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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
148/1227

3-14 爵位と階級と衝撃の日④~ロイーナの寿命~

リーファ(R)歴4075年8月1日。無の日。

 ターンビット王国、ズィルパール王国、マルメット王国、カタストロシュール王国に先駆け、ドラゴラルシム王国の王都ドルガと、ララコバイア王国の王都ラワルトンクと副王都トミーランに、カジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)を建立した。


 幸運の神殿として建立したカジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)は、創造神様よりいただいた家シリーズの中から、俺が独断で3つ選択した。


 1つは、「コリント様式風の神殿だよ」と、捕捉説明が付いた【プロバビリテ神殿】。南国な印象を受けたのでラワルトンクの海岸に適当に建立しました。


 1つは、「イオニア様式風の神殿だよ」と、捕捉説明が付いた【ケート神殿】。何となくトミーランの王宮後に建立しました。


 1つは、「ドーリア様式風の神殿だよ」と、補足説明が付いた【アップヘンゲン神殿】。装飾の感じが竜人族な感じがしたのでドルガの小高い丘の上に建立しました。


 海岸も、王宮も、丘も、道を整備する必要がある立地である。他意はそれなりにあるがわざとではない。



 そして、約束通りドラゴラルシム王国とララコバイア王国に、転移用の魔力陣・魔法陣を設置した。竜王クロージャ・ルードラゴ・ルーバーン陛下と、国王ヴィルヘルム・カトラ陛下には、ファルダガパオの箱を1つずつプレゼントした。



 アシュランスカードは、転移用の魔力陣・魔法陣の普及と同時に放っておいても勝手に普及する。


 竜王クロージャ陛下と国王ヴィルヘルム陛下は、所持するカードを発行手数料5万NLの【アシュランスプラチナカード】1枚にまとめました。一国の王が所持するカード。当然アシュランスプラチナカードしか考えられません。


 そして、8月10日(大樹)の日までに通常のカードを500万枚ずつ送る事になった。通常のカード1000万枚位なら、神授スキル【マテリアル・クリエイト】『創造・小』で、直ぐに用意出来る。chefアランギー様との打ち合わせの結果、期日ギリギリで送る事になった。


 約束を全て果たした訳ではないが、竜王陛下も国王陛下もかなり満足している様で、港湾整備の計画案を提出する際、俺個人にお礼をしてくれるそうだ。



 個別に伝える作業は、エルドラドブランシュ(王宮であり俺の家)ファミリーエリア(北地区)3階中央にある俺の書斎(家の資料室)で行った。


 エルドラドブランシュ(王宮であり俺の家)俺の書斎(家の資料室)には窓が1つも無い。それ以外は、5階にある国王執務室(俺の執務室)と同じ造りになっている。


 俺の書斎とは名ばかりの家の資料室には、天井まで届く壁一面の本棚。部屋の中央に設置された大きな机。中央の机を囲む様に乱雑に積み上げれた書籍や資料等の山脈が聳え立つ。


 乱雑に積み上げられた山脈は、コルトの中央病院の院長ヨルゴさんから譲り受けた物や、世界創造神創生教会(創生教会)から没収した物や、ヴァルオリティア帝国の研究施設から押収(回収)した物や、独自ルートで手に入れた物で、家シリーズの中から選択し設置した当初には存在していなかった書籍や資料やマージペーパー(魔術用紙)等である。


 神授スキル【タブレット】に、1度でも収納された物は、全ての情報がタブレット内に記憶管理される。たぶんタブレット内だ。


 そして、タブレットに収納しておけば場所を取る事はない。だが、アカデミー(王立大学学芸院)(ゼルフォーラ王国)に所属するヒューム(人間)セリアン(獣人)オランウータン(猩猩)族のヘンリー士爵達に懇願され山脈を形成するに至っている。



≪トントン


「ゼルフォーラ王国聖王イヴァン・ルーリン陛下をお連れ致しました」


 案内係を務めるパフさんだ。


「どうぞ」


 俺の助手を務めるメリアさんだ。


「失礼します」


≪ガチャ



 中央の大きな机と周囲の山脈を急遽タブレットに収納し、ソファーセットを臨時でセッティングしただけの書斎。


 5人掛けの大きなソファーの真ん中に俺、俺の左にはパフさん、右にはメリアさんが腰掛け。俺の正面に設置した1人掛けの高級ソファーに聖王イヴァン陛下が腰掛けている。


 伝える内容は1人1人然程長くない。chefアランギー様が雇用し、フォルティーナが追認し、ルーリン・シャレット家のマジョルドム(執事)に就任した神鰐のクロコダイアンさんに、神茶(しんちゃ)を煎れて貰い。茶菓子は無しだ。



