3-21 素材確認と飛行実験の日①~量才録用且つ適材適所~
リーファ歴4075年8月5日、風の日。
隠れ里の調査を終え、エルドラドブランシュに帰還した俺は、5階の中央にある国王執務室へ移動し1人で状況を整理していた。
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まずは、フォルティーナから聞いたマリレナさんの事についてだ。
マリレナさんは、創造神様の神授によって、創造神様公認の俺の嫁となり、創造神様の神授によって精霊様へと高位進化した。
精霊様に成ったからには精霊としての洗礼を受ける必要があるとマルアスピーとミューさんは言っていた。
だが、創造神様とフォルティーナは、マリレナさんに神格を与え神様にする通過点として精霊様へと高位進化させていた。
態々精霊様へと高位進化させたのは、マリレナさんを俺の上位眷属神にする為だった。上位の神格に値する存在へと存在の価値を高める事が目的だったそうだ。
この事は、神授によって何ヶ月も前から精霊王様へ伝えられていた。洗礼を受ける必要が無いのはその為らしい。
数ヶ月前とは?
創造神様の御意思御意向とはいったい何なのか?
フォルティーナは何を何処まで知っているのか?
考えたところで何も分からない。神界や精霊界の話にコルト下界の俺がついていける訳が無い。
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そして、隠れ里についてだ。
大樹の森に復帰したワワイ大森林にあったヴァンのエルフ一族の隠れ里。隠れ里はエルフ族達には聖地と呼ばれていた。
エルフ族達に聖地と呼ばれている隠れ里は、聖地と呼ばれる以前は生贄の里・生贄の地と呼ばれていた。
聖地と呼ばれる様になったのは4000年程前。正確には、3967年前の4月。つまり、R108年の4月。
R108年の4月は、大ゼルフォーラ王国最後の国王でありゼルフォーラ王国初代国王ゼルーダ・ルーリンが崩御した年であり月でもある。
ゼルダ―・ルーリンは、ユマン種ユマン族の中では長命で享年154歳。ゼルフォーラ王国で語り継がれてきた伝説や御伽噺では、今も何処かで王国の行く末を見守っている事になっている。
これは、マルアスピーの母親ミト様から聞いた話なのだが、マルアスピーはゼルーダ・ルーリンとミト様との間に生まれた子じゃ無いから安心して良いらしい。フォルティーナにも良く思う。何に安心して良いのサッパリ分からない。
そして、ゼルーダ・ルーリンはゼルフォーラ王国にはもう存在していないから大丈夫らしい。これもまた何が大丈夫なのかサッパリ分からない。
因みに、ミト様が大樹の森の聖域の精霊樹に宿りし精霊を辞め、ゼルーダ・ルーリンと愛の逃避行をやらかしたのは4055年前。R20年の夏頃だった様な記憶が残っているそうだ。
つまり、マルアスピーが精霊樹に宿りし精霊に成ったのは、R20年の夏頃という事に成る訳だ。普通に計算しても4055歳以上・・・。ゼルーダ・ルーリンとミト様が駆け落ちした時には既に生まれていた事を考えると4056歳以上・・・。
何となく気には成ったが、マルアスピーに聞いても教えてくれないだろうし、何より聞くのが怖いし、聞いた後も怖い。
話を戻すが、生贄の里と呼ばれ聖地と呼ばれたヴァンのエルフ一族の隠れ里は明後日の今頃にはもう存在しない。大樹の森の一部へと姿を変えるからだ。
そして、社は、入口の塞がった洞窟の中に祀られたままだ。邪属性の精霊様が戻って来るその日までひっそりと眠り続ける事になる。
そんまさるとアンデットと移住者達の数が気になる。
俺は、状況を整理してみた。
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隠れ里に移住したエルフ族 104808人
保護したエルフ族 203人
昇天させたエルフ族 37人
アンデット化したエルフ族 1049人
隠れ里で討伐したアンデット 268体
捕食されたエルフ族 103519人
そんまさるの幼獣 91匹
そんまさるの成獣 147匹
7月21日にフィーラで仕留めたそんまさる
