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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
144/1227

3-10 幸運の神殿に初参拝の日。

リーファ(R)歴4075年7月30日、樹の日。


――― あれから、9ラフン()


 フォルティーナは、アシュランス王国領ゼルフォーラ砂漠のオアシス『グラース』の地下にあったヴァルオリティア帝国の研究施設の調査を1人で行い解決。研究施設はサビィ―(聖梟獣)さんの並行空間に飛ばし処分してくれました。


 地下の研究施設から、研究資料。研究機器機材。魔導具。武具。書籍。食料。水。回復道具。核魔晶石。素材。検体魔獣。検体獣。検体人間だった者達。大量の物品を押収し、まだ間に合いそうな命を保護しました。


 邪の神様の眷属神様で悪狸神二級下級神様(狸の神様)と、邪念の神様の眷属神様で邪耳神七級下級神様(邪念の神の右耳の神様)は、当面の間フォルティーナの時空牢獄に収監される事になりました。


 2柱様への事情聴取及び軽度のスキンシップは、神様達にお任せする事になりました。・・・しました。


 回収した検体人間だった者達の中には、邪落ちし自我の崩壊した人間族の(ジュー)が5人混ざっていました。彼等5人は、悪鬼神様が邪神竜様に渡した情報の中の21人に該当していました。


 この日、アシュランス王国の魔術魔導具研究所と、工房ロイスピーの自然魔素(まりょく)製品開発事業部は、共同チームを立ち上げ回収した資料や書籍や検体の本格的な分析作業を開始しました。


 余談ですが、銀色の液体は全て回収しました。島は既に安定し水没の危機に無かったからです・・・。



――― 2時間後


 葛藤を司りし神(葛藤の神)イエレミーヤ三級上級神様と、寄蟲神六級下級神様(寄生虫の神様)と、悪兎神八級下級神(兎の神様)様と、神蛙九級下級神様(蛙の神様)には、料理の神chef(シェフ)アランギー様率いる妖精のお仕事(・・・・・・)が織り成す超絶至極の料理を堪能していただきました。



 そして、運の神殿、幸運の神殿と呼ばれ一攫千金を狙う者達から、狂気にも似た熱い信仰を集める。運を司りし遊びの女神フォルティーナの神殿。通称ギャンブルの聖地(堕落の楽園)希望通り(・・・・)参拝する事になりました。・・・精霊様や神様の前で結んだ約束は厳守しなくてはいけない。理不尽極まりない口約束であっても反故にしてはいけない。


 これは、復旧復興と発展。趣味趣向を追求した約1ヶ月間の気楽な物語かもしれない・・・。と、いう事で、日と時間をほんの少しだけ遡り・・・日付は......


――― R4075年7月30日(樹)


 神授スキル【タブレット】『ゲーム』

 R4075年7月30日※16回目の恩恵※

【対象者】フォルティーナ のみ

 ※女神の実際の神気は億や京※

 ①神気5108万から6108万まで許可

 ②眷属の神気7倍

 ※実は機能していない※

 ③運を司りし遊びの女神から

  ↓  ↓  ↓  ↓

  運を司りし遊びと良妻の女神へ

 ※良妻の称号を神授します※



 フォルティーナを祀る神殿は、まさにフォルティーナを祀るに相応しい神殿だった。1階には、銅貨5NLのスロット台と銀貨40NLのスロット台が其々100台ずつ設置され。2階には、金貨200NLのスロット台が100台設置され。3階には、カードゲームのブラックジャックとポーカーの台が其々5台ずつとカジノの女王ルーレット台が3台設置され。4階はVIPルーム。5階は超VIPルーム。6階は不明。最上階も不明、一説には温泉施設混浴の楽園があるとかないとか・・・。そして、地下1階と2階は事務所になっていた。


