3-27 花の畑と溢れる蜂蜜と奇祭の日。
リーファ歴4075年8月9日、闇の日。
俺は、通常JOBと神授JOBについて考えていた。
通常JOBは・・・。
個体レベルが2以上なら、メルセネールギルドかアドベンチャーギルドで、BT:JOB【メルセネール】に転職出来る。メルセネールのレベルが10なら、メルセネールギルドかアドベンチャーギルドで、上位JOBの【A級メルセネール】に転職出来る。A級メルセネールのレベルが10なら、メルセネールギルドで、上位JOBの【S級メルセネール】に転職出来る。
個体レベルが5以上なら、アドベンチャーギルドで、BT:JOB【エペイスト】に転職出来る。エペイストのレベルが10なら、アドベンチャーギルドで、上位JOBのBT:JOB【グラディアートル】に転職出来る。
同じ様に個体レベルが5以上なら、アドベンチャーギルドで、BT・JOB【ゲリエ】に転職出来る。ゲリエのレベルが10なら、アドベンチャーギルドで、上位JOBのBT:JOB【アーマーゲリエ】に転職出来る。
個体レベルが18以上で、グラディアートルのレベルが10で、アーマーゲリエのレベルが5以上。または、個体レベルが18以上で、アーマーゲリエのレベルが10で、グラディアートルのレベルが5以上。または、S級メルセネールのレベルが8以上なら、オルドルロアで、上位JOB【シュヴァリエ】に転職出来る。
個体レベルが2以上なら、アドベンチャーギルドで、LBT・JOB【アヴァンチュール】や【エクスプロレ】や【シャンピオン】や【ポワンベット】。アドベンチャーギルドやアローギルドで、LBT・JOB【ハンター】。マージギルドで、BT・JOB【マジシャン】やLBT・JOB【ヒーラー】に転職出来る。
LBT・JOBの初級職。アヴァンチュール、エクスプロレ、ハンター、ヒーラー。BT・JOBの初級職。メルセネール、マジシャン、エペイスト、ゲリエ、シャンピオン、ポワンベットには、JOB・inhに該当するJOBを所持していなくても転職出来る。
こう考えると、初級のBT・JOBやLBT・JOBって、NBT・JOBと比べて少ないな。
初級のNBT・JOBを数え上げると切りがないし、それらの上位JOBは更に多くて把握しきれていない。
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神授JOBは・・・。
サンセリなら、【拳聖】【斧聖】【剣聖】【槍聖】【盾聖】【弓聖】【聖騎士】【聖戦士】等。
レスぺセリなら、【グレートマージ】【サージュ】【グランドサージュ】等。
サクレセリなら、【ソメポールマージ】【ソメポールサージュ】【武弓聖】【知弓聖】【エロー】等。
NBT・JOBなら、【グランフォルジュロン】【グランパティシエ】等だ。
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JOBは勿論の事、それ以上に所持するスキルが重要になって来る。スキルを組み合わせる事で可能になる事も多いはずだ。1人では出来なかった事も今後は1人で可能になる場合もあるだろう。
これは、人類、ヒューム属の底上げに繋がる。
来たる日に備える為なんです。創造神様。いただいた神授スキルを悪用する事は決してありません。温かい瞳で見守っていてください。
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これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......
―――R4075年8月9日(闇)
神授スキル【タブレット】『ゲームDX』
R4075年8月6日(聖) :1回分
R4075年8月7日(邪) :2回分
R4075年8月8日(光) :2回分
R4075年8月9日(闇) :2回分
『ゲームGOD』遊べるまで後3回分
『ゲームGOD』遊べる回数0回
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「親父。話って何だぁ~?」
「考えたんだけどよぉー!」
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俺は、エルドラドブランシュ旧ビジネスエリアの2階南西角にあるリビングルームにいる。
朝食後のティータイムを楽しんでいる時だった。親父が近付いて来て、
「後で話があるっ!茶が終わったらぁー。旧ビジネスエリア2階南西角のリビングルームだぁっ!」
と、呼び出されたからだ。
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「考えたって何をだよ?」
「カミーユとかニーナってどうよぉー」
「どうよぉーって、何がだよ?」
「はぁー?何言ってんだよぉー。カミーユっていたらぁー男のなめぇーだろうがぁっ!ってぇーことはだなぁー。ニーナは女のなめぇーって事だぁっ!」
そんな事は、言われた無くても分かる。相変わらず突拍子も無い事を・・・。
「そっか。良かったな。俺はやる事があるから。それじゃっ!」
「って、おい。弟か妹のなめぇーだぞぉっ!少しは真面目に考えろっつぅーのぉっ!」
「はぁ~?弟か妹って・・・。マジでか?」
「マジでだ。つぅーかぁっ!この手の話でふざけてちゃぁーダメでしょうがぁー」
いつかこの日が来るとは思っていたが、今ですか・・・。
「親父。この話は、母さんに確認してからだ」
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俺は、母さんと話をする為、リビングルームを後にし、旧ファミリエリアの4階にある両親専用のリビングルームへと移動した。
「珍しいわね。ロイクがここに来るなんて。ティータイムの後はいつも仕事でしょう?」
「親父の奴が話があるって言うもんだから、少しずらしたんだ。それで・・・」
何て聞いたら良いんだ?
