3-25 ルトロヴァイユ宮殿で凄い人発見の日。
リーファ歴4075年8月7日、邪の日。
≪第2回『ゲームGOD』の獲得商品はぁっ!・・・これです
神授スキル【タブレット】『ゲームGOD』
R4075年8月6日(聖)
【対象者】ロイクとその家族眷属達 のみ
①異次元世界『栄光の世界』に
14個の試練を追加しました。
※既存の試練※
1.英雄風の試練
2.力の英雄の試練
3.知の英雄の試練
4.英雄王の試練
※追加の試練※
1.地の英雄の試練
2.水の英雄の試練
3.火の英雄の試練
4.風の英雄の試練
5.聖の英雄の試練
6.邪の英雄の試練
7.光の英雄の試練
8.闇の英雄の試練
9.樹の英雄の試練
10.無の英雄の試練
11.英雄王の試練・改
12.英雄王の試練・激
13.英雄王の試練・破
14.英雄王の試練・極
②異次元世界『栄光の世界』に
2個の迷宮と1個の洞窟を追加しました。
1.聖獣の楼閣迷宮
2.邪獣の地下迷宮
3.古代竜の巣窟
③八十神商店街に両替機を設置しました。
創造神銀貨540枚=創造神金貨1枚
④スカーレット大神殿の
最上階の1つ下の階に、
ロイーナの為に、
2つの温泉と保養休憩施設を設置しました。
今後最上階の施設を利用出来るのは、
ロイクとその家族眷属のみです。
⑤神気スキル【絆・眷属神】
※神気の最大値が上昇します※
※ロイクの神気には①が加算※
※眷属神の神気には②が加算※
信頼度 1~49%①眷属神の神気+10%
②+1
信頼度50~59%①眷属神の神気+50%
②+5
信頼度60~69%①眷属神の神気+65%
②+7
信頼度70~79%①眷属神の神気+80%
②+10
信頼度80~89%①眷属神の神気+100%
②×2
信頼度90~99%①眷属神の神気+140%
②×5
信頼度 100%①眷属神の神気+200%
②×10
⑥神授スキル【絆・眷属】
※ロイクは神気の最大値が上昇します※
※眷属はステータス値が上昇します※
※ロイクの神気には①が加算※
※眷属のステータス値には②が加算※
信頼度 1~ 9%①+0
②眷属の数値+10%
信頼度10~19%①+1
②眷属の数値+20%
信頼度20~29%①+2
②眷属の数値+30%
信頼度30~39%①+3
②眷属の数値+40%
信頼度40~49%①+4
②眷属の数値+50%
信頼度50~59%①+5
②眷属の数値+60%
信頼度60~69%①+6
②眷属の数値+70%
信頼度70~79%①+7
②眷属の数値+80%
信頼度80~89%①+8
②眷属の数値+90%
信頼度90~99%①+9
②眷属の数値+100%
信頼度 100%①+20
②眷属の数値+200%
―――
≪第3回『ゲームGOD』の獲得商品はぁっ!・・・これです
神授スキル【タブレット】『ゲームGOD』
R4075年8月6日(聖)
【対象者】ロイク のみ
①神具雑貨【スフェールカプリス】
:10個(タブレットに収納済)
※眷属神の神気が20倍になる※
※1眷属神に対し1度のみ使用出来る※
②神具雑貨【スフェールサクレ】
:20個(タブレットに収納済)
※眷属神の神気が5倍になる※
※1眷属神に対し1度のみ使用出来る※
③神気雑貨【スフェールエスポワール】
:30個(タブレットに収納済)
※眷属神の神気が4倍になる※
※1眷属神に対し1度のみ使用出来る※
④神具雑貨【スフェールエスプリ】
:40個(タブレットに収納済)
※眷属神の神気が3倍になる※
※1眷属神に対し1度のみ使用出来る※
⑤神具雑貨【スフェールアルカンシエル】
:50個(タブレットに収納済)
※眷属神の神気が2倍になる※
※1眷属神に対し1度のみ使用出来る※
⑥神気スキル【所持スキル統制管理】
※所持スキルの精度向上※