 俺は、神茶を1口飲んでから切り出した。


大叔父殿(聖王陛下)は、ロイーナ(・・・・)です」


「・・・・・・そうか。私もサンドラと同じくロイーナ(理外の民)になれたのだね」


 聖王イヴァン陛下は、感慨に耽っている。


 自身が時間の理の外の存在。ロイーナだと告げられたら、誰もが普通はこうなってしまうだろう。


 フォルティーナの『パチン』のせいで、ロイーナ(・・・・)になる事は、【英雄】>【賢者】>【大魔導士】>【勇者】>【ロイーナ】。栄誉であり名誉な事という体になってしまっている。因みに、【ロイーナ】は各国の【王】達よりも栄誉であり名誉ある存在である。


 ロイーナは、体ではあるが名誉ある存在だ。だが、時間の理の外に存在する存在でもある。この世界の理や価値観に悪影響を与えてはいけない。俺は、ロイーナもハイエルフ(高位樹人)族の様に、世間と少し距離をおいて生活した方が良いのではないかと考えた。


 感慨に耽る聖王イヴァン陛下に、メリアさんは、打ち合わせ通り説明を開始した。


「聖王陛下。アシュランス王国では、王都スカーレットにロイーナ(理外の民)居住区を設ける事になりました。ロイーナ居住区は強力な結界に覆われ、ロイーナでは無い者の出入が厳しく制限されます。この世界の価値観や理を理外の影響から守る為です」


「・・・やはりそうなるか。退位し移り住む必要があるのだね」


「大叔父殿。それがですね。ロイーナになった存在にそれをやってしまうと、ゼルフォーラ王国の聖王に即位可能なルーリン家の男子は1人だけになってしまうんです」


「まさか!・・・アルセーヌもガスパールもロイーナに!?」


「はい」


「ルーリン王家でロイーナになれなかった者は。・・・あいつ(・・・)か?」


「はい。クレーリー王子です」


「兄上やオーレリーには悪いが、クレーリーは王たる器では無いぞ」


 クレーリー王子は、英雄であったり副王であったり守護聖人であったり管理者であったり、公認の嫁や許嫁が沢山いる国王になってしまったり、連合国家フィリーの代表だったりと、話題に事欠かない俺を良く思っていない者の1人である。日頃の発言や行動が如実なだけに、彼の父オーレリー王子や母ローラ夫人は、王宮内で肩身の狭い思いをする羽目になっている。


「ですので、対策を考えました」


「聞かせて貰えるかな」


「勿論です。ですが、その前に彼女の話を、説明の続きをお聞きください」


「そうだな」


 メリアさんは、説明を再開した。


「王都スカーレットのロイーナ居住区の他に、ロイーナの皆様にはスタシオンエスティバル(中空の避暑地)クリュの居住資格。エグルサーラ島に新しく開発します別荘地の居住資格が与えられます。また、病気や怪我や不慮の事故等で命を落としては、創造神様よりいただきましたロイーナとしての栄誉名誉の意味がありませんので、ロイーナの皆様には、ロイク様が神授スキルで準備しました無属性魔術【大樹の木漏れ日】を付与致します。この魔術は、アシュランスカードに蓄積された【MP】を100消費し、【HP】【各種状態異常】【欠損】を回復治癒治療します。魔術の効果はロイーナ同士にしか現れません。そして、聖王陛下にはもう1つスキルを付与致します」


「私には2つもあるのかね」


「はい。聖王陛下には、スキル【ルコネッサンス(認識認証)ファクティス(偽装誤認)・Ver.大叔父殿】を付与致します」


「ルコネッサンス・・・・・・」


ルコネッサンス(認識認証)ファクティス(偽装誤認)・Ver.大叔父殿です」


「その、ルコネッサンスファクトリス(・・・)ヴァージョンオオオジドノ?とは、どのようなスキルなのかね?」


「スキル【ルコネッサンス(認識認証)ファクティス(偽装誤認)・Ver.大叔父殿】は、パッシブスキルです。ですので、ロイク様が解除しない限り常に発動し続けます。効果は、56歳から100歳までの44年間、この世界の時間の理に従い容姿や仕草や声が老化している様に周りの人間に誤認させるという物です。このスキルにより、聖王陛下は、100歳までは聖王陛下を続ける事が可能になります」