974匹
そんまさる合計 1212匹
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そんまさるの成獣1121匹と、生まれた時に母体を喰らったそんまさるの幼獣91匹。アンデット化し見境なく捕食する元エルフ達・・・。
襲撃を受けたのが、7月19日の闇の時間からだとして、地の中精霊ミューさんが社の奥の聖域内で203人を保護した7月24日。この段階で、隠れ里内には、そんまさるやアンデットの姿は見当たらなかったらしい。
悲鳴や奇声や遠吠えが聞こえていたのは、3日間程。そんまさるは、7月21日か22日には隠れ里から移動したと思われる。
そうなると、7月19日から22日の間にそんまさるの被害にあったエルフの女性達は、生死問わず5日後には幼獣を生み喰われる。7月24日から27日の間に順次幼獣が生まれるとして、92匹は母体を喰らった後、147匹の成獣と合流し聖域内に逃げ込んだ203人を捕食しようとして邪属性の結界に阻まれ息絶えた。移住者達には女性が1801人いた。保護された203人以外は被害にあったてしまったと考えて良いだろう。幼獣は92匹以上存在したはずだ。死骸が無かった幼獣はアンデットの餌食になったか成獣と移動したと考えるべきだろう。
隠れ里の周囲にアンデット化したそんまさるが1匹も存在しないっておかしく無いか?
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≪トントントン
「入るわよ」
アリスさんの声だ。
≪ガチャ
アリスさんは、俺の返答を待たずに執務室のドアを開けると入室した。
「今、戻ったわ」
「演習終了の報告に来ました」
アリスさんの後ろからテレーズさんも入室する。
「テレーズさんも一緒でしたか。アリスさんもテレーズさんもお疲れ様です。演習はどうでしたか?」
「やっぱりダメね。ゼルフォーラ王国の海軍は船も装備も兵士も質が悪過ぎるわ」
「はい。王国の海軍もそうでしたが、実家の兵士達もここまで何も出来ないとは思いませんでした」
「テレーズ。それ私もちょっとショックかも。家の実家もサーフィスと変わらないと思うわ」
「あれ?ジェルマン侯爵の所にはアシュランス王国と同じ武具を卸したからそこまで酷く無いと思いますが・・・」
「あぁ~そうね。コルトで考えていました」
「湖と海。両方の操船技術が必要で立派な港や船があっても意味がない状況だよ。聖都か公爵家は人材が豊富で羨ましいよ。ハハハって、かなり疲れた感じではありました」
「パマリ・クロシェット家は、興したばかりの家でパマリ侯爵本家の御爺様やロイク様の支援が無かったら二進も三進もだったと思うわ」
「あら、でも私の父はジェルマン侯爵様の事を羨ましいと話ていましたよ」
「トゥージュー公爵様が御父様の事をですか?」
「はい。旧ランザス改め新侯都クロシェットは、ククイム州州都ククイムの様に湖と海を繋ぐ運河が整備され未来が明るいと」
「サーフィスはスカーレットとルーリン川を隔て市街地が隣接していますし。サーフィスも未来は明るいと思いますけど・・・」
「サーフィスを今より発展させる為には内陸部へ市街地や農耕地を広げるしかありません」
「王国建国時から港町として栄えるサーフィスにも大きいなりの問題があるのねぇ~」
「今の問題は、アシュランス王国へ移住を希望する者達の説得らしいわよ」
「隣接してるし引っ越しが手軽よね」
「橋を渡れば世界1の都市。スカーレット。目の前にあるのに住めないって蛇の生殺しよね」
「そうね」
アリスさんとテレーズさんは、2人で笑いながら何かに納得している様子だった。
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ところで、2人はいったい何しに来たんだ・・・?
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これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......
