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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
162/1227

3-28 スタンピード・アンデットの日①~妹の名前はニーナ~

2018年11月15日。【バイル・シャレット】の個人レベルを修正。


誤) 97 → 108 へ

訂) 97 → 98 へ


リーファ(R)歴4075年8月13日、水の日。

 俺に妹が出来ました。産まれるのは、来年の3月3週目頃の予定です。俺と同じ3月生まれ。今から楽しみです。


 名前はニーナに決まりそうです。



 神界に出かけ不在だったフォルティーナが、上機嫌で帰って来ました。タブレットが銀色の水から抽出したレミレリラス(神星石)245tと、レインボー(神虹石)245tが、合わせて11兆ゴッドマネー(創造神金貨)で売れたからです。


 ですが、フォルティーナは上機嫌ながらに御立腹でした。。


 俺達が、面白そうなハレムパーティーをフォルティーナ抜きで不本意ながら楽しんでしまったからです。


 フォルティーナは、創造神様公認の嫁で地の精霊のミューさんにも「部屋を容易するね」と、俺達に強制(めいれい)しました。


 欲望の祭。奇祭をやりたかっただけだと、俺は思っています。


 精霊のミューさんを利用したのは、今のところ剣聖サンドラさんは創造神様公認の嫁でも許嫁でも無いからです。



 ハレムパーティーを本格的な奇祭へと後押ししたサラさんの魔術は、思った通り古代魔術の1種でした。


 ゼルフォーラ王国とアシュランス王国中の図書館や書物庫を掘り起こし見つけたそうです。


 大賢者マクドナルド卿の力を借り、古代文字で記された2つの魔術の解読に成功し、来たる日の為にと所持するに至ったんだそうです。


 サラさんが習得した古代魔術は、古代ドワーフ(小人)族が鋳造の際に用いた風属性の下級古代魔術【テゥーリ】と、火属性の下級古代魔術【トゥリ】です。


 何処かでタブレットに収納した事があった様で、古代ドワーフ族が用いていたとされる古代魔術の1種に関しては、微級・下級・中級・上級全ての情報を所持していました。


 習得し、サラさんにコピーする事にしました。折角なので、ダカイラのドワーフ族の鍛冶師達にも、火と風の古代魔術を教えるつもりです。


 1万年以上も昔に起源を持つ古代魔術が、現代の魔術よりも威力があり精度が高いのは何故だろう。【MP】や【MND】が低く魔術の扱いが苦手なはずのドワーフ族でも扱う事が出来る古代魔術の1種・・・応用出来そうだ。実に面白い。


 また1つ新たに、研究テーマを得る事になりました。



 蜂蜜は、料理に必要な時に巣箱から直接採蜜するそうです。タブレットで管理してある分は、工房ロイスピーが自由に扱って良いそうです。


 マルアスピーは、とても嬉しそうでした。


 まだまだ表情の変化に乏しい彼女ですが俺には分かります。笑顔の為に、俺は蜂蜜専用のバルブを工房ロイスピーの直売店と工房に設置しました。各属性の自然魔素水(まりょくすい)や超純魔水や万能水(ばんのうすい)と同じ仕様になっています。


 現状の天球は良い感じです。バルブから各属性の自然魔素水を放水し続けても、自然の力の循環が不安定になる事はありません。


 神気や創造や何かの力が上がる度に平面の実験を行い。いつか創造した空間の中に家を建て住んでみせる。俺の内にある少年の心、素直な心での夢と希望。浪漫です。



 これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......


―――R4075年8月13日(水)


 神授スキル【タブレット】『ゲームDX』


 R4075年8月6日(聖)  :1回分

 R4075年8月7日(邪)  :2回分

 R4075年8月8日(光)  :2回分

 R4075年8月9日(闇)  :2回分

 R4075年8月10日(大樹):2回分

 R4075年8月11日(無) :2回分

 R4075年8月12日(地) :2回分

 R4075年8月13日(水) :2回分


 『ゲームGOD』遊べるまで後5回分

 『ゲームGOD』遊べる回数1回



 俺は、グランディール城の3階にある国王執務室で、王国の食料需給率について、chefアランギー農務大臣、ルードヴィーグ首相、マクドナルド内務大臣と、話し合っていた。