 祭壇は正門を入って直ぐ左端に申し訳程度に置かれていた。まさにフォルティーナを祀るのに相応しい神殿だった。


 俺、マルアスピー、アルさん、マリレナさん、トゥーシェ騒がしい方、トゥーシェ女王様な方、バジリアさん、パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん、メリアさん、カトリーヌさん、バルサさん、エルネスティーネさん、父バイル、母メアリ、祖父エンゾ、祖母イネス、曾祖母クララ、アランギー様、邪神竜様、俺の神授スキルで化現させたエリウスさん、俺の神授スキルで化現させたクロコダイアンさん、ジェルマン伯爵と妻マリアさん、アラン公爵と妻リラリス王女、剣聖ボードワン天爵と妻ドミニクさん、バルタザール王子と妻パトリシアさん、ステファン侯爵と妻ミントさん、パフさんの母リディアさん、首相ルードヴィーグさん、モニカさん、ピーターさんと妻ビアンカ、ルナさん、大賢者マクドナルド様、騎士(サー)リックさん、ロメインさん、ドックさん。そして、大精霊ミト様、中精霊ミューさん、俺の神授スキルで化現させた邪狼獣セリューさんとロージャンさんとバルーサさん兄妹姉妹。


 俺達は、フォルティーナを信仰している訳ではないが、訳あって(・・・・)ギャンブルの聖地を訪れ、5階にある超VIPルームを貸し切り、訳あって(・・・・)フォルティーナの意味の無さそうな話に耳を傾けた。


 脱線主体の長い話が終わると、超VIPルームに特設されたゲーム台で遊びながらの、ビュッフェ(立食形式)の食事会が始まった。



「フォルティーナ。神殿でギャンブルって良いんですか?」


「問題無いね。あたしは遊びの女神だね」


「ギャンブルって遊びなんですかね?」


「何を言ってるね。世の中はだね。食う、寝る、遊ぶ。この3つの要素しか無いね。分かるかね。殺生暴食の時間と惰眠怠惰の時間以外はだね。遊びだね。つまりあたしの時間だね。ハッハッハッハッハだね」


「・・・それならそれで構いませんが。阿漕な商売はしないでくださいよ」


「ねぇフォルティーナ。ここの収益はどうなっているのかしら?」


「アランギーに任せているね」


「ねぇアランギー。ここの純利益はどうなっているのかしら?」


「おんや、パトロンロイク殿の奥方よ。『カジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)』の純利益ですか。はい。良い機会ですな。詳細を説明しましょう。パトロンロイク殿も折角ですので、是非お聞きください」


「俺もですか。分かりました」


「ゼルフォーラ王国ルーリン・シャレット天爵副王領聖都スカーレット時代は税制が整備されておりませんでしたので、7月13日14日15日レセプションを行いました3日間と、7月16日のオープン。参拝を開始しました日から7月26日までは、純利益が大きくなっております。アシュランス王国王都スカーレットになりました4日前からは税が課せられ純利益は少なくなっております」


「そう。今の状態を知りたいわ」


「税金って、アランギー様が整備したんですよね?」


「その通りです。私が税制を整備しました。はい。27日、28日、29日、そして今日。前日までの3日間の平均売上は約十六億三千八百万NL(ネール)。純利益は約十二億二千八百五十万NLです」


「年間の純利益はぁ~・・・約4791億1500万NLね。やるわね」


 マルアスピー!・・・計算はや・・・。


「ゼルフォーラ王国時代の純利益は1貴族領だったからでしょうなぁ~。それとも、知名度の問題だったのでしょうか。1日約十四億千万NLでした」


「税金で純利益が減ってるんですよね。アシュランス王国の税金ってどうなんてるんですか?」


「今後売上も純利益も増え続ける事になると思います。これはあくまでも3日間の平均ですぞ。はい。まず、アシュランス王国の国税は8%で納税額は約一億三千百四万NLです。王都スカーレットの地方税は4%で納税額は約六千五百五十二万NLです。運の神殿への御布施は11%で金額は約一億八千十八万NLです。その他諸々雑費等諸経費が約2%で金額は約三千二百七十六万NLです。ですので、純利益は約十二億二千八百五十万NLとなるわけです。はい。純利益は用途別に5つに分配しております。尚、今後寄付金の額や率に応じた減税措置も予定しておりますので純利益は益々増え続けますぞ。はい」