―――R4075年8月5日(風)
神授スキル【タブレット】『ゲーム』
R4075年8月5日※21回目の恩恵※
【対象者】カトリーヌ のみ
①神授スキル【女優の魂】レベル1
※任意の存在その物に変化可能※
※変化対象の能力を10%模倣※
※ロイクに変化時は1%模倣※
※他、色々規制はあるよ※
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俺は、朝食の後のティータイム談笑の時間を早々に抜け出し、エルドラドブランシュの屋上にある研究室に新設した俺専用の多目的ルームへ移動した。
ゼルフォーラ砂漠のオアシス『グラース』の地下研究施設の調査が終わった後、エグルサーラ島に神授スキル【フリーパス】で移動した俺は、タブレットに5属の攻撃因子水を一滴残らず回収していた。
最近、妙に忙しくて、確認してる暇が無かったんだよねぇ~。さて、【マテリアル・クリエイト】『分離分解』で銀色の水はどうなってるかなぁ~。
俺は、タブレットの画面を確認した。
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※漢字は造語です注意してください※
※神純度=100%※
神純度 レミレリラス 245t
神純度 レインボー 245t
神純度 オリハルコン 1t
神純度 ヴレミスリル 1t
神純度 ミスリル 2t
神純度 クロム 1t
神純度 ニッケル 1t
神純度 プラチナ 1t
神純度 ゴールド 1t
神純度 シルバー 1t
神純度 カッパー 1t
万能水 5200t
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どういう事だぁ~?・・・回収した銀色の水よりも全体量が多くなってるんだけど何事?・・・何が起きたんだぁっ!
≪・・・分離分解の神成功が原因です。
神成功かぁっ!確か3倍とか5倍だったっけ・・・。まぁ~良いや。取り合えず、この世界で入手出来る素材は活用して良いって話だったし上の7個は保管だな。下4個はNLに利用出来そうだけど、王国はゼルフォーラ王国に貨幣高権を認める代わりに何たらがどうこうって、アランギー様が言ってたな。念の為に確認しておいた方が良さそうだ。
chefアランギー様。確認したい事があるんですが、今良いでしょうか?
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『おんや。パトロンロイク殿よ。如何為さいましたかな。はい』
王国って、ゼルフォーラ王国に貨幣高権を認める代わりに何を得たんですか?
『おんや。私とした事がうっかりしておりました。後程が1000年2000年3000年後になってしまうところでしたぞ。はい。そうですねぇ~正確には、貨幣高権を認めたのでは無く、通貨NL採用諸国に対し、アシュランス王国として貨幣高権を放棄する宣言を致しました』
放棄って事は、それで何か認めて貰った物とかは・・・?
『アシュランスカードに実装しました仮想NLが数年以内に世界中の標準通貨になると考えます。はい......
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≪NL採用諸国≫
【ゼルフォーラ王国】【旧ヴァルオリティア帝国】
【ララコバイア王国】【ドラゴラルシム王国】
【アシュランス王国】
≪C&M採用国≫
【ターンビット王国】
≪BG採用諸国≫
【フェルゼンラール王国】【ベリンノック王国】
【ベリンノック共和国】
≪GL採用諸国≫
※NLと相場が同じ為、NLでも通じる※
【アイゼンタール王国】【ベトギプス王国】
【ズィルパール王国】
≪FIN採用諸国≫
【フィンベーラ王国】【カルーダ王国】
【マルメット王国】【カタストロシュール王国】
≪MAD採用諸国≫
【ガルネス神王国】【ジャスパット王国】
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......世界には6つ。いえ、ほぼ5つの通貨が存在しておりますがぁ~。我が国のアシュランスカード仮想NLが世界の基軸通貨になるでしょうな。はい』
それで、放棄した事で何を得たんですか?
『そうですねぇ~。強いて申し上げるならばぁ~・・・NLとGLの為替相場に王国として関与出来ない事でしょうかぁ~・・・』
それ、得たって言いますかね。
『関与しなくて良いと考えてください。はい。アシュランスカードは、最終的に全ての通貨に対応します。どの通貨で入金しても、カード決済時はNLの相場で計算されます。貨幣が集まるのは結果的に我が国という訳です。何よりカジノフォルトゥーナや工房ロイスピーや転位用魔法陣や海上高速船は我が国の主要産業世界の主要産業ですぞ。はい。実はですねぇ~。カジノフォルトゥーナなの会員に成る為にはアシュランスカードが必要なのです』
へぇ~。
『実はですねぇ~・・・。工房ロイスピーの直営店でロイスピー商品を購入されたお客様には、アシュランスカードでの決済時に10%還元つまり常に1割引きというサービスも既に開始しております。はい』
そんな事になってたのかぁ~・・・。知らなかった。
王国は貨幣の鋳造はしないし、これからもしないって事で良いんですか?
