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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
146/1227

3-12 爵位と階級と衝撃の日②~理外の民ロイーナ~

リーファ(R)歴4075年8月1日。無の日。


 衝撃的な事実を聞かされた俺は、家族や眷属、1部の仲間と理解者に大切な話があるからと伝え、エルドラドブランシュ(王宮であり俺の家)のプライベートビーチに集まって貰った。海水浴に、スイカの甘叩(あまたた)き、そしてBBQ+TEPPAN。気分は小休止のつもりだった。


 そして、この場合の家族と眷属と理解者の1部とは......


***********************


―――≪友好関係にある神々様≫―――


 料理の神 アランギー・フゥファニー

 葛藤の神 イエレミーヤ

 神獣神鰐 クロコダイアン

 神獣神竜 邪神竜

 神獣神狐 悪狐神

 神獣神蟲 寄蟲神

 神獣神兎 悪兎神

 神獣神蛙 神蛙

 

―――≪理解者の1部≫―――


 ドラゴラルシム王国の竜王一家


 ララコバイア王国の国王一家


 アシュランス王国の首相

 ルードヴィーグ・ダダ


 ゼルフォーラ王国の宰相

 パトリック・ミィストゥリィー


 他、数名


―――≪親戚と言えば親戚≫―――


 ゼルフォーラ王国の聖王一家

 ※俺はこの国の副王※

 ※聖王は俺の祖父の弟※


 ゼルフォーラ王国の辺境伯爵

 レイモンド・マーガレット

 ※俺の母方の曾祖母(国太后)の甥※


 ゼルフォーラ王国の伯爵家

 モンロー当主一家

 ※俺の母方の祖母の実家※

 ※祖母の兄が当主※

 

 ゼルフォーラ王国の伯爵家

 ラカコア当主一家

 ※テレーズの母の妹一家※


―――≪親戚≫―――


 ゼルフォーラ王国の王族

 ※俺の母の実家※

 ※サラの実家※


 俺の両親


 大精霊:ミト

 ※マルアスピーの母※

 

 トゥージュー公爵家の公爵一家

 ※テレーズの両親と兄と姉※


 パマリ・クロシェット侯爵家の侯爵夫妻

 ※アリスの両親※


 パマリ侯爵家の当主夫妻

 ※アリスの父方の祖父母※


 スラリス辺境伯爵家の当主

 レオ・スラリス

 ※アリスの母方の祖父※


 書籍店の店主リディア・レイジー

 ※パフの母※


 ドーラ・ワーロン

 ※エルネスティーネの母※


 ルーシー・ワーロン

 ※エルネスティーネの姉※


 イザーク・ワーロン

 ※エルネスティーネの弟※


―――≪創造神様公認の嫁達≫―――


 ①大樹の大精霊 マルアスピー

 ②神獣神鳥 アル

 ③運と遊びと良妻の女神 フォルティーナ

 ④悪魔種夢魔族 トゥーシェ騒がしい方

 ⑤風の精霊 マリレナ

 ⑥テネブル(闇樹人族) バジリア

 ⑦悪魔種夢魔族 トゥーシェ女王様な方(強制)

 ⑧(予定)地の中精霊 ミュー


 ※数字は嫁に成った順番※


―――≪創造神様公認の許嫁≫―――


人間族 パフ ※先祖に地の精霊※

人間族 アリス

人間族 サラ ※先祖に大樹の精霊※

人間族 テレーズ ※先祖に大樹の精霊※

獣人族獅子族 バルサ

シルフィ(妖精族) カトリーヌ

エルフ(樹人族) メリア

人間族 エルネスティーネ ※先祖に魔人族※


―――≪眷属神≫―――


 神獣神馬 エリウス

 神獣神竜 ルージュ (幼竜)


