3-11 爵位と階級と衝撃の日①~不老不死~
リーファ歴4075年8月1日。無の日。
経緯は不明だが、フォルティーナとブラックジャックで勝負する事になり、6連勝で勝利しました。敗者は勝者の要求を1つ飲む。ただし、この世界の理に反しない事。また、敗者に無理難題を要求してはいけない。
無理難題も何も俺がフォルティーナに望む事は特に無い。
「特に無いんで、相殺しちゃいませんか?」
「無理だね」
「どうしてです?」
「神の世界の理に反するからだね」
「ルールは、コルト下界の理に反しないでしたよね」
「そうだね。全ての理は神界の理の中にあるね。神界の理は神の理の1つだね。神の理に反する。これ即ちコルト下界の理に反するだね」
「今度、神の理と、神界の理を明文化した物をください」
「・・・考えておくね」
あぁ~。これ、準備する気ゼロだな。
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小一時間程話し合った結果、フォルティーナから【その願い叶えました完了したね券】を1枚貰いました。
これを渡すだけで、フォルティーナの願いを1つ叶えた事になるそうだ。これは相殺とは異なるらしいです。
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経緯は不明だが、父バイルとブラックジャックで勝負する事になり、6勝3敗2引き分けで勝利しました。俺が勝ったら秘密を1つ教えると親父は言っていました。
親父は、「これはすんげぇー暴露話でぇっ!超が幾つも付いちまう爆弾だぁっ!」と、切り出し語り始めました。ただ、何が秘密なのか全く分かりませんでした。
内容としては、シャレット家の先祖には、人間以外の存在がいる。
「おい。何で驚かねぇ―おかしいだろう。頭ぶつけたのかぁっ!」
「いや、何て言うか。知ってたし」
「あっれぇー・・・そっかぁっ!前に話てたかぁっ!ガッハッハッハッハ」
6日前。アランギー様から近い話を聞いていた。サラさんとテレーズさんと俺には比較的近い先祖に人間族ではない存在がいる。パフさんは地属性の精霊様がとても近い先祖にいる。エルネスティーネさんは魔人族のフォンフォーラ一族と人間族の末裔だから【INT】や【MP】が高い。
俺は母方の先祖に人間族以外の存在がいるとばかり思っていた。ルーリン王家(母方つまりサラさんやテレーズさん達)とシャレット家(父方つまり父バイル)。どうやら、父方の方の先祖にも人間以外の偉い御先祖様がいる様だ。
少し残念な気がしないでもないが、御先祖様あっての子孫蔑ろにしてはいけない。将来俺が父親になった時、父バイルの様な大人に子供達が間違っても成らない様に育てようと心に誓いました。
「親父って、マルアスピー村に住む前は何処にいたんだ?」
「あぁーん。俺は、ロミオエレだぁっ!空の下森の中が俺の住む場所だぁっ!ハッハッハッハッハ」
「はいはい」
聞くだけ無駄って忘れてました・・・。
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エルフのアンデッド達の対処は、アドベンチャーギルドのフィーラ支部とカトムーイ支部が協力して行う事になりました。12日後の8月13日にスタンピードが確認されるまでの事です。
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翌朝。バジリアさん率いる樹人族の警備隊が、風の樹人族の聖地へ向け出陣した。州都フィーラからは約51Kmの距離にある。何かあった時には迷わず直ぐにフォルティーナの神具モントルアプレで、俺に知らせる事になっている。到着の連絡もだ。
フォルティーナの神具【モントルアプレ】は、俺によって何度か改良が加えられ、今ではかなり優秀な装飾品であり武具として機能している。
これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......