「≪『ロイク様。ここは私がぁっ!』→ロイク≫」
「≪『あ、ありがとうございます。助かります』→アル≫」
両親専用のリビングルームを尋ねる前に、チキンな俺は、アルさんに事情を話同行して貰っていた。
「お母様。今、気付いたのですが、女の子を妊娠していますよ」
え?
「女の子なの?」
「≪『アルさん。母さんは女の子を妊娠してるんですか?』→アル≫」
「≪『はい。ステータスに【妊娠・6週目・女】と』→ロイク≫』
あっ!・・・神眼かぁっ。
俺は、神眼を意識し、母さんのステータスを確認した。
「おっ!妊娠6週目で女の子って・・・」
おっと。つい声が大きく・・・。
「そっか。アルちゃんは神獣。神様だし、ロイクは神眼があるし、分かるのね」
「何か変なタイミングになっちゃったけど、母さんおめでとう」
「御母様。妊娠おめでとうございます」
「ありがとう。アルちゃんにロイク。あの人、ロイクになんて言ってたの?」
「カミーユとかニーナってどうよぉーって、唐突に切り出されて最初意味が分からなくてさぁっ」
「あの人らしいわね。・・・そっかぁ~。女の子なのね。ニーナちゃんかぁ~」
「決定じゃないだろう。他に良い名前があるなら、親父の案は却下でも良いと思うけど」
「私は、ニーナちゃんって良い名前だと思います。コルト下界の全ての言語や文字の基礎は神聖文字。神聖文字の基礎になっているのは【神界文字】です」
へぇ~・・・。神聖文字の基礎は神界文字だったのかぁ~。
「ニーナの語源は、慈愛や献身です」
「アルさんみたいですね」
「ロイク様。私は、愛と美と若さを司るオェングス種です。5大神鳥の中に献身を司る神獣は残念な事にいないのです」
司ってなくても、アルさん。貴方は常にその身に眩しく輝く献身を纏っていますよ!
「アルちゃんからお墨付きを貰ったし、ニーナちゃんで決定ね。ロイク。あの人に女の子ならニーナが良いわ。って、ロイクと私も賛成だって伝えて貰えるかしら」
「俺が親父に言うのか?」
「だって、名前を相談されたのはロイクよ」
「そうだけど・・・。俺の立場は兄で、母さんは母さんな訳で・・・。親父と母さんが決める事だし・・・」
「名前を考えたのは御父様です。名前を決めるのは御父様と御母様です。ロイク様は、御母様の気持ちを御父様に伝える際に、さり気無く兄として賛成している気持ちを添えるだけで良いのです」
「あの人は優柔不断で適当だから。早い内に何でも決めてしまった方がいいのは確かね。考える時間を与えると忘れてしまうから」
「まさに、親父って感じだな」
親父に対する俺の見解は、ほぼ母さんと一致している。
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俺は、旧ビジネスエリアの2階南西角にあるリビングルームへと、アルさんと一緒に移動した。
「・・・居ないし」
「居ませんねぇ~」
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いない人と話をする事は出来ない。
フォルティーナの腕時計や、神授スキルがあるので出来ない訳ではないが、急ぎの用事という訳でもない。どうせ、夕食時には家族皆が集合し顔を合わせる事になる。
この件は、一次保留になった。
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「さぁ~。アルさん。今日は忙しくなりますよ」
「楽しみですね」
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「陛下。この世界には、こんなにも美しい場所が存在していたのですね」
「エルネスティーネさん。俺の事はロイクで良いです」
「そ、そうでしたね・・・努力します」
「エルネさん。あそこに島が見えますよね」
アルさんは、リュコトラ海に浮かぶ島を指差した。
「はい。アル様」
「あれは、ドラゴラルシム王国のマノス諸島の1島で、王都ドルガがある南東ドルガ島です」
「ドラゴラルシム竜王国が見えるのですね・・・」
へぇ~。トミーサスでは、竜王国なんだ。
「スタシオンエスティバルクリュは、標高9000m以上の高地に存在しています。結界に覆われている為、内側からは遠くを見渡す事が出来ますが、外側からは認識する事が出来ません」
「ここは聖域なのでしょうか?」
それに近いけど、近くないのが、ここなんだよなぁ~。
