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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
123/1227

2-41 工房ロイスピー商品開発の裏側と、追放精霊ミト様。

宜しお願いします。

 亡トミーサス王国の元王族、貴族、兵士、仕えていた人達の身柄を拘束或いは保護したゼルフォーラ王国は、終戦を宣言した。


 回収出来なかった船の船内には、ヴァルオリティア帝国の帝国旗を模った印を焼き付けられた魔獣や兵士だった者達が500体以上、魔晶石の自然魔素(まりょく)を利用し半拘束状態で積載されていた。


 俺は、帝国の企みを知る為にも、500体を回収する事にした。500体は、解かない限り目覚める事の無い強い眠りの魔法で眠らせ、エルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)ビジネスエリア(南地区)の地下に収容した。


 兵士達や仕えていた者達は、トミーランへ戻した後、夫々の故郷へ帰って行った。


 貴族達への対応は2極化した。帝国寄り且つ開戦賛成派、そして帝国の狂暴狂人化の実験に協力していた者達は弁明の機会を与える事無くゼルフォーラ王国がその身柄を拘束した。当主や次期当主に振り回されただけの一族の者達に連座を適用する事は無い。


 開戦反対派、奴隷制度反対派、反ヴァルオリティア帝国派の貴族達の多くは家族を人質に取られ逆らう事の出来ない状態にあった。国王だった男ジィーヤン・ワーロンの証言によりトミーランの大聖堂の迷宮の最深部に幽閉されていた貴族達や政治犯達を解放保護した。


 国の実権は、国王だった男の第1夫人デリア・ワーロンが掌握していた。ヴァルオリティア帝国の皇女でもある彼女は第1級戦争犯罪人として厳重に管理される。


 連合国家フィリーとゼルフォーラ王国。連合国家フィリーとスタシオンエスティバル(中空の避暑地)クリュの管理者。其々の立場で取り決めが交わされ様々な締結が行われる事になる。


 そして、集団啓示に関してだが、内容が曖昧らしく解釈に難しい所が非常に多いそうだ。イヴァン国王や|祖父エンゾやゼルフォーラ王国の重臣達、連合国家フィリー加盟各国、そしてフォルティーナは、直接神授による啓示を受けてい無い俺に判断を丸投げした。


 亡トミーサス王国元国王の第2夫人ドーラ・ワーロン(39)とその長女ルーシー(21)次女エルネスティーネ(19)長男イザーク(16)と実家ヴァルダー侯爵家一族。第3夫人ミトラ・ワーロン(26)とその長男エトガー(8)と実家リウス伯爵家一族。亡トミーサス王国の侯爵家と伯爵家は、ゼルフォーラ王国やララコバイア王国の貴族家とも姻戚関係にある名門貴族家。ルーリン・シャレット家で預かる事にした。


 亡トミーサス王国王都トミーランの旧教のトミーラン大聖堂は正創生教へ改宗した。大聖堂の地下迷宮は、創造神様が創造された迷宮では無く、しかも人工の迷宮でも無い。調査が完了するまで一般には解放しない事で調整した。


 愛と憎しみの館の所有権は、俺へと譲渡された。マルアスピーは、ここにロイスピーの日持ちする【MP】回復デザートやスィーツや軽食を販売する小規模店舗を出店する計画の様だ。



 帝国旗の印を焼き付けられた魔獣や人間だった者達の分析。トミーラン大聖堂の地下迷宮の調査。


 人間種8種族の為の国。来たる悪に備える為の行動。・・・連合国家フィリーの代表としてよりも、精霊達の個人的な遺恨により、ヴァルオリティア帝国と関わりを強めて行く事になる。




――― R4075年7月23日(水)11:00


 俺は、ゼルフォーラ王国ルーリン・シャレット天爵副王領・聖都スカーレットのエルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)の屋上にある研究施設に移動した。


