2-46 白色の腕輪と、2人のトゥーシェ。
「この黒豹耳のヘアーバンドがゴルゴ―ンの1つなんですか?」
「猫耳なのじゃぁ~」
「これ豹耳だと思いますが・・・」
「ロイク様。猫の耳でも黒豹の耳でもどちらで構わないのではないでしょうか」
「ねぇロイク。最初の1つは黄金の兜だったのよね?」
「そうですよ」
「それで、白色の腕輪になってしまったのよね?」
「はい」
「そうだったね。ロイク。白色の腕輪を出すね」
「今ですか?」
俺は、神授スキル【タブレット】から神具【白色の腕輪】を取り出した。
「そういえば、この腕輪ってまだ完成してないんだった」
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その腕輪に、
悪魔種夢魔族トゥーシェより、
悪気を最大悪気で注がせよ。
その腕輪に、
ヘアーバンドを装備させよ。
その腕輪に、
運を司りし遊びの女神フォルティーナは、
第二段階の神気を注ぎなさい。
その腕輪に、
精霊樹に宿りし大精霊マルアスピーより、
第二段階の自然魔素、
神気を精霊聖属性に運用し、
最大魔力で注がせよ。
その腕輪に、
精霊樹に宿りし大精霊マルアスピーは、
第三段階のKissをせよ。
その腕輪に、
神鳥アルより、
第二段階の神気を聖属性で、
最大神気で注がせよ。
その腕輪に、
神鳥アルは、
第三段階のKissをせよ。
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「猫耳なのか豹耳なのか分からないわね」
「マルアスピー。それよりも、分からない事があります」
「何かしら」
「腕輪にどうやってヘアーバンドを装備させるかです」
「それもそうね」
「何を言っておるのじゃぁ~?簡単なのじゃぁ~」
「ヘアーバンドは頭に付ける装飾品で、腕輪は腕に付ける装飾品ですよ」
「何を言っておるのじゃぁ~?それは私やお前達が装備する場合の話なのじゃぁ~・・・ブレスレットに頭は無いのじゃぁ~」
「そりゃそうだけど」
「見てるのじゃぁ~」
トゥーシェは白色の腕輪を左手に持つと、右手に持ったヘアーバンドを無理矢理装備させた。
それは装備させたと言って良い物なのか悩ましい状況だったのだが、腕輪とヘアーバンドは白色で輝き出し、その光が収まると白色の腕輪だけがトゥーシェの手元に残っていた。
「ヘアーバンドは?」
「無くなったのじゃぁ~」
「なるほどだね。二色の腕輪になったね」
・
・
・
「あっ本当だ」
「そうみたいね」
「はい・・・フォルティーナ様。元々は1つの創神具ですし、融合してしまったのでしょうか?」
「かもしれないね。成長率も16%に上がったようだしね。元の状態に少しだけ近付いたと考えるべきだね」
「皆、聞いてくれるかな?」
「どうしたね」
「何なのじゃぁ~」
「何かしら」
「はい。ロイク様」
「さっきの白色の腕輪の視認では、腕輪にヘアーバンドを装備させる前に、トゥーシェに悪気を注がせよって解釈出来る文章があったと思うんだけど、どう思いますか?」
「「 あっ 」」
「マルアスピーとアルさんは、俺と同じ考えの様ですね・・・」
「うんうんだね。細かい事を気にしていてはハゲるね。済んでしまった事をクヨクヨするのは男らしく無いね」
「そうなのじゃぁ~」
「そこまで気にはしてないんですが、トゥーシェ!・・・試しに、その【二色の腕輪】に悪気を注いで貰えるかな?」
「まかせるのじゃぁ~」
・
・
・
・・・
・
・
・
「まぁ~あれなのじゃぁ~。悪気なんて物は無くても誰も困らないのじゃぁ~」
「うんうんだね」
「コルト下界では、悪気なんて無くても困らないと思いますが・・・この腕輪どうするんですか?」
「そうですよねぇ~創神具の1つがおかしな事になってしまいました」
「ねぇトゥーシェ。もう1度、悪気を全力で注いでみて貰えるかしら」
「何だ精霊・・・アスピー・・・やれば良いのじゃろぉ~分かった分かったのじゃぁ~」
・
・
・
「悪気が切れて目が回るぅ~・・・の・・・じゃぁ~・・・」
「変化しませんねぇ~」
「どうやらこの腕輪はここまでみたいだね」
「残念ね」
「ちょっと、創造神様からの指令を無視する気ですか?」
「無理な物は無理。人間諦める事に意義があると昔の偉い人が言ってたね」
「その偉い人って誰ですか?」
「あたしだね」
・・・こ、こいつは!