――― R4075年8月1日(無)
神授スキル【タブレット】『ゲーム』
R4075年8月1日※17回目の恩恵※
【対象者】 ロイク のみ
①神気が7万を超えた際に神授します。
②コルト下界の理の外に新規の理の作成許可
【神格】1.一級神(1つ)
2.二級神(1つ)
3.三級神(2つ)
4.一級下級神(3つ)
5.二級下級神(3つ)
6.三級下級神(3つ)
7.四級下級神(3つ)
8.五級下級神(3つ)
9.六級下級神(3つ)
10.七級下級神(3つ)
11.八級下級神(3つ)
12.九級下級神(5つ)
13.下級神見習い(10柱分)
※三ヶ月の見習い期間を経て
九級下級神に昇格するかも※
神気が5万以上に成らないと神授していただけない神格を与える権限と、神気が7万以上に成らないと神授していただけない神格を与える権限。権利を所持しているだけで、無いに等しい権利が増え続けています。
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俺は、エルドラドブランシュのビジネスエリアの1階に新設した謁見の間の、更に奥に新設した公卿の間の国王専用の椅子に座ったいる。
「それでは、始めましょう」
「陛下」
「chefアランギー様に、陛下って呼ばれるとこそばゆいです」
「おんや。公式の場ですぞ。慣れです慣れ。はい。それでは、第1回アシュランス王国会議を執り行います。一同着座」
アランギー様は、出席者達全員が席に座るのを確認し椅子に座る。
「ルードヴィーグ」
「はっ!」
ルードヴィーグ・ダダさんは、起立し俺に一礼すると、アシュランス王国の要職名簿を読み上げた。
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≪アシュランス王国会議≫
【国王代理】【王家の総料理長】
【内閣官房長官】【財務大臣】【外務大臣】
【金融大臣】【経済大臣】【産業大臣】
【厚生大臣】【農務大臣】【労働大臣】
【福祉大臣】【教務大臣】【環境大臣】
【建設大臣】【街道大臣】【港湾大臣】
【陸軍大臣】【海軍大臣】【空軍大臣】
【王室庁長官】【神聖庁長官】【貴族庁長官】
【中央警察庁長官】【中央検察庁長官】
①アランギー・フゥファニー公爵
※注意:一代貴族の公爵(神様故)※
※呼称:chefを、皆に強制※
【首相】【AIRA局長】
②ルードヴィーグ・ダダ侯爵
【副首相】【内務大臣】【中央参謀局局長】
【王立スカーレット大学学芸院学長】
③マクドナルド・ガリバー公爵
※注意:一代貴族の公爵(神様になる故)※
【法務大臣】
④アストリス・ヴェロニカ伯爵
【国防大臣】
⑤ヨランダ・ヒース伯爵
【王国警備隊隊長】【迷宮庁長官】
⑥バジリア・R・ルーリン・シャレット王妃
【文化大臣】
⑦スヴェレ・サヴィニア伯爵
【娯楽温泉資源開発庁長官】
⑧トゥーシェ・R・ルーリン・シャレット王妃
※注意:一代貴族の公爵(悪魔種故)※
※騒がしい方のトゥーシェ※
【ギルド監察庁長官】
⑨バルサ・R・ルーリン・シャレット王妃
【魔術魔導具研究所所長】
⑩マルアスピー・R・ルーリン・シャレット王妃
※注意:一代貴族の公爵(精霊様故)※
【エルドラドブランシュ近衛防衛隊隊長】
⑪サラ・R・ルーリン・シャレット王妃
【エルドラドブランシュ近衛騎士隊隊長】
⑫アリス・R・ルーリン・シャレット王妃
【エルドラドブランシュ近衛魔術師隊隊長】
⑬パフ・R・ルーリン・シャレット王妃
――― ↓ 王都の執政官の呼称『侯』 ―――
【スカーレット侯】 ※王都の執政官※
ルードヴィーグ・ダダ首相
※上記に名前あり※
――― ↑ 王都の執政官の呼称『侯』 ―――
――― ↓ 州都の執政官の呼称『伯』 ―――
【フィーラ伯】 ※副王都(州都)の執政官※
⑭メリア・R・ルーリン・シャレット王妃
【カトムーイ伯】 ※州都の執政官※
バルサ・R・ルーリン・シャレット王妃
※上記に名前あり※
【ククイム伯】 ※州都の執政官※
⑮カトリーヌ・R・ルーリン・シャレット王妃
【ゼンスタード伯】 ※州都の執政官※
アリス・R・ルーリン・シャレット王妃
※上記に名前あり※
【ダカイラ伯】 ※州都の執政官※
⑯テレーズ・R・ルーリン・シャレット王妃
【ラクール伯】 ※州都の執政官※
サラ・R・ルーリン・シャレット王妃
※上記に名前あり※