「ふむ。当分の間は続けるつもりであったからな。ロイク。このスキルは実に助かる。ありがとう」


 俺のせいで、ロイーナになってしまった訳だし、これくらいは・・・。


「聖王陛下の栄誉は【時間のロイーナ】です」


「先程のフォルティーナ様のお話から、【不老のロイーナ】【不死のロイーナ】では無い、時間のロイーナだと察してはいた。それで、私の時の流れはどんな感じなのかな?」


「それについては、俺から説明します。大叔父殿は1500分の1の時間のロイーナです」


「なるほど」


「ただ、今よりも遅くなる可能性や、若返ってしまう可能性が、まだあるみたいです」


「なるほど。サンドラの様に若返りか・・・」


「そうです」


「若返りについてはその時になったら考える事にするよ。それで、1500分の1の私は1年が1500倍だとして・・・。ロイク、私の本来の寿命は幾つなのだろうか?」


「寿命は教えれないと、創造神様にフォルティーナは言われたそうです」


「そうか。そうだろうな・・・」


「はい」


「まぁ~。仮にあと3年の寿命だったとしても、4500年は生き続ける事になる訳だ。あと3日の命であったとしても、11年以上は生きられる。気長に死を待つとするよ。ハッハッハッハッハ」


「俺に関わったばかりに、こんな事に巻き込んでしまって申し訳無く思っています」


「何を言う。ロイクのおかげで私は栄光のロイーナになれたのだ。感謝しているくらいだよ」


 そういう体だったっけ・・・。


「出来る限りバックアップします。困った事があったら言ってください。・・・それではスキルを付与したいと思います」


「お願いするよ」


 俺は、聖王イヴァン陛下の額に右手の掌を当てると、神授スキル【オペレーション】を発動させ、2つのスキルをバースデイスキル、神授スキル枠に付与した。


 神授スキルとしてスキルを付与する事が出来たのは、事前に創造神様にメールを送信し、ロイーナや家族や眷属限定で、神授スキル枠にスキルを付与する権限と、俺が付与したスキルを神授スキル枠から剥奪する権限をいただいていたからだ。


 ライフスキル枠やセンススキル枠のスキルは、付与、複製、略奪、他、取引する事が可能だ。だが、バースデイスキル、神授スキル枠は個人スキルであり他人の干渉を受ける事が無い。


 俺が創造したスキルは、神授スキル枠に付与する必要があった。



 各人の時間のロイーナの状況は次の通りである。


***********************


【時間のロイーナ(理外の民)】10分の1


 クロージャ・ルードラゴ・ルーバーン竜王陛下


【時間のロイーナ(理外の民)】20分の1


 アシュランス王国の王国民の1部

 ゼルフォーラ王国の王国民の1部

 亡トミーサス王国の元王国民の1部

 他・・・意外に多いかも・・・


【時間のロイーナ(理外の民)】50分の1


 ヴィルヘルム・カトラ国王陛下


【時間のロイーナ(理外の民)】1200分の1


 リナ・ルーリン第1王女(21)

 アルセーヌ・ルーリン王太子(18)

 ガスパール・ルーリン第2王子(18)

 ジャマル・ルーリン第6王子(26)

 クレマン・ルーリン第7王子(24)

 セザール・トゥージュー次期公爵(26)

 プティット・トゥージュー公爵家令嬢(23)

 エディ・ラカコア次期伯爵(16)

 ブルーノ・ブオミル侯爵(21)

 ルシア・ブオミル(旧姓マググリード)前侯爵第2夫人(49)

 ニーナ・ブオミル侯爵家令嬢(25)

 バール・ボルニ―家臣男爵家令嬢(18)

 エマ・ボルニ―家臣男爵家令嬢(16)

 ヘンリー士爵

 ロレス・アリバス士爵&騎士爵(27)


【時間のロイーナ(理外の民)】1500分の1


 イヴァン・ルーリン聖王陛下(56)

 アリス・I・ルーリン(旧姓ミィストゥリィー)聖王妃(48)

 クララ・J・ルーリン(旧姓マーガレット)国太后(87)

 エメ・B・ルーリン(旧姓デェイビュー)前王妃(63)

 エンゾ・ルーリン天爵殿下(63)