「エルネさん。スタシオンエスティバルクリュは、神々の時代に夏の離宮として栄えたていました。中空池に浮かぶ中空の離宮本殿や迎賓殿や別邸や神宮殿そして創神殿は、聖域とは似て非なる存在なのです」
「似て非なるものですか・・・」
「はい。聖域には通常、地水火風聖邪光闇無それに樹の属性が存在します。ですが、スタシオンエスティバルクリュには属性が存在しません。神の力、神気に覆われているからです」
「属性の存在しない神様の力に覆われた聖域に似た違う何か・・・無属性とも違うのですよね?」
「属性が存在しない事と、無の属性が存在する事では、意味が全く異なりますからね」
「そうですよね・・・。つまり、神気の結界なのですよね」
「はい」
「無地水火風聖邪光闇9属性とは別に暦の都合上大樹・樹が存在し10属性。それとは別に結界の都合上神気も存在していると考えると良いのでしょうか?」
「神気を属性として考えるのは良い方法だと思います」
なるほど、属性が存在しない神気の聖域。分かり易くて良いかも。って、聖域の属性に気付ける人っているのか?というか、聖域って簡単に入れないから聖域なんじゃ。俺達って難しく考え過ぎなんじゃないだろうか・・・。
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「ロイク様。船で中空池まで上り、迎賓殿、離宮本殿、中空の離宮の別荘、幼樹庭園、研究所、東庭園、中央水上庭園、西庭園の順に周ろうと思うのですが宜しいでしょうか?」
アルさんは、兎に角面倒見が良い。物静かで一つ一つの所作が美しい。細くて長い手足。何よりいつも温かい笑顔で接してくれる。夢と希望の前で手を握り締めてくれるのも実は嬉しかったりする。おっと、断線脱線っと、神様達みたいなのは良くないな。
今日はとある計画の為、スタシオンエスティバルクリュの副管理人アルさんに、エルネスティーネさんをエスコートして貰う事になっている。
ゆっくり見て周った事の無かった俺も、スタシオンエスティバルクリュ観光に便乗中だ。
「アルさんに、お任せします」
俺達3人は船に乗り込み、上流の中空池へと移動を開始した。
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「あっ。そうだ、折角なので果樹園や畑も見ませんか?」
「それでしたら、パルメさんが担当されている御花畑も周りましょう」
「庭園ではなく御花の畑が、あるのですか?」
「とっても綺麗な御花畑があります」
「畑ですよね・・・」
「はい。ルーリン・シャレット家や、アシュランス王国の施設内に飾る為の御花を育てています」
「室内に飾る為ですか・・・」
「そうですよ」
エルネスティーネさんが驚くのも当然だ。庭園や公園の花は、その場で眺めたり香りを楽しむ為に植えられている。
一歩街の外に出るだけで、咲き乱れる花々と青々と生い茂る草木が視界に飛び込んで来るゼルフォーラ大陸では、室内に飾る為に花を育てる者は居ない。
花が好きで、部屋に飾る人はいるが、その花は、その辺に咲き乱れている花だ。赴きその場で楽しむ為に植えられた庭園や公園の花ではない。
余談だが、女性に花を贈る時に気を付けなくてはいけない事が1つある。それは、必ず自らの手で贈る花を摘むこと。
摘んでいない事がバレると、誠意や気持ちが無いと解釈され、贈った事で更に機嫌を損ねてしまう可能性があるからだ。
花の咲き乱れる大陸だ。花を摘む事すら他人に任せてしまう様では異性に・・・。
因みに、ゼルフォーラ王国、ヴァルオリティア帝国、ララコバイア王国、ドラゴラルシム王国、アシュランス王国には、リビングやダイニングに花を飾る習慣は無い。
食事の際に強過ぎる花の香りの香水をつけるのもマナー違反。
だからだろうか?ゼルフォーラ大陸には、花屋や花売りは存在しない。
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花を育てる畑・・・なるほど、花専用の畑は、花畑になるのか・・・。
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「その御花畑で、果樹園用にと養蜂を始めたのですが、どういう訳か10日程で巣箱から蜂蜜が溢れ出してしまうので、毎週採蜜を行っています」
「毎週、蜂蜜が取れてるんですか?」
「どういう訳か毎週です」
「独立したスタシオンエスティバルクリュ内だけでですよねぇ~」
「はい」
不思議だ。何処から集めてるんだ?