――― ↑ 州都の執政官の呼称『伯』 ―――
――― ↓ 副都の執政官の呼称『準伯』 ―――
【ソフィリス準伯】 ※副都の執政官※
【ビヤンピール準伯】 ※副都の執政官※
【マナエンヌ準伯】 ※副都の執政官※
【レジナット準伯】 ※副都の執政官※
アランギー・・フゥファニー公爵
※4副都全ての執政官を兼任※
※上記に名前あり※
――― ↑ 副都の執政官の呼称『準伯』 ―――
【チュテレール騎士団団長】
【サント騎士団団長】
【エロー騎士団団長】
【参議】アシュランス王国準伯爵位以上の者
***********************
「以上です」
「サッパリしてますねぇ~」
アシュランス王国は、建国して間もない。一部の協力者と家族と俺で建国した事もあり、論功行賞が単純明快だった。そして、ゼルフォーラ王国とは異なる貴族爵位軍籍階級制度を採用した事で、貴族階級にある者が極端に少ない。
そして、貴族制度、爵位は次の通りだ。
***********************
※注意:アシュランス王国の勝手な爵位※
≪貴族階級の説明≫
【公爵】 神様、精霊様、王族のみ叙勲
※一代限りで世襲継承権が無い※
※子孫が叙勲する際は新しい家※
――― ↑ 貴族以上の存在 ―――
――― ↓ 貴族爵位 ―――
【侯爵】 王都の執政官等
【伯爵】 州都の執政官等
【準伯爵】 副都の執政官等
【子爵】 州都の執政官の補佐官等
【神聖騎士爵】 子爵と同位(軍籍爵位)
【準子爵】 副都の執政官の補佐官等
【男爵】 3万人以下の集落の執政官等
【準男爵】 各副都の執政官の補佐官等
【聖騎士爵】 準男爵と同位(軍籍爵位)
【名爵】 1万人以下の集落の執政官等
【半爵】 集落の執政官の補佐官等
【士爵】 3千人以下の集落の執政官等
【騎士爵】 士爵と同位(軍籍爵位)
――― ↓ 準貴族階級 ―――
※貴族特権が限定されている※
【助爵】 集落の執政官の補佐官等
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そして、軍事制度、階級は次の通りだ。
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※注意:神様、精霊様は軍籍外※
≪軍籍階級の説明≫
【最高司令官】
ロイク・ルーリン・シャレット
――― ↓ 将官 ―――
【上級中将】
【中将】
【上級少将】
【少将】
※少将以上に任命されるには、
子爵位以上の爵位が必要※
【准将】※準子爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
――― ↑ 将官 ―――
――― ↓ 佐官 ―――
【大佐】※男爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
【中佐】※準男爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
【少佐】※準男爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
――― ↑ 佐官 ―――
――― ↓ 尉官 ―――
【大尉】※名爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
【中尉】※半爵位と同等※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
【少尉】※士爵位と同等※
※騎士爵を授爵した者は少尉から※
※在任中は貴族階級と同じ扱い※
――― ↑ 尉官 ―――
――― ↑ 士官 ―――
――― ↓ 準士官 ―――
【准尉】 助爵位と同位
※士官学校を卒業した者は准尉から※
――― ↑ 準士官 ―――
――― ↓ 鬼軍曹は、少尉と同等 ―――
【鬼軍曹】 兵士の指揮80人まで
※士官学校を卒業していない者の最高階級※
※例外もあるかもしれない※
――― ↑ 鬼軍曹は、少尉と同等 ―――
――― ↓ 下士官 ―――
【上級軍曹】 兵士の指揮48人まで
【軍曹】 兵士の指揮24人まで
【伍長】 兵士の指揮8人まで
――― ↑ 下士官 ―――
――― ↓ 兵士 ―――
【兵長】 3人以上の任務遂行時、班長
【上等兵】※ベテランの兵士※