 研究施設には、マルアスピー、パフ、サラ、トゥーシェ、カトリーヌ、マリレナ、メリアが集まり商品開発を進めていた。



「あれ、皆で集まって何してるんですか?」


「マルアスピーさんが、手伝って欲しい事があるそうで・・・」


「・・・あぁ~カトリーヌさんでしたか。妖精の杖を持っていなかったので、マルアスピーだと思いましたよっ。ホント誰に変装してもソックリですよね」


「フフフッ。今日は、この特殊な液体に、皆の自然魔素(まりょく)を溶かして貰う事にしたの。それよりロイクは何をしに来たのかしら?」


「マルアスピー様。水に魔力は溶け無いと思うのですが・・・」


「パフさんの言う通りですわ」


「パフちゃん。サラ、この水は特殊な液体なの。聞こえなかったのかしら?」


「マルアスピー。特殊な液体って説明だけで分かる人は少ないと思いますよ」


「・・・それもそうね・・・ところで何をしに来たのかしら?」 


「天球5つの管理方法で活気的な凄い方法を思い付いたんです。それで、サビィ―さんとミト様に手伝って貰う事にしたんですが・・・」


「母が来るのですか?」


「そうですよ」


「そう・・・上手く行くと良いわね」


「でも、まだ来て無いみたいなので、その魔水(まみず)で何をするのか見て時間を潰す事にします」


魔水(まみず)!?・・・もしかしてですが、その液体は、超純水の魔水ですか?」


「えぇ。その通りよ。高位樹人族(ハイエルフ)はやっぱり違うわね」


「「超純水の魔水?」」


 パフ、メリアは、ほぼ同時に声を発した。


「その、超純粋の魔水とはいったいどの様な物なのですか?」


「サラさんやパフさん。樹人族の里から離れて生活していたメリアさんは、聞いた事が無いかもしれませんね」


「魔水!?・・・魔水・・・う~ん。何処かで聞いた事がある様な覚えが・・・無い様なぁ~」


 あぁ~・・・カトリーヌさんの方か。マルアスピーの姿と声で変な事を言ってるから一瞬意味が分からなかったよ。


「超純粋の魔水は、自然の力を負荷無く清澄魔力で変換し視認出来る様にして、無属性でも無い、四大属性でも無い、非四大属性でも無い、水と呼称して良いのかすら分から無い不明な液体で、この世界に、通常では存在しない超高濃度の自然の力で、属性を全く帯びていない液体なんです」


「そうね。マリレナの説明の通りよ」


「もしかして、また、(サチ)の所に1人で行きましたね?」


「えぇ」


「今度は俺も一緒に行きます。って言いましたよね」


「えぇ」


「・・・」


 追求しても無駄そうだ。


「それで、マルアスピー様。・・・その超純水の魔水に魔力を溶かして何をするのですか?」


「「 私もです 」」


 パフ、サラ、メリアの若者トリオは、好奇心旺盛なお年頃。いつも、何処でもどんな時でも相手を質問攻めにする。なかなかどうして騒がしい時が多い。この3人に、アリス、テレーズ、バルサが加わるとチーム名『どうして(・・・・)’s』が完成する。



「人間は馬鹿なのかじゃぁ~。魔水も知らないで今迄生きて来たのかぁ~?不思議なのじゃぁ~」


「あれ?トゥーシェも呼ばれてたんですね」


「そうなのじゃぁ~」


「いつも1人は寂しいでしょう」


「私は忙しいのじゃぁ~寂しい訳無いのじゃぁ~」


「あら、そうっ」


 前言撤回。1人で騒がしいトゥーシェよりは、どうして’s3人は可愛い物だ。


「トゥーシェさん。馬鹿って人には言ってはいけない言葉何ですよ」


「ほうぉ~では何故、馬鹿という言葉は人間には存在しているのじゃぁ~パフパフ」


「そ、それは・・・」


「私にお任せください」


「ありがとうございます」


「トゥーシェさん。馬鹿と他人に発言する者の方が馬鹿だという事実を御存じですか?」


 サラさん・・・そんな子供みたいな・・・


「どういう意味なのじゃぁ~」


 あれ?通じてるのか?


