフスキルに付与するスキルです。俺のは神授スキルなので、センススキルにもライフスキルにも付与出来、スキルのレベルに制限はありません。勿論、レベル4以上をライフスキルに付与する事は出来ませんが。ハハハ」
この神授スキルは、奪う事も可能なんですけどね・・・。
「ロ、ロ、ロ、ロイク君・・・。四大属性の心得と四大属性の魔術と耐性と特化のレベルが最大値の10な、な、なのの・・・」
「レベル1を付与し、来る日までに10に上げておいてくださいって無理ですよね」
「・・・後、半年。無理があるだろうね」
「なので10で付与しておきました。半年の間に魔術やスキルに慣れてください」
「待ってくれ。つ、つまりだ。ジェルマンはマジシャンレベル10で地水火風四大属性の心得に魔術耐性特化を所持したというのか?」
「ですよ」
「信じられませんが、その様です・・・」
「ロイ、ロイク君。け、眷属としての私にも四大属性の心得と魔術耐性特化を、ジェルマンと同じ様に付与して貰えないだろうか?」
あぁ~・・・なるほどね。最初から誰かだけにって思って無いし。
「勿論です。俺の家族や眷属には来る日に備えて貰う必要がありますから」
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創造神様公認の許嫁。パフさん、サラさん、アリスさん、テレーズさん、バルサさん、メリアさん、カトリーヌさん、バジリアさん、エルネスティーネさん。
来る日までは非公認の嫁らしいサンドラ・ルーリン王女。
創造神様公認の亜神で、自称リアリストなアドベンチャーボーイの俺の親父。
バルタザール王子、ジェルマン侯爵、マリア侯爵第1夫人、マクドナルド卿、パロステネブル族の相談役、サーリック、デイムロレス。
俺は、18人のセンススキルに四大属性の心得と四大属性の魔術耐性特化を付与した。
戦闘に特化した眷属達だからだ。
魔術耐性特化の確認は、エルドラドブランシュ宮殿の旧ビジネスエリアの地下1階を解放する事にした。ただし、明日のアンデット殲滅戦最終日に支障が出ない程度でと念を押した。
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「脱線したんで、話を戻しますが」
「戻すだぁー?ロイク。まだなんかあんのかよぉー」
「まだって、まだ何も話合ってないだろうが」
「そうかぁー。もう良いじゃん。だってよぉっ!今日の殲滅戦の反省点ってぇー、急激なステータス値の上昇と転職が原因なんだろうぉー。原因が分かった訳だぁっ!終わりじゃん」
こいつは・・・。
「あのなぁ~、原因が分かったなら、次は、それをどうするか話し合わなきゃ意味無いだろうが」
「だなぁっ!」
って、お、おう・・・。
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反省会とは、得てして会の名の通りには・・・。
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や、やっと。やっと、終わった。
正直、かなり疲れた。
時間を確認すると、時刻は、闇の時間になってから3時間も経過していた。
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chefアランギー様と妖精のお仕事が織りなす疲れた脳と身体に優しい癒しのディナーを楽しみ、明日のアンデット殲滅戦最終日の英気を養い俺達は解散した。
地下施設で何かを試すのは自由です。反省点や改善点は脱線しながら説明した訳だし・・・。
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【名前】アリス・R・ルーリン・シャレット
※正式には、アリス・パマリ・クロシェット※
【性別】女
【種族】ヒューム属ユマン種ユマン族
【レベル】478
【生年月日】R4055年9月23日(水)
【年齢】19 【血液型】O
【身分】アシュランス王国ゼンスタード州
州都ゼンスタード市の執政官
アシュランス王国近衛騎士隊の隊長
【階級】侯爵家の御令嬢
ゼンスタード伯
【使命】―――ー
【眷属隷属先】
ロイク・ルーリン・シャレットの眷属
【虹彩】シトロンイエロー色
※RGB値:RED208・GREEN202・BLUE65※
【髪色】ゼウス色
※RGB値:RED0・GREEN29・BLUE42※
【髪型】ニュアンスロング
【身長】164cm 【体重】――――
【体系】スレンダー 【利腕】右利き
【B】87 【W】58 【H】85
【状態】正常
【JOB・cho1】:神授
戦闘型・JOB【武弓聖】レベル10
※【弓聖】レベル10を統合 ※
補足:【JOB・cho2】
※【スナイパー】レベル10を統合 ※
※【アーチャー】レベル10を統合 ※
※【ハンター】レベル10を統合 ※
補足:【JOB・inh】:母系
【JOB・inh】:父系
戦闘型・JOB
【グラディアートル】レベル10
※【エペイスト】レベル10を統合 ※
【JOB・inh】:父系
非戦闘型・JOB【為政家】レベル10
【JOB・inh】:母系
非戦闘型・JOB【商人・貿易商】レベル10
≪称号≫
【眷属・許嫁】
※世界創造神公認※
※ロイク・ルーリン・シャレットの許嫁※
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ありがとうございました。