 イネス・E・ルーリン妃(旧姓モンロー)(62)

 オーレリー・ルーリン第3王子(45)

 ローラ・O・ルーリン妃(旧姓マーガレット)(42)

 ボードワン・ルーリン天爵殿下(87)

 ドミニク・B・ルーリン(旧姓ミィストゥリィー)妃(85)

 バルタザール・ルーリン第5王子(59)

 パトリシア・B・ルーリン妃(旧姓フェトロング)(54)

 リラリス・トゥージュー(旧姓ルーリン)降嫁王女(44)

 アラン・トゥージュー公爵(50)

 クリオ・ラカコア(旧姓ルーリン)降嫁王女(35)

 ヤン・ラカコア伯爵(35)

 パトリック・ミィストゥリィー宰相(59)

 アナベル・ミィストゥリィー(旧姓アヴィル)第1夫人(54)

 ダヴィッド・ミィストゥリィー公爵(34)

 モニカ・ミィストゥリィー(旧姓ブオミル)第1夫人(31)

 ステファン・パマリ侯爵(71)

 ミント・パマリ(旧姓アヴィル)第1夫人(68)

 ジェルマン・パマリ・クロシェット伯爵(45)

 マリア・パマリ・クロシェット(旧姓スラリス)第1夫人(38)

 レイモンド・マーガレット辺境伯爵(50)

 ワルテール・ボルニ―家臣男爵(38)

 ダリア・ボルニ―(旧姓パマリ)第1夫人(38)

 リック・マケイン騎士爵(37)


 ドーラ・ワーロン(旧姓ヴァルダー)(39)

 ※亡トミーサス王国元国王の第2夫人※

 ルーシー・ワーロン元王女(21)

 イザーク・ワーロン元王子(16)


【時間のロイーナ(理外の民)】1800分の1


 ヴィオラ・マーガレット第1夫人(47)

 パオラ・マーガレット辺境伯爵家令嬢(24)

 ナトン・マーガレッ次期辺境伯爵(19)

 エゼル・シャロン子爵(27)

 ロマーヌ・シャロン(旧姓マンジュリカ)第1夫人予定(6999)

 ヨルゴ・ボルニ―前家臣男爵(74)


 ルードヴィーグ・ダダ侯爵(722)

 アストリス・ヴェロニカ伯爵(8439)

 シオ伯爵家令嬢&巫女(98)

 ヨランダ・ヒース伯爵(733)

 スヴェレ・サヴィニア伯爵(579)

 クレフィーレ・サヴィニア

         伯爵家令嬢&巫女(203)


【不老のロイーナ(理外の民)


 メアリー・シャレット(旧姓ルーリン)降嫁王女(42)

 ※42歳から→32歳→28歳へ※

 バイル・シャレット英雄&士爵(45)

 ※45歳から→37歳→32歳へ※


 サンドラ・ルーリン第2王女(49)

 ※49歳から→24歳へ※

 ※後サンドラ・R・ルーリン・シャレット王妃※

 ※予定:今年10月、正式妻’sに・・・※


 ロイクの嫁’s+許嫁’s

 ※神様&精霊様&眷属は始めから理外※


***********************


≪トントントン


「ゼルフォーラ王国子爵エゼル・シャロン卿とロマーヌ・シャロン夫人をお連れ致しました」


「どうぞ」


「失礼します」


≪ガチャ


 1人掛けの高級ソファーに俺、俺の正面に置かれた5人掛けの大きなソファーにエゼル子爵とロマーヌ夫人が腰掛けている。


 パフさんとメリアさんは、テーブルを囲む様に設置された俺から見て右側のソファーに腰掛けている。



 俺は、神茶を1口飲んでから切り出した。


「おめでとうございます。2人は創造神様に認められ栄誉あるロイーナになりました」


「ロイク様。私達がロイーナにですか?」


「エゼル子爵殿。ロマーヌさん。2人は間違い無く1800分の1のロイーナです」


「ロマーヌ!」


「エゼル!」


 2人は、俺達の存在を忘れ見つめ合う。


「オホン」


 メリアさんの咳払いが2人を現実へと呼び戻す。


「ロマーヌさん。バジリアさんの同席が無くて申し訳無いです」


「ロイク殿。姉からは色々と伺っておりますので御安心ください」


 何を色々聞いているのか気になるが、今は仕事仕事。


「エゼル子爵殿」


「はい」



 俺は、2人に、無属性魔術【大樹の木漏れ日】と、エゼル子爵にはもう1つスキル【ルコネッサンス(認識認証)ファクティス(偽装誤認)・Ver.エゼル殿】を付与した。



「27歳から100歳まで、73年間ですか・・・」


「はい」


「私が80歳まで生きるとして、これから約95400年間生きる事になるとして・・・・・・。ロマーヌは後6000歳から8000歳生きるとして、1080万年から1440万年間生きる事になる。・・・あと100倍から150倍生きないとロマーヌを1人にしてしまうのか・・・」