「そのままの意味ですよ」


「な、何て事なのじゃぁ~」


 来たる日に備えなくてはいけない日々・・・にも関わらず、今日も平和です。



「話を続けても良いかしら?」


「おぉ~待つのじゃぁ~。その超純水の魔水は、反応水の魔水なのじゃぁ~」


「反応水の魔水!?・・・魔水・・・う~ん。何処かで聞いた事がある様なぁ~思い出せませんわぁ~」


 カトリーヌさん。まだ思い出そうと悩んでたんですね。・・・しかし、紛らわしい。


「良く分かったわね。トゥーシェ。反応水で正解よ」


「当然なのじゃぁ~。視力、聴力、嗅覚何でも凄いのじゃぁ~」


「そうね」


「褒めて良いのじゃぁ~・・・・・・寧ろもっと褒めるのじゃぁ~」


「そうね。偉いわ」



「マルアスピーさん。超純水の存在は知っていましたが、反応水という魔水が存在する事は知りませんでした。いったいどのような物なのでしょうか?」


「マリレナも知らないのね」


「はい、聞いた事がありません」


「反応水は私の仲間(・・)が、(サチ)という人間族の形を模った人形にやらせていた作業用の液体なの」


 そんな説明では、誰にも伝わらないと思います・・・。


「どの様な作業をやらせていたのでしょうか?」


 年の功(としのこ・)・・・いや、流石ですマリレナさん。尊敬します。マルアスピーとコミュニケーション。家族にまた1人コミュニケーションが取れる人が増えて嬉しいです。


「この魔水は、超純水の魔水とは少し違うの。反応水の魔水と言って、自然魔素(まりょく)の闇属性を吸収すると地属性に変換して、この液体に自然魔素(まりょく)の地属性を清澄魔力で蓄積するの」


「闇属性を地属性に変換した自然魔素にも関わらず、清澄魔力を溜める事が出来る魔水ですか?」


「えぇ」


「それでしたら、闇属性が得意な闇樹人族(テネブル)のバジリアさんもお呼びした方が宜しいのではないでしょうか?」


「私呼んで来ましょうか?」


「サラ、パフちゃん。今日はいらないわ」


「そうなのですか?」


「えぇ」


 パフさんとサラさんには、この話は難しいみたいだ。


「なぁ~人間族の男」


「何ですか?」


「この女2人は、何を言っておるのじゃぁ~」


「トゥーシェさん。貴方は確かにロイク様の正式な奥方ですよ。ですが、私達と同等だという事をお忘れになったのですか?・・・女とは何ですか!彼女はパフさんで、私はサラです。それに、ロイク様に対して男とは何ですか?旦那様に対して信じられませんっ!」


「トゥーシェさん。言葉には気を付けないと・・・」


「そんなに嫁に成りたいのなら、成れば良いのじゃぁ~。私は嫁だと思った事は一度も無いのじゃぁ~創造神だが何だか知らんのじゃぁ~神は邪の神様だけなのじゃぁ~」


「なっ!どの口ですか?そんな勿体・・・その様な妻として不貞な言葉を!」


「不貞って・・・サラさん。トゥーシェは誰も裏切ってませんから。落ち着いてください」


「サラさん、ロイク様。夫への不貞以前に、創造神様への冒涜の言葉を・・・」


「トゥーシェは、邪の神様が創造した魔界出身です。邪の神様を信仰していてもおかしくないですよ」


「創造神様はどうして・・・ブツブツブツ」


「創造神様を知らないって・・・ブツブツブツブツ・・・」



「まぁ~人間種には難しい話なのじゃぁ~」


「そうね。この反応水の魔水は、闇属性を地属性として蓄積するだけでは無いの」


 何事も無かった様に、マルアスピーはマリレナに話を続ける。


「清澄魔力を溜めるだけではないのですね」


「えぇ」


 マリレナさん。ガンバです。マルアスピーから必要な情報を見事引き出して見せてください。


「超純水の魔水とは他にどの様な点で異なるのですか?」


「闇属性を地属性に変換させずに、変換させ蓄積する部分とは別の部分に、地属性を蓄積させ、それから変換させ変換させて蓄積する部分に蓄積させると、2つの自然魔素(まりょく)を含む事になります」


