3-26 兄弟会合。JOBの常識が変わった日。
リーファ歴4075年8月8日、光の日。
この世界の自然の循環から独立した存在。ルトロヴァイユ宮殿。
俺は、自分の天球を、ルトロヴァイユ宮殿の様に人が生活出来る1つの箱庭として創り返る事にした。
神授スキル【マテリアル・クリエイト】の『創造・小』を『創造・中』へ強化していただいた事で、神気の効率が大幅に改善され、やれる事が増えたらしい。もしかしたら可能かもしれない。そう考えたからだ。
まずは、天球を倍の大きさにする事にした。半径約225.7168m。円周約1418m。体積約48170401㎥。球の表面積約640232㎡。余裕で成功した。
気を良くした俺は、生活出来る箱庭のヒントを得るべく、創造神様の箱庭ルトロヴァイユ宮殿の精密調査を行った。
創造神様の箱庭は、半径約429.0326m。半円周約1348m。半球面の面積約578269㎡。体積約165397306㎥。形状が球では無く半球だった。体積を2分の1にする事で、統制に必要な自然魔素や自然の力の循環を理論上2分の1に抑え、浮いた力を利用し安定した面積を平面の状態で維持。活用可能な環境を巧みに創造していた。
傑出していたのは、効率だった。創造神様の箱庭ルトロヴァイユ宮殿の体積は、2倍にした俺の天球の体積の約3.4倍。
約3.4倍の体積にも関わらず、自然の循環効率は約575倍。自然魔素の循環効率に至っては約2197倍も高かった。
そこで、創造神様を見習い。俺も天球を半球にする事にした。結果は大失敗。何度試しても球に戻ろうと反発する力を抑え切れなかった。
『創造・中』にはなったが、俺の場合は自然の循環を維持させる為、未だに形状を球にする必要があると悟った。創造神様の凄さを改めて知る事になった。
この程度の失敗で諦める俺ではない。それならばと、天球を可能な限り大きくする事にしてみた。これはかなり大きな実験になる。俺は聖梟獣のサビィ―さんの並行空間。異空に目印として漂わせている宝玉へと神授スキル【フリーパス】で移動した。
結構色んな物を投棄したはずの空間には宝玉以外に何も存在していなかった。空間を調べてみた結果。目印として漂わせておいた宝玉が、フォルティーナや俺が粉砕し投棄したコルト下界の物質を全て取り込み、内側で自然魔素を生成している事が分かった。そして、この空間は約3000Km×約3000Km×約3000Kmの立方体だという事も分かった。
そう。実験するのに最高の空間がここに存在していた。
実験の結果は、半径約1273.2771m。円周約8000m。体積約8646839430㎥。表面積約20373035㎡。
これ以上は、1mmでも大きくすると付きっ切りで管理する必要があった。
どうやら、『創造・中』は『創造・小』より、約1436倍の効率で自然魔素をコントロールする事が可能。神気の効率が幾ら上がったのかを調べる手当ては無いが、小から中に強化された事で約1436倍は本当に凄い事である。
約1436倍を実感する為に、レミレリラスを以前の感覚のまま1t創造してみた。目の前の空間には、約1436tのレミレリラスが現れた。
タブレットに収納し、神界で取引中だと思われるフォルティーナに、神授スキル【レソンネ】で、値崩れしない程度に宜しくと伝え、他の実験を開始した。
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この日、俺は、目印として宝玉を漂わせた聖梟獣サビィ―さんの並行空間に、研究や実験に関係する俺専用の施設や部屋を移し。異空に名を付けた。
【奥座敷】と・・・。
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これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......