※子供用スキル【神気補助】を停止※
⑦家シリーズDX
:物件多数(タブレットに収納済)
※建物内の属性に注意し活用する事※
≪お奨め物件≫
1.神気スキル修練施設
※コルト下界の環境にそっくりな空間です※
※施設から出るとリセットされます※
2.魔術魔法スキル修練施設
※コルト下界の環境にそっくりな空間です※
※自然魔素供給率200%※
3.グランディール城
※中央塔の最上階には創神殿があるよ※
※エルドラドブランシュの隣に設置しよう※
4.アーム回廊
※3本の回廊と2つの中庭があるよ※
※グランディール城と
エルドラドブランシュの間に設置しよう※
5.ルトロヴァイユ宮殿
※大きな庭園の中央に宮殿があるよ※
※グランディール城の北東に設置しよう※
―――
各種スキルの確認。タブレットに収納している物の確認。タブレットの各種機能の確認。
そして、創造神様の希望たぶん御意向に従い、グランディール城とアーム回廊とルトロヴァイユ宮殿を指定していただいた場所に設置した。
グランディール城と、ルトロヴァイユ宮殿には、警備隊の詰所が新設される事になった。
この日、エルドラドブランシュは、名実共に俺の家になった。個人の家としては広過ぎる。親交のある神々様や眷属神や眷属専用の部屋を設ける事にした。
エルドラドブランシュの、ビジネスエリアとファミリーエリアを統合して、全域を家族や眷属や眷属神や神々様専用の新ファミリーエリアに大改築した。
旧ビジネスエリアは、旧ファミリーエリア4階と同じ無域の結界が展開している。無域の結界とは、ここコルト下界その物の事で、コルト下界の存在にとっては普通の空間の事である。
俺の家として自由に使える空間が増えた事を機に、エルドラドブランシュで働く者達の居住区を、旧ファミリーエリア4階から旧ビジネスエリアの1階に移動させた。
今回の大改築で、我家にはリビングダイニングルームが4つから6つに増えた。
1つは、俺が良く居る旧ファミリーエリア3階建物中央にある精霊界の精域と同じ結界で覆われたリビングルーム。
1つは、旧ファミリーエリア1階北東角にある魔界の悪魔域と同じ結界で覆われたリビングルーム。騒がしい方のトゥーシェにも当然専用の部屋がある。だがこのリビングは騒がしい方のトゥーシェによって中半私物化されている状態にある。
1つは、旧ファミリーエリア2階建物中央にあるコルト下界の聖域と同じ結界で覆われたリビングルーム。
1つは、旧ファミリーエリア4階建物中央にあるコルト下界の無域の結界で覆われたリビングルーム。
増えたのは、旧ビジネスエリア2階南西角のリビングルームと5階南西角のリビングルームである。
エルドラドブランシュ内で最高の立地らしい5階のリビングルームの北隣にある51㎡程の部屋は、フォルティーナが女神の権利を行使し神界にいながらにして自室とした。海岸と海と空しか見えない部屋である。
主張すると良い部屋が自分の物になる。そんな決まりを作った覚えは無い。だが、5階のリビングルームを中心に、部屋は埋まっていった。
結果的に......
......こうなりました。
騒がしい方のトゥーシェと女王様な方のトゥーシェと俺以外は皆、エルドラドブランシュの旧南地区5階にも自分専用の部屋を持ちました。
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亜神や神になった際のステータス値や能力については、神界神域の文字かもしれない文字を理解してからという事になった。
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これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......
