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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー1ヶ月間の軌跡ー・ーアンデット編ー
138/1227

3-4 エグルサーラ調査の日③~神々の戯れ~

リーファ(R)歴4075年7月28日、光の日。

「フィーラの総督府の地下にあった研究施設は、オアシスの近くに転移したね。邪属性の自然魔素(まりょく)を統制しようとして、沢山の自然魔素を人体から集めた様だがだね。邪を抑止出来るのは邪だけだね。聖では抑止もなにも消滅させてしまうね。地水火風光闇では侵食されて終わるね。無はどの属性にも干渉しないね。抑止の方法も知らずに自然魔素で強化した拘束具で検体を抑えていた事が丸分かりだね」


「あのぉ~・・・物凄く詳しくお分かりになっておられる様ですが・・・どういう事でしょう?」


「つまりだね。ヴァルオリティア帝国の研究は、邪の神の神気を核にし邪属性の自然魔素を利用して、魔法魔術として発動する為に変換した自然の力をだね。魔法陣や魔力陣に置き換え誰でも使用出来るようにした物を更に持ち運びしやすい様に呪詛化して、施す時は呪印として対象に残す。呪印は呪詛を魔法陣や魔力陣の様に方式化した物だね。本来は容易に解呪されない様に見つかり難い場所や、呪印の方式は見えないのだがだね。帝国の呪印は帝国旗の形に似せた魔力陣になっていて分かり易かったね」


「えっと。これ来たる日に関係ありそうですか?」


「知らないね。来たる日が来ない事には分からないね」


「そ、そうですね・・・」


「だがだね。創造神からの指令はクリアしたね。まだしていない物が多いがだね」


「建国するにあたり隔離管理されていた人達を救出するのは絶対でしたからね」


「うんうんだね。それでだね。帝国は樹人族の隔離管理だけは順を追って段階的に計画的に進めているね。古代魔術を応用する事で生み出された樹人族に伝わる魔力陣。研究に必要な多くの自然魔素。自然魔素の長く安定した供給源の確保。そして研究者や研究者を支える住民達の不満を解消させるのに調度良い奴隷。ここまでなら100点だね。何処かのタイミングで(ジュー)がこの研究に関わったね。魔力陣を呪詛化して活用しようとしたのは、額に残された魔力陣の方式の中に雑に残された術式を見れば分かるね。研究は途中から邪属性によって対象を強化し支配する。従属を前提とした物に移行した様だね。(ジュー)が絡んでるという事は、邪の神の眷属神の眷属達や魔界の悪魔種も関与している可能性があるという事だね」


「えっと・・・」


「呪印の研究が何処まで進んでいたのかをだね知る必要は無いね」


「どうしてですか?」


「気付いて無いのかね?」


「何をですか?」


「呪印は邪の呪詛だね。聖属性の魔術や魔法を扱えるロイクならあっという間に解呪出来るね」


「・・・あれ、呪いって事で良いんですか?」


「違うね。呪いでは無いがだね。呪いに近い存在だね。邪属性の呪印だね。砂漠に移動した施設を調査する必要があるのはだね。創造神からの指令③の1部が存在している可能性が高いからだね」


「1部?」


「邪落ちした(ジュー)。もしかしたら眷属が居るかもしれないね。ハッハッハッハッハァ~だね。礼は要らないね」


 それ・・・出来ればもう少し早く聞きたかったです・・・あぁ~もう・・・・・・。しかし、ファルティーナの話通りだとすると、帝国の研究云々どころじゃない。彼等によってこの世界に本来存在し得ない技術や能力が定期的に供給されているとしたら。・・・世界創造神創生教会の枢機卿を名乗っていたクレメンス・オデスカルと邪属性の指輪。邪属性の魔術を扱う聖職者。どう考えても普通じゃない。・・・(ジュー)探しに集中したかったけど、タブレットの検索機能では干渉規制エラーだ。フォルティーナに一時的に解除して貰った規制は再びロックされていた。神様や眷属神様や眷属達の個人情報保護が最優先事項なんだそうだ。これは、俺側の神々と相手側の神々様両方にとって公平である事が神界の理。相手は神様達のルール。俺が口出し出来る次元では無い。


 神様達と情報を共有する方法が欲しい。創造神様にメールを送ってみたがこの件に関して神授をいただくことは無かった。・・・邪の神気を帯びた武具に関しても全く進展が無いままだ。フォルティーナは何か知ってるのだろうか?