 ハイエルフ(高位樹人族) マクドナルド・ガリバー

 ※眷属神になる予定※


―――≪聖邪獣(眷属化進行中)≫―――


 小型化した邪狼獣 セリュー

 小型化した邪狼獣 ディーズ

 小型化した邪狼獣 ナクール

 小型化した邪狼獣 ロージャン

 小型化した邪狼獣 イルーグ

 小型化した邪狼獣 クルーズ

 小型化した邪狼獣 バルーサ

 小型化した邪狼獣 ルクソール


 聖栗鼠獣 ピエール


―――≪異界の妖精族≫―――


 スコーチュ君

 アメール君

 ソイソース君

 オムレットさん

 メレンゲ君


 ※chefアランギー様と俺の眷属らしい※


***********************


......の事である。


 海を泳ぐ者。砂浜の砂で遊ぶ者。鬼気迫った迫力でスポーツと呼ばれる死闘を繰り広げる者達。ビーチソファーで優雅に寛ぐ者。砂に埋められる者。


 BBQであっても一切手を抜かないchefアランギー様率いる妖精のお仕事達が織り成す空前絶後の絢爛豪華なフルコーススタイルのBBQ。俺は、あくまでもBBQを堪能させていただきました。


 そして、知ったばかりの件を口にする時が来た。俺は、教えても問題無さそうな部分だけを抜粋し伝える事にしていた。



「俺って、創造神様から最初の神授をいただいた時に、不老の状態になってたそうで、しかも寿命が無いそうです。でも不死では無く消滅する様な状態に陥ると死ぬそうです」 


≪ガヤガヤガヤガヤ 


 反応は夫々。


「あぁー何だぁっ!おめぇーばっかずりぃーなぁっ!」


 親父。お前も、そのずりぃー方の1人なんだぞ・・・。


「どぉーでも良いけどよぉー」


 ・・・無視だ。無視。


 俺は、親父には構わず話を続ける。



「父バイルと母メアリーは、本来の年齢より若く見えますよね?」


≪ガヤガヤガヤガヤ


「創造神様より神授をいただき、父は8歳、母は10歳。若返ってしまいました」


≪若返ってしまったではなく。若返らせていただいたの間違いだろう


 理解者の1部から、「羨ましい」「感謝するべきだ」と、声が上がったが、俺は無視し話を続ける。


「生体レベルでは、父の身体年齢は37歳で母は32歳です。それは、最初の神授の時の話です。現在(いま)は、俺の影響と上手く説明出来ない様々な要素が相まってしまい、父は32歳、母は28歳位の状態なんだそうです。それと、神授をいただいた当初、2人は時間の流れる速度が通常の20分の1になっていたのですが、現在(いま)は、俺と同じ様な感じでほぼ(・・)止まっています」


「まじかぁっ!」


「あら。1段遅くなると、ほぼ(・・)止まってしまうのね。あなたどうしましょう」


「あぁ―――。別に良いんじゃねぇっ!ちっちぇー事ぁー気にしねぇーってなぁっ!」


 親父・・・これが、小さい事なのか?


「それもそうね」


 母さん・・・これって、・・・そ、そうですよね。些細な話ですよね!