―――R4075年8月8日(光)
神授スキル【タブレット】『ゲームDX』
R4075年8月6日(聖)午後の分:1回
R4075年8月7日(邪)午前の分:1回
R4075年8月7日(邪)午後の分:1回
R4075年8月8日(光)午前の分:1回
R4075年8月8日(光)午後の分:1回
『ゲームGOD』まで後5回分
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俺は、アシュランス王国の首相ルードヴィーグ・ダダ侯爵(722)【エルフ族】、内務大臣兼副首相マクドナルド・ガリバー公爵(29971)【ハイエルフ族】、法務大臣アストリス・ヴェロニカ伯爵(8439)【ハイエルフ族】、国防大臣ヨランダ・ヒース伯爵(733)【エルフ族】、文化大臣スヴェレ・サヴィニア伯爵(579)【エルフ族】を引き連れ、ゼルフォーラ王国聖都モルングレーのパレスエリアにある王宮の外交の間に来ていた。
ゼルフォーラ王国側からは、国王イヴァン・ルーリン聖王陛下(56)【ユマン族】、国務大臣兼宰相パトリック・ミィストゥリィー前公爵(59)【ユマン族】、外務大臣アラン・トゥージュー公爵(50)【ユマン族】、軍務大臣レイモンド・マーガレット辺境伯爵(50)【ユマン族】の4人が出席した。
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「本日の兄弟会合は、連合国家フィリー非加盟国に対する外交方針と両国の国防について協議する事になっていたはず。アシュランス王国の軍務大臣は如何なされたのかな?」
兄弟会合とは、ゼルフォーラ王国の聖王とアシュランス王国の国王が出席する会議の事で、両国にとって自国の最高意思決定機関に準じ、時にそれ以上の権限を有する会合である。
パトリック宰相は、相変わらず辛辣が服を着ている感じで一切ブレを感じさせない。
「パトリック宰相閣下。我が国の外務大臣は、chefアランギー様です。chefアランギー様は、神が兄弟会議に出席しては、ゼルフォーラ王国側の出席者に気を使わせてしまうとお考えになり出席を辞退致しました。chefアランギー様の出席を御希望でしたら、この外交の間に今直ぐお呼び致しますが、如何なされますか?」
ルードヴィーグ首相の1言に、パトリック宰相の顔色が青褪める。
「かか、神々様方の御心遣いに、か、感謝致します・・・」
「ハッハッハッハ。宗教も神も信じぬお前が、神に感謝とはな。ハッハッハッハ。愉快愉快」
「陛下・・・。わ、私はあの邪教を」
「皆迄言うな。お前の望み通りこの国から消え失せたのだ。ハッハッハッハ」
「ゼルフォーラ大陸からいえ世界から今直ぐにでも根絶すべき紛い物です」
世界創造神創生教会が何をやってきたのか、マリレナさんからその黒い歴史を聞いたばかりで記憶に新しい。大ゼルフォーラ書記、大ゼルフォーラ白書、大ゼルフォーラ法典。神殿や社。神官や巫女。・・・教えても良いものだろうか。
「それで、パトリック宰相閣下。我が国の外務大臣の出席を御希望になられますかな?」
「い、いえ・・・。chefアランギー様の分も不肖このパトリック・ミィストゥリィー誠心誠意全身全霊を以て、この会合に臨ませていただきます」
「おい。パトリック。お前はゼルフォーラ王国の宰相であって、アシュランス王国の宰相ではない。程々に頼むぞ」
「へ、陛下・・・」
「ハッハッハッハッハ。お前がしどろもどろする様は実に愉快だ。ハッハッハッハ」
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会合はスムーズに進む。
「我が国は、兵士達を、兵士見習い、二等兵、一等兵、上等兵。練度に応じ4つの階級に分け管理しています」
ヨランダ国防大臣は、淡々と説明している。
「一兵卒にまで階級が存在するのですかぁっ!」
レイモンド軍務大臣は、ゼルフォーラ王国の4人を代表して、先程からヨランダ国防大臣を質問攻めにしている。