「同じ属性で2つの清澄魔力と運用魔力を1つの魔水の中に溜める事が出来るという事でしょうか?」


「えぇ」


「話についていけないのですが、同じ属性なのに2つの魔力が存在するのですか?」


「そうよ。パフちゃん」


「もう話の意味が分かりません。サラさんは分かりますか?」


「え?・・・わ、私は・・・私もサッパリ分かりません。メリアさんは分かりますか?」


「・・・・・・運用魔力は人間種である私達なら、誰もが自然と使っている魔力の使い方です。【MP】を発動させたい属性に変換させ魔術を使う事を、魔術。運用魔術と正式に呼びます」


「うわぁ~流石。パレスマージ(宮廷魔術師)隊に所属していた魔術師様ですね」


≪パチパチパチパチ


「パフさん止めてください。ソメポールマージ(頂魔導士)のパフさんに魔術師様だと拍手されても嬉しくありません」


「でも、今は、メリアさんは、アンシヤンマジシャン(古代魔術士)ですよね」


「おしゃべりは終わりよ。皆を呼んだのは私よ」


「あっ!はい。マルアスピー様。すみませんでした」



 脱線を何度も繰り返し、一通り説明を終え。マルアスピーは皆を集めた本来の目的を遂げようとしていた。その時だった。


「もしかして、この魔水って、水属性下級魔術【フェーロ】 ≫」


≪チョロチョロチョロチョロォ~~~


 カトリーヌさんは、コップに水を注いだ。


「あれ?その水って、反応水・・・いや超純水・・・でもないか・・・何だ・・・魔水ではあるみたいですが・・・マルアスピー、マリレナさん分かりますか?」


 2人は首を振る。


「知らないわ」


「反応水事態知りませんでしたし・・・超純水も存在しか知りませんでしたから・・・済みません」


「カトリーヌさんちょっとそれ貸して貰えますか?」


「えぇどうぞ」


 俺は、受け取ると魔水を確認する。



「これ、超純水になり掛ける手前の魔水です」


「あら。・・・凄いわね。カトリーヌ、貴方才能の塊ね」


「才能ですか?」


「えぇ。とても素晴らしいわ。美しい顔に身体。心を読む力。通常では存在し得無い物を生み出す力・・・カトリーヌ。貴方も今日からパフちゃんと同じ助手よ」


「いったい何の助手ですか?」


「ロイスピーの助手よ」


 流石はマルアスピー。説明しても意味が通じて無い・・・



「超純水はフォルティーナかアランギー様か俺が創造しない限り、この世界にはほぼ存在しない魔水なんです。そして、反応水は俺でも創造出来ますが超純水程上手に作れません」


「反応水の魔水の生成は私達精霊種が得意なの。最も精霊界では、精霊の水と呼ばれ同じ物だとは精霊ですら知らないかもしれないわ」


「精霊様達は、この世界では精霊気を【MP】に変換し、【MP】の最大値以内の自然魔素(まりょく)を自然の力から集めて、魔術を発動させています。この自然の力から自然魔素(まりょく)を集めて【MP】として消費し魔術を発動する事を魔法を扱うって言うんだそうです。そして、精霊気を【MP】値に変換した時点で、秘めた自然魔素(まりょく)は運用魔力と同じ性質を持つらしく、発動の為に自然の力から集めた自然魔素(まりょく)が清澄魔力だったとしても、魔術を魔法として扱った瞬間に基本的には運用魔力を使ってる事になります。精霊界では精霊気を【MP】に変換する必要が無いそうなので、魔法は清澄魔法のみなってしまうそうです。そのせいなのか、反応水の魔水、ようするに精霊の水は、清澄と運用2つの自然魔素(まりょく)を溜める事が出来るんです。まだ研究段階でハッキリした事は分かって居ませんが現時点ではこんな感じです」