「アランギー。純利益の用途を説明して貰えるからしら」


「おんや。パトロンロイク殿の奥方よ。流石はルーリン・シャレット家の財産管理の要ですぞ。はい。純利益の7%で約八千五百九十九万五千NLを、正創生教会即ち創造神様と他の神々の神殿へ寄付。純利益の5%で約六千百四十二万五千NLを、孤児院や治療施設へ寄付。純利益の3%で約三千六百八十五万五千NLを、難民移民待機施設へ寄付。同じく純利益の3%をプールしております。純利益の残り82%で約十億七千三十七万NLが、ルーリン・シャレット家に入っております」


「そう」


「10億NLも家の収入になってるんですか!?」


「おんや。そうですぞ。はい」


「なんだね。ロイク。あたしの稼ぎが不満かね」


 稼ぎって、フォルティーナは何もしてないでしょうに・・・。あれ、フォルティーナの手取りはどうなってるんだ?


「アランギー様。お金の分配にフォルティーナの名前がありませんでしたが、どうなってるんですか?」


「御布施11%の内の74%が取り分だと聞いておりますぞ。はい」


「あら、1億3333万3200NLは、フォルティーナの収入なのね」


 計算はやぁっ!


「当然だね。あたしの名前で集まった信者からちょうだいしたお金だね」


 御布施・・・ギャンブル・・・巻き上げたお金・・・う~ん。アシュランス王国に定住する人達の税金を何か下げられないかぁ~・・・。


「まぁ~詐欺しない限りは好きな様にしてくれて良いです。詐欺は駄目です。詐欺はぁっ!」


「失礼な。あたしは名前を貸しているだけで、アランギーに一任しているね。あたしは何もしないで、楽して稼ぐね。これが1番あってるね」


 何もしないで楽して稼ぐって・・・。ほんとあれな人だ。それにしても、


「アランギー様は、家の料理や国政やカジノ他にも沢山手掛けているみたいですが平気なんですか?」


「有り余る時間の中、料理の味、香り、装い、場との調和、雰囲気の調整。只管頑なに追及して参りました。食べるとは他の命をいただく事であり感謝の瞬間。料理とは食を支える総合芸術であり憩いの瞬間でもあるのです。しっかぁ~し、食が常に料理と共に無い。悲しい現実に気付いてしまったのです」


「へぇ~・・・」


 えっと、つまりどういう事だぁ~?


「美味しく食べていただきたい。その為には、一見全く関係の無い事に思える料理や食とは無縁の世界を知り理解する。私は料理を食べてくださる方々の積み重ねてきたであろう時間の欠片ドラマを見ておりませんでした」


「はぁ~・・・」


「偉いわ。相手を知る。大切な事よね」


「おんや。全ては相通ずる訳ですな。はい」


「そうね」


「うんうんだね。素晴らしい話だね」


 ・・・神様と精霊様。何かが通じ分かり合う。そんな瞬間に立ち会いました。



「ところで、マルアスピー。工房ロイスピーの純利益ってどうなってるんですか?」


「そうね。現時点では、アシュランス王国の歳入の3分の1程を納税する位には成長しているわ。純利益はとても大きな金額よ」


「おんや。知らぬはパトロンロイク殿だけといった感じでしょうか。はい」


「確かに任せっ放しで詳しく知らない事ばかりです」


「工房ロイスピーは、【HP】や【MP】や【状態異常】を回復治癒治療する回復道具を始め、パトロンロイク殿の奥方が考案するスィーツ、デザート。私が監修しましたファストフード。そして、武具、魔導具、雑貨、消耗品、インフラ整備、建築、建設、施工、保険、警備代行、戦闘指導A・B・C、造船、輓獣車、希少魔獣素材、通常の食料品、通常の飲料、通常のアルコール、等々事業は他にも行っておりますが、まぁ~こんなところでしょうか」


「それ、殆ど俺が処理してた事ですよね?」


「おんや。お気付きになられましたかな。はい。パトロンロイク殿は魔法を発動するだけで、工房ロイスピーそしてアシュランス王国へ利益を齎しているのです。国王自ら汗水流しインフラ整備をし外壁や城壁を設置する。素晴らしい事ですぞ。はい」


