8-169 来る日と奇跡の日と執行の日の前夜 -chefアランギー・公認の嫁・公認の許嫁・他多数- ②
フォルティーナは、俺の机に尻を乗せ偉そうにふんぞり返りながら漢の夢と希望浪漫の前で腕を組みいつものようにちょっぴり残念なドヤ顔を披露している。
駄女神様の持論を要約するとようはこういうことだよな。
一つ目が。
「フォルティーナは、責任の所在が自分にしかないことがおかしいって思ってる訳ですよね?」
「その通りだね」
確かに内容的にちょっとやり過ぎちゃってる感はあるんだよな。不祥事が発生して責任問題に発展した場合、受任者のみで状況を改善し解決に導くなんてことはハッキリ言って不可能に近い。受任者の行為は委任者の行為な訳で、でもフォルティーナだからなぁ~。蛮行や愚行の責任を委任者が被るってのもおかしな話な訳で・・・。正直、今回のケースだとやり過ぎちゃってちょうど良いって気がしないでもないんだよな。それに全責任って訳でもないし。
「委任と誓約の期間は来る日と執行日の当日のみ。つまりリーファ歴四千七十六年二月二十三日のみ。責任の範囲は時間によって変化してパターンとしては二つ。光が世界を支配する六時から十三時までは原則としてフォルティーナは離宮本殿に待機。緊急時の対応については俺の指示に従う。指示の責任は俺にあるけど結果の責任はフォルティーナにある。十三時から十七時まではフォルティーナは来る日と執行の対応に全身全霊を傾けること。緊急時の対応については相談は不要で良識の範囲内であれば責任を追及されることはない。ただ、責任問題に発展した場合はフォルティーナが全責任を負うことになる。十八時から闇が世界を支配する二十四時そこから三十時までは原則として離宮本殿にて待機。緊急時の対応については俺の指示か創造神様の指示に従う。俺が指示した際は指示の責任は俺にあるけど結果の責任はフォルティーナにある。創造神様が指示した際は結果問わず全責任は創造神様にある。当日はフォルティーナの分も皆責任ある行動を心掛けおもてなしに集中したいと思っています。因みに、おもてなしの責任者は俺で、場所によっては責任者は俺じゃない場合もあります。ホラッ、当日はフォルティーナだけに責任が集中する何てことはありません。俺達にもそれなりに責任が付いて回る感じなんで、ここはおあいこってことでどうですか?」
若干屁理屈っぽいけど、滅茶苦茶汚いこともないから笑って許して貰えると有難いんだけどなぁ~。うわぁ~~~残念な顔プラスジト目でこっちを見てるし・・・。
「前に無理矢理結ばされた誓約があるからにはアタシは嫌々乍らにも止むを得ず従わざるを得ないね。今回に限った話ではあるがだね、この件に関しては・・・今だけは美しき沈黙を貫き通して差し上げましょう、良いかね今だけでしかないことを覚悟しておくねっ!!」
最後の方我慢出来なくて声が大きくなっちゃってたし。ちっとも美しくないじゃん、どちらかって言うと無様に・・・。
二つ目が。
「全部終わったら愚痴くらい聞くんでお手柔らかにお願いします。で、フォルティーナがおかしいって、話に戻しますが。来る日を現状維持で何事もなく解決できた場合、フォルティーナは創造神様からコルト下界限定の神気解放プラス百を御褒美でいただける。執行が徒労に終わった場合も創造神様からプラス百。合わせると神気が二百も増えることになりますが、これもおかしいって思ってる訳ですよね?」
「当然だね。そもそも来る日を何事もなかったかのように解決するという事はだね。未来永劫語り継がれるであろう伝説それこそ永遠物の神話の一ページレベルの快挙だね。に、も、か、か、わ、ら、ず。吝嗇にも程があるねっ!! 馬鹿かね二百ぽっちとは馬鹿かね。貰える物は貰うとずっと前からそうあるべきだと考えるようになったアタシとしては」
「それつい今し方聞いたばかりなんで、取り合えず話を進めますね。さっきchefアランギー様が言ってたじゃないですか、自発的に対応する心意気を見せていたなら現状の倍まで神気解放を考えていたって。でも、誓約を結ばない限り協力する気もなかったようだったから、御褒美は貰えるだけ感謝しなさいって」
「意味が分からないね。対価に感謝? 良いかね、義務と権利に感謝するのは美徳であって心の内側の問題でしかないね。果たしたから満たされたから感謝されて当然だと思うことは筋違いでしかないね、烏滸がましいねっ!!」
「誓約だから果たす訳ですよね。今の話だと御褒美は要らないってことになっちゃいますよ」
「貰える物は全てアタシの物、・・・納得出来ていないがだね今は一先ずそれで構わないね」
御褒美が一番面倒な話になるかなって思ってたんだけど自滅してくれて助かったわ。・・・・・・折角良いことを言い出しても基本がこれじゃホント勿体ないよな。
貴重な時間をありがとうございました。