「精霊様は人間と魔力の使い方が違うという事なのですね」


「ロイク様。カトリーヌさんの魔水は、マルアスピー様やロイク様の物とは何がどう違うのですか?」


「この魔水なんですが、反応水に2つの魔力を溜める行程の半分が完了してる状態なんです」


「そうなのですか?自分ではサッパリ分かりませんでしたが」


「妖精族達の水を飲むと【MP】が回復する時がある。奇跡がランダムで起きる水だと聞いた事があります」


「マリレナさん。その妖精族達の水がランダムで【MP】を回復させる奇跡ですが、ただ単に、半分超純水で属性が空っぽの半分反応水が、半分清澄水属性で飽和した状態だったからでしょうね」


「水属性の心得を持つ者だけが回復した。それだけのことね」


「マルアスピー様。どうして水属性の心得を持った人だけが回復するんですか?」


「人間種の身体に蓄積されている【MP】は、自然の力の循環から自然魔素(まりょく)を少しずつ取り込んだ物なの」


「はい」


「でも、取り込む時に、人間種の身体は自分に合った属性の自然魔素(まりょく)を優先する性質があるの」


「はい」


「火属性の心得を所持する存在は、【MP】の蓄積は基本的に火属性に極めて近い物なの。でも、火属性では無いの」


「火属性に近いけど火属性じゃ無いのですか?」


「えぇ。それと同じで、人間種は、自分に合った属性に限り無く近い似た属性で【MP】を蓄積しているみたいなのよ」


「なるほど。だから、私達は魔術を発動する時に、得意な魔術と苦手な魔術。全く扱え無い魔術が存在するのですね」


「マリレナさん。それちょっと違うんですよ。得意だと思ってる魔術と苦手だって思ってる魔術を同じレベル同じ魔力量で発動させると実は威力に差なんて無いんですよ」


「そ、そうなのですか?」


「得意な魔術が風だとしますよね。【MP】は限りなく風属性に近い状態です。発動する時の運用がスムーズに行われるので違和感が少ない慣れてしまうと違和感を感じ無い。でも、地を発動する場合は運用が風の様にスムーズじゃ無い。違和感を感じる。その違いだけなんですよ。そして、身体に【MP】を蓄積する時は、この場合は、回復の時という事になりますが、持っていない属性の魔水を飲んでもほぼ回復しないのは、蓄積時は属性変換をしながら吸収しないからです。回復するのは属性が合っている近いからって事になります」


「【MP】の消費と回復にも属性があったのですね」


「そういう事です。サラさん。因みにですが、従来の【MP】回復道具よりもロイスピー商品が優れいるのは、この原理を利用しているからです」


「甘くて美味しいからね」


「そ、それは重要な部分ですが、属性を応用した超純水の魔水を使っているからです」


「ロイク様が実験されている事は知っていましたが、こんな事まで・・・」


 マリレナさんは、とっても優しい表情で俺を見ている。


「従来の回復道具の『ポーション・MP』は、色々な属性の自然魔素(まりょく)が混合し飲む量の割に回復率が低い。ロイスピー商品はそれを大幅に改善したもの何です。【MP】回復率は同じ量を飲んだ場合は従来の13倍以上です。なので薄めてマルアスピーがデザートやスィーツや軽食にして販売した訳です」


「地属性のお客様用スィーツって何?と、思っていたのですが、それは地属性の魔水を使用して作ったお菓子だったのですね」


「超純水の魔水が属性を帯びた状態の事を、自然魔素水(まりょくすい)と呼ぶ事にしたの」


「魔力水?」


「えぇ。反応水の魔水(別名精霊の水)。属性を持たない魔水の超純水の魔水、属性を1つだけ持った魔水の自然魔素水。カトリーヌの半分反応水で半分超純水の魔水は半魔水(はんまみず)ね。フフフッ」


「はんまみずですか・・・妖精の水と呼ばれているのですがぁ~」


 カトリーヌさん気持ち分かります。半魔水は嫌ですよねっ!