「砂漠に面してるから州都ダカイラの農地開発は後で良いって言ってましたよね?」


「おんや。その通りですぞぉ~。その為に、副都ビヤンピールを建設したのですぞぉ~。はい」


「ラクール州とゼンスタード州の肥沃な穀倉地帯を何とか出来んものかのぉ~」


「マクドナルド卿。現状では治安に問題があり難しいでしょう。ラクール平野もアンガーレム大平野も帝国領に近付く程治安が悪化していると聞きます。国境周辺を開発するのは、治安が回復するのを待つか。或いは、我が国が・・・」


 ルードヴィーグ卿の考えは間違っていない。アシュランス王国が統治してしまった方が早いのは確かだ。でもなぁ~、前みたいに大義名分も無いし。何か理由があれば良いんだけど・・・。


「アンガーレム大平野の国境って、確定じゃないんですよね。衝突とか起きてないんですか?」


「帝国は三竦みの状態にあり治安の維持すらままならなぬ有様です。我が国と事を構えるなど到底不可能な状況です」


 ですよねぇ~・・・・・・。そう都合良くはいかないですよねぇ~。



≪トントントン


「陛下。大変です。あっ!えっと、バルサです。入室しても宜しいでしょうか?」


 急いでるみたいだけど、どうしたんだろう?


「どうぞ」


≪ガチャ


「失礼します。た、大変なんです」


 バルサさんは、慌てた様子で、執務室に駆け込んで来た。


「そんなに慌ててどうしたんですか?」


「た、大変なんです。ス、ス、スタンピード(大暴走)です」


「スタンピード?」


 って、何・・・!?


「はい」



 俺は、アシュランス王国フィーラ州州都フィーラの北東地区の城壁越に、大樹の森旧ワワイ大森林域中林(ちゅうりん)地域を確認している。


 先日魔法で設置したばかりの真新しいエメラルド色で半透明な城壁は、高さ30m。幅5m。内側から外側は透けて見えるが、外側から内側は見えない仕様になっている。


 城壁と大樹の森旧ワワイ大森林域中林(ちゅうりん)地域との間には、森を切り開き300mの人工草原がある。


 何故、草原が大樹の森に飲み込まれてしまわ無いのかというと、精霊樹の落ち葉を粉末にし、大樹の森と草原の境界の土に混ぜ、大樹の森に精霊樹が近くにあると誤認させているからだ。



「大樹の森は誤認してくれたけど、アンデッドは精霊樹がある聖域って誤認しないのか・・・」


「ロイク殿。精霊樹の葉とはいえ落ち葉です。魔獣やアンデット除けの効果はありません」


「バジリアさん。この数をフィーラの警備隊で殲滅可能ですか?」


「難しいと考えます」


「ですよねぇ~・・・」


 何せ、アンデットの群れには......


***********************


 ≪旧ワワイ大森林域中林地域≫


 アンデット化したエルフ族    2001体


 アンデットかしたそんまさる   3488体


 アンデットかしたその他の魔獣 10274体


            合計  15763体


 ≪旧ワワイ大森林域南林地域≫


 アンデット化したエルフ族   25115体


 アンデットかしたそんまさる  46579体


 アンデットかしたその他の魔獣 79657体


            合計 151351体


           総合計 167114体


***********************


......あの、そんまさる(孕ませ猿)のアンデットが混ざってる。タブレットで旧ワワイ大森林域のアンデットを検索してみた結果だ。


「フィーラ警備隊の隊長の話では、陽が昇る少し前。闇の時間に、呻き声と供にアンデットの群れが大樹の森より草原へと姿を現し俳諧を始めたとのことです。フィーラ市は政令により闇の時間は閉門する事になっておりますので、塔や城壁の上から監視を続けていたそうです」


「フィーラはこの城壁があるからアンデットに侵入される心配は無いし、カトムーイやソフィリスはカライ川が大樹の森旧ワワイ大森林域南林(なんりん)地域と市を隔ててるから安全だし、スタンピード?でしたっけ?結局、何が問題なんですか?皆アンデットみたいだし陽の光を受け続けていればそのうち勝手に消滅するんですよね?」


「確かにアンデットは陽の光や火属性や聖属性を嫌います。陽の光に当たり続けていれば、半年から3年程で自然消滅します。ですが、その期間中ずっと大樹の森の恩恵を放棄し、大樹の森の中林、南林地域の生態系をアンデットによって破壊され続けるのは如何なものかと」