「そうです。兵士が武具を使い熟せず、指揮官の命令通りに動く事が出来なければ、例え武具や指揮官が優れていたとしても、実戦では何の役にも立ちません」
「確かにそうですな。・・・ところで真なのでしょうか?」
「と、言いますと」
「世界中の国々が【JOB適合制】を採用している中、アシュランス王国は【職業軍人制】を採用しているとか・・・」
「その通りです」
「NBT・JOBの者が兵士に含まれているという噂を耳にしたのですが・・・」
「はい。ですが、戦う能力を持たぬ者を採用する事はありません。BT・JOB又はLBT・JOBを、JOB・inhかJOB・cho2以降かJOB・cho1に所持する者のみを採用しております」
「JOB・cho1が、BT・JOBやLBT・JOBで無くても良いのですか?・・・JOB・cho1がNBT・JOBでは兵士として役に立たないと思うのですが・・・」
「はい。従来のままでは、JOB・cho1がNBT・JOBでは、戦う能力を持たぬ一般人です。兵士としては役に立ちません。ですが、我が国では陛下の御力によって、JOB・cho1以外のJOBも認識される為、JOB・cho1がNBT・JOBの者を兵士として採用する事が可能なのです」
「JOB・cho1以外のJOBも認識されるとはどういう事でしょうか?」
「JOB・cho1以外に所持する。停止状態のJOBの効果がステータスに反映され、スキルを扱う事が出来る様になると言う意味です」
「な、何とぉっ!」
レイモンド軍務大臣は、驚きの余り目を見開き、少し間の抜けた表情のまま、イヴァン聖王やパトリック宰相やアラン外務大臣の様子を伺い反応を確認している。
「そ、そんな事が・・・」
アラン外務大臣は、俺へと確認の視線を飛ばして来た。俺は肯定の合図として小さく頷いた。
「ロイク。あぁ・・・。これは失礼した。アシュランス王は、JOB・cho1以外のJOBを認識させる事が出来るのかねっ!?」
イヴァン聖王は、興味津々まるで少年の様な表情で食い入る様に俺を見つめている。
「私の曲解かもしれませんが、アシュランス王のその御力があれば、今迄JOB適合制に縛られ平時に於いては財政の負担でしかなかった兵士達を、JOB・cho1が、BT・JOBやLBT・JOBでありながら、JOB・cho1以外に所持するJOBの適正に応じた仕事に就けられ、緊急時はそのまま兵士として招集出来るという事ですか?」
パトリック宰相は、未来像を語った。
生産系や技能系のJOBは、ステータスに反映するスキルの効果が大きいJOB程、JOB・cho1として転職する事が難しい。
上位のJOBに転職する為には、修行し精進し腕を磨き経験を積みJOBのレベルを上げ、適性を有する者を目指すしかない。
だが、JOBの経験を積む事が出来るのは、個体レベルが2未満でJOB・choの設定が出来ず、誕生と同時に所持するJOB・inhのJOBが全て見習いの状態にあるか、JOB・choかJOB・cho1に設定しているJOBだけである。
兵士達のJOB・cho1を、BT・JOBやLBT・JOBへと転職させてしまうと、貴重な生産系や技能系のJOBが停止状態になり、経験を積む事はおろかスキルを扱う事すら出来なくなる。
ゼルフォーラ王国に限られた話になるが、緊急時に徴集されるメルセネールギルド所属の傭兵達を頼るのも1つの手ではある。アドベンチャーギルド所属の民間人。傘下のメルセネールギルド所属の準軍属や、アローギルド所属の民間人。そして、パレスマージ隊に所属していないマージギルド所属の民間人。ゼルフォーラ王国の正規軍より遥かに優秀で実力は申し分無い。だが、宮仕えではない彼等に忠誠心は無い。軍の命令や指示に正確に従い動く者はいないに等しい。
その為、【準軍属制】を採用し、緊急時に兵士の確保が容易なゼルフォーラ王国であっても、各国と同様一定数の軍事力を常時維持しておく必要があった。
だが、平時に於いて、貴重な生産系技能系JOBを停止状態にし、兵士として訓練し経験を積ませ鍛え上げる事は、長い目で見ると王国としては損失でしかない。