「マルアスピーもアルさんも、トゥーシェも考えてくださいよ」
「む、無理世界が・・・な・・・回るの・・・じゃぁ~」
「ロイク様。トゥーシェさんに闇属性の自然魔素を分けて差し上げた方が良いと思います」
「うんうんだね。このままでは日頃の倍以上使えない悪魔だね」
「そうね。いつにも増して役に立たないのは困るわ」
何か散々な言われようだな・・・
「さぁ~ロイク。今だね」
「はいはい」
・
・
・
あ・・・あぁ~・・・これ注ぎ過ぎちゃったパターンだわ・・・
「おぉ~久しいのぉ~の快楽の日の坊やではないか」
やっぱりだ!
「おやおや、誰かと思えば・・・堕落の女神までおるのかえ・・・妾がKANBE下界で夢を貪って居た時ぶりか」
「KANBE下界?・・・あぁ~・・・あぁ~・・・うぅ~・・・覚えて無いね」
「トゥーシェさんですか?」
「以前に1度、愛と憎しみの館で会ったわ」
「おぉ~マルアスピー殿も息災か」
「えぇ」
「アル殿は本来の妾に会うのは始めてであるか」
「プッ」
「お初にお目にかかります。神鳥の長、大白鳥神のアルと申します。もう一人のトゥーシェさん。宜しくお願いします」
「プップップップ」
「堕落の女神!何を下品な世界に浸っておるのか」
「親父ギャグは止めるね」
・
・
・
「坊や・・・妾も妻の1人であったか・・・まぁ~呼び方はどうでも良いか!」
「トゥーシェさん」
「アル殿よ何か?」
「本当の姿はこちらなのですか?」
「アルは知らなかったのかね?トゥーシェはだね。5000万年位監禁してたらだね。2人になったね」
騒がしいトゥーシェの原因はお前だったのか・・・
「妾は、堕落の女神に拘束され、眠りに付くと拷問され、逃げ出そうとすると拷問され、毎日の様に神気の聖域の中で辱めを受け続けた・・・妾の中にもう1人の妾が生まれた時、妾の身体はこの様な姿になっていた。これは神気或いは女神の影響だと考えている。どうなのか」
「知らないね。ある日、久々にトゥーシェを観察しに異空に行くと・・・プッ・・・トゥーシェは子供の身形になってたね。悪魔種は皆こうだと思っていたね。ハッハッハッハッハ」
また適当な・・・
「ねぇ。トゥーシェ。貴方は元の姿に戻る事は出来るのかしら」
「妾がか・・・」
「多重人格の状態にあるって事ですよね・・・聖属性の魔法にも知能や精神障害を回復させる物はありませんし・・・」
「妾は、もう1人の妾の中から外を見るのは嫌いでは無いゆえか・・・戻りたいとは思わぬ・・・6000万年前の妾の姿と精神状態に戻っただけであるゆえか・・・」
「ふむふむふむふむ・・・ちょっと待つね」
「待つって、フォルティーナ。会話が繋がってませんよ。どうしたんですか?」
「今の状況を楽しんでいるのかね?」
「楽しんではいない。嫌いでは無いと申したでは無いか」
「う~ん。これじゃダメだね」
≪パチン
・
・
・
「えっと・・・これはどうい事でしょう?」
俺の目の前には、騒がしいトゥーシェと、トゥーシェに良く似た感じの妖艶な美女が生まれたままの姿でいた。
「罰になって無い様だったね。人格が2つあるならだね。2つに分けて交互に監禁と自由を与える事にするね」
2人のトゥーシェ?は、向き合い互いを確かめていた。
俺は、生まれたままの姿の美女に絹で創造した生地を渡し、フォルティーナ程ではないが大きな夢と希望、大切な場所を隠す様に伝えた。
「旦那殿よ。ありがとう・・・女子の裸を見るのは恥ずかしいか」
「恥ずかしいというか・・・まぁ~理由は何でも良いじゃ無いですか・・・」
間違いない。女王様モードのトゥーシェだ。
「フォルティーナ」
「何だね」
「前にも聞きましたが、トゥーシェって創造神様から預かったって言ってましたよね?」
「そうだったと記憶しているね」
「でも、トゥーシェは、5000万年前位にフォルティーナに掴まったって言ってますよ」
「・・・う~んだね。・・・創造神でもあたしでもどっちが捕まえても問題は変わらないね」
創造神様と、眷属で次席の神様だとかなり意味が違うと思うけど・・・
「トゥーシェは何をやって5000万年も監禁されているんですか?」
「覚えて無いね」
「はぁ~?」
「トゥーシェ。何をやって捕まったか覚えてますか?」
「何を言っておるのじゃぁ~?そんな事とうの昔に忘れたのじゃぁ~ガッハッハッハ」
「妾も捕まった日の事は覚えておるが、何故5000万年も監禁されているのか・・・堕落の神よどうしてか?」
監禁している理由もされてる理由も忘れて5000万年も拘束されてたって事?
