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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
151/1227

3-17 生贄の里は聖地で隠れ里の日①~アンデッド種ゾンビ族~

リーファ(R)歴4075年8月4日、火の日。

 騒がしい方のトゥーシェが、俺の神授スキル【タブレット】の『ゲーム』であてた創造神様からの依頼の様な贈物。


 移築そのものは簡単だった。


 でも、愛と美の修練の塔と、憎と美の修練の塔のリノベーションは簡単ではなかった。各フロアーのコンセプトから始まり壁や罠や宝箱や魔獣の配置。今回は、騒がしい方のトゥーシェと女王様な方のトゥーシェにかなり頑張って貰った。


 女王様な方のトゥーシェの案を多く取り入れた憎と美の修練の塔は、愛と美の修練の塔よりも難易度を気持ち高めに設定した。


 管理者として常に待機していられない現状を考慮して、魔鼠の王ザラストロさんに管理者代行を要請し快諾して貰った。愛憎の女神様に関わる仕事が出来る事は名誉だと喜んでくれました。


 2つの塔の出入管理所は、永遠の愛の間と報復と憎しみの間の手前にある、愛憎(女神)の間に設置した。転移用の魔法陣・魔力陣は他の迷宮の倍6個設置した。待機するスタッフも倍の人数を予定している。


 全てを終えエルドラドブランシュ(王宮であり俺の家)ファミリーエリア(北地区)3階のリビングルームへ俺の神授スキル【フリーパス】で移動した。俺達は、夕食を軽い食事で済ませ、夫々自室へと移動した。


 俺も自分の寝室へ移動し、そして、一目散にベッドに倒れる。


≪バフッ


 ベッドが大きく軋む。先に横になっていたマルアスピーは怒りも驚きもしていない様子だ。


「あら。今日は帰らないと思っていたわ」


「何とか日付が変わる前に終わらせる事が出来ました」


「そう。良かったわね」


「マルスピー達は、今日何をしてたんですか?」


「幸運の神殿で信者達が修行を続けながら飲食出来る手軽で手頃な食べ物を開発したいたの」


「前にchefアランギー様が言ってた軽食とかファストフードとか言う奴ですね」


「そう」


「で、上手くいったんですか?」


「食品に万が一触れてしまっても手が汚れない事と、コインやカードを触った手が食品に触れる事無く食べられる。この2つが問題になったの」


「なるほど」


「毒や水分や熱に強い耐久性の高い紙の開発をする事になったわ」


「食品開発も大変みたいですね」


「そうね。紙は食べられないものね」


「それもありますが、純粋に食べ物だけを追求するって訳に行かない事の方です」


「アランギーは言っていたわ。おんや、働かざる者食うべからず。しっかしぃ~です。食べなくては死んでしまいます。はい」


 ・・・えっと。


「つまり?」


「食べる事の追求は、提供する側と提供される側。どちらかの独り善がりになってしまってはいけないの。食材の需要と供給みたいに素直な物でもないの」


「えっと、つまり?」


「ニーズ」


「それ、需要の事ですよね?」


「そうね」


 ・・・意味が・・・・・・。



 そして、気が付くともう朝でした。身体を起こし隣を見ると、やっぱり意味不明だ。今日も生まれたままの姿のマルアスピー様でした。



 これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......


――― R4075年8月4日(火)


 神授スキル【タブレット】『ゲーム』

 R4075年8月4日※20回目の恩恵※

 【対象者】ロイクファミリー のみ

  ※神&精霊以外の存在※

  ①個人レベルの上限解放2000まで

  ②所持スキルの効果上昇

  ※個人レベル1000から※



 俺は、大樹の森へ復帰したワワイ大森林にあるワワイ山脈の麓のエルヴァーリズ王国の聖地に居る。聖地はその昔生贄の里と呼ばれていた場所だ。


「あれ?」


 俺は、周りを見渡す。何か途轍もなく違和感を覚える。


「どうしました」


「マリレナさん。ここって大樹の森に成ったはずなのに、森が広がってません」


「ここは、何万年と生贄を捧げ続けた生贄の里。負の聖地です。負の自然魔素(まりょく)が漂う事で里内に樹木は自生不可能だと聞いた事があります」


「10万4800人ものエルフ(樹人)族をここに移住させちゃったんですよね・・・」


エルフ(樹人)族の亡王国エルヴァーリズの元3侯爵家の当主だった者達と長老家の家老の嘆願でしたし、何よりも10万人ものエルフ(樹人)族の意見を無視する事は出来ません」


