2-40 トミーサス王国の最後と、公認の許嫁エルネスティーネ。
宜しくお願いします。
タブレットの画面には、トミーサス王国ワーロン王家一族24人の情報が表示されている。
元々はゼルフォーラ王国領ランザスの領主ワーロン伯爵家だった一族。ジーチェン・ワーロン伯爵が初代国王。その子孫一族ねぇ~・・・
****逃亡中のトミーサス王国の王家一族***
【国王】ジィーヤン・ワーロン(60)
※国王の第1夫人※
【王妃】デリア・ワーロン(53)
【旧姓】デリア・アントン・フック
・ル・オルティア(帝国皇帝一族)
***
【王太子】ジャイアン・ワーロン(33)
※王太子の第1夫人※
【王太子妃】アリーナ・ワーロン(30)
【王太孫】ジュリヤン・ワーロン(10)
※王太子の第2夫人※
【王貴】セルビー・ワーロン(24)
【王女】メグリーゼ・ワーロン(4)
***
【第2王子】ジィージャン・ワーロン(30)
【王子妃】クリム・ワーロン(29)
【王子】イ―ジャン・ワーロン(8)
***
【王女】ローユー・フォン・マクシミリアン
【旧姓】ローユー・ワーロン(26)
【夫】カールハルト・フォン
・マクシミリアン公爵(39)
【子】べーグハルト・フォン
・マクシミリアン次期公爵(3)
***
※国王の第2夫人※
【王貴】ドーラ・ワーロン第2夫人(39)
【旧姓】ドーラ・フォン・ヴァルダー(侯爵家)
【王女】ルーシー・ワーロン(21)
【王女】エルネスティーネ・ワーロン(19)
【第3王子】イザーク・ワーロン(16)
***
※国王の第3夫人※
【王貴】ミトラ・ワーロン(26)
【旧姓】ミトラ・フォン・リウス(伯爵家)
【第4王子】エトガー・ワーロン(8)
***
※国王の弟※
【王弟】ゴーヤン・ワーロン(54)
◎【王弟妃】ヘルマ・ワーロン(38)
【旧姓】ヘルマ・フォン・コルドバ(伯爵家)
◎【王子】エンブレア・ワーロン(21)
※国王の弟の第2夫人※
【王弟貴】アイリッシュ・ワーロン(17)
※国王の弟の第2夫人※
【王弟貴】パオチュン・ワーロン(17)
***********************
公爵とその息子を含む24人が、現在のトミーサス王国の王族なのか。【タブレット】『表示』検索に該当した24人。青色で表示・国王ジィーヤン・ワーロンを中心に半径500m ≫
≪・・・表示しました。
う~ん。4隻の船に守られて海上を移動する。14隻の船かぁっ!・・・国王ジィーヤン・ワーロンが乗船してる船の情報を表示 ≫
≪・・・表示しました。
船員が49人。兵士が360人。付き人が24人。執事が2人。国王。王妃。側室2人。合計439人。他。・・・他って何だろう?
その後、18隻全ての情報を検索し把握した。
船員合計918人。トミーサス王国軍兵士合計6900人。付き人合計490人(【内訳】召使、給仕、医務、他)。執事32人。王族24人。総合計8364人。他。
この他って気になるんだけど・・・いったい何だ!?それに、王族24人だけを拘束しても、これだと意味が無い様な気がする。
国王陛下と御祖父様に確認してからにしよう。
国王陛下。御祖父様。聞こえますか?
『おぉ~ロイクか。もうワーロン家一族を拘束したのか?』
『兄上ですか?』
『イヴァン!?』
俺です。御二人に確認したい事があって、同時に繋ぎました。
『おぉ~そうか。驚いたぞ』
『私もです。遂に兄上が念話のスキルを身につけたのかと思いましたよ』
『ハハハ。そう簡単にスキルが身に付くなら苦労せんわ』
『そうですな』
あのぉ~宜しいでしょうか?