「邪の神様の眷属神や眷属や(ジュー)がいるかもしれないとして、邪の神気を帯びた武具とかはあったりしませんかね?」


「邪の神気を帯びた武具は創造神が創造した創神具に近いね。邪は邪でも邪違いだね」


「つまり?」


「知らないね・・・ハッハッハッハだね」


「ねぇ~ロイク。後9個よね?」


「はい」


「なるほどだね。知ってるのはだね。ロイク、君が破壊した2つだけだね」


「破壊?いつですか」


「忘れたのかね」


「いや、忘れたというか、身に覚えがありません」


「姿を晦ました男が身に付けていた邪の指輪と嘆きの洞窟の風属性の噴き出しを阻害していた邪の大槍だね」


 え?邪の大槍?


「邪の指輪は分かるんですが、槍には覚えがありません」


「それはおかしいね。タブレットの中に入ってたね」


「邪の大槍がですか?」


「何を言ってるね」


 何って・・・あぁ~もう。


「タブレットの中に収納されてるって事ですよね?」


「邪の大槍だった物は収納されているね」


「・・・いつですか?」


「知らないね。邪を祓い所有権がロイクに移行したね。だから回収されたね」


 ・・・全く身に覚えが無い。


「自分がやった事位責任を持つね」


「は、はぁ~・・・」


「全くだね。これだね」


 フォルティーナは、宙から槍を1本取り出した。


「普通の槍ね」


「ただの槍に見えますが・・・」


「当然だね。邪が払われて、ただの槍になったね」


「大槍だったんですよね?」


「邪が払われて、槍になったね」


 あぁ~そうですか・・・


「ロイク。良かったわね」


「何がですか?」


「2個は回収済み。残り9個よ」


「・・・こう言うのって良かったって言うんですか?」


「分かったね。未来が見えるね」


「そんな能力ありましたっけ?」


「私は運の女神だね。運が良ければだね当たるね」


「何が見えたのかしら?」


「ロイクが残り9個を回収する未来だね」


「・・・結果が見えたんですか」


 つかえねぇ~・・・


「その未来はどの位先なのかしら?」


「う~んだね。1000年か2000年以内って感じだね」


 ・・・かなり使えない能力の様だ。


「ハズレだな」


「何がだね」


「それ・・・」



 気を取り直して、俺とマルアスピーは、フォルティーナに改めて質問していた。脱線は毎度の事、俺達は慣れている。


「それで、この銀色の液体に関してですが、島の事でも、今後の動きについてでも、何でも良いんで思い当たる事があったら話して貰えませんか?同じ話は無しでお願いします」


「そうね。さっき行った島は、元々ゼルフォーラ大陸と陸続きだったそうよ。大樹の森に何となく似ていたのはその影響でしょうね。島に住む子供精霊達が教えてくれたわ」


「子供精霊様とかも大きかったりします?」


「声だけなのよ大きさは知らないわ」


「そ、そうですか・・・」


 取り合えず、銀色の液体と島が大陸と陸続きだった事はたぶん関係無い。それに諸島の配置から察するに何となく繋がっていたのかなって想像はしていた。半島とあの島がくっ付いていた可能性はかなり高いだろう。


「アランギー様が諸島は半島だったって前に言ってたので、ゼルフォーラ大陸は南に長い大陸だったのかもしれませんね」


「何を言ってるね」


「何って島と大陸がくっ付いてたって話ですよ」


「違うね。さっきの島はだね。今のララコバイア王国の島と繋がっていないね」


「え?」


 何でどうでも良い話の時には、こうも聞いて無い事まで語り出すんだ?