―――R4075年8月7日(邪)
神授スキル【タブレット】『ゲームDX』
R4075年8月6日(聖)午後の分:1回
R4075年8月7日(邪)午前の分:1回
R4075年8月7日(邪)午後の分:1回
『ゲームGOD』まで後7回分
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今日は、昨日改築したばかりのエルドラドブランシュ5階にあるリビングダイニングルームで、朝食と昼食を摂った。
このリビングダイニングルームは、西側と南側が全面大きな窓になっていて、エルドラドブランシュ5階の中央にある東側と西側が全面窓になっている旧俺の執務室と同様非常に開放的な造りになっている。
尚、旧俺の執務室は、新俺の書斎兼趣味部屋。つまり完全なるプライベートルームとして再スタートを切っている。
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そして、今現在。
俺は、家族と昼食後のティータイムを、昨日設置したばかりのルトロヴァイユ宮殿の3階南西にあるテラスで楽しんでいる。
女性陣から庭園を眺めながら楽しみたいとの要望があり、400cm×400cmの空飛ぶ絨毯で宙を飛行移動しながらティータイムを楽しみ、最終的に南西にあるテラスに落ち着いたからだ。
移動に使った。400cm×400cmの空飛ぶ絨毯は、先日の屋外ディナーの時のままタブレットに収納しておいた。タブレットから取出すだけで、空飛ぶリビングルームセットとして機能する。考案者のアランギー様に感謝感謝だ。
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「ロイク様。この宮殿には、このテラスの他に、北東と北西と南東にも同じ位のテラスがあるのですか?」
パフさんは、心地良い海風と眼下に広がる色彩豊かな庭園を眺めながら、少し興奮気味に話掛けて来た。
俺は、タブレットの画面でルトロヴァイユ宮殿の見取り図を確認しながら答える。
「みたいです。北東側にあるテラスには『テラスイヴェール』って名称があるみたいです。主に冬に輝きをます植物を観賞する為のテラスなんだそうです。南東側のテラスの名称は『テラスプランタン』で、主に春に輝きをます植物の観賞用。ここ南西側のテラスの名称は『テラスエテ』で、主に夏に輝きをます植物の観賞用。そして北西側のテラスの名称は『テラスオートヌ』で、主に秋に輝きをます植物の観賞用みたいです。正面が真北になってるのは、真南に春と夏の輝きを集めたからだと説明文にあります」
「そうなんですねぇ~」
「良く分かりませんが、そうみたいです」
「このルトロヴァイユ宮殿は、庭園と宮殿だけでこの世界を表現しているようね」
「マルアスピー様。宮殿と庭園が私達の世界をですか?」
「えぇ。さしずめ、ルトロヴァイユ宮殿は、大樹の森の聖域の精霊樹ってところかしら」
「なるほどねぇ~。四季を表現すると、息吹の春、火焔の夏、結束の秋、水煙の冬。そして大樹の休息。聖域を語らずして季節を語れる者はいない。まさに」
「アリス。それ大ゼルフォーラ書紀の一節じゃない」
テレーズさんは、カッコ付けて語るアリスさんの言葉を遮った。
「あっ。バレたぁ~。アハハ」
「ゼルフォーラ王国民なら殆どの人が知っていると思いますよ」
サラさんは、笑って誤魔化すアリスさんに、若干呆れた雰囲気だ。
「私。それ知らないです」
「「「えっ!」」」
アリスさん、テレーズさん、サラさんの3人は、パフさんの言葉に驚き同時に反応した。
「ぅわたひぃもひらないえすお」
バルサさんは、エクレアを頬張りながら会話に参加する。
「私も知らないです。どんなお話なのですか?」
カトリーヌさんは、シナモンたっぷりのアップルパイをナイフとフォークで上品に食べながら、大ゼルフォーラ書紀について質問した。
「・・・本当に知らないのですか?」
アリスさんは、パフさん、バルサさん、カトリーヌさん3人の顔を交互に見つめた。
「カトリーヌさんは、ゼルフォーラ王国出身ではありませんし知らなくても不思議ではないと思います」
メリアさんは、俺が無理矢理発酵させて作った神茶の紅茶を飲み、笑みを浮かべながら満足気な表情で、カトリーヌさんをフォローした。
「それもそうね。でも、パフさんやバルサは、私と同じコルト出身よね。学校で習いませんでしたか?暗唱の授業が低学年の時にありましたよね?」
「私は、コルトの衛星集落出身なので学校には通っていません。月に3回教会で勉強を教わったくらいで・・・」
「私は孤児だったの学校には行ってないです。修道士様や修道女様から簡単な読み書きや計算を教わったくらいです」
アリスさんに悪気は無い。何だか話が暗くなって来たぞ。ここは1つ!
「パフさんもバルサさんも安心してください。2人は間違い無く俺より賢いです。マルアスピー村には学校どころか教会すら無かったので、俺なんか幼い頃から勉強そっちのけで、大樹の森を走り回ったり、弓の練習をしたり、物心付く前から親父と狩り三昧の日々でした。ハハハ」
「ロイク。それ・・・。フォルティーナの真似よね・・・?」
マルアスピーは、やや退き気味で俺に話掛けて来た。
何かミスったのか?