「まぁ~何だね。そんな細かい事は気にする必要は無いね。あたしは細かい事を気にしない女だね」
「そうなのじゃぁ~。気にするだけ損なのじゃぁ~」
「妾も5000万年前の事等もうどうでもよいか」
えっ?・・・当事者が良いって言ってるし、第三者が口出しする事じゃないし・・・これはこれでお終いで良いのだろうか?
「ロイク様。創造神様に確認した方が良いのではないでしょうか?」
「創造神様にですか?」
「創神具の件もありますし。トゥーシェさんの罪状と拘束期間を確認もロイク様は旦那様ですし、創造神様は御答になってくださると思いますが・・・」
「おぉ~そうなのじゃぁ~いつになったら自由になるのか知りたいのじゃぁ~」
「あたしも助かるね。この煩いのを監視し続けるのは疲れるね」
「ほぼ放置してるじゃないですか?」
「ハッハッハッハだね。放任主義は止められないね」
創造神様から預かったとして、ダメだろうこれは・・・
≪You've Got Mail
相変わらずタイミング良過ぎ・・・
「創造神様からメールで神授が届いたみたいです」
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差出人:KAMIsama
宛先 :Roiku Rulin Charrette
件名 :腕輪の戻し方とトゥーシェ
暑い日が続きますね。お元気ですか?
私は元気です。
来たる日に備え頑張ってる姿。
いつも見ています。
さて、白色の腕輪についての問い合わせに
答えましょう。
汚れた存在で、二色の腕輪を汚す事で、
成長前の白色の腕輪とヘアーバンドに、
分離します。
狂暴化した遊の血、涙、唾液が、
該当するアイテムです。
獣人族、小人族、巨人族、妖精族の解放を
しましょう。これはレベル999のお祝い
クエストです。
研究施設で資料てを入所し、
見事分離に成功しましょう。
報酬は、ゼルフォーラ大陸の再編協力です。
トゥーシェの罪状
トゥーシェは、
KANBE下界で8億8888万8888人の男の
夢を貪り夢追人にした。
現実逃避幇助の罪により、
拘束5001万年の実刑判決を受けています。
2人になったので、
後5000年ずつ位で良いですよ。
また同じ夫を持つ妻が、
看守と囚人という立場である事に、
ついさっき気付きました。
今後5000年間は、
夫ロイクを保護観察官とします。
夫ロイクに拘束軟禁拷問隔離の
権限を与えます。
追伸。
フォルティーナへ、
職務怠惰の報告を求。
フォルティーナへ、
12人の子供を産む事で、
神格を1つ引き上げ、
幸運を司りし豪遊の女神にします。
最後に。
二人のトゥーシェは、
個の存在ですが、どちらも、
ロイク。貴方の妻です。
大切にしましょう。
ラスト。
精霊種の血統にある、
地属性のパフ。
風属性のマリレナ。
風属性のメリア。
大樹属性のサラ。
大樹属性のテレーズ。
パフ、メリア、サラ、テレーズ
4人には、血統精霊の属性に限り、
魔法のスキルを神授します。
マリレナは、血統遺伝子が濃い為、
神気1。風の精霊(普通)と同じです。
神気を所持する為、
神授スキル【Baiser】を神授します。
Kissにより、スキル制限解除。
それでは、身体に気を付け頑張りましょう。
フォルティーナ。待ってるわね。
***********************
ありがとうございました。