「生きてて動く物なら魔獣だろうが何だろうが襲い喰らうんですよね」


「そうです」


 俺が倒しちゃっても良いけど、それだと皆の底上げにならないよなぁ~。ふむふむどうしたものか・・・。そうだなぁ~。


「フィーラとカトムーイとソフィリスの警備は今まで通りで良いとして、約17万体のアンデットは、俺達でやりましょう」


「私達家族だけでですか?」


「個体レベルが存在する。パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん、バルサさん、メリアさん、カトリーヌさん、バジリアさん、エルネスティーネさんの9人でですね」


「あのぉ~・・・。ロイク殿?167144体のアンデットを9人でですか?」


「折角のチャンスだし、親父もだな。連携の歓喜は発動しないけど別に構わないよな。たまには家の為に働いて貰わないとぉ!バジリアさん。1人追加します。10人で片付けましょう」


「は、はぁ~↓・・・」



 俺は、エルドラドブランシュの旧ファミリーエリア3階中央リビングルームに、家族と眷属と眷属神を集めた。


「と、言う訳で、アンデット退治を行います」


「おい。ちょっと待てよぉー。何で俺も何だよぉっ!」


「親父は俺の何だ?」


「おめぇー馬鹿になるのは(ろく)(いち)()の時だけにしろってぇー前にも言ったでしょうがぁー」


 何言ってんだこいつは・・・。無視して進めよう。


「親父は、来年には二児の父だ。家族の為に働いて貰いますぅっ!」


「何でだよぉっ!」


「来年には娘の父親になるんだぞ。いつまでも森の中でフラフラしてる訳にいかないだろう」


「ちょっと待て、娘なのかぁっ!?」


「おい!確りしてくれよ。ニーナちゃんって良い名前だなって、4日前に話しただろう」


「おぉー。ニーナは良い名前だなぁっ!」


 こいつ、あの会話で気付いてなかったのか・・・。



 まずは、アンデットとの戦闘に慣れる為、個体数の少ないフィーラ市の北東部を片付ける事にした。


「はい、皆注目。・・・おい、親父。頼むからちょっと聞いてくれ」


「何だよぉ~。ここから動かずに何体射れるかぁってぇっ!ディーズとクルーズとルクソールと賭けしてんだよぉー。少しくれぇー娯楽があっても良いだろうがぁー」


「ねぇロイク」


「はい、何でしょう」


「私は見ているだけよね。新商品の開発を続けていたかったのだけれど」


「連携の歓喜の為です」


「・・・そっ・・・。分かったわ。ここに工房の研究台を3つお願いするわ」


 城壁の上で実験を続ける気なのか?・・・それでも良いか。居てくれれば良い訳だしな。


「分かりました」


 俺は、エルドラドブランシュの屋上にある工房ロイスピーの工房から研究用の台を3つ、城壁へと運んだ。



「ロイク。君に確認なんだがね」


「フォルティーナまで何ですか?」


「協力すると何か良い事はあるのかね?」


「はぁ~?」


 こいつ、女神様の癖して、日増しに貪欲になってないか?


「良いかね。あたしは暇ではないね」


 イヤ、暇だろう!・・・。何か適当な理由はぁ~・・・・・・あっ!


「フィーラの住民に感謝されると思います」


「はぁ~?何を言ってるね。それが何だね。感謝で食欲が満たされると思ってるのかね?」


 また始まったよ・・・。


「良いかね。ロイク。感謝何て目に見えない気持ちの有無に依存する不確かな物で、人間の食欲性欲物欲あらゆる欲望が満たせるとでも思ってるのかね?」


 って・・・貴女は女神様でしょうに・・・。少しは自分以外の者の事も考えてください。お願いします・・・。


 と、言いたいが決して声には出さない。


 俺は、フォルティーナの瞳を凝視する。


「えっと」


「何だね。言いたい事があるならはっきり言うね」


 押して駄目なら引いてみる作戦しかないな。


「アンデットを討伐すると、フォルティーナを崇拝し幸運の神殿を信仰する人が・・・増えると思いませんか。フォルティーナを信仰する人が増えれば、皆幸せハッピーだと思いませんか?」


「お!?・・・・・・そうだね。うんうんだね。それだねっ!あたしは神だね」


≪チーン チーン


 フォルティーナは、左手に持ったティーカップを右手に持ったスプーンで2度弾いた。


「はーい注目だね。今から君達には眼下で蠢くアンデットの成仏をやって貰うね。分かったかね」


「おい。神乳(かみちち)おめぇー何勝手な事言ってんのよぉー」


「これは決定だね。良いかね。そもそも......