「彼等って、ここが生贄の里だったって知らずに移住したんですよね?」


「王国時代。過去や歴史に興味を持ったエルフ(樹人)族であれば、制限されず学び知る事が可能な状態にありました」


「生贄が禁止になったのっていつ頃ですか?」


「約4000年前頃ですよ」


「大ゼルフォーラ王国が分裂した頃ですね」


 ここでも、何かあったんだろうな・・・。



「ロイク殿。マリレナ殿」


 里だった場所の西側の森から、バジリアさんとフィーラ森林警備隊特別実行部(エルフオンリー)隊の隊員達がやって来た。


 バジリアさんから到着と撤去完了の報告を受け、俺は神授スキル【フリーパス】で移動していた。


 同行者は、何に興味を持ったのか調査の発案者フォルティーナと、フィーラ伯メリアさんと、マリレナさんの3人である。


 フォルティーナは(やしろ)がある洞窟を調べている。


 メリアさんは、フィーラから同行した警備隊や研究員達に指示を出している。


 マリレナさんと俺は、特にやる事が無いので里を散策していた。


「バジリアさん。確認したい事があります」


「私からも報告があります」


「ロイク様。バジリアの報告から聞いた方が良いと思います」


「そうですね」


「バジリアさんお願いします」


「畏まりました。全体整列っ!」


≪はっ!


 8人×7班=56人のエルフ(樹人)族の警備隊員達が、綺麗に整列する。俺が開発した軽装用の武具がこの警備隊には支給されていた。


「各班。班長は一歩前へ」


≪はっ!(7人)


「隊長はもう一歩前へ」


≪はぁっ!


 見た目。20歳前位の男の兵士が整列する隊より2歩前へ出て跪く。


「ロイク殿。マリレナ殿。紹介します。副王都フィーラ森林警備隊特別実行部(エルフオンリー)隊隊長のトロンです」


「副王都フィーラ森林警備隊特別実行部(エルフオンリー)隊隊長のトロンと申します。陛下。ハイ(高位)マリレナ様」


「トロン。私はもうハイ(高位)ではありませんよ」


「も、申し訳ございません。王妃様」


「トロン。その様な挨拶は良い。到着してから今迄の報告を陛下へ」


 バジリアさん。挨拶は大切だと思うんですけど・・・。急いでる感じだけど・・・挨拶はねぇ~。


「はぁっ!申し上げます。我々特別実行部(エルフオンリー)隊は、バジリア王妃様指揮の下92体のアンデットと戦闘。アンデットは聖地に移住したエルフ(樹人)族の可能性が高く身柄の拘束を試みましたが想像以上の抵抗に合い断念。殲滅に切り替えました。遺体は損壊の少ない北の建物に一次的に保管してあります。また、そんまさる(孫魔猿)に関しましては、フィーラからここ聖地において遭遇は0匹です。聖地内聖地周辺1Km圏内を探索調査しましたが存在を確認する事は出来ませんでした。以上です」


「マリレナ殿。生存者は地の精霊様が既に保護していたと報告がありましたが、その者達はどちらに?」


「フィーラのハイエルフ(高位樹人)族居住区の西側に建設された、移民難民待機所で保護しています」


≪ウォ~~~


「バジリアさん。さっきから聞こえる。ウォ~って鳴き声ですが、これ何って動物の鳴き声ですか?」


「ロイク殿。これは、エルフ(樹人)族だった者の成れの果ての呻き声です」


「アンデットって声出すんですね」


「私も、今日初めて知りました」


「陛下。あれは声では無く。口に物を吸い込もうとしている音です」


「食べ物や宙を体内に取り入れようとする本能だけが残っている様ですね」


「はい。王妃様」


そんまさる(孫魔猿)はいないけど、アンデッドはウヨウヨしてるって感じかぁ~」


 神授スキル【タブレット】『画面選択』:100インチ・『表示座標』:俺達の目の前・『表示方法』:1画面・『表示対象』:俺を中心に周囲5Km。


 タブレットの画面は、ヴァージョンアップのおかげで楽に切り替える事が可能になった。フォルティーナに確認したところ、創造神様とフォルティーナと愛憎の女神様の神気がタブレットに影響し、タブレットの各機能の管理が円滑になったかららしい。