『おぉ~済まん済まん。それでどうしたのだ?』
『そうだったな』
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・
・
俺は船員の数まで正確に情報を伝えた。
『なるほどのぉ~』
『ジィーヤン国王の王妃がヴァルオリティア帝国の皇女だったとは・・・南の大陸の何処ぞの国の王族だとは聞いていた。世も兄上も父上もゼルフォーラ王国は、国王が3代に渡って騙されておったわ』
それで、どうしますか?兵士の数もそうですが、俺としてはその他ってのが気になります。
『ロイク。私の領地に船団をまとめて移動させる事は可能か?』
サス湖にですか?
『盗賊達が巣食っていたルーリン平原の中央の方だ』
船が動けなくなりますが良いのですか?
『どうせ拘束する訳だ。動かない方が良いだろう』
『エンド兄上。何を考えている?』
『その船には、前トミーサス王国時代。獣人族の王国だった頃からの国宝や我が国への戦争賠償金が積み込まれているだろう。兵士約7000人も無視出来ぬ数だ』
はい。俺もそう思います。
『陸に転位移動させると同時に、王族だけ私達の方へ転位移動させ拘束。王族の身柄を命を保証するとして武装解除させ降伏を迫る』
『王都の騎士団や聖都の私兵隊を総動員し船を囲むとするかぁっ!』
国王陛下。楽しそうですね。
『楽しくは無いが、会議も会食も気を使う物だったからな。ストレス発散の場が欲しいと思ってな』
ストレス発散の場になるとは思えませんが分かりました。騎士団や王国軍に命令を出しておいてください。私兵の方はこっちで準備します。
『了解した』
『ロイク。私は何をすれば良い』
『御祖父様は、土地の提供って事で・・・ハハハ』
『トミーサス王国の連中と船に陸を貸してやるわ』
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・
「フォルティーナ。手伝って貰ってありがとうございます」
「気にする必要は無いね。動いている巨大な船を18隻同時に召喚で呼び付けるのは難しいね。例え成功しても出現と同時にクラッシュしては大変だね」
「ありがとうございます」
「後で何でも言う事を聞いてくれると言ったね。何でもかね?」
「神様の願いを叶えられるか分からないので俺に出来る事でお願いしますよ」
「当然だね」
「では、手順を説明します......
***********手順**********
1.盗賊達が集落を作っていたルーリン平原の
中央へ移動。
2.巨大帆船18隻を出現させる用の窪みを
18個準備する。
3.王都から騎士団と王国軍を召喚移動させ
配置する。
4.ルーリン・シャレット領から貴族領軍私兵隊を
召喚移動させ配置する。
5.国王陛下始めゼルフォーラ王国の重臣達を
召喚し配置する。
6.俺の使役しているドラゴン達を配置する。
フォルティーナ。ドラゴン達はフォルティーナが創造した『KAGO』って世界の中で普段は生活してるんですよね?
「そうだね」
召喚に応じられる場所なんですか?
「KAGOの所有者はロイクとあたしだね。所有者が召喚出来ない訳が無いね」
なるほど
7.船団を召喚移動させる。
8.王族達を、ドラゴン達の中に強制召喚。
※ドラゴン達は念の為陛下達の前に配置※
9.無条件降伏を迫る。
***********************
......って、感じですが、これで良いですかね?」
「回りくどいとは思うね。でも、ロイクがそれで良いならそれで良いね」
「それでは、実行しましょう」
「任せるね。何でも聞く件だがね。今日でも良いかね?」
「今日ですか?・・・全部終わったなら、今日でも構いませんよ」
「うんうんだね・・・・・・」
≪パチン
・
・
・
・
・
・
≪おい・・・あんな大きな船をどうやったら平野の真ん中に転位移動出来るんだ?
≪ドラゴンが使役されてるんだけどマジかよ・・・
≪ルーリン・シャレット天爵副王領の貴族領軍私兵隊の騎士や兵士達のあの装備何だよ。スゲェー事になってねぇ~かぁっ!