【一等兵】※実戦配備可能な兵士※
【二等兵】※経験不足の兵士※
【兵士見習い】※成り立ての兵士※
※志願、職業軍人制を採用※
※人間種貿易売買の禁止。
奴隷制廃止により奴隷部隊は存在しない※
※死刑制廃止により非恩赦終身貢献労働の
義務を与えられた受刑者による食料生産は、
職業軍人制を採用する王国や軍を支える。
貢献労働は名を変えただけの強制労働で、
王国が一括管理する奴隷制ではないかと、
騒ぎを起こした者達がいたらしい。
「 犯罪者の生涯を王国民の
税金が支える訳です。
被害者や王国民や王国に
感謝するべきです。
犯罪者には、
社会へ貢献する機会を与える。
少しばかりの情けは
与えるべきですぞ。
減刑や恩赦は在り得ませんがね。
はい。
即ち、貢献労働は奴隷制では
ありません。
大樹の森境界付近の
農耕は危険ですからなぁ~。はい 」
これは、chefアランギー様の御言葉です※
***********************
「chefアランギー様とヴァンのエルフの皆さんのおかげで何とか成っている状況です」
「おんや、随時任命していけば良いのです。はい」
「このメンバーなら、リビングでお茶を飲みながらでも良かったかも」
「まぁ~確かに、アシュランス王国会議の第1回目としては地味ですなぁ~。はい。そうですねぇ~。今日の集まりは、ルードヴィーグからの報告会と位置付け、日を改めアシュランス王国会議を開催致しましょう。はい」
「そうですね」
会議改め報告会は、アシュランス王国のスカスカな主要ポストの報告を受けて終了した。
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俺は、エルドラドブランシュの俺の執務室で、官房長官のchefアランギー公爵(様)と副首相兼内務大臣のマクドナルド公爵と3人で、アシュランス王国の公爵位について意見を交わしていた。
「アシュランス王国では、神様、神獣様、精霊様、聖邪獣様、ロイク殿の子孫だけが公爵位を叙勲される。公爵位は一代貴族爵位で相続継承世襲の権利は無い。これに例外は認め無い。子や孫が同位の公爵位を叙勲された場合は、新しい家を興した事になる。なるほどのぉ~。名誉職名誉爵位の様な物ですな」
「そんな感じです」
「おんや。マクドナルドよ。1つ足りませんぞ。アシュランス王国会議に召集される立場にある。神、神獣、精霊、聖邪獣、パトロン殿の子孫だけが、一代限りの公爵位を叙勲されるのですぞ。はい」
「なるほど」
「マクドナルド卿には、まだ神格を与えていませんが、与える事は決定しているので、特例で公爵位です。俺の都合で眷属神に成って貰うので、子孫がガリバー家を継ぐ際は、侯爵家として継承する事にします」
「陛下。私は陛下いえロイク殿の眷属神に成るのです。眷属神に寿命は無いとフォルティーナ様から聞きました。子孫の事は子孫達に委ねるつもりです」
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・
「マクドナルド卿は、29971歳でしたよね?」
「そうです」
「見た目は魔術で老人の姿ですが、人間族で例えるとまだ20代前半ですよね?」
「そうなりますかな。後12万年強はこの姿が続きます」
老人・・・もとい20代前半の青年の姿が続く。凄いよなぁ~。
「おんや。眷属神に成った暁には、未来永劫その姿が続きますぞ。はい。1つ耳寄りな情報を提供しましょう。神格を持つ前と持った後では、子の存在の意味が大きく変わりますぞ。因みに今子供は12人の様ですが、人間種の内に増やす予定はおありかな?」
12人!?大賢者様・・・・・・。
「神格を持つとは、一目みただけでそこまで・・・いやはや恐ろしい力です。子供は12人で間違いありません。末2人が女で後は男ばかり、男だらけの一族です。私に似て魔術がそれなりに扱えたの下の2人だけで、上の10人は凡人。・・・エルフレベルですな」
後で、聞いた話だが、最後に会ったのは、1万8000年位前で、皆独立し何処で何をやっているのか知らないそうだ。俺は、神授スキル【タブレット】で検索してみた。子供さん達は全員健在。皆さん2万歳を超える人生の大先輩でした。
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「エルフは、長命な為か子孫を残す事に対し興味が薄く淡泊だと聞いていたので意外です」