「まだ、貰ってないお金が沢山あるけど・・・困って無いから良いか。それより、さっきA・B・Cとかって言ってたけど、それは?」


「戦闘指導A・B・Cですな。はい。Aはパーティー戦闘の指導、Bは魔術や魔法を用いた個人戦闘の指導、Cは魔術や魔法以外による個人戦闘の指導の事です。はい」


「色々、やってたんですね」


「全て、パトロンロイク殿の奥方の案を参考にしております。はい」


「へぇ~」


「フフフ」



「おんや、話を戻しますが、現在世界中の王国から王都にカジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)を建立したいとの申し出が来ております。はい。政情が安定しているターンビット王国、ズィルパール王国、マルメット王国、カタストロシュール王国の王都に対しては、神殿建設の許可を出しました。神殿の管理運営は、運を司りし遊びと良妻の女神フォルティーナ様の眷属神、眷属、信徒。そしてカジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)のスタッフ達によって行われる事になります。神殿に対し国が介入する事はございません。国家の介入は神の名において決して認めません。はい」


「なるほど」


 信仰の名を借りたギャンブル。カジノの誘致が各国で進んでる訳か。


「なんとだね。あたしの神殿が4つ増えるのかね」


「まずは、4つです。今後、全ての国の首都や首都以外の大都市にも建立を予定しております。はい。カジノフォルトゥーナ(運の女神の神殿)は首都のみの展開で計画しておりますが、ゼルフォーラ王国のサーフィスやフォーラムの様に首都に匹敵する規模の都市には検討の必要があるでしょう。はい」


「この世界の住人は、娯楽に飢えているね。実に貪欲で素晴らしいね。・・・だがしかしだね。信者が破滅しては本末転倒だね。殺さず生かさずだね。ハッハッハッハッハだね」


「鬼ですね」


「何を言ってるね。あたしは女神だね」


 ・・・神の皮を被った魔神とかだな。


「ねぇロイク。工房ロイスピーの販売事業部の店舗をカジノフォルトゥーナに常設しましょう」


「おんや。それは素晴らしいアイデアです。はい」


「アランギー。1つ言っておくね。幸運の神殿はあたしの神殿だね。食や料理の神殿では無いね。だがだね。遊びを追求する空間に美味い食べ物と飲み物。堕落と快楽は付き物だね。あたしが認めるね。明日からフードコートを始めるね」


 何だ。良いのか・・・。


「おんや。お任せあれ。はい」


 俺の家は、世界規模の工房とカジノを経営しています。俺の本業は一応王様って事になっています。究極の雑用係だと自負しています。



「ロイク様」


 鳥を2羽肩に乗せ、アルさんが傍にやって来た。


「その肩の鳥は?」


「はい。彼女達は、ゼルフォーラ大陸の東北部を監視している私の眷属で、右肩に停まっているブルーのカナリア(金糸雀)はオリノと言いまして、左肩に停まっているメナート(九官鳥)はマナと言います」