『そう思っていただいて結構ですぞ。はい。仮に貨幣が必要になった際には、紙幣をと考えております。ですので、パトロン殿が今お考えの白金、金、銀、銅等は素材としてお使いください。はい。それとですがぁ~・・・。レミレリラスやレインボーやオリハルコンやヴレミスリルは、コルト下界では未だに認識されていない金属です。パトロン殿や家族眷属の範囲内に留め利用された方が宜しいかと。はい。ミスリルやクロムやニッケル等の製品は大規模流通出荷販売をして差し支え無いと考えます。コルト下界が誕生した瞬間から存在する鉱石や金属がフォルティーナ様達の行為により大量に埋蔵されていた訳です。工房ロイスピーの製品が益々繁盛しますなぁ~。はい』
埋蔵っちゃ埋蔵か。・・・行為っちゃ行為になるのか・・・善意でも何でも無いけど。
分かりました。俺の家族や眷属や一部のロイーナには少し良い武具を準備したいと思います。王国の軍や騎士団や警備隊や魔術師達には、今の装備より少し良い装備を支給で良いですかね。
『そうですなぁ~。現状の装備ですら神具レベルですからねぇ~・・・。武具に付与を与えすぎない様に心掛けてください。はい』
市場流通分は、創造した物をタブレットで大量生産しただけの商品なんですが、あれでもまずいですか?
『限りなく神具に近い商品です。まずいですなぁ~。刃こぼれしない研ぐ必要の無い武器に、自己修復する防具。一般に流通する分はこれらの付与は無しが宜しいでしょうな。はい。職人や商人の生活の為にも永久物は控えてください』
なるほど。
『それとですねぇ~。宙を浮いて移動する輓獣車の販売は1000年後位から始める予定です』
1000年後?・・・そんな先って、どうしてですか?
『今のコルト下界には、宙を移動する乗り物はまだ早い。と、創造神様が・・・。実に残念です。金を生むのは1000年後です』
船もダメって事ですよね?
『おんや。その通りです。はい』
魔術や魔法で飛ぶのはOK何ですよね?
『ドラゴン種や亜竜種や飛行出来る魔獣や聖邪獣や神獣や箒や板や棒に対し言及していませんでした。はい』
分かりました。・・・例えばですけど、空飛ぶ絨毯とか空飛ぶベッドとかってありですかね?
『言及していない物ですなぁ~・・・。駄目な時には連絡が来ると思います。はい。ただ、先に一言助言しますぞ。空飛ぶベッドは売れないと思います。何か善からぬ印象をそこはかとなく受けますぞ。はい。空飛ぶ絨毯は非常に面白そうですなぁ~。はい。私としては、空飛ぶ朝食テーブル。空飛ぶ昼食テーブル。空飛ぶ夕食テーブル。空飛ぶティータイム等。夢が膨らみますぞ。はい』
それ、ようするにテーブルセットですよね?
『その通りです。はい。アシュランスカードの【MP】機能を飛行の為の自然魔素に変換させ、飛行移動を可能にする絨毯や箒や板や棒があれば・・・・・・』
chefアランギー様。どうしました?あれば何ですか?
『パトロン殿よ。飛行の際の【MP】消費は、どの様になっておりますかな?』
実験した事が無いので分からないです。【MP】を魔術として使い消費する人じゃないと正確には分からないかと・・・。
『左様ですな。分かりました。ランチの後に実験を開始しましょう』
ランチの後に実験って、今日のですよね?