「ハイエルフは、世界中に2000人もいない絶滅危惧種ですからなぁ~。ハッハッハッハ。それに、生まれる時は必ず双子。家は皆ハイエルフの純血種なので6度の出産で12人。まぁ~。多い方かもしれませんなっ」
「ゼルフォーラ王国とか人間族の社会に住む様になってからは恋人とか奥さんはいなかったんですか?」
「何と言いますか。家族の中に突然狂い出した輩がおりまして、その手の事が生理的に駄目に・・・」
「あぁ~。ラケルさんですか。彼は」
「あれの事は、ハイエルフに何故か似ているだけで、多産な人間族や獣人族に近い存在だと思う様にしてはいるのですが、どうも駄目なのです」
「ラケルさんなんですが、調べてみたら、意外な事に実子が1人もいなかったんです」
「あれにですか?」
「はい。皆、養子みたいです。最初の養子が2万年程前で新しい子だと現在12歳の人間族とエルフのハーフの女の子がいるみたいです」
「ふむ。あいつ・・・実の子が1人もおらんとはな」
「それで、長寿長命な種族は子供が生まれ難いんじゃないかって、1つの仮説を立ててみたんです」
「仮説と言いますか、事実ですな」
「奥さんや愛人が300人とか800人ってちょっとした集落です。でも、実子が1人もいなくて全員養子。それで家の国のエルフ一族だけですが、スキルで調査してみたら、案の定、子供のいない者が7割近くもいました」
「私の母も5000歳を超えた頃に私達を出産しました。その後は、1万8000歳を超えた頃に、妹達を順次6人。こう考えると、私の一族は多産ですな。ハッハッハッハ。まぁ~。20万歳まで生きる我等が人間族や獣人族の様に毎年子を生していては、世界が滅ぶやもしれません。15万歳前後まで子を生めるとして、一生の間に8人や12人なら少ない方かと。それに、世界は人間族や獣人族が溢れて調度良いのです。50歳。長くても100歳まで生きられない種族は、我々と違って数や回転の良さを売りにしなくては」
「おんや。その通りですなぁ~。はい」
「嬉しくない売りです」
「そうですかな。この売りは人間族を8種族の中で、環境の変化に最も適応出来る種族にしたと思いますぞ。はい」
「人間族は、世界中、至る所に住んでおりますからなぁ~ハッハッハッハ」
事実だ。だが、今は人間族の事はどうでも良い。
「ところで、エルフって、結婚しないんですか?」
「結婚ですか・・・数千年、数万年と連れ添いたく無いのかもしれませんなっ!ハッハッハッハ。私の母は、結婚はしませんでしたが、伴侶を替えては人生を楽しんでおります」
「なるほどぉ~」
「王侯貴族や長老の様に選ばれた立場にある者達には世間体があります。彼等は体裁の為だけの婚姻関係を結び夫婦となります。ですが、実際は他の者達と何ら変わらずフリーラブ」
「ラケル殿と変わらない感じがしますが」
「あれは、種族の壁を越え女性を愛します。エルフの社会には、自分達こそ選ばれた種族だという選民思想が根付いております。自分達より劣る種族と友になる恋に落ちる等決して許されぬ時代。あれはその頃から変わる事無く今日までフリーラブなのです」
「選民思想の影響もあって、悪い噂が先行してるのかぁ~。何となく妬みもある様な気がします」
「妬みですか。それは分かりませんが、まぁ~あれに関しては自業自得です。何より、先のヴァルオリティア帝国による隔離管理政策によって創造神様に見放されたと考える者が増え選民思想はかなり薄れております。その中にあっても、あれの呼称、エルフの種馬は健在なのですから」
「まぁ~。種馬と選民思想は別の話ですからね。子供が生まれ難い種族だって事と、結婚や夫婦の概念が人間族とは少し異なる事も理解しました」
「付け加えさせていだきます。ヴァンのエルフの大長老であったマリレナ様は、この世界に住まう全ての樹人族一族から一目置かれる存在です。あの美しく恵まれた容姿や温厚で柔らかな性格もあるのでしょうが、やはり魔術のレベルの高さが最大の評価ポイントです。ただ、欠点としてはエルフにしては身持ちが固過ぎる。それが評価を下げる要因になっておりました」
「それ、逆に評価すべきだと思いますが」
「そこが、種族の文化の違いですな。ハッハッハッハ」
「実に興味深い話ですなぁ~。神の世界も、エルフ社会と同じ問題を抱えているのです。はい」
「同じ問題ですか」
「へぇ~」