「あの島は、今のトミーサス大森林を囲む様に存在していたね」


「はぁ~?旧大陸って名前は・・・」


「人間達が勝手に呼んでいるだけだね」


「どうやって移動したのか分かりますか?」


「・・・まぁ~知らなくは無いね。・・・あれだね・・・・・・あれは、寒い冬の日だったね」


 あぁ~?何か語り始めたんですけど・・・!?


「いつもの様に中空の離宮で朝日が昇るのを見ていたね」


 ・・・


「ふと思ったね。そうだあの辺りに島だね」


 ・・・


「その日。中空の離宮に滞在する神界の住民達と協力してだね。大事業を成し遂げたね」


 ・・・えっと・・・


「あれを浮かばせるのには苦労したね。思い出したね。そうだったね。あれは寒い冬の日だったね」


 ・・・振り出しに戻ったのか?


「そうだね・・・・・・あの島だね」


 遥か昔の記憶そうだけど、いったいいつの話をしてるんだろうか?


「考えてたよりも重かったね。浮島にするのを諦めてだね。バランスを取る為に、南北の水脈に5属の攻撃因子を溶かした水を加え今の場所に安定させてみてはどうだろうかと誰かが言い出してだね・・・」


 5属の攻撃因子水の名前が出て来たぞ。珍しくフォルティーナの話が最初の話と繋がってると言うのか・・・奇跡だ。信じられない・・・


「それでその、5属の攻撃因子水を地下水脈に注入してどうなったんですか?」


「それでも、まだ重かったね。仕方なく、そう仕方が無かったね。カトラシア半島にあった山脈だね。島の下に置いたね」


「はぁ~!?・・・カトラシア半島って今の諸島ですよね?」


 山脈を島の下に置いた?


「山を動かしてして、島の土台に使ったのね」


「端的に言うとそうなるね」


「使ったのねって、マルアスピー分かってますか?山を動かしちゃったんですよ。・・・コルト下界で何やってくれてるんですか」


「ロイク。フォルティーナの話を聞いていたのかしら。山を動かしたそうよ」


「反省してるね。・・・山では足りなかったね」


「足りなかったのね」


 ・・・何この変な会話。


「結局だね。カトラシア半島の山脈を全部島の土台に利用したね。ちょっと傾いたがだね大成功だったね」


「それ成功って言わないですよね?それに、フォルティーナ達のせいで半島が諸島になったんですね」


「違うね。山脈が無くなり平地になったあそこには、その後暫くして魔人族の王国が誕生したね」


 ん?アランギー様が言ってた話に繋がったのか?


「その王国は、海の水が少しずつ増え、暫くすると海に沈んでしまったね。その時に半島は今の群島になったね」


「へぇ~」


「山脈が近くにあって良かったね」


「何、冒険者?登山家みたいな事言ってるんですか!?」


「あたしは神だね」


 ・・・そ・・・


「そうですね!?それで、コルト下界で好き勝手に色々やってくれたのは分かりましたが、5属の攻撃因子水や山脈を使って安定させたあの島で、どうしてこの銀色の液体が採取出来たんですかね?」


「思うにだね。確か、北側が少し低くなってたね」


「それで?」


「毎年、1mm~3mm程沈下している感じだったね」


「あら、あの島はその内、海の底に沈んでしまうのね」


「安心するね。今の場所に落ち着いてからかなり経つ様だがだね。もう大丈夫だね」


 ・・・色々思う所は多いが今は本題が優先だな。


「島の北にあった山脈側の方が低いって確かに山自体少し低い感じでしたが、山が低いって話ではなさそうですね」


「沈下し続け落ち着いた様だがだね。どうやら北に傾いているね。そのせいか、さっきの島の自然魔素の循環が、4大属性を中心とした南側の山脈と、5属の攻撃因子水によって循環を著しく制限された地属性と風属性を中心とした北側の山脈の2つになっている様だったね。うんうんだね。それで、5属の攻撃因子水が北側に集中したね」