「ロイク。神乳(かみちち)。お約束だから聞くが、まじかぁっ!」


「当然だね」


「ここで、嘘です。って、言っても信じないだろう?」


「まぁーなっ!しっかしぃーやっちまったなぁー」


「はっ?何をだよ」


「だって、そうだろうぉー。メアリーと俺と愉快な仲間達(家族・眷属)は、人間種止めちゃった感じじゃーん。まぁー別に問題ねぇーし気にしてねぇーけどよぉー」


 ・・・少しは気にしろ。


「あなた、知り合いに会う時には、今迄以上に気を付けなくてはだめよ」


「親父。母さんの言う通りだぞ。周りの皆は年老いて行くのに、親父は今の感じのままな訳なんだからな。今は良いけど、これから先の事を考えておけよ」


「何でよぉー。成っちまったもんはしゃねぇーだろうぉー。なる様になるんだってっ!世の中そんなもんよぉっ!なぁー神乳」


「うんうんだね。永遠に近いね。気を付けて気楽に自由に暮らすね」


「おう。任せとけぇー」


「私達は公の場から退いた身。今のまま過ごしていれば良いとは思いますが・・・。ですが、現役の皆さんがねぇ~・・・」


 親父は、ここと離宮と大樹の森で自由気ままに生活しているだけだし。今の感じを続けてくれるなら問題ないのか。でもなぁ~・・・フォルティーナみたいに自由過ぎる所があるからなぁ~。


「安心するね。誰かが言っていたね。人間種生きていれば何とかなるものだね。最悪、あたしが記憶をだね。パチンと書き換えてしまえば良いだけだね」


「世界中の人間の記憶をですか・・・」


「簡単だね」


「フォルティーナそれだけは絶対に止めてください」


 前のを修正するだけでどれだけ大変だったか忘れたんですか?


『過ぎた事だね。ハゲるね』


「ロイク。君は小さいね」


 フォルティーナは、間違い無くほくそ笑んでいた。


「あん?おめぇー小せぇーのかぁっ。ハッハッハッハッハ。そっかそっか。ガッハッハッハッハ」


「ねぇロイク。あなたの話はどうなってしまったのかしら?」


「絶賛大脱線中って感じですね。ハハハ」


 子供の頃から親父のおかげで脱線には慣れている。今は現在進行系で運を司りし遊びと良妻の女神フォルティーナ様がいる。人間何事も諦めが肝心だ。


「まぁー何だぁっ!家族計画の練り直しが必要になったなぁっ!」


 はっ?・・・こいつ。話聞いてないだろっ!


「40になってからの父親ってかっけぇーって思ったんだよなぁー。まぁー、生涯現役愛の狩人の俺としてはぁー。結局何歳でも良いんだけどよぉっ!」


「うんうんだね」


「だっろぉー。ロイクぅー」


「そんな事知るかよ。時間はたっぷりあるんだから、母さんと話し合ってくれ」


「はぁー?あったりめぇーだろうがぁっ!おめぇーに相談してどうすんだよぉっ!なぁーメアリー」


 母メアリーは、聞かなかった事にするつもりの様だ。


「うんうんだね」


「あなた。フォルティーナ様。長生きする事になる私達は結局どうしたらよいのでしょう?」


「難しく考える必要はないね」


「そぉーだぞぉー」


「ロイクが何とかするね」


「うん。その通りだぁっ!」


 また俺に丸投げですか・・・。


「パトロン殿よ。私が先程お伝えしました純粋な人間種の件ですがぁ~。解決しそうですぞぉ~はい」


「ロイク。大丈夫なの?」


「えっと、母さんの質問には分かりませんって答えておきます。でもって、chefアランギー様の話は何を言ってるのか良く分からないです」


「おんや、先程話しました。人間種としての世継ぎ問題ですぞぉ~。はい」


「ロイク。君はだね。親不孝者だね。父バイルと母メアリが未来を悲観している時に、子供の話かね。駄目駄目だね」


 親父を見る限り楽しそうだが・・・というか悲観って意味親父は知らないだろうな。


「ロイク殿。眷属。いえ眷属神となりお仕えする者として、ロイク殿と王国。どちらにも健在であって欲しいと切に願います」


 皆、好き勝手に言い過ぎ。


「うんうんだね。その通りだね」


 駄目なんですよね?その通りなんですか?どっちなんだ?