 ヴァージョンアップしてダメダメになるのは信頼信用全てを失う行為で在り得ないと胸を張って言われたが、今迄のアップにフォルティーが絡んでいた覚えが俺には1度も無い・・・。取り合えず聞き流しておいた。


 因みに現在タブレットの画面を無条件で視認する事が出来るのは、俺と家族と眷属と神々様達である。切り替えのON/OFF機能を使い、友好関係にある神々様のみ視認出来る様にした。画面を複数個表示する時は、視認許可がある者であっても俺の無意識の任意許可が必要にした。アバウトだったが以外に使える便利な状況になりました。


「大樹の森ワワイ大森林域全体に確か1049体存在してたはずで・・・。92体倒したんですよね」


「はぁっ!」


「そうなると、この周辺に176体いるみたいだから、聖地に268体のアンデットがいた事になります」


「後176体です?何故分かるので」


「トロン。慎みなさい。・・・これは、陛下の能力の1つです」


 バジリアさんは、隊長トロンさんの言葉を制止した。


「はぁっ!申し訳ございませんでした」


「質問くらい別に良いじゃないですか」


「ロイク殿。国王と兵士。線引きは重要です」


「そう言うもんですかね?」


「はい」


「ロイク様。そういうものなのです。大長老でしたから良く分かります。フフッ」


 偉くなった気はしないけど、偉くなったら不便になった気がするのは気のせいだよなぁ~・・・。


「あれ?そういえば、生存者がいたんじゃ」


「陛下。腹を破られ捕食された女性の遺体が複数ありました」


「生存者って身籠ってしまった人達の事だったのか。・・・あれ?やっぱりおかしい」


「ロイク様。何がおかしいのですか?」


そんまさる(孫魔猿)に襲われたのが、移住して直ぐだったとしても、妊娠してまだ半月(15日)です」


「陛下。そんまさる(孫魔猿)に孕まされた女性は、5日で出産します」


「そんなに早いんですか!?」


「はい。5日後には腹を裂き母体を喰らい20日で成獣へと成長し繁殖が可能になります」


そんまさる(孫魔猿)凄いなぁ~・・・」


「ロイク殿。ですから、強姦猿、繁殖猿、孕ませ猿とエルフ(樹人)族社会では呼ばれているのです」


「その時に喰われるか、5日後に喰われるか。助かっても女性の場合は覚えがある者は100%孕んでしまうので死を選びます」


「バジリアさん。マリレナさん。これって、何とかならいんですか?」


「ロイク様。何とも出来ないので、フィーラではそんまさる(孫魔猿)の特別警報が存在するのです」


「その度に、我々テネブル(闇樹人)族が中心となり討伐隊や防衛隊を組織し迎撃していたのです」


「なるほど、手段が無いから、その前に食い止めてたって事か・・・」


「はい」


「あれ?そんまさる(孫魔猿)の幼獣或いは成獣になりかけの個体もいなかったんですよね?」


「はぁっ!」


「隠れ里の周囲の森の中ではアンデットが徘徊してて、隠れ里には出産後に食べられた遺体。そんまさる(孫魔猿)は1匹も居ない・・・。アンデットの発生タイミングと出産のタイミング。出産の方が先じゃないと成立しないよなぁ~。・・・出産。喰われた。アンデット発生。そうなるとそんまさる(孫魔猿)は何処に行ったんだ?」


「ロイク様!もしかして」


「ロイク殿!もしかしたら」


 マリレナさんとバジリアさんはほぼ同時だった。


「マリレナ殿・・・」


「だと思います」


 2人は、頷き合う。


「7月21日に起きた。そんまさる(孫魔猿)によるフィーラ襲撃事件ですが、ここを襲った群れの1部が起こしたものかもしれません」


「ふむ。7月19日正午(15時)過ぎに移住完了。移住の際に周囲を索敵し安全を確認しています。7月21日の夕方(24時)前にフィーラ北部をそんまさる(孫魔猿)が襲撃。アルさんの眷属オリノとマナがアンデットを発見したのは7月30日の1日前。う~ん。そんまさる(孫魔猿)の移動速度ってどの位か分かりますか?」