「傾いて低くなってるからだって、笑えないオチ言いませんよね?」


「その通りだね」


 ・・・なるほど。傾いた北側に5属の攻撃因子水が湧き出て池が出来たって事か。


「南側はこの世界に荒れ狂う熱の息吹を齎し、北側は神界にしか存在しないはずの金属と因子を齎した。なかなか良い感じだね。そうだね。思い出したね。あれは、寒い冬。島を置いた次の日の朝だったね」


「次の日も何かやらかしたんですか!?」


「離宮の温泉から見る活発なコルト下界の大地の息吹は絶景だったね」


「それ、噴火ですよね?大惨事じゃないですか」


「安心するね。島と離宮は距離があったね。吹き出す溶岩と噴煙。大地からは程好い振動と唸る様な音が聞こえてだね。その後、暫くあたし達は離宮から離れたね」


 ・・・コルト下界の環境は可能な限り破壊して、居心地が悪くなって一斉に退去した。そんなところかな。しかし、神様って本当に大丈夫なのか?


「見つめられても何も出ないね。安心するね。その頃のコルト下界は、竜種に精霊種に精霊獣に聖邪獣に悪魔種に魔獣に神獣種に私達神しかいなかったね。人間種がコルト下界に創造されるのは18億年位経ってからだね。ハッハッハッハだね」


 ・・・概ね俺の推測通り、間違いなさそうだ。


「ハッハッハッハッハだね」



「ねぇフォルティーナ。私、聞きたい事があるのだけれど良いかしら」


「なにかね?」


「確認なのだけれど、5属の攻撃因子水は作れるのかしら?」


「簡単だね」


「そう。製造方法が知りたいわ」


「俺も知りたいです」


 これを聞き出す為だけに、この無駄な時間。やっとだよやっと。


「18億年前はだね」


「その話は後で、ロイクとゆっくりすると良いわ」


 な・・・何で俺?


「仕方ないね。そうするね。面白く無いね」


 ・・・面白く無いなら遠慮しても良いですよね?


「それで、レシピがあると嬉しいわ」


「その液体はだね。難しいね」


「簡単だって言ってたじゃないですか」


「えぇ言っていたわ」


「5属の攻撃因子水は簡単に作れるね。だがだね、その銀色の液体は難しいね」


 あぁ・・・なるほど・・・


 俺とマルアスピーは暫く見つめ合ってしまった。



「だがだね」


「「だが?」」


「何と言うかだね。摂取しても綺麗に排泄されてしまう5属の攻撃因子水を製造しても意味が無いと思うね。どうせならだね。コルト下界や精霊界の属性の理に従ってだね。四大属性と無属性を20%ずつ均等に配合した万能水を製造した方が良いと思うね」


「・・・地水火風無の5属性が20%ずつバランス良く溶けた物が作れるんですか?」


「フォルティーナ。その万能水のレシピが欲しいわ」


「簡単に出来るね。知らなかったのかね?」


「「えぇ・・・」」


「因子と属性の特性を考えると分かる事だね。まず、無属性で水を創造するね」


「はぁ?・・・フォルティーナ。それ、突然皆アウトですよ」


「どうしてだね」


「この世界では、水は水属性だからです」


「何を言ってるね。ロイクには神授スキル【マテリアル・クリエイト】があるね」



 俺限定の製造方法でしたか・・・


「ねぇロイク。後で経営者会議よ」


「そうなりますよね」



 R4075年7月28日。工房ロイスピーは【MP】の劇的な回復率を実現する万能水を完成させた。この万能水を使ったスィーツ、デザート、軽食、回復道具他もまた工房ロイスピーの完全独占販売商品として主力商品の仲間入りを果たす。ただし、ロイクが手伝えない時は万能水の創造が出来ない為、従来の商品と並行して扱う事になる。


 【ロイスピー【MP】水5(ファイブ)】1本25ml。回復するMP量は100~500で、地水火風無属性の心得をどれか1つでも所持する者が飲めば100回復する。3属性所持する者が飲めば300回復する。従来の工房ロイスピー商品と競合する事は無かった。この世界の人達は甘い物に飢えている、有難い事である。


 因みに販売価格は......