......であるからして、今でしょうだね」


 フォルティーナは女神の名の下、殲滅戦に参加する10人に対し、何の有難味も感じ無いただの持論を長々と展開してくれました。



「ノルマは、1人17000体位だね。サクッとやっておしまいだね。それでは始めるね。良いかね。これは遊びでは無いね。輝かしい未来への始めの(・・・)一歩だね」


 それって、貴女の未来だけですよね?


≪パチン


「えっ!?・・・フォルティーナ・・・」


 10人は、俺が予定していたあらゆるサポートを一切付与付加される事なく、フォルティーナのパチンによって戦場へと送られてしまった。


「何だね」


「噛まれたり、爪で傷を負わされるだけで、アンデット化するんですよ」


「それがどうかしたのかね。戦いとは常に死と隣り合わせだね。それ位の覚悟があって初めて人は本当の強さを手にするね」


「そんな事言ってる場合じゃないです。エルネスティーネさんはまだレベル3なんですよっ!」



 俺は慌ててエルネスティーネさんを、神授スキル【フリーパス】で城壁の上、俺達の傍へと移動させた。そして、アンデットの殲滅が進み、彼女の個体レベルが50になるのを待ってから、フル支援を施し殲滅戦に参加させました。



「バイルは何をやってるね」


「うん?どうしたんですか?」


「さっきから、走り回って遊んでるね。あそこだね」


 フォルティーナは、城壁から250m程離れた地点を指し示す。


 何やってるんだ親父の奴は、全くもう。


 俺は、フォルティーナが指し示した辺りを確認する。


 あれ?・・・親父の奴、弓矢何処にやったんだよ。


 俺は、フォルティーナへと視線を動かした。彼女の後方に設置された台。先程まで父バイルが立っていた場所の目の前に設置された台の上には、弓と矢筒とファルダガパオの袋が置いてあった。


 げっ!・・・。これってぇっ!


「フォ・・・フォルティーナ・・・さんや」


「何だね」


「親父なら素手でもアンデットくらい平気ですよね」


「何を言ってるね。バイルは弓と邪属性の特化型だね。火属性か聖属性か光属性を付与付加した矢か拳で攻撃する必要があるね。いったい何をやってるね。遊びでは無いと言ったはずだね。聞いて無かったのかね」


 いや。皆に用意が出来たか聞いてなかったのは貴女の方です。そして、確認もしないで飛ばしたのも貴女です。



 その頃、親父は・・・


「ちょっと待てってぇー。なぁっ!話せば分かる。だろうぉー」


≪グガァォー


「って、聞いてねぇーしぃっ!」


≪グギャー


「げっ!こっちからもかよぉっ」


 ・・・走り回っていた。


≪グゲオォー


「うわぁっ!こっちもかよ」



 2時間後


 旧ワワイ大森林域中林地域のアンデットを全て討伐した俺達は、個体レベルの確認を開始した。


「あれ?」


「どうしたね」


「エルネスティーネさんと親父以外レベルが変わってない」


「あの程度の存在から得られる経験値は微々たる物だね。当然だね」


 フォルティーナのドヤ顔が炸裂した。


 だが、俺は決して、使うタイミングがおかしいと伝えない。・・・それは、言っても意味が無いからです。



 10人の現在のレベルはこんな感じだ。


***********************


 ≪個人レベルが上がった組≫


【名前】バイル・シャレット

【個体レベル】97 から 98 へ

【NEXT】4200000

 ※逃げ回っていただけで※


【名前】エルネスティーネ

【個体レベル】3 から 99 へ

 ※経験値ストック:23134188※

 ※解放時:個体レベル102※

 ※【NEXT】2865812※

 ※取得経験値16倍の効果あり※


 ≪個人レベルに変化無し組≫


【名前】パフ

【個体レベル】477


【名前】サラ

【個体レベル】478


【名前】アリス

【個体レベル】478


【名前】テレーズ

【個体レベル】478


【名前】バルサ

【個体レベル】477


【名前】メリア

【個体レベル】477


【名前】カトリーヌ

【個体レベル】477


【名前】バジリア

【個体レベル】480


***********************


 そうそう。2時間近くアンデットから逃げ回り、疲労困憊体力の限界を超え神経衰弱状態だった親父は、フォルティーナに愚痴1つ零さず珍しく寡黙でした。


「明日はだね。旧ワワイ大森林域南林地域のアンデットを片付けるね。分かったかね」


≪・・・・・・


 皆、無言でした。

ありがとうございました。

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