「青いカナリアですか。珍しいですね」


「わたしは、マナ。ロイクさま。よろしくでございます」


「おっ!メナートは言葉を話すって聞いた事がありましたが、結構上手なんですね。こちらこそ宜しくお願いします。マナさん。それとオリノさん」


 カナリアのオリノは首を振る。俺に、宜しくと返事をしている様に見える。


「オリノもよろしくでございます。いってる」


 やっぱり返事してくれてたんだ。意思疎通が出来る動物って良いな。さてと。


「それで、アルさん。オリノさんとマナさんを紹介しに来た訳では無いですよね?」


「実は、マナが州都カトムーイの西28Km付近で、アンデッド化した樹人族(エルフ)を数体見かけたそうなのです」


「大樹の森の中でですか!?」


「モリのなかで、おかしなエルフをみた」


「アンデッドって死んでるのに動くあれですよね?」


「不死者の事ですね」


「タブレットで調べてみます」



≪・・・対象は1049件です。


「大樹の森に帰化したワワイ大森林の中に、樹人族(エルフ)のアンデッドが1049体もいるみたいです」


「6にんみた」


「マナが目撃したポイントには6体いたのだと思います」


「でしょうね。マナさん、オリノさん。お手柄です」


「おてがら。おてがら」


「ピィー ピィピィー」


「ありがとう。いってる」


「マルアスピー。アンデッドって、水が弱点では無いけど、水が苦手なんですよね?」


「本にはそう書いてあったわ」


「ロイク様。不死者の弱点は聖属性と火属性です。水には微弱ではありますが浄化の力があります。ですので、循環している水には近付きません」


「なるほど。川の近くにアンデッドがいないのはそれでか」


「カライ川とワワイ川と南ワワイ川と海に囲まれたエリア。ノイ川とワワイ川と海と山脈に囲まれたエリア。2つのエリアにアンデッド達が存在している訳ね」


「みたいですね。フィーラとカトムーイ。討伐隊の編成は両方の都市に必要かぁ~・・・う~ん」


「ロイク様。私にも画面をお願いします」


「パトロンロイク殿。私にもお願いしますです。はい」


「あれ?神様達には常に見えてるんじゃ」


「今は見えてませんよ」


「おんや。そういえばそうですね。おかしいですな。はい」


「う~ん。取り合えず、画面を渡します」


 マルアスピーとフォルティーナは勝手に見えてるはずだから。


 【タブレット】『視認対象』:アル、アランギー・『画面選択』:23インチ(縦28.6cm/横50.9cm)・『表示座標』:視認対象の正面。



「おんや、これはまた随分と広範囲におりますですなぁ~。はい」


「どうしてこんなにアンデッドがいるのでしょう?」


 たぶん、あれだな・・・。説明する前に。


「バルサさんと首相のルードヴィーグを呼びます。集まったら、今回の対応について説明します」



 バルサさんと、ルードヴィーグさんが慌ててやって来た。俺は、【小窓】を2人の正面に飛ばすと、説明を開始した。



「旧ワワイ大森林に樹人族のアンデッドが1049体ですか・・・ちょっとした軍隊です。アンデッドの発生は1体や2体というのが普通なのにどうしてこんな事に・・・」


「バルサさん。それについては心当たりがあるので後で説明します。まずは先にこの1049体のアンデッドの対処についてなんですが、討伐をアドベンチャーギルド(冒険者探検家協会)に任せようと思ってます」


アドベンチャーギルド(冒険者探検家協会)にですか?」


「はい。俺や家族や仲間達だけで何でもかんでも解決していたら、俺達以外の人達の成長や経験や仕事の機会を奪ってしまう事に繋がります。それに、全て俺達で処理するのは不可能です。正直なところ、来たる日に備え集中出来る時間が欲しんです」


「分かりました。公文書を作成しフィーラとカトムーイのアドベンチャーギルド(冒険者探検家協会)に、王国からの直依頼として投げます。ルードヴィーグさん。討伐に関する責任者は何方ですか?」


「軍であれば、国防大臣のヨランダ・ヒース卿。警備隊であれば、王国警備隊隊長のバジリア王妃。民間のみの作戦で軍も警備隊も関わらないのであれば、全体を統括する内務大臣のマクドナルド・ガリバー卿かと・・・」


「賢者マクドナルド様のサインを貰うと良いのですね?」


「今回のケースですと、内務大臣でも無い様なぁ~・・・」


「俺って、自分の国の事なのに知らない事ばかりみたいです」


「陛下は、この世界の為に働いておられるのです。王国の事は我々に任せ、今は来たる日に備え世界の為にお願い致します」


「と、言われてもねぇ~。自分の国の事だし・・・せめて、法律とか大臣とか政治体制とか軍とか教育とかねぇ~・・・」


「ハッハッハッハだね。何を今更だね。人間自分1人だけで何が出来るね。補い合い支え合い協力し合うのが人間の強みだとロイクは前に言ったね。努力は重要だね。だがだね無理する必要も、不足した知識のまま出しゃばる必要も無いね。邪魔なだけだね。勘違いしてはいけないね。1番偉い立場にあるからといって1番優れている訳では無いね。適材適所だね。全部アランギーで良いね。ハァーハッハッハッハだね」