≪ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
・
・
・
そろそろ、十二分に時間を取った頃だ。お互いに状況を把握するには十分な時間だよね。
「神授スキル【転位召喚・極】『召喚』対象タブレットに表示中のワーロン王家一族全員:『位置』俺の前、ドラゴン達に囲まれたここ ≫」
俺の目の前に、ワーロン一族が強制召喚され出現する。
「えっ?」
「何が・・・」
「勝手に喋るとだね。ドラゴンの餌になってしまうね。分かったらだね。ちょっと黙ってるね」
フォルティーナは普通に喋ってるだけの様に見えるが、実はワーロン家の者達と俺やパーティーメンバーには聞こえる様に話をしてる。
「ロイク。今でしょうだね」
「ありがとう。フォルティーナ」
「フッ。次はロイクの番だね」
「終わったら聞きますよ」
『そのまま喋ると良いね。この場に居る全ての人間種と竜種に聞こえる様にしてあるね』
助かります。
「私は、ゼルフォーラ王国副王ロイク・ルーリン・シャレットです。トミーサス王国軍の勇敢な兵士諸君に告ぐ。トミーサス王国王家ワーロン家の御家族は、私が使役するドラゴン達と共に居る。速やかに武装解除し無条件で降伏して欲しい。降伏後に奴隷売却、刑罰の執行、責任の追求をしないと約束しよう。トミーサス王国に暮らす諸君等の家族に対しても同じ事を約束する」
こんな感じかな。
『足りないね』
足りない?
『公証人フォルティーナの実力を見て学ぶといいね』
あっ!待って・・・
「聞こえるかね?あたしは、創造神に管理を任される守護聖人ロイクよりも厳しい存在だね。無条件で降伏しない存在が1人でも船内に立て籠り徹底抗戦を決意した場合、王族、王国に暮らす家族全員をドラゴンの餌にするね。ドラちゃん。炎をお出しだね」
≪ゴヴァババババメラメラメラ~~~
ドラちゃんって、名前付けたんですか?
『あれは、ドラゴンだね。だからドラちゃんだね』
・・・俺の瞳には9匹全部ドラゴンに見えるんですが。
『つまり、全部ドラちゃんだね』
あぁ~・・・
「今のは、咳した程度だね。王族を除くと、船には8340人乗船しているね。君達の思考にカウンターを表示させる」
≪パチン
「あたしとロイクとゼルフォーラの国王にも分かる様にした」
俺は、5400カウンと認識した。
まさか、これ90ラフンって事ですか?
『この位で十分だね』
「さぁ~混乱しない様に、まずは非戦闘員から下船するね。認識している数字が0になった時、8340人が全員下船していない時には覚悟するね。怪しい戦友や友人や存在を皆で説得するね」
≪パチン
・
・
・
・
・
・
陸と高さが同じになった船の甲板から次々に人が陸へ移動する。
面白い事に、船の中で放棄された武具や道具類の所有者は俺と認識されているのか、タブレットが次々に自動回収していた。
≪おい。船が消えたぞぉ―――!
≪まじかよ・・・
≪ガヤガヤガヤガヤ
フォルティーナ。これって、もしかして船も俺の所有物扱いって事ですか?
『当然だね』
当然何ですね。
『うんうんだね』
・
・
・
目の前には、船が2隻残っている。下船し保護された人間は、王族を含まず8340人。
「フォルティーナ。人は全員降伏保護されているのに、あの2隻はどうして俺に回収されないんですか?」
「簡単だね」
「簡単ですか?」
「船の中に命を持った存在がまだいるという事だね」
「なるほど」
神授スキル【タブレット】『検索』検索対象・目の前の船2隻:人を青色、魔獣を赤色。それ以外の生物を黄色:検索後に表示 ≫
≪・・・・・・・・・表示しました。
「あらま・・・」
「なるほどだね・・・」
「国王陛下」
「副王何かあったのかね?」
「トミーサス王国の王族達と話をしても宜しいでしょうか?」
「副王の手柄だ。好きにするが良い」
「ジィーヤン・ワーロン殿」
「朕はトミーサス王国第57代国王ジィーヤン・ワーロン。不敬は許さぬぞよ」
現状を理解する能力も持って無い愚か者だったのか。