可能な限り、BT・JOBやLBT・JOBのみをJOBに所持する者を兵士として採用しているが、そんな人材はとても少ない。
非常時に、NBT・JOBの者を緊急徴集し、BT・JOBやLBT・JOBへと慌てて転職させ、付け焼刃な兵士を編成したところで、何が出来るだろうか。
転職させている間に、手遅れになってしまう可能性もある。
兵士としてのメリットとデメリット。民間人としてメリットとデメリット。無駄が多く、その無駄を理解していても改善する術が無い。
パトリック宰相の未来像は、この世界に存在する。アシュランス王国以外の全ての国々にとって理想像であり夢物語。
そんな、今迄の常識を覆す事が、
「我が国の国王陛下の御力があれば可能になります」
ヨランダ国防大臣は、予定通り強い口調で断言した。
「アシュランス王よ。その御力の恩恵を何卒ゼルフォーラ王国にもお与えください」
「本日は、そのつもりで、我が国は会合に出席しました」
≪おぉ~
ゼルフォーラ王国側の4人は感嘆の声を上げた。
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「アシュランス王国の王都スカーレットのスカーレット大神殿にある創造神様の祭壇の前で祈りを捧げるか。各地で建立が進められている幸運の神殿の女神様の祭壇の前で祈りを捧げる事で、停止状態にあるJOB・cho1以外のJOBが稼働状態に切り替わるのですね」
「そうです」
パトリック宰相とレイモンド軍務大臣とヨランダ国防大臣の長い会話がやっと終わった。
どれ、1言付け加えておくかな。
「ロイーナに関しては、今月中に全員俺がやる予定です。なので、イヴァン聖王陛下とパトリック宰相とアラン外務大臣とレイモンド軍務大臣は今ここで済ませてしまいませんか?」
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「アシュランスカードでステータスの確認をするのは、会合が終わってからにしていただきたいのですが、宜しいかな?」
「も、申し訳ありません。ヨランダ国防大臣閣下。ア、アラン殿、レイモンド殿。へ、陛下もです。会合に集中してください」
「う、うむ。そうだなぁっ!パトリックの言う通りだ。アラン。レイモンド。チェックは会合の後だ。さっさと終わらせて、チェックの続きをやるぞ」
「「はい。陛下」」
会合の方が重要ですよぉ~・・・。
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レイモンド軍務大臣は、会合の議題が両国の軍の標準装備の話題に変わっても、ヨランダ国防大臣を質問攻にしていた。
「ゼルフォーラ王国軍の武具をパマリ・クロシェット侯爵領の貴族領軍私兵隊が標準装備する武具に統一した場合の代金は、約6000億NLの50%OFFで約3000億NL。アシュランス王国軍や警備隊や騎士団が新たに採用した最新の武具に統一した場合の代金は、約8000億NLの30%OFFで約5600億NL。パマリ・クロシェット侯爵領の貴族領軍私兵隊の標準装備は、アシュランス王国の1つ前の装備で間違いありませんか?」
「間違いありません。何でしたら、
ジェルマン・パマリ・クロシェット侯爵に、確認していただければと思います」
「この会合で、今更虚偽も無かろう」
パトリック宰相は、2つのテーブルに並べられた武具を見比べ、武具から視線を外す事無く呟いた。
「そうだな。パトリックの申す通りだ。レイモンド続けよ」
1つ前の武具が並べられたテーブルから1本の槍を手に取り、イヴァン聖王陛下も、パトリック宰相同様視線を外す事無く呟いた。
「はっ!畏まりました」
レイモンド軍務大臣は、略式ではあるが臣下の礼をとった。
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「1つ前の武具と最新の武具の性能には、どれ程の違いがあるのでしょうか?」