「その採蜜した蜂蜜ですが、chefアランギー様がロイク様のタブレットに収納し管理しています」
俺の知らない所で、タブレットが有効活用されてたね・・・。しかし、1週間に1度採蜜出来る巣箱ねぇ~・・・。養蜂で生計を立ててる人が聞いたら、泡を吹いて倒れそうだな。
俺はタブレットで蜂蜜を確認する。
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はぁっ?
「採蜜を開始したのはいつ頃ですか?」
「7月の第1週目からです」
「3回の採蜜でだけでこんなにですかぁっ!」
「毎週、水の曜日に採蜜する事になっていますので、今週で4回目です」
4回目か。それでも816リットルって多過ぎる。1度の採蜜で、204リットル!?
「アルさん。巣箱は幾つ設置してあるんですか?」
「始めた当初は20箱だったのですが、溢れるので30箱に増やしました」
「増やしても、1週間で溢れてしまうんですよね」
「はい」
「凄いなぁ~」
巣箱が30箱だとして、1つの巣箱から1週間で、蜂蜜が6.8リットル。
マルアスピー村の公共養蜂場の巣箱は16箱。年1度の採蜜で約60リットル。住民419人(王民と領民のみ)で均等配分。家は3人だから約0.45リットル~約0.5リットル。バラのところは5人で約0.8リットル。100ccの小瓶を大金貨6枚3000NLで売ってたっけ。
100ccが3000NL。考えてみらた、蜂蜜って高く売れる食品だったんだな。うん?調味料か?いや、甘味料?・・・まぁ~良いや。売れる様ならロイスピーで販売するのもありか。
マルアスピーとchefアランギー様に要相談だな。
「chefアランギー様の御料理に使われている蜂蜜は、風味が豊で優しい甘さですよね。不純物一切無し最高級品のスタシオンエスティバルクリュ産100%だからです」
なるほどぉ~。
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気が付くと、船はもう中空池に浮いていた。
「水神珠の祭壇の隣に着けます。足元に気を付けて下船してくださいね」
「はい」
「ここ船着き場になってたんですね」
「妖精のお仕事の妖精さん達が、水神珠の5つの祭壇に、船着き場を設置してくれたんですよ」
船着き場の建設は、家事の範囲内って事か。
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迎賓殿の中を優秀なガイドに案内され見て周り。
徒歩で本殿へ移動し、本殿の中をとっても優秀なガイドに案内され見て周り。
徒歩で別荘へ移動し、別荘の中を物凄く優秀なガイドに案内され見て周り、家族達の部屋の場所を順番に確認し、最後の部屋へと移動した。
「マルアスピー様。パフさん。サラ様。アリスさん。テレーズさん。アル様。フォルティーナ様。元気なトゥーシェさん。妖艶なトゥーシェさん。バルサさん。メリアさん。カトリーヌさん。マリレナ様。バジリアさん」
エルネスティーネさんが読み上げた順番で回った訳では無い。だが、これは明らかにアルさんのミスだ。皆の部屋を回り切ってしまってかぁらぁのぉ~、もう1部屋って・・・。
「この部屋はぁ~......
「次は、ミュー様かサンドラ様のお部屋ですね」
あぁそうか。精霊のミューさんとか、剣聖のサンドラさんも居たな・・・。
≪ガチャ
アルさんは、最後の部屋のドアをゆっくりと開ける。
......エルネさんの御部屋です」
≪パンパン パン パパパン パン
≪エルネスティーネさん。改めて宜しくねぇ~
≪はいはい、宜しくなのじゃぁ~・・・
アルさんの言葉とほぼ同時に、最後の部屋と廊下に火薬未使用のクラッカーの乾いた音と、家族皆の明るく楽し気な声が響いた。めんどくさそうにしている輩が若干1名見受けられるが今日は許すとしよう。
「こ、これは・・・!?」
一応・・・。驚いてくれている様で、よかった。
フォルティーナとトゥーシェが創造神様公認の嫁となり、別荘に自分の部屋を持った日に、女神の強制と悪魔の欲望から始まった。我家の歓迎イベントの1つハレムパーティー。
ハレムパーティーとは、中空池の結界内で生活する事を許された存在が別荘に自分の部屋を持ち、俺の嫁許嫁として正式に家族の一員となった事を、新しく家族に加わった者の部屋で、御菓子や果物や肉。好きな物を好きなだけ飲み食いしながら祝い喜び騒ぎまくる奇祭の事である。
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「今日はエルネさんのお部屋でランチです」
「皆さん・・・。ありがとうございます」
「料理は、マルアスピー様とメリアさんとバルサさんとカトリーヌさんと私の5人で作りました。息吹の風よ力を求めしその名は【ブロウ】≫」
≪ヒュ―ッ
パフさんが、風属性下級魔法【ブロウ】を発動させると、料理の上に被せてあった大きな紙が宙に舞った。
「ハァ―――」
サラさんは、双剣を手に飛び跳ね。
≪シュシュシュシュシュシュシュッ
そして、宙に舞った大きな紙を一瞬で紙吹雪へと変えた。
サラさんって、剣の腕も凄かったんだぁ~。・・・・・・剣聖ボードワン天爵殿下の孫だし、剣聖サンドラさんの姪だし、聖騎士バルタザール王子の娘だし、騎士パトリシア妃の娘だし。あれ位は普通なのかな?