「そうですねぇ~。この部隊。フィーラ森林警備隊特別実行部(エルフオンリー)隊が1日に行軍出来る距離の3倍は移動可能かと」


「バジリアさん達テネブル(闇樹人)族は、エルフ(樹人)族よりも森に特化してるんですよね?」


「私達は特化型ではありますが、それでもそんまさる(孫魔猿)は私達の倍は移動可能だと思います」


「そうなると、ここからフィーラまで最短距離を移動したとして、1日あればそんまさる(孫魔猿)は移動出来るって事ですよね?」


「可能だと断言出来ます」


「ふむ。ここを襲った群れとフィーラを襲った群れが同じ群れか判断するのは後になりそうです」


「そうなりますかね・・・」


「ロイク様。どうしますか?」


「取り合えず、周囲のアンデットを拘束する前に、移住者の遺体と止む無く討伐したアンデットの遺体を確認したいです。案内してください」


「はぁっ!」



 聖域の北側に移動した俺は、警備隊員を外に待機させ、マリレナさんとバジリアんと3人で無傷に近い状態の家屋に積まれた遺体を確認した。


「あぁ~何て言うか。アンデットってもっと怖くて狂暴なイメージで想像してました」


「ロイク殿。これは、アンデット種ゾンビ族です。ゾンビに成り立てだったのでしょう。生前の面影がはっきりと残っているだけです」


そんまさる(孫魔猿)に食べられたのに、アンデットになったんですよね?」


「アンデッドには、レイス族とゾンビ族とネーベル族の3族が存在します」


「へぇ~」


「レイス族は、実体を持たない思念や想念のみの存在です。ゾンビ族は、脳に損傷の無い身体を思念や想念が支配した存在です。ネーベル族はゾンビ族の脳が時間の経過によって腐敗し思念や想念が身体を支配する事が出来なくなり存在が霧の様な物になった存在です。この状態も維持出来なくなるとレイス族になります」


「なるほど。アンデッド種の下位族がゾンビって事ですか」


「段階を踏んでいますので、下位中位上位と学術的には言うのかもしれませんが、アンデットの場合は、ゾンビが一番厄介です」


「どうしてまたぁ~?」


「それは、増えるからです」


「増える?死んでるのに、そんまさる(孫魔猿)ばりに繁殖するんですか?」


「いえ」


「ロイク様。アンデット種ゾンビ族は、生き物なら何でも食べてしまうんですよ」


「虫や植物もですか?」


「肉の多い動物限定ですね」


「意外にグルメなのかぁ~」


「生前の好みも反映すると過去に論文で発表された事もありました」


「なるほど」


「ロイク殿。その食べるという行為が問題なのです」


「でしょうね。死んでるのに食べるっておかしいですからね」


「生前の本能で食べるだけを続けるのがゾンビなのですが、ゾンビに噛まれた者は例外無くゾンビになります」


「あらま・・・助かる方法はないんですか?」


「それが、例外無くなんです」


「マリレナさん。それだと、獣や魔獣のアンデット種ゾンビ族が、隠れ里の周囲に1匹も存在しないっておかしくありませんか?」


「はい。とっても変です」



「出産して食べられたと思われる遺体ですが、これはどうしてゾンビに成らなかったんですかね?」


「脳が損傷しているからだと思います」


「あぁ~。なるほど・・・。何でレイスにならなかったんですかね?」


「無念ではあったと思いますが、自ら命を絶った後があります」


「バジリアさん。自分で命を絶つとアンデット化しないんですか?それに、母体が亡くなっていてもそんまさる(孫魔猿)の幼獣は生まれて来るんですか?」


「自刃してアンデットになった者は存在しないと聞いた事があります」


「そうなんですか」


「はい。大ゼルフォーラ王国時代以前から、処刑の方法として服毒が広く用いられているのは、強制された自殺であっても他殺でない限りアンデット化しないと言われているからです」