「神には性別が有る様で無くて、無い様で有る様な・・・まぁ~実際無い訳では無く有る訳ですが、男の神が父親になる事は稀なのです。はい」
「種無しか」
「万が一があっても次がある存在ですからなぁ~。己を分けた存在が必要無いと言えば無いし有ると言えばある訳です。はい。それに母系の理の中に存在する神の世界の理です。男は特に必要無いとも言える様な言え無い様な感じです。はい」
「あれ?・・・でも、子だとか孫だとか言いますよね。普通に親子関係血縁関係って言って良いのか分かりませんが、そんな神様が結構存在してると思うんですけど」
「ですから、男の神が親になる事が珍しいだけで、女の神が親になる事は別段珍しくありません。女神の多くは母親であり偉大な存在なのです」
「何か、流石神様の世界ですよね。聞いていて良く分からないです」
「女神は、他種を好む傾向があります」
「たしゅ?」
「そうです。神獣種や精霊種や精霊獣種や人間種や悪魔種とかですね。はい」
「そうなんですね」
「私は男の神ですが、料理が恋人であり愛人であり最愛の存在。色恋等どうでも良い話なのですがね。はい」
「長命や不死の種族には、人間族には理解し難い問題があるということですな」
「おんや。その通りです。はい」
理解し難いと言うよりも、神様や神界や神の世界の理とか、これらがいったい何なのか良く分からないので、それ以前の問題なんですよねぇ~・・・。
「ふと思ったのだが、chefアランギー様にお聞きしたい。神格を持った眷属は眷属神。神格を持たない眷属は通常の眷属。ロイク殿は私の主と成る訳だが、ロイク殿は人間族寿命が存在します。主を亡くした眷属神や眷属はどうなってしまうのでしょうか?」
「おんや。パトロンロイク殿の寿命ですか。難しい質問ですなぁ~。パトロン殿は創造神様の眷属として目覚めた際、時が止まっておりますからなぁ~」
「えぇっ!?」
「その後、運を司りし遊びと良妻の女神の眷属にも成り、時間の理を超越してしまい生生世世一切の干渉を受ける事がありませんからなぁ~」
「はいぃ―――↑!?」
「そうでしたか。それは上々。心配の種が1つ減りましたわい」
「1つ減ったとかじゃ無くて、俺に何が起こってるんですか?」
初耳なんですけど・・・。俺って不老不死に成っちゃってたって事?
「何も起きておりませんぞ。何せ止まっておりますからなぁ~。はい」
「chefアランギー様。俺って不老不死になってたんですか?」
「おんや。それは少し違いますぞ。はい。パトロン殿は、時間が止まっております不老の状態にあります。はい。そして、時間の理の干渉を受けませんので寿命と呼ばれる甘美な世界を体験する事は出来無く成りました。残念な事です。はい。ですが、老化する事も寿命を迎えて死ぬ事もありませんが、神格を持っておりませんので消滅すると終わりです。次がありません。つまり、不死では無いのです。はい」
「俺・・・人間種ですよね?」
「そうですなぁ~・・・一応人間種人間族のカテゴリーかとぉ~。はい」
「一応ですか」
「ロイク殿は、余りにも人間族離れした能力を持っております。一応、人間族の姿をしておりますが・・・まぁ~あれです。半分神様に近い存在だと思えば良いのです」
「神格も無いのに半分神って・・・」
「おんや、神の世界にも、準神。神候補生なる物が出来ましたなぁ~。ハッハッハッハ。はい。そうですなぁ~。・・・・・・永遠の24歳であり消滅しない限り生き続ける。【準神】チックな人間族と位置付けてはどうでしょうか。はい」
「えっと。人間種人間族のままで良いです・・・」
知らなかった。創造神様もフォルティーナも何も言って無かったし・・・。
「呼称等、どうでも良い事です。創造神様の前では、神は神同士等しい存在であり。人間種は人間種同士等しい存在なのです。はい」
「呼称ですか・・・。これ、人間族じゃないって思われてるかもしれないって、俺にとっては人間止めちゃってるか続けてるかの瀬戸際だと思うんですけど・・・」
「人間を止めたからといって全てが終焉する訳ではありません。続けたところで、あと26年+数年という瞬き程の時間ですぞ。気にする事はありません。はい」
・・・その寿命というか消滅するまで死なないって能力の方が問題なんですよ。家族や友人達は人生を全うする。俺は存在し続ける。悲し過ぎるだろう。俺だけずっといたら変だし怪し過ぎる・・・。俺の子供とかどうなるんだ?