 それって、究極の神頼み・・・。


「このアランギー。当面存在し続ける予定ですぞ」


「あと、数十億は余裕だね。ハッハッハッハだね」


「おんや。その通りですな。はい。ハッハッハッハッハ」


 ・・・・・・、神様のきまぐれに巻き込まれても大丈夫な様に、後進の育成は急務だな。うん、間違いない。


「まぁ~人材育成や教育の場を充実させこの世界の人間の底上げは進めますぞ。はい。重要なのは知識や知恵だけが先行し心を置き去りにさせない事です。学力が高いだけの愚か者や、地位や名誉に拘るだけの愚か者。探求や向上を志心を忘れてしまっては意味がありません。そうですなぁ~。まずは人間の道徳、人の倫理、この世界の人間種達には躾から始めますかな。はい」


「今は現状が良く分からないんで、後進教育に関しても、今度ゆっくり話し合いましょう」


「パトロンロイク殿よ。少しずつ。少しずつ共に学びましょうぞ。はい」


「あ、・・・そ、そうですね・・・」


「うんうんだね」


「フフフ」


「陛下。私も王国の為、常に学び続ける所存です」


「ルードヴィーグさん。今後とも宜しくお願いします」


「はぁっ!」


「まるで軍人みたいね」


「マルアスピーも一緒に勉強ですよ。人の心を学ぶ良い機会になると思いますよ」


「そうね。考えておくわ」


 知りたいんじゃなかったっけ?・・・まっ良いか。


「フフフ」


「あのぉ~それで、今回のケースでは、何処の何方が責任者なんですか?何方のサインがあると書類は完成するのでしょうか?」


「今回は首相として私がサインしましょう。報酬は国庫から捻出して構いませんか?」


「おんや。それで良いのでは?はい」


「王国から依頼する訳だし、問題無いと思います。アランギー様、ルードヴィーグさん。家って、ゼルフォーラ王国の様な御前会議とか評議会とか中央議会ってやった事がまだありませんが、決定ってどうなってるんですか?」


「アランギー様とマクドナルド様と私と他数名でケースバイケースでしょうか」


「・・・色んな意味で問題山積ですね」


「ロイク様。また後程です。書類を作成して来ます。最後にもう1つだけ確認ですが、書式は?」


「書式ですか」


「まだ、決まっておりません」


「おんや。そうですなぁ~各ギルド(協会)の書類の書式を確認をしていませんでした。はい。ルードヴィーグ。上位ギルドの書類の書式を確認しますぞ。統一出来る書類は統一。簡素化出来る書類は簡素化。行きましょう」


「はい。アランギー様」


「パトロンロイク殿の奥方バルサ殿よ。貴女も行きますぞ。はい」


「え!?ああぁ、はい」


「それでは、パトロンロイク殿よ」


「陛下、私もこれで」


「ロイク様。書類を作って来ます」


≪パンパン


「そこまで急ぎじゃないんですが・・・そうですね。それじぁ~お願・・・・・・行っちゃいましたね」


 3人は、超VIPルームを転移で後にした。


「えぇ。フフフ」


「アランギー様って、即断即決(そくだんそっけつ)有言実行(ゆうげんじっこう)ですよね」


「アル。それは違うね。アランギーは軽佻浮薄(けいちょうふはく)智謀浅短(ちぼうせんたん)だね」


 それ、フォルティーナの事ですよね・・・。


「ロイク様・・・」『それって』


「去るのを待ちましょう」『言っても無駄です』


「はい」『そうですね』


「あたしは、知者不惑(ちしゃふわく)。格が違うね」


 はいはい・・・


『フフフ』



 樹人族のアンデッド討伐の件は、数日後再燃する事になる。



「あああぁぁぁ―――!」


「どうしました?」


「ピィッ ピィッ」


「おどろいたと、いってる」


「ごめんごめん。それが、バルサさんにアンデッドの事を話し忘れたなぁ~って」


「あら。ギルドに発注するのでしょう」


「そうだね。ロイク忘れたのかね」


「そっちじゃ無くて、どうしてアンデッドが1049体も発生したのかって方です」


孫魔猿(そんまさる)。間引きしておいた方が良いでしょうね」


「俺もそう思います」


「ロイク様。その件で確認したい事が」


「孫魔猿の件でですか?」


「地の中精霊のミューさんから預かりました203人の樹人族の女性の件です」


「もう、家で預かってたんですね」


「はい。州都フィーラの東部に設けました移民難民待機所で療養中です。回復後はどうされますか?」


「そうですねぇ~。満腹時は狂暴な殺戮者、空腹時は貪欲な捕食者。女性にとってはだたの強姦猿。それを目の当たりにして平気な人はいないだろうし。心のケアーが済むまでは、自立支援更生施設にでも移して様子を見ますか?」