「マリレナさん。それって、実際のどうなんですか?」


「アンデットの発生例が少なく定かではありません」


「なるほど」


「幼獣ですが、自刃した母体から3日後に生まれたという記録が残っています」


「そうなんですね・・・。何かどうしようもない魔獣ですね」



「分かって居る事は、そんまさる(孫魔猿)の幼獣は簡単に数えただけでも、1人から1匹出て来たとして100匹以上。アンデットというかゾンビに食べられゾンビに成った可能性があるゾンビが4体以上。孕まされたエルフ(樹人)族の女性達は自刃していない人も居る様なので、ゾンビが徘徊する中隠れていたか、出産後食べられた後にゾンビが徘徊したのかは不明。ゾンビに食べられるとどの位でゾンビになるか分かりますか?」


「申し訳ございません。そこまで詳しくは分かりません」


「私もそこまで詳しくは知りません」


「ですよねぇ~。・・・遺体をこのままにするのは不衛生なので魔法で弔います」


「「お願いします」」


 神授スキル【タブレット】に一瞬だけ収納し、個人情報を収集した後は、取り出し家屋と一緒に聖属性中級魔法【ノートルダム(聖母の繭)☆4を☆1(レベル4だけど1で)(威力)(範囲)2で浄化昇天させた。


 無傷に近い家屋や遺体だけではなく、隠れ里中の建物が一緒に跡形も残さず浄化昇天してしまった。


「聖地の空気が変わりましたね」


 マリレナさんに言われて気が付いた。


「そう言えばそうですね」


≪おい。建物が1つも無いぞ?


 黙祷を捧げていた警備隊員達が、頭を上げ瞼を開け驚いていた。


「汚染されてたみたいで、浄化の魔術を一緒に施してみたら、建物も一緒に昇天しちゃっただけので慌てなくて良いですよ」


「ロイク殿・・・」


「陛下・・・」


「ロイク様。普通は浄化しても植物や金属は昇天しません」


「でも、ホラぁっ!」


 俺は、聖地の建物が存在していた辺りを数ヶ所指差した。


「そ、そうですね・・・」


≪フワァッ パサ


「ロイク。急に聖属性の空間が広がったね。清らかな循環に変わったね」


 フォルティーナが俺の横に現れた。


「だから、急に出て来て声掛けないでください。吃驚するじゃないですか」


「社を調べていたらだね。急に言葉だけ聖地のここが聖地化したね。こっちの方が吃驚するね」


「フォルティーナ様。やはり、これは聖属性の聖地・・・!?」


「当然だね」


「ロイク様!?」


「おかしいな。本来のレベルを一番低い状態で発動させたんですが・・・」


「なるほどだね。ロイクがやったのなら問題無いね。この規模で聖地を創造出来る存在は、かなり上位の神くらいだね。干渉規制を無視してこれをやった神がいたら問題だっただけだね」


「ロイク様ぁ~」


 マリレナさんは、熱い視線で俺を見つめていた。


「フォルティーナ。聖属性の【ノートルダム(聖母の繭)】って、結界の魔ほ(・・)魔術じゃ無いのに、隠れ里を聖域化しちゃったんですか?」


「ロイク。自分の瞳で確認してみるね。今あたし達はどうみても聖属性の結界の中にいるね」



 警備隊員に補助魔法を施した俺は、隠れ里の周囲の森を徘徊するエルフ(樹人)族だったアンデット種ゾンビ族の捕獲を命令した。


 フォルティーナとマリレナさんとバジリアさんと俺は、メリアさん達と合流し立ったまま簡易調査の報告会を開始した。


「聖地で争った痕跡はありませんでした」


 調査班として参加する男性のエルフ(樹人)族の研究員の1人が発言した。


「えっ?抵抗しなかったって事ですか?」


「いえ。家屋への侵入経路からみて就寝中に奇襲による襲撃を受けたと思われます」


「男が10万人以上もいたのにですか?」


「10万人以上も居たにも関わらずです」


「ロイク。違うね。正確には男が103007人、女が1801人、合計104808人だね。でだね。重要なのはここからだね。助かったのは女203人、アンデットは1049体だね」


「そうですね・・・」


 ドヤ顔のタイミング間違ってますからね。本当に止めてください。綺麗な顔が・・・。

ありがとうございました。

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