「パマリ・クロシェット侯爵領の領軍が標準装備している武具は、我が国が装備を一新する前に採用していた標準装備と全く同じ物です。この武具の素材には、国王陛下自らが考案し生成した【シャレット合金・改3】という合金を使用しています。素材の比率は、ミスリルが29%、スチールが21%、クリスタルが40%、ヒスイが10%」
「なぁっ!・・・」
イヴァン聖王陛下は、販促用に並べられた武具を手に取り確かめていだが、驚きの声を上げると、手に持っていたシャレット合金・改3の槍をそっとテーブルの上に置いた。
「ミスリルが29%もぉっ!」
アラン外務大臣は、目の前に置かれたガントレットを手に取り呟いた。
「この武具類は、ミスリルを29%も使用しているのですか?」
パトリック宰相は、顔色1つ変えず、努めて平静を装ってはいる様だったが、茶を飲むその手は震えていた。
「はい。シャレット合金・改3は、ミスリルの比率が29%です」
「アア、アシュランス王国では、このこの、このき貴重なミスリル製の武具を一兵卒にまで支給しているのですかぁっ!?」
レイモンド軍務大臣は、呆けた表情で遠くを見つめていたが、職務を再開した。
「我が国では新たに採用し支給した武具がありますので、シャレット合金・改3製の武具の支給は現在行われておりません。現状に於いてシャレット合金・改3製の武具を採用しているのは、パマリ・クロシェット侯爵領の領軍のみです」
「そ、そうでした。このテーブルに並べられた武具は、パマリ・クロシェット侯爵領の貴族領軍私兵隊では標準装備として採用されており、アシュランス王国では1つ前のの武具でしたな。・・・あちらのテーブルに並べられた最新の武具は、シャレット合金・改3製の武具より更に凄い事になりそうで、聞くのが恐ろしいのですが・・・ハァー。仕事ですので、質問します。最新の武具は1つ前の武具とどう違うのでしょうか?」
「はい。我が国が新たに採用した武具には、【ミスリル合金・大樹】という合金を使用しています。この合金も陛下が考案し生成した物です。素材の比率は、ミスリルが59%、スチールが1%、クリスタルが30%、ヒスイが10%です」
「ご、ご、・・・ご、59%ぁ~↑!?・・・も・・・」
「はい。ミスリル合金・大樹は、シャレット合金・改3の2倍以上のミスリルを使用しております」
「ロ、ロロイク。ゼ・・・ゼルフォーラ王国では、こ国宝に匹敵するぞ・・・国宝級・・・国宝級・・・国宝級・・・国宝・・・級・・・」
さっきから、ロイクに戻ちゃってるしぃー。まぁ~別に良いけど・・・。
イヴァン聖王陛下は、最新の武具を並べた台の前で立ち竦み、国宝級国宝級と小さく呟き続けていた。
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「アシュランス王国側が持つ2つのミスリル鉱山のミスリル鉱物の採掘は順調の様ですなぁ~」
「パトリック宰相閣下。我がアシュランス王国では、ミスリル鉱物の採掘は行っておりません。王国に普及しているミスリル製品の多くは、ゼルフォーラ王国のブオミル領侯都ロイの鉱石商から買い付けた鉱石です」
ルードヴィーグ首相は、パトリック宰相の言葉に、ゼルフォーラ王国にとって喜ばしくない現実で返答した。
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ミスリル鉱物を鉱石へと加工する為には、通常スキル【加工・鉱物】【加工・ミスリル】【加工・全】【加工・万能】。神授スキル【上位加工・鉱物】【上位加工・ミスリル】【上位加工・全】【上位加工・万能】等の適正スキルが必要だ。スキルやスキルレベルによって加工可能なミスリル鉱石の純度が異なる。
そして、鉱石を商品へと加工する為には、通常スキル【加工・武器】【加工・防具】【加工・装飾品】【加工・武具】【加工・雑貨】【加工・ミスリル】【加工・全】【加工・万能】。神授スキル【上位加工・武具】【上位加工・雑貨】【上位加工・ミスリル】【上位加工・全】【上位加工・万能】等の適正スキルが必要だ。スキルやスキルレベルによって加工可能なミスリル鉱石の純度や完成度が異なる。