 エゼル子爵は、思いつめた表情をして、さっきから数字を口にしている。


「エゼル子爵殿。まだまだ先の話は今度にして、今は来たる日を含めた50年以内を見据えて話を進めたいと思っているのですが、大丈夫ですか?」


「はぁ~・・・。大丈夫だとは思うのですが、事態がより一層深刻になってしまい正直どうしてよいのやら困惑しております」



 エゼル子爵が元々抱いていた心配は、婚約者ロマーヌさんと一緒に居られる時間年月だった。


 エゼル子爵はユマン()族。寿命は長くても約100年。一緒に居られる年月は長くてあと73年だと試算していた。ロマーヌさんはテネブル(闇樹人)族。寿命は短くても約1万2000歳以上。どんなに頑張っても最低4928年も彼女を独っきりにしてしまう。


 仮に運良く子供にハーフテネブルが生まれたとして、その子供の寿命は長くても約6000年以上。子供が居れば寂しくはないかもしれないが、子供にも夫や妻が子供が生まれるだろう。そうなるといつもロマーヌさんと一緒に居られる訳では無い。彼女を孤独にしてしまう。・・・。


 そして、そこにロイーナである。


 エゼル子爵の寿命が80歳だとして9万5400年。100歳だとして13万1400年。だが彼女は900万1800年から1620万1800年も生き続ける。一緒に居られる時間が長くなった代わりに、彼女を独っきりにしてしまう時間が最悪約3300倍になってしまう。いや、成ってしまったのだ。



「ロイク様。何とかなりませんかぁ~」


「何とかって言われても・・・。こればかりは創造神様や神々様次第じゃないかなって・・・」


「あぁ~創造神様。あぁ~数多の神々様よ。我が愛を!・・・我が愛を!お救いください。あぁ~~~」


 エゼル子爵・・・。


「ロイク殿。申し訳ございません。エゼルは私の事になるといつもこんな調子なのです」


「ハハハ。愛されてますね」


「そうなのでしょうが。正直呆れてしまいます。勿論嬉しくもあるのですが・・・こんな姿を他人様に・・・はぁ~・・・」


「あぁ~~~ 創造神様ぁ~。神々様ぁ~」



 その後、竜王クロージャ陛下と国王ヴィルヘルム陛下にも伝えました。


「我もロイーナか。ガッハッハッハッハ」


 竜王クロージャは、10分の1のロイーナ。10分の1でも凄い事だ。



「私もロイーナですか・・・そうですか・・・」


 竜王クロージャとは違い、国王ヴィルヘルムの反応は静かだった。



 全ての工程を無事に終えた。


 俺はリビングルームのベランダから、夜の闇に浮かぶ星明りが微かに照らし出す漆黒の海を眺めていた。


 俺の神眼は意識しなくても夜目がきく。明るくは見えないがくっきりはっきりと視認出来る。


 何となくビーチに視線を動かすと、邪狼獣の兄弟姉妹が勢揃いし、ラビットウルフ(兎耳狼)の生肉をつまみに、ワインを1人1樽で楽しんでいた。


 樽がワイングラス替わりか・・・もっと小さいか・・・


「おぉっ!やってるねぇー。俺もまぜろよぉっ!」


「バイル。お前も喰うかぁっ?」


「あぁーん。それ生肉だろがぁっ!クルーズ俺を殺す気かぁー。焼いたら喰ってやるよぉっ!」


 俺の耳もまた。最近は良く聞こえる様になっていた。



「ねぇロイク何を何をしているの?」


「海と海岸を見てました」


「そう。何か見えたの?」


「えぇ。色々と」


「そう。良かったわね。・・・夕食の時間よ」


「もうそんな時間でしたか。夕食の間へ行きましょう」


「そうね」


 親父は邪狼獣の兄弟姉妹と生肉で酒盛りかな。

ありがとうございました。

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