「パトロン殿よ。私は説明致しましたぞ。純粋な人間種の子供が必要だと申しましたぞ。はい」


「それでよぉー。ロイクぅー。新しい人間種って奴で良い感じが来ちゃったぜぇー」


 えっと、誰と何の会話しているのか分からなくなってきたぞぉ~・・・。


「新しい人間種?親父、いったい何の話してるんだ?」


「良いから聞けってぇっ!人間種8種族って止めようぜぇっ」


 親父は随分前から止めてる感じだったけど・・・。


「親父が止める分には構わないけど、止めてどうすんだよ」


「分けたって意味ねぇーしよぉっ。なんでっ、いっその事、人間種11種族だっ!」


 ・・・分けて意味が無いんだろう?言ってる意味が分からん。


「意味無い物を8から11に増やしてどうするんだよ」


「あぁ―――何だぁっ!」


「ナイスアイデアだね」


「おんや。その通りですな。はい」


「分かり易くて良い案ですな。同じ様にハイエルフ(高位樹人族)エルフ(樹人族)から切り離し区別する事で、上下を解消する訳ですな」


 フォルティーナ?アランギー様?マクドナルド卿?


「おぉ。それだぁっ!アァ―――。なんつぅーか、そんな感じだなぁっ!」


 乗ったな・・・。親父の事だマクドナルド卿が言った様な事を考えてる訳が無い。絶対にない。


「決めたね」



 ・・・来ちゃったよぉ~このパターン。勝手に決定するパターンだ・・・。


「おぅ。任せたぁっ!」


「皆、聞くね」


 話し出して早々に脱線した事もあり、俺達のやり取りを気にしている者は少なかった。皆、思い思いにお喋りやBBQの続きを楽しんでいた。神々様が出演する劣悪な喜劇は、お喋りやBBQの魅力には当然の事ながら勝てなかった様だ・・・。決して神々様が軽視されている訳ではない。劣悪な喜劇だからでもない。決して・・・。


 そんな軽視している訳ではない彼等は、フォルティーナに語り掛けられて、襟を正した。襟を正す必要があるのは、喜劇側の方であって、彼等側の方では無い様な気もしなくもない。



「良く聞くね。人間種8種族を廃止するね」


≪フォルティーナ様。廃止とはいったい!?


「聞くね。8種族は廃止だね。これは決定だね」


 コルト下界全体を巻き込んで勝手に決定しちゃったよ・・・。


≪ガヤガヤガヤガヤ


「この説明を終えたらだね。この世界には人間しか存在しないね」


「なぁっ!人間族だけになるだと?ありえん。我等竜人族の国ドラゴラルシム王国は人間族に屈する事はないぞ」


「良く聞くね。クロージャ。お前は短気で駄目駄目だね。良いかね。あたしが言う人間は人間種全体の事だね。ヒューム(人間)ヂィーナス()の事だね」


「言葉を人間種からヒューム(人間)属に変更した程度で【竜人族、人間族、小人族、巨人族、獣人族、樹人族、妖精族、魔人族】8種族が1つになるとお思いなのですか?」


「クロージャも皆も良く聞くね。人間。【ヒューム(人間)属】を5種【エルフ(樹人)種】【フェアリー(妖精)種】【セリアン(獣人)種】【ドラゴ(竜人)種】【ユマン()種】に便宜上仕方なく区分するね。そして、エルフ(樹人)種を更に3族【エルフ(樹人)族】【テネブル(闇樹人)族】【ハイエルフ(高位樹人)族】に区分するね。呼び慣れた呼称で残すのは仕方無くだね。でだね。セリアン(獣人)種の各族はそのままで良いね。つまりバルサはヒューム(人間)セリアン(獣人)レオ(獅子)族だね。そして、ユマン()種だね。ユマン()種は4族【ユマン()族】【ドワーフ(小人)族】【ギガント(巨人)族】【ウィザード(魔人)族】だね。ウィザード族は、神授スキルを所持する事が出来ない代わりにだね。ステータス値がユマン()族の5倍以上と身体能力が高いだけで基本的にはユマン()族と違わないね。だが仕方なく区分するね」