「奇襲によるゼルフォーラ王国領への先制攻撃によって破壊した街と港。殺害した王国民や兵士達。ゼルフォーラ王国王家王兄エンゾ・ルーリン天爵殿下の拉致。王都トミーランの大聖堂に隠していた迷宮。ヴァルオリティア帝国の帝国旗のマークが付いた魔獣や兵士達。聞きたい事は山程ありますが、まずは最初に伝えておきます」
「朕は国王である。朕と同格なる存在は、この世にヴァルオリティア帝国の帝王のみ。許可無き下賤の者は口を開くで無いわ」
「これから情報を取り出す前に、ジィーヤン・ワーロン殿に伝えておきたい事があります。国を捨て国民を捨て兵士を見殺し、ヴァルオリティア帝国へ逃亡を図る様な存在は国王に非ず。トミーランの迷宮と帝国旗のマークが付いた森林都市フィーラとサス湖開戦時に目撃された魔獣の調査が終わるまで、前トミーサス王国王家・前ゼルフォーラ王国伯爵家一族の現当主及び次期当主及現当主の弟。そして前王国高官及び軍高官の身柄を、ゼルフォーラ王国王都モルングレーのパレスエリアに新設された副王邸に軟禁します」
「な、朕は国王だぞ。朕を拘束等して王国が黙っていると思うな!そんなに戦争がしたいのかぁっ!」
「ジィーヤン・ワーロン。貴方の国はもうありません。貴方の国は連合国家フィリーの共同統治下にあり、独立或いは併合の時まで、連合国家フィリーの代表が臨時の元首を務める事になりました」
「何だと・・・」
「貴族の皆さんや王族の皆さんの御家族は、王国にそのままいると国民の皆さんに何をされるか分からないらしいので、遠く離れた森林都市国家フィーラの開拓開墾を手伝って貰う事にしています」
「トミーサス王国の王侯貴族に畑仕事・・・奴隷の真似をしろだとっ!ふざけるな」
「奴隷の真似をする必要はありません。衣食住と安全を約束する代わりに働いて貰うだけです」
「誇り高きトミーサスの王侯貴族がその様な屈辱を受け入れる訳がなかろう」
「そうでも無いですよ。愚かな国王が国を捨て逃亡した後、トミーサス王国領内で旧支配層の人間を狙った暴動や殺人が頻発してるんだそうで、ゼルフォーラ王国軍や俺の私兵に保護を求める者が後を絶たない状態です」
「・・・トミーサス王国との定期連絡が途絶えればヴァルオリティア帝国が動き出す。ゼルフォーラ王国はヴァルオリティア帝国と戦争する気の様だがそれで良いのかぁ~」
「知らないんですか?」
「何がだ」
「帝国の皇帝が暗殺され、帝国は現在皇位継承争いの最中で、トミーサス王国を気に掛けている余裕は無いと思いますよ。森林都市国家フィーラ王国の独立宣言後も抵抗らしい動きも発言もありません」
「兄上様が・・・皇帝が暗殺されたじゃと・・・お主でたらめを申すで無いわ」
≪パチン
「グググググ・・・ガガガガガガ」
「王妃よどうしたのだ!?」
「ガガガガガ ガハァッ」
フォルティーナ。
『分かったね』
≪パチン
「勝手に喋ら無い方が身の為です。次、勝手に喋ったらドラゴンの餌になってしまいますよ。元デリア・アントン・フック・ル・オルティア皇女。デリア・ワーロンさん」
何だかとっても悪者みたいな気がしてきました。
『この位脅した方が良いね』
既に拷問な気もしないでもありませんが・・・
『ロイク。あたしとしては言い難いのだがだね』
なんですか?
『創造神から神授が来たね』
え?
『時間差だと思うね。この場に存在する者だけなのか、連合国家フィリーと帝国なのか範囲は不明だね』
えっと、今から創造神様からの神授があるって事ですか?
・
・
・
神授による啓示タイムが始まったらしい。現場の者達が、フォルティーナ以外突然眠りに落ちた。
当然、俺には何も聞こえなかったし見えなかった。勿論、啓示は無い。
啓示の日はいつも蚊帳の外。コルト下界の何かが勝手に決まる。その後で、俺には話が伝わって来る。何だかブルーな気分でドラゴン達と戯れ続けた。
「ロイク。今回の啓示は、ロイクにとっては特に厳しい話では無いね」
「そうなんですか?」
「滅トミーサス王国の元ジィーヤン・ワーロン国王と第2夫人ドーラ・ワーロンの娘エルネスティーネ・ワーロンを創造神はロイクの許嫁として公認したね」
ありがとうございました。