【ロイスピー【MP】水5(ファイブ)

 1本=内容量25cc:販売価格2500NL

 ※【MP】回復量100~500※


【ロイスピー【MP】水10(テン)

 1本=内容量50cc:販売価格4800NL

 ※1度に飲み切れば200~1000※

 ※2回に分けれる事で200NLお得に※


【ロイスピー【MP】水100(ヒャク)

 1本=内容量25cc:21600NL

 ※【MP】回復量1000~5000※

 ※5倍の回復量。高濃度商品※


 ......前時代から親しまれて来た......


【回復水・MP(A)】

 1本=内容量350cc:5000NL

 ※全部飲み干し【MP】回復量30※


【回復水・MP(H)】

 1本=内容量350cc:11000NL

 ※全部飲み干し【MP】回復量80※


【回復水・MP(E)】

 1本=内容量200cc:38000NL

 ※全部飲み干し【MP】回復量30%※ 

 ※素材の状況により価格変動あり※


【回復水・MP(M)】

 1本=内容量200cc:54000NL

 ※全部飲み干し【MP】回復量50%※

 ※素材の状況により価格変動あり※

 ※とても貴重な回復道具で飾りに近い※


【回復水・MP(D)】

 ※【MP】回復量100%回復※

 ※ロイクのタブレットに

  数本だけ保管されている。

  コルト下界に存在するのはこれだけ※


......【回復水・MP(A)】と【回復水・MP(H)】。市場に流通している分を最後にコルト下界から姿を消す事になる。回復道具の調合と販売を独占していたプリスクリプション(薬剤師治療)ギルド(協会)は、主力商品2つから入る利益を失い大パニックに陥る。


 結果的に、高額商品の【回復水・MP(E)】と【回復水・MP(M)】の販売価格を半額以下に値下げし、工房ロイスピーの鬼の様なラインナップに対抗。ギルド(協会)として体制を維持出来ず解体。


 最終的には、メディシンギルド(薬協会)ソワンギルド(初期治療協会)に分裂。メディシンギルド(薬協会)アフェールギルド(商人商家協会)の傘下となり、ソワンギルド(初期治療協会)は正創生教会の傘下となった。


 【回復水・MP(E)】と【回復水・MP(M)】は、アフェールギルド(商人商家協会)とその参加ギルド(協会)が製造流通販売を引き継ぐ事になる。



「つまりだね。原因が分かったからと言ってだね。調査が終わった訳では無いね。ロイクは忘れているね。創造神はコルト下界に逃亡した存在を捕まえる事と(ジュー)の存在について指令を出しているはずだね。邪の神の邪の理に干渉する魔術や魔法だろうがだね。帝国が研究し実験していた事だろうがだね。関係無いという事だね。あたしは何も悪く無いと言う事だね。分かったかね」


「・・・ま、・・・まぁ~結果的には、どう転んでも調査は必要な訳で・・・そう・・・ですね・・・」


 何か、釈然としたないんだけど・・・


「なぇロイク。以前、フォルティーナとアルとロイクは3人で1ヶ月以上も砂漠でバカンスしたわよね」


「バカンス!?・・・・・・あぁ~って、あれはバカンスと呼べる代物か?・・・否、創造神様からいただいていた家シリーズのおかげで、砂漠のオアシスから脱出するまでの1ヶ月間を、結果的に何不自由無く過ごせていただけだ。家や敷地内から殆ど外に出る事無く引き籠っていたんですよ。バカンスとは言わないと思いますよ」