「だなっ!魔人(・・)族だって言われねぇー限り分かんねぇ―しなぁっ!」


「成人のおりBIRTHDAY・SKILLを神授していただき他種族と渡り合う力を得なければ、ひ弱な人間(・・)族や小人(・・)族は滅んでしまっていたであろうからな」


「クロージャ。あたしの話は終わってないね」


「も・・・うし訳ございません」


 親父は話て良くて、竜王様はダメな訳か・・・。


「でだね。この1属5種多族とは別にだね。時間の理の外に存在する存在をだね。【ロイーナ(理外の民)】と呼ぶね」


「ロイーナ?・・・聞いた事がありませんぞ」


「ドラゴラルシム王よ。私も聞いた事がありません」


「ララコバイア王もか・・・ゼルフォーラ王よお主はどうだ?」


「大ゼルフォーラ期にもその様な記述は無かったと記憶しております。1万年以上昔の古の時代の言葉の1つではないかと・・・」


「「古の時代の言葉か」」


 竜王クロージャ様と国王ヴィルヘルム様は分かった様な分かって無い様なそんな感じで頷いていた。


「何を言ってるね。作ったばかりの造語だね。聞いた事が無くて当然だね。あったら怖いね」


 ロイーナ・・・ロイスピーがロイク&マルアスピー・・・どうせ、ロイク&フォルティーナ・・・ロイ・・・-ナ。ロイーナ・・・なんだろうな。


「造語ですか!」


「イヴァン。お前も黙って聞くね」


「は、はい」


「ロイーナは、時間の理の外に存在する存在。理外の民を示す新しい言葉だね。分かったかね」


≪はい。フォルティーナ様

 

「なぁー神乳。そのロイーナって、その1属5種多族とは別の存在なんだろう?」


「そうなるね。あたしは難しい事が嫌いだね。バイル。君をこのルールで説明すると簡単だね。ロイーナ(理外の民)のバイルだね」


「おぉっ!何かかっけぇー良い感じじゃねぇーかよぉっ!」


「うんうんだね。それでは」


 それではって・・・まさかぁっ!


「ファルティーナ。ちょ」


≪パチン


 ドヤ顔で俺を見つめるフォルティーナがそこに居た。


「と・・・」



「ロイク。メアリーも時間のロイーナ(理外の民)になってしまったのか?」


 祖父エンゾが俺に耳打ちして来た。


 さっきのロイーナ(・・・・)って言葉が定着してる世界になっちゃった訳か・・・。


「えぇ」


「うんうんだね。さぁ~ロイク。話を続けるね」



 俺は我慢我慢と何度も呪文を反芻させ、話を再開する。


「先程の不老。ロイーナ(・・・・)の話の続きなんですが、両親と同じ事が俺の家族。つまり、創造神様公認の嫁や許嫁。そして眷属達にも起こっているそうです」


≪ガヤガヤガヤガヤ


「ここからが本題なんです。実は......



......なんだそうです。スタシオンエスティバル(中空の避暑地)クリュで神授をいただいた者の中にも、時間の流れが遅くなったロイーナ(・・・・)が存在しています。該当する人には、後ほど個別で説明するつもりです。時間の理に干渉する事に成る為、人により状況が異なるそうです。ハッキリと現れた分かり易い例だと、サラさんの叔母剣聖サンドラ王女様です」


「うん?ロイク。娘がどうかしたのだ?」


「奥様のドミニク夫人は既に気付いておられる様ですが、剣聖ボードワン天爵殿はまだ気付いておられなかった様ですね」


 ボードワン天爵夫妻は、俺の義理の祖父母。夫妻の娘で剣聖サンドラ王女様は、俺の影響が大きく顕著に表れた人間種の1人だ。そして、夫妻もまた俺の影響が表れた人間種なのだが娘で剣聖サンドラ王女様程ではなかった。フォルティーナに指摘され、神眼を意識して視認した時に初めて気付けた位だ。