「ロイク殿もほぼ不死でしたか。いやぁ~何よりですぞ。ハッハッハッハ」
「眷属を残して主がいなくなる。神の理が許しませんぞ。はい」
「なるほどのぉ~」
「俺の子供ってどうなるんですか?」
「どうなると言いますと?」
「俺と同じ不老で寿命が無い人間族として生まれるんですか?」
「おんや、また不思議な事を思考しておりますな。はい。パトロン殿の奥方は、神のフォルティーナ様。神のアル殿。精霊種のマルアスピー殿。精霊種のマリレナ殿。付け加えても差し支え無い所で、精霊種のミュー殿。今上げた2柱と3精霊は、時間の理の外に存在する存在です。パトロン殿との間に子が生まれた場合。パトロン殿自身の先祖に邪を司りし神メティア様と、コルト下界の何代か前の大樹の精霊がおりますからなぁ~そうですなぁ~。・・・100%神~50%以上神。50%以上神ですと神扱いです。100%精霊~50%以上精霊ですと精霊扱いです。簡単に言いますと、49.99%以上の人間族は生まれません。はい」
「それ、人間族じゃないって事ですよね?・・・それと親父とか俺って邪の神様の子孫だったんですか?」
邪の神様って女神様だったんですね。・・・俺の周りって邪の神様の眷属神様が多いけど関係ないよな。
「その通りです。はい。ですので、人間種の価値観で考える必要がありません。それと、テネブルのバジリア殿ですが、創造神様公認の正式な嫁です。パトロン殿の眷属として存在している状況にありますので、生まれる子供は、神でも精霊でもありませんが、眷属としての理の中に存在する事になります。はい」
「それって、つまりどういう事でしょうか?」
「消滅しない限り生き続けるという事です。はい。不老ではありませんが、かなり緩やかに成長すると思いますぞ。ハイエルフの様な感じだと思えが良いかと。最も人間種より遥かに高位なる存在です。ハイエルフと比べたところで無意味なのですが。はい」
「今の説明だと、創造神様公認の女性との間に子供が生まれると、もれなく不老じゃ無いけど消滅しない限り生き続けるってなりませんか?」
「その通りです。はい。つまり、パトロン殿は、アシュランス王国の王位を自らの子供に継がせたいと考えるのであれば、創造神様の公認では無い嫁や許嫁との間に子を生す必要があるという訳です。しかも、神や精霊種や悪魔種以外からで探す必要がありますぞぉ~。はい。あぁ~そうそう。悪魔種夢魔族のトゥーシェ殿との間に生まれる子供は楽しみですなぁ~。はいはい」
「楽しみ?chefアランギー様がですか?」
「いえいえ。神界に存在する皆が期待しているのですぞ。はい」
「どうしてですか?」
「魔界は邪の神によって創造された世界。魔界に住まう悪魔種達の1部は、邪の神の眷属神や眷属の子孫であったり、その存在そのものであったりするのです。はい。分かり易く説明しますと、トゥーシェ殿の祖父は魔界の王として、魔界が創造された時から魔界を支配する絶対なる王。邪の神の神格を持たざる子。トゥーシェ殿の父は邪の神の孫。つまり、トゥーシェ殿は邪の神の曾孫という事になりますな。はい。パトロン殿の先祖には邪の神が存在する訳ですから、縁深き神懸った何かを感じてしまいますなぁ~。はい」
「・・・何かとんでもない事になってしまってる気がするんですが」
「確かにそうですなぁ~。パトロン殿の父君殿も母君殿も、時間の理の干渉が止まりつつある様ですからなぁ~。いっそ、シャレット一族は皆仲良くコルト下界の管理者一族になってしまってはいかがですかな。はい」
えっと、俺に続いて両親も不老になりつつある訳ですね・・・。もう何でもありって感じだな。
「管理者一族って、守護者、聖人、管理者の管理者ですか?」
「スタシオンエスティバルクリュの守護者であり聖人であり、中空の離宮の管理者。即ち、コルト下界の監視者であり管理者。神界や神域に住むよりは、ここコルト下界の方が遥かに楽しく刺激がありますぞ。はい」
・・・話が見えないんですが。
「そうなんですね・・・」
「いやぁ~。夢が膨らみますなぁ~。はい」
・・・夢より不安の方が膨らみます。
ありがとうございました。