「あっ!サラ。料理に紙がぁっ」
「大丈夫よテレーズ。×△▼◇□☆◎◆×〇〇▲■$♂×△◎×※【テゥーリ】≫」
≪フゥ―↑ッ
サラさんが、古代言語らしき言葉を詠唱すると、料理へと降り始めた紙吹雪が再び宙へと舞い上がる。
「サラ。今のは何?」
テレーズさんだ。
「まだよ。次は、*♀××●☆##◎▽◆▼×$□Ωμ△〇※【トゥリ】≫」
≪ボッ ボボゥ ボゥー ボボゥ
紙吹雪が次々に燃え上がり煙となって消える。
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≪ジリジリジリジリジリ 火事です。火事です。ジリジリジリジリジリ 火災が発生しました。
≪シャァ―――
そして、天井から水が・・・。
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「サラ・・・何これ・・・?」
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夏で良かったです。
ずぶ濡れになりながら、本格的な奇祭を楽しみました。
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アシュランス王国は、先月の7月21日から、エルネスティーネさんの実家、亡トミーサス王国の元王族24名と、数人の元大貴族の身柄を保護している。
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≪亡トミーサス王国の元王族と他の状況≫
亡トミーサス王国の元国王ジィーヤン・ワーロン(60)の第2夫人ドーラ・ワーロン(39)。長女ルーシー・ワーロン(21)。次女エルネスティーネさん(19)。長男イザーク・ワーロン(16)。
エルネスティーネさんの家族3人には、実家フォン・ヴァルダー侯爵家との調整や亡王国の戦後処理が完了するまで、エルドラドブランシュ旧ファミリーエリアの4階にある部屋を個室で提供。
亡トミーサス王国の元国王の第3夫人ミトラ・ワーロン(26)。長男エトガー・ワーロン(8)。
この2人には、実家フォン・リウス伯爵家との調整や亡王国の戦後処理が完了するまで、旧ビジネスエリアの2階にある部屋を提供。
亡トミーサス王国の元国王の弟ゴーヤン・ワーロン(54)の第1夫人ヘルマ・ワーロン(38)。長男エンブレア・ワーロン(21)。
この2人には、実家フォン・コルドバ伯爵家との調整や亡王国の戦後処理が完了するまで、旧ビジネスエリアの2階にある部屋を個室で提供。
亡トミーサス王国の元国王の弟の二番目の妻達で、アイリッシュ・ワーロン(17)とパオチュン・ワーロン(17)。
この2人には、亡王国の戦後処理が完了するまで、旧ビジネスエリアの2階にある部屋を個室で提供。
元国王や元王妃やその他の元王族や元大貴族達には、旧ビジネスエリアの地下2階にある懺悔部屋通称独房を個室で提供。
元王太子ジャイアン・ワーロン(33)と第1夫人アリーナ・ワーロン(30)の長男ジュリヤン・ワーロン(10)と長女メグリーゼ・ワーロン(4)。元第2王子ジィージャン・ワーロン(30)と第1夫人クリム・ワーロン(29)の長男イ―ジャン・ワーロン(8)。元第1王女ローユー・フォン・マクシミリアン(26)と夫カールハルト・フォン・マクシミリアン公爵(39)の長男べーグハルト・フォン・マクシミリアン次期公爵(3)。
4人の未成年達は、王都スカーレットの各聖人教会によって1人ずつ保護されている。
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「部屋の家具は、この絵の中から好きな物を選んでください」
アルさんは、俺がタブレットで準備したコルト下界に存在する物体を紙に転写した【ピクチャー】という絵の山を手渡した。
「この絵の中からですか?」
エルネスティーネさんは、紙を数枚捲るとその手を止めた。
「これって、御母様の御部屋にあった・・・」
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ありがとうございました。