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たぶん俺のせいで、微妙な空気のまま会話が続く。
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女神が現れた。フォルティーナではありません。微妙な空気を救ってくれたのは、マリレナさんだった。
「その大ゼルフォーラ書紀は、ヴァンのエルフ一族がゼルフォーラ大陸中から集めた情報を基にまとめ上げた物なんですよ」
「エルフ族が記した歴史書だったのですか?」
「サラ。大ゼルフォーラ書記は、創造神様が・・・あっ!これって、世界創造神創生教が・・・」
「テレーズ。そこなのです。私は世界創造神創生教が関わっている事が気になって、改めて大ゼルフォーラ書紀に目を通してみたのです。根拠や証拠が何1つありませんでした。無いにも関わらず何故か世界創造神創生教はゼルフォーラ大陸で大ゼルフォーラ書紀を創造神様から神授された物だと説いています。マリレナさんの話で何となく答えが見えて来ました。その前に1つ確認しますね。ヴァンのエルフ一族は、世界創造神創生教を信仰していないのですよね?」
「創造神様を信仰する者はいても、おかしな宗教を信仰する愚か者はいませんでしたよ」
おかしな宗教を信仰する愚か者って、俺達の事ですよね。マリレナさん・・・。まぁ~、家は信仰してないに等しいか。
「はい。私達ヴァンのエルフ一族は、創造神様を神拝し精霊様を礼讃しますが、不埒な教えを推尊する事はありませんでした」
バジリアさん。不埒な教えですか・・・。確かに、今では邪教とか誤教とか悪教とか偽教とか負教とか呼ばれるてる。それに、ガルネス神王国の教王庁からは未だに信仰している数少ない信者に対し、愚か極まりない行為を強いる律法とかいう命令が出されてる。
「サラさん。成人の儀式の際にバースデイ・スキルを神授していただきますよね」
「はい」
「私達エルフ種には、バースデイ・スキルが存在しません」
「教会で洗礼を受け、成人の儀式を受けてもでしょうか?」
「私はモルングレーで生まれ、モルングレーで育ちました。洗礼にも儀式にも参加しましたが、創造神様よりバースデイ・スキルを神授される事はありませんでした。祖父や両親の話では、エルフは高い【INT】【MND】【MP】そして長い寿命を持った存在故に、ユマン種が16歳の時に神授され所持する神授スキルを、生涯を通し幾つも自力で所持する事になる。その為、バースデイ・スキルを神授される事が無いそうなのです」
へぇ~。
「メリアさんは、世界創造神創生教だったのですか?」
「祖父も父も私もゼルフォーラ王国のパレスマージで士爵でしたので、中半強制的にモルングレー大聖堂所属の貴族の信徒として登録されました」
「あそこならやりそうね」
「ですが、祖父や両親はお金を納めるだけで、教会の教義や有り方には否定的でした。1人の長い生涯を通して経験し培われて来た思想や技術。それが何千何万人分と積み重ねられたのがエルフ社会です。自分達の社会の方が、教会の教義よりも意味があり価値の高い物だと考えているようでした。それに、教会の教会で行う成人の儀式に意味を見出せるエルフ種は存在しないと思います」
サラさんは、ヴァンのエルフ一族の3人から言質を取ったけど、何を話す気なんだろう?
「マリレナさん、バジリアさん、メリアさん。ありがとうございます。・・・私は、世界創造神創生教会がヴァンのエルフ一族の存在価値を下げる目的で、大ゼルフォーラ書紀を利用したのではないかと考えます。信者になろうとしないヴァンのエルフ一族の存在価値を下げると同時に、創造神様の名を騙り自分達の存在価値を高める事に利用した。自分なりですが、これなら納得出来ます」
なるほどぉ~。
「私達の価値が下がったかどうかは分かりません。ですが、大ゼルフォーラ書紀が創造神様の神授によって与えられたというおかしな考えがゼルフォーラ大陸に広まったのは4000年位前で間違いありません」
来たぁ~。約とかだいたいとか程の、4000年縛り。
「4000年も前の話なのですかぁっ!バジリアさん」
「そうです。4000年位前の話です。おかしな教えは、北の大陸フィンベーラのガルネス地方からゼルフォーラ大陸に嘘と欲望を齎した集団が広めたのが始まりです。彼等は【黒の同士】【黒の結社】と呼ばれていたと記憶しています」
黒の同士?黒の結社?・・・シュバルツかっ!?・・・。