「分かりました。メリアさんとマリレナさんには私から伝えておきます」


「お願いします」


「あらっ!私の話ですか?」


「あ、マリレナさん。調度良かったです。地の中精霊のミューさんが保護した樹人族の女性203人の話を今してたところなんですよ」


「なるほど、そうでしたか」


「治療が済み次第、フィーラの自立支援更生施設に移し心のケアーを行い。それで大丈夫そうなら社会復帰させる事になりました」


「ロイク様。共存を望まず離れた風の樹人族(ヴァンのエルフ)の離反者達にまで、ありがとうございます」


「御礼はミューさんにですよ」


「それでも、言わせてください。私はこれでも風の樹人族の大長老だったのですから」



「ねぇ、ロイク。大樹の森に帰化したからといって、旧ワワイ大森林に魔獣が大量発生する何て考え難いは、どうして孫魔猿だけがそんな増えたのかしら」


「繁殖が上手く行ったとしても増え過ぎだし、変だなって俺も考えてはいたんですが、考えても原因が分かる訳でも無いし・・・」


「隠れ里の現地調査でもしてみるかね」


「生贄の里の調査をですか。必要ですか?」


「ロイク様。樹人族の警備隊は、明日の早朝現地に向け出立する予定になっています。指揮官はバジリアです」


「それなら、バジリアさん達が現地に到着したら、俺達も行ってみますか?」


「ロイク様。マナとオリノも同行して宜しいでしょうか?」


「発見の功労者は、マナさんとオリノさんです。一緒に行きましょう」


「ピッ ピィッ―― ピィッ」


「おやくにたちます。と、いってる。わたしもたつ」



「ロイク。あたしがディーラーをやるね。ブラックジャックで勝負しないかだね。勝負は1勝負ずつ勝ち負けを決める方法で11回だね」


「確認ですが、負けたら何かありますか?」


「当然だね。勝ったら1つだけ願いを叶えて貰うね」


「願いの規模範囲を決めましょう」


「コルト下界の理から逸脱しない。ロイクが嫌な事は無効。これでどうだね」


「俺が負けるのが前提ですか?」


「あたしを誰だと思っているね。ギャンブルの女神を舐めて貰っては困るね」


「良いでしょう。この勝負受けて立ちましょう」



 フォルティーナと俺の勝負が始まった。



「ナチュラルブラックジャック」


「な、ロイク。君ぃ~ズルは良く無いね」


「配ったのフォルティーナですよね」


「あたしにズルさせたのかね」


「どうやって?」


「まぁ~良いね・・・次だね」



「20」


「19だね・・・次だね」



「19」


「うっ・・・17だね。ビギナーズラックもここまでだね」



「ナチュラルブラックジャック」


「勝負はこれからだね」



「21」


「20・・・だね」


「次、俺が勝ったら。終わりですよね?」


「次は無いね」


「え?」


「勝負はここまでだね」


「11戦ですよね?6勝した方が勝ちですよね?」


「だがだね。勝負は終わったね」


「・・・フォルティーナ負けるのが怖いんですか?」


「あたしに怖い物等何も無いね。分かったね」



「ナチュラルブラックジャック」


「・・・ウォーミングアップは終わったね。さぁ~勝負だね」


「俺の勝ですね」


「お、おかしいね。ギャンブルの女神がどうして眷属に負けるね。こ、これは誰かが仕込んだ罠だね。アランギー!」


「今は居ませよ・・・女神様」


「分かったね。この勝負無かった事にしてやるね」


 ・・・ここで逃がしてはまた挑んで来る可能性が高い。


「いえ、フォルティーナの負けです」



 そして、父バイルとの勝負が始まった。



「ロイク。まさかおめぇーとこんな日が来るとわなぁっ!勝負は勝負だぁっ!騙し打ちのバイルと畏れられた俺にもし間違ってぇー勝っちまったらよぉっ。おめぇーに秘密を1つ教えてやるっ!」