「そうね。ロイスピー工房では、精霊の水、妖精の水、超純魔水、自然魔素水。間違わない様にこれで統一しましょう」


「その自然魔素水ですが、量産体制に入っているのですよね?」


「そうね。昨日、天球を4つ増やして5つにして貰ったの。地水火風は1日に1本1000mlを4万本。無は3万本。光と闇は5000本で制御しているわ。稼働率は75%以下よ。・・・ねぇロイク」


「はい、何でしょうか?」


「どうしてまだいるの?」


「それはですね。貴方のお母さん精霊様と従者聖獣様が、約束した時間から2時間以上経っても未だに来ないからですね」


「そっ!」


 寿命の長い存在は、時間や月日の概念が適当になる。マルアスピーは妙に時間に確りしているが、精霊様の多くは非常にルーズである。


「ロイク様。それで、カトリーヌさんの魔水は何が違うのですか?」


「あぁ~済みません。脱線しちゃいましたね。・・・そうですね。口で説明するよりも実際にやってみた方が分かり易いと思います。・・・パフさん。この魔水に火属性を注いで貰えますか」


「はい・・・」



「あれ?・・・妖精の水から属性を感じなくなりました」


「つまり?」


「えっと・・・妖精の水の中で属性が打ち消し合ったって事ですか?」


「そうです。今、その液体の中には、自然の力、属性を持たない自然魔素(まりょく)が飽和した状態で満ちています」


「火属性を装填しただけで、超純魔水に変化したって事ですか?」


「火属性の心得を所持する存在が少ない妖精族が持ち合わせた。水属性下級魔術【フェーロ】の力。・・・創造神様は8種族で力を合わせる様にと啓示を与えてくださいました。こういう事の積み重ねが来たる日に備える事なのですね・・・」


「人間種の中でも精霊種に限り無く近い高位樹人族(ハイエルフ)がこれじゃぁ~。人間種は8種族もいるのにだらしがないのじゃぁ~」


「トゥーシェ。悪魔種は何種族居るんですか?」


「知らないのじゃぁ~」


「どうしてですか?」


「敵対する種族は滅ぼすのじゃぁ~。滅びた種族も多いのじゃぁ~。そして、争い過ぎてなかなか同じ悪魔種に会う事が無いのじゃぁ~」


 なるほど・・・だらしない人間種で良かった・・・底辺と比べて喜んじゃダメだよね・・・


「そ、そうなんですね・・・」


「そうなのじゃぁ~まぁ~思い当たる限り500種はいるのじゃぁ~。ガッハッハッハッハッハ」



「トゥーシェの話は、また今度時間がある時にするとして、マルアスピーどうするんですか?」


「そうね。予定が大きく変わったわ」


「予定ですか?・・・そもそも、超純魔水は安定供給の状態ですよね」


「えぇ」


「どうして、超純魔水を作ろうと思ったんですか?」


「反応水は練習すれば私でも生み出す事が出来ます」


「そうですね」


「運用魔力は誰でもクリア出来ます」


「そうですね」


「超純水よりも清澄魔力の方では無い部分を飽和にした魔水を作りたいのよ」


 おっ、やっと質問の答えが・・・


「カテリーナさんの妖精の水の自然魔素の蓄積分が反対の魔水って事ですよね?」


「えぇ」


「どうしてまた」


「ロイスピーの水です」


「えっと・・・どういう意味ですか?」


「購入者の属性の心得に合わせて、超純魔水のを購入者が自分で作る新しいタイプの水です」


「それ売ってどうするんですか?」


「自分の【MP】で自分の【MP】を回復するのは効率が良いからです」


「なるほど・・・でも、超純魔水になった後、どうやって購入した人は欲しい属性を帯びさせるですか?清澄魔力を装填しないと属性は帯びませんよ」


「あら・・・・・・考えて無かったわ」



 目の付け所は悪くは無かった。だが、人間種には不可能な行程が必要だと分かり、マルアスピーが考えた商品開発の1つは終了した。


 協力してくれた皆さんありがとうございました。この茶番に付き合ってくれた皆さんありがとうございました。・・・本当に・・・



≪ ピーンポーン


「ミトでぇ~す。遊びにきましたよぉ~♪・・・あらあらぁ~、サビィ―どうしたのぉ~。恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~。もう子供の頃のアスピーちゃんみたいで可愛んだからぁ~♪」


ありがとうございました。

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