『その通りです。はい』
随分乗り気だけど大丈夫なのか?・・・【箒】【板】【棒】・・・乗り物じゃないし。【絨毯】も乗り物じゃなくて敷く物だし・・・。
・・・分かりました。時間を調整してみます。
『ところで、パトロン殿よ。私は先程、本人や家族や眷属の為にと話ましたが、料理の神もそこに付け加えてはいただけませんか。はい』
うん?アランギー様は俺に何か創造して欲しい物があるのか?
chefアランギー様は家族みたいな存在です。神様に対して失礼な言い方かもしれませんが、俺はそう思ってます。
『おぉ~。パトロン殿よ。私も家族ですかぁっ!。ありがとうございます』
俺が創造出来る範囲でなら何でも創造します。
『それでしたら、是非是非是非私に神純度レミレリラスの包丁セットを作っていただきたいです。はい』
以前、万能包丁とか言ってたあれですか?
『そうですなぁ~。タブレットに私が愛用しております包丁神12点セットの写真を送信しましょう。同じ様な形の物を是非是非是非お願い致します。はい』
包丁を12本ですね。分かりました。昼の実験前までに準備しておきます。確認ですが、神純度のレミレリラスで間違いありませんね?
『間違いありませんですぞ。楽しみですなぁ~。はい。それでは、私は午前中の内にディナーの仕込みも済ませてしまいたいと思います。ではでは。はい』
ありがとうございました。
放棄したのは分かったけど、何の為に放棄したのかまで分からなかったな。
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≪トントントン
「ロイク様。カトリーヌです。入室しても宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
≪ガチャ
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「皆はまだリビングですか?」
「はい。皆さん、マルアスピーさんのお菓子に夢中です」
「朝食の後なのに、良く食べれますよね」
「デザートやスィーツは別腹です」
「そんなもんですかね」
「はい。特に女子には普通の事ですよ」
カテリーナさんは、わざとらしく大きく頷いた。
「それで、どうしたんですか?」
「多目的な娯楽専用ホールを王都や州都に建設する許可を貰いに来ました?」
「多目的な娯楽専用ホール?」
「はい。歌劇や演劇や演奏会や展示会や発表会等を多目的に行うホールです」
「歌劇場とか演劇場みたいな感じですか?」
「はい」
「具体案は既にまとまってそうですね」
「はい。後は、ロイク様の許可待ちです」
なるほどね。
「簡単に説明して貰えませんか?」
「はい。まず、王都スカーレットには、【王立スカーレット・フォーラム】と、【王立スカーレット・アリーナ】を建設します。王立スカーレット・フォーラムはアシュランス王国の芸術分野の殿堂として、王立スカーレット・アリーナは運動分野の殿堂として象徴的な建物を予定しています。そして、中央州、フィーラ州、カトムーイ州、ククイム州、ゼンスタード州、ダカイラ州、ラクール州には、【州立〇〇〇フォーラム】と【州立〇〇〇アリーナ】を建設します」
「王立と州立ですか・・・州で分けたりすると、州同士で争う切っ掛けになったりしませんかね?」
「切磋琢磨する事と争う事は別物です。運動や武道や芸術で競い合う事は来たる日に備える事に繋がると思います」
確かに、なるほどなるほど。
「来たる日の為って事ですかぁ~・・・」
「フォーラムやアリーナを建設するにあたり、歌劇団や劇団や楽団等を王立で組織する予定です。娯楽の提供や芸術や文化の向上促進と同時にAIRAの局員として活動します」
「芸術家を諜報員としてですか?」
「名が売れ話題に成れば、諸外国から公演の依頼を受ける事もあるでしょう。また、こちら側から公演を持ちかける事も可能になると思います」
「公演を隠れ蓑に諸外国の情勢を探らせる訳ですか」
「はい」
これ、カトリーヌさんの梃入れだとして、あの人達も積極的に関わってるだろうし・・・。
「・・・ルードヴィーグさんやchefアランギー様が関わってるならOKです。進めて良いですよ」
「ありがとうございます。ロイク様」
「書類は後で印を捺してルードヴィーグさんに渡しておきます」
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ありがとうございました。