現在は大樹の森の領域内である事から、アシュランス王国の管理下にある。ゼルフォーラ王国ブオミル領侯都ロイの旧職人街。
旧職人街の職人達の腕を以てしても、純度20%以上の鉱石を加工出来る者はいなかった。スキルレベルが不足している者。スキルを所持していない者。理由は様々だ。
鉱石を商品へと加工する為のスキルを所持する者は2人しかいなかった。1人は【加工・武具】。もう1人は【加工・武具】【加工・雑貨】。2人共、スキルレベルは1だった。ミスリル製品を騙った武具や装飾品にミスリルが含まれていなかったのにも頷ける。2人のレベルでは1%以下のミスリル鉱石でも失敗する可能性が非常に高いからだ。
ロイの旧職人街ですらこの有様だ。ゼルフォーラ王国には、ミスリル鉱物や鉱石を高いレベルで加工可能なスキル所持者が不足している。もしかしたら1人もいないのかもしれない。
ミスリル鉱石を低い純度か素材のまま売り。商品として加工されたミスリル製品を買う。そして、両国には関税が存在しない。(取引時の国税と地方税は存在する)
アシュランス王国には、ロイの旧職人街の他に、ダカイラ州の州都ダカイラに住むドワーフ族の中に、スキルを所持する者が多く存在する。
ただ、スキルを所持していても加工の経験が皆無では宝の持ち腐れになってしまう。そこで俺は、ロイの旧職人街の2人と、スキルを所持するダカイラのドワーフ達に、スキルレベルに合わせて、ミスリル鉱石の純度を調整し、練習用にとミスリル鉱石を無償で提供した。
勿論、鉱物も無償で提供している。実は、ロイの鉱石商から購入している。鉱物や純度の低い鉱石は、旧職人街とダカイラに全てまわしている。
アシュランス王国が新たに採用した武具も、ジェルマン侯爵のところの領軍の武具も、外交の間のテーブルに並べられた武具も、全て俺が創造し量産したインチキ武具。インチキだから国宝級なのである。
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「我が国の技術者がもう少し育ちましたら、両国の技術向上の為にも、適正スキルを所持する技術者の交換留学等行いたいものです」
「・・・そ、そうですな。ルードヴィーグ首相」
パトリック宰相は、ルードヴィーグ首相を刺すような視線で睨み付け、唇を引き攣らせながら小さな声で答えた。
「そのミスリル製品の規格の件なのじゃが、chefアランギー様より託けを預かっております」
ん?マクドナルド内務大臣。俺、その話聞いてませんよね?
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≪連合国家フィリー加盟国は強制的に採用≫
ミスリル鉱石を使用した製品の呼称
【ピュアミスリル100】
:ミスリル100%の製品
【ベストミスリル〇〇】
:ミスリル90%以上100%未満
【ハイミスリル〇〇】
:ミスリル70%以上90%未満
【ミスリル〇〇】
:ミスリル50%以上70%未満
【ローミスリル〇〇】
:ミスリル20%以上50%未満
【ワンスミスリル〇〇】
:ミスリル0.001%以上20%未満
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ミスリルは、6つの呼び方に分けられ、呼称の後ろに、パーセンテージの数字を付け取引する事になった。
アシュランス王国が新たに採用した武具を、chefアランギー様の規格で呼称すると【ミスリル59製武具】となり、以前の武具を呼称すると【ローミスリル29製武具】となる。
呼称が面倒な事もあり、ミスリルのみで良かったと安堵の表情を見せたゼルフォーラ王国側の出席者4人。
彼等は、chefアランギー様が、マクドナルド内務大臣に託けした。ミスリル製品の呼称が、その他の金属や金属以外の製品にも広く用いられる時代が来るとは思いもしなかっただろう。
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そして、兄弟会合は終了した。
ありがとうございました。