「彼等は、ゼルフォーラ大陸で古くから信仰されていたコルト千万神話に登場する神々様を否定し、神は世界創造神様1柱のみと説き、世界創造神創生教を広める為、神々様の神殿や社を破壊して周りました」
「それって、あの世界創造神創生教会の事よね?」
「でしょうね」
「やっぱり、サラもそう思うわよね」
「アリス。サラじゃなくても、今の話を聞いた皆がそう思うはずよ」
テレーズさん、アリスさん、サラさん、バジリアさん。4人の会話は、世界創造神創生教と世界創造神創生教会の話題へと暫しの間脱線した。
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「正創生教の正創生教会は、創造神様の御意思御意向を説いてるのよね?」
アリスさんは、会話に夢中みたいだ。ティーカップを左手に持ったまま
先程から神茶の紅茶を1口も飲んでいない。
「あの集団神授を創造神様からの啓示と受け止めるのであればそうなるわね」
サラさんは、会話とファンダン・オ・ショコラと神茶の紅茶を巧みに楽しんでいる。
「創造神様からいただく神授が神授で、神々様からいただく神授は神託なのですよね?」
テレーズさんは、質問攻めの嵐を起こしている。
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「正創生教は、コルト千万神話と全く同じなのよねぇ~。創造神様は元の状態に戻すタイミングを見計らっておられたのかもしれないわねぇ~」
マリレナさんが、会話に再参加した。優雅に上品に美味しそうに神茶の紅茶を飲みながら。・・・口元にチョコレートを付けながら。
「マリレナ殿」
バジリアさんは、ジェスチャーでマリレナさんの口元に付いたチョコレートの存在を伝える。
が、流石はマリレナさん。
「バジリアさん。Kissですか?・・・あぁ~唇ねぇっ!」
「違います。チョコレートがここに」
バジリアさんは、ジェスチャーを続ける。
「Kissが甘いだなんてぇ~。バジリアさんは乙女チック過ぎですよぉ~」
「マリレナ殿。口元にチョコレートが付いています」
「あらまぁっ!今Kissしたらチョコレートの味ね」
「チョコレートの味ですか。・・・私は食べ物の味がしないKissが良いです」
「あぁ~。それ分かるぅ~。Kissがお肉の味とかってちょっとって感じよねぇ~」
年齢的に若い3人は宗教の話で盛り上がり。人生経験豊富な2人は何かピンク色な話で盛り上がる。・・・イヤ、チョコレート色か!。
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「世界創造神創生教会は、神々様の神殿や社を破壊しただけではなく、沢山の神官や巫女を殺したのですか?」
パフさんは、マリレナさんに質問した。
「えぇ間違いありません。世界創造神創生教会は、人身御供。生贄の事ですが、ナンフスポットやヴィススポットやマジックスポットを治める為に自然魔素の高い者を利用していました。異教の神官や巫女の存在は魅力的だったでしょうね」
「大地石の祠の守り人・・・」
「地のピンインですか。懐かしいです。地の集落には、メディウムが長を務める。地の精霊様を信仰するドワーフ族のピンイン一族が住んでいましたね」
「ドワーフ族のピンイン一族がですか!?・・・」
「マリレナ殿。例のあれです」
「あれ?」
「ですから、あの事件です」
「バジリアさん。あれとはいった何の事ですか?」
「パフ殿・・・。それはですね・・・・・・」
「あぁ~あれね。思い出したわ。地下の恵みに目が眩んだユマン族によって蹂躙されたんでしたね」
「は、はい・・・。マリレナ殿。パフ殿はその・・・何と言いますか・・・」
「問題無いわよ。パフさんは、蹂躙した側と蹂躙された側の子孫みたいだし」
「私が?」
「コルトに王都があった頃の話だしぃ~。今更謝罪する必要は無いと思うわよ。それに、謝罪を受ける側でもある訳だしぃ~。気にしなぁ~い気にしなぁ~い」
パフさんって、ドワーフ族の血が入ってたんだ。
「あら?でも、変ねぇ~。この事も、大ゼルフォーラ書紀にまとめたはずなんだけどぉ~・・・」
「まとめた?」
サラさんは、マリレナさんに再び食い付いた。
「もしかしてですが、ヴァンエルフ一族がまとめ上げたって、マリレナさんも参加されていたのですか?」
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何か話が面白くなってきぞ・・・。
しかし、創造神様はあんな教会に成人の儀式を託したり、時には啓示を与えていたんだよなぁ~。何でだ?・・・何か複雑な事情とかあったのか?