「3人でのんびり過ごしていたのよね?」


「のんびり・・・外に出られるタイミングが来るまで何もする事が無かったので、魔法の訓練はしてましたね」


「いろんなゲームもやったね。だがだね安心するね。ロイクは1度もアスピー、君を裏切ってはいないね。根性無しだね。実に情けないね」


「・・・それ褒めてるんですか?貶してるんですか?」


「両方だね」


「そう。それで、私考えたのだけれど」


 フォルティーナと俺の会話は無視ですかぁ~。


「ゼルフォーラ砂漠には沢山のオアシスがあるの。地下施設が転移して何処かにあるのよね?」


「らしいですね。タブレットの検索では見つけ出せなかったので不思議だとは思ってたんですが・・・先程フォルティーナのおかげで原因が何と無く分かりました」


「あたしのおかげかね。うんうんだね」


「えぇ~。邪の神様やその眷属神様や眷属様達が関わってたんです。創造神様より与えられている権限では検索は不可能ですよね」


「使えない権限だね。一回一回あたしが変更するのは手間だね。まったくだね」


 ・・・寧ろ、使えないのフォルティーナ・・・運を司りし遊びの女神様。貴方ですよぉ~


「それで、明日から砂漠に調査旅行に行きましょう」


「はぁ~?」


 マルアスピーさん・・・何勝手に話を進めてるのかな・・・。


「私、気付いてしまったの」


「何にですか?」


「新婚旅行が出来て無いって事によ」


 新婚旅行!?・・・まだ続いてたんですね。


「はぁ~・・・そうかもしれないですね」


「かもではなくて、出来て無いのよ」


「そうですかね」


「最後までいってないもの」


「・・・」


「それで考えたのだけれど。神獣になってしまったエリウスに輓獣車を引いて貰って砂漠を旅するの」


「えっと、聞いても良いですか?」


「えぇ」


「神様にキャビンを引かせるつもりですか?」


「そうなるわね。聖獣だった頃は家のペットみたいな家族だったの。それに、今はロイク、貴方の眷属なのよ」


 眷属ではなあるけど・・・相手は神様ですよ・・・って、人間的な理屈は通じないですよね。


「本人に確認してからにしましょう。それで、とっても疑問何ですが砂漠を馬車で移動するつもりですか?」


「馬車はロイクが最高の状態に出来るでしょう」


「そうですね・・・」


 砂・・・


「引くのは神獣になったエリウスよ砂程度でへこたれないわ」


 砂!


「・・・」


「連れて行くのは、忙しくない人ね」


「それって」


「いないわ」


「えっと・・・皆さん納得してくれるでしょうか?」


「大丈夫。忙しいのに無理やり誘う様な野暮な事はしてないもの。それに、夕食と朝食と就寝時間は家に戻ってゆっくり過ごすの」


「それ、もはや旅行って言わないと思うんですが・・・」


「雰囲気が重要なの。何事も雰囲気と達成感なの」


「そんなもんですかねぇ~」


「えぇ。ゼルフォーラ砂漠を輓獣車で疾走するの」


 無理だと思いますけどね・・・


「あぁ~何だね。面白そうで何よりだね。あたしは調査が終わった頃に話を聞く事にするね。商品開発は、パフとカトリーヌとメリアとトゥーシェで進めておくね。戻って来た時に責任者として確認すると良いね。ロイクとアスピーの旅の始まりは確か、・・・・・・人間種らしく風情溢れる情緒豊かな旅。風土の文化と心に触れ愛を育む旅だったかね?」


「そうね」


「行って来るね」


「えぇ。そうするわ」


 大精霊様と運を司りし遊びの女神様から強制ですね・・・。



 マルアスピーの思い付きで、調査だけで良い砂漠を輓獣車で旅する事になりました。

ありがとうございました。

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