 報告を続けよう。


「何の話だ!?ドミニク、分かる様に話てくれ」


「サンドラの髪や肌の艶を見ても気付けないのですか?」


「髪だ?肌だとぉ~。剣の道にそんな物は関係無い」


「その通りです。御父様」


「良く言ったサンドラよ。嫁にも行かず親不孝な娘だと嘆いた頃もあったが、お前がJOB剣聖を神授していただいた時、悟った。我が娘は剣の道に生き。その身を捧げ添い遂げたのだとな」


「剣の話は今はどうでも良いのです。娘の容姿を見て気付きませんか?」


「何だと剣の道がどうでも良いと申すか」


「今は、剣の道より、娘の事を考える時です」


「う、うむ」


 剣聖ボードワン天爵殿下は、自身の娘で同じく剣聖のサンドラ王女を食い入る様な視線で凝視する。


「・・・お前幾つになった?」


「御父様。この様な場所で年齢(とし)の話は・・・」


「・・・声も身体の肉付も若く成った様なぁ~。・・・ん~―――。駄目だ。分からん!」


「分からないって何を見ているのですか?どう見ても若くなっていますよね?」


「若いと言ってもなぁ~。16に成れば皆大人だ。そんなに違い等あるものか?」



 ここは、話を続けさせて貰おう。たぶんだけど、ボードワン天爵殿下にとっては16歳以下は子供。16歳以上は大人。それしかないんだ。勿論、たぶんだけど・・・。


 俺は、話を続ける。


「剣聖サンドラ王女様は、修行の後に飲む1杯のお茶が至福の瞬間なんだそうです」


「サンドラなら言うだろうな」


 ボードワン天爵殿下は、物凄く強く頷いた。


「私も言われた事があります。馬鹿の1つ覚えの様にお茶お茶としつこく」


「御父様も御兄様も、今はその様な会話の時ではありません」


「それで、神茶を少し譲りました」


「確かあのお茶は、・・・飲むと寿命が3年延びるかもしれないと言っていたね」


「その通りだね。イヴァン。だがだね。君は、あのお茶の真の力を知らないね。あれはただのお茶ではないね」


 ・・・それ、皆、知ってると思うけど。神茶だって説明したし。


「たった1gの茶葉で、20リットルも作れるね。しかもだね。専用の湯飲みで飲む事で、その湯飲み1杯が3年寿命を延ばすね」


「湯飲みが必要だったのですか」


「イヴァン。知らなかったのかね」


「流石に神茶の事までは・・・」


 あれ?そうなのか。


 俺は、タブレットで確認する。



 あら。本当だ。知らなかったよ・・・。


「後はだね。其々の存在による差が存在するのだがだね。稀に気持ち若返る存在がいるね。それが、サンドラだね」


 気持ちって。49歳が、20代中半って、気持ち有り過ぎじゃぁ~・・・。最早、気持ち云々の話じゃ無いだろう。


 俺は、神眼を意識し剣聖サンドラ王女を視認する。


 ・・・・・・あぁ~。身体年齢は24歳。俺と同い年まで若返ってる。あのお茶凄いなぁっ!半月で25歳分もかぁっ!


「サンドラ。君は修行は好きかね」


「はい」


「毎日、どの位やってるね」


「私は、陽が昇ると、修行を始め。朝食の時間まで続けます。休憩後は昼食の時間まで修行を続け。昼食後は政務。政務の合間で素振り等を熟します。夕食前に短めの修行をし。夕食後は談笑や読書により情報を得ます。就寝前に短めの修行をします」


「なるほどだね。つまり、サンドラ。君は、1日に5杯以上神茶を飲んでいるね。間違いないかね?」


 今の話の流れで、どうして5杯って?


「喉を潤す程度ですので、量は多くありませんが、回数としては5回以上楽しんでおります」


「なるほどだね。思った通りだね。全て分かったね」


 ・・・思った通りって、何が分かったんだ?



ありがとうございました。

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