俺は、神茶の紅茶を楽しみながら静かに聞き耳を立て続ける。
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「マリレナ殿。確か、1柱論を説き彼等が焼却したのは大樹法典で、大樹白書は、大ゼルフォーラ王国の王家が秘蔵していませんでしたか?」
大樹法典?大樹白書?・・・また知らない単語が出て来た。
「家が、その・・・大樹白書?という書物を秘蔵しているのですか?」
「その可能性が高いです。おっとこれは失礼しました。大樹白書とは大ゼルフォーラ白書の事です」
バジリアさん。言い直されても、その大ゼルフォーラ白書を知らないです。
「そうだったわねぇ~。大樹法典は燃えてしまったのでしたね。・・・あらぁ~。大樹白書ねぇ~・・・何か思い出せそうなのですがぁ~・・・。あれは確かぁ~」
「マリレナ殿。ユマン族達は、【王国書記】を大ゼルフォーラ書紀、【大樹白書】を大ゼルフォーラ白書、【大樹法典】を大ゼルフォーラ法典と呼んでいたはずです。思い出せませんか?」
「そうねぇ~」
「過去の私達が今の私達に残した貴重な記録です」
未来の自分の残したって、まるで日記みたいだ。
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「思い出したわ。そうよ。白書は、大ゼルフォーラの国王に複写も全て集めて貰って回収したんだったわ」
「「回収ですか?」」
バジリアさんとサラさんの声がハモった。
「そうなのよ。白書にはだったら良いなぁ~。って、私の願望がちょっとね。フフッ」
「まさかですけど、マリレナさんが記したのでしょうか?」
「そうよサラさん。書記も白書も法典も集めて貰った資料や情報を基に、私がまとめ上げた物よ。凄いでしょう」
「す、凄いというか・・・凄過ぎます。大ゼルフォーラ書紀は、ゼルフォーラ大陸の前時代の事を唯一知る事が出来る歴史書です。それをまとめたのですよ」
「もっと前の事も、大きな事件位なら何となく覚えてるわよ」
見た目に騙されてはいけない。20代前半に見えるけど、実際は8万歳を超える経験豊富な女性。綺麗だけど可愛いちょっと年上の女性。
「マリレナさんがまとめ上げた書なのですよね。・・・・大ゼルフォーラ白書に大ゼルフォーラ法典、内容がとても気になります」
「マリレナ殿。大樹白書は回収した後どうされたのですか?」
「恥ずかしかったから回収した後でまとめ直したのよ。確か、大ゼルフォーラ書紀を発表した2年後ぉ~?。5年後だったかしら?・・・だいたいその位の時にゼルフォーラ王国憲法典としてまとめ上げて、ゼルフォーラ王国の当時の国王のプロポーズを断る代わりに贈与した様な・・・。興味が無かったから忘れちゃったわ。フフッ」
プロポーズを断る為にまとめたって事なのか?・・・・・・待て待て待て、ゼルフォーラ王国の法律をまとめたのってヴァンのエルフ一族!マリレナさんって事にならないかぁっ!
≪お、お、王国の法律を作ったのはマリレナさんなのですかぁっ!
大きな話だ。心に浸透し思考が話の内容を正確に理解するまでには時間が必要だ。マリレナさんが言い終えてから、10カウンは経っていただろう。
パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん、メリアさん、バルサさん。6人の言葉は仲良く大きな声でハモた。
「まとめただけよ。消失した大ゼルフォーラ法典と回収した大ゼルフォーラ白書を参考しただけだしね」
マリレナさんは、ガトー・オー・フレーズを美味しそうに食べながら補足した。
参考にした大ゼルフォーラ法典も大ゼルフォーラ白書も、マリレナさんがまとめ上げたんですよね。・・・俺の目の前にゼルフォーラ王国の基礎に貢献した凄い人がいます。・・・凄い人は鼻の頭と口元に生クリームを付けています。
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「この宮殿と庭園は、自然の力の循環がこの世界から独立しているの」
ん?マルアスピーが急に語り始めた。
「ロイクの天球は球体よね。半径は約112.8584mだったかしら」
「だったかな」
「そう。それなら、円周は約709m。体積は約6021297㎥という事になるわね」
「だったと思います」
「この宮殿は円の形の庭園の中央に建っています。この世界の自然の力の循環から独立しているのは円の内側全体です」
「みたいですね」
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マルアスピーの話を要約すると、≪創造神様は凄い≫。
と、いう事だ。
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俺の周りには、凄い人がいっぱいいます。頼もしい限りです。
ありがとうございました。