「さり気無く勝負する流れに持込ましたね」


「さっきの勝負見てたぜぇっ!だが、俺にはあんな手を通じねぇー。さぁーかかって来いやぁー」


 親父・・・キャラ違うだろう。はぁ~・・・。


「それで、確認します。俺が勝ったら、暴露1な訳ですか?」


 どうせくだらない話だろう。サクッと終わらせて他の人の勝負を見に行こう。俺は、自分でやるよりも他人が勝負している姿。他人が駆け引きしている姿を見ている方が楽しいらしい。


「そうだぁっ!いざっ」



「ナチュラルブラックジャック」


「ロイク・・・おめぇー・・・あくまでも親の俺に勝を譲る気はねぇーって事だなぁっ!」


「親父も本気を出したらどうですか」


「親に向かって言う様になったじゃねぇーかぁっ!男になったなロイクぅーあぁー」



「20」


「21だぁっ!」


「やりますね。5枚で21って出来るんですね」


「おうよまかせとけぇー。ふっ、俺のもう1つの通り名を知りたいだろうぉー」


「興味無いです」



「19」


「19。チッ・・・で、最近どうぉーよぉー」


「何がです?」


「孫の予定ぇー聞いてんのぉっ!」


「神のみぞ知るって奴です」


「あん?神だらけじゃねぇーかよ。誰に聞きゃー良いんだよぉっ!」


「息吹の女神様か愛憎の女神様とかじゃないですか?」


「おうそうかぁっ!まぁー何でも良いやぁっ!・・・次だ次」


 何でも良いって。話振ったのあんただろう親父・・・。



「20」


「21だぁっ!はぁーんっ!」


「またカード5枚で21か。親父って変な所に才能あるよな」


「おう任せとけぇっ!」



「19」


「23。引いても引かなくても負けって何だよチクショウォー」



「20」


「20だぁっ!チッ・・・」


「ロイク。お前。弟と妹どっちだぁっ!」


「はぁ~?」


「聞いただけだぁっ!」



「19」


「20。はぁ―――ん。どうだぁっ!俺のもう1つの通り名を教えてやんよっ!」


「言いたいんですよね。どうぞ」


「騙し打ちのバイル。人は皆俺の事をそう呼ぶ!」


「それさっき言ってましたよ。それに、アホ面で渋く決めようとしても無駄です」


「おめぇーは、そのアホ面の子供だぁっ!はぁーん。どうだ参ったかぁっ!」


 物心付いた頃から、ずっと頭を抱えて来たし、そうですね・・・・・・親父にはかなりまいってます。


「おめーが2勝、俺が3勝、2引き分け。勝負は見えたなぁっ!」



「ナチュラルブラックジャック」


「な、なんだとぉっ!・・・ここに来てそんな手がぁっ!・・・」


「手って言うか、配ってるの親父だろう。俺さっきから来たカードを出してるだけだぞ」


「なるほどなぁっ!・・・己の運では勝てない・・・気付いていたのか・・・俺の幸運に便乗すりゃぁー勝てるっ!・・・やるな」


 誰だ、この人・・・。


「だが、それじゃぁ~・・・それだけじゃぁ~俺には勝てねぇんだよぉっ!」



「ナチュラルブラックジャック」


「何だとっ!・・・俺は今悪夢を見ているというのかぁっ!これは悪夢・・・フッ、勝負はこれからだぁ―――」



「ナチュラルブラックジャック」


「なっ!次だ次・・・勝負だぁー!」



「20」



「・・・・・・22だ・・・おめぇーの勝だ。強くなったじゃねぇーかぁっ!ロイク。もうおめぇーに教えることぁー1つもねぇー。免許皆伝だぁっ!」


 ・・・えっと・・・これ(・・)にどう反応したら正解?

ありがとうございました。

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