8-167 来る日と奇跡の日と執行の日の前夜 -プリフェストの今- ②
「...... ~ ......そうそうそれでなんだけど、コルトは明日世界創造神様が御光臨なされる慶事だよね。皆、奇跡の日を前に緊張しながらも浮かれていて見ていて面白いことになっているよね。僕は・・・・・・不思議に思わないかい、あの忌まわしき無時、ディストーションブレイクが同じ日にだなんてまるで作為、大いなる必然とでも言うべきなのかな、・・・神とはいったい・・・本当に不思議だよね。・・・そして思い出したことがあるんだ。僕が知っている限り無時をどうにか出来得る存在は大上の君と呼ばれる限られた神だけなんだとね。ごめんよ役に立てなくて、このタイミングで思い出すとか本当に不思議だよ・・・全く・・・・・・」
大上の君か、・・・フラン様とフレアリース様がフォルティーナをたまにそうやって呼ぶんだよな。次席の神とは何が違うんだろう。
神様とは何ぞや。超絶にで摩訶不思議で自由気ままで奇天烈な存在。煩悩レベルでは親近感が半端ない存在。抗うことすら叶わない絶対的な存在。って感じかな。
「運を司り幸福の女神大上の君が主祭創世の根幹を成すなり次席のフォルティーナ。以前はフォルトゥーナと呼ばれていたんだけど飽きちゃったのかな。それはそうと世界創造神様に次ぐ力を持った女神様が事に当たるからにはあの忌まわしき無時のことはもういいよね。でもさぁー来る日の話を聞いた時は正直あぁコルト下界も消えてしまうんだね。って思ってね。出向している精霊と現地生まれの精霊と縁が深い存在くらいならウチに移住させても運命に逆らうことにはならないよね。って無責任に聞こえるかもしれないけれど、本気で思ったさ。まさか竜種族が如く金銀財宝輝きをこよなく愛す全ての運を須らく体現する女神大上の君が主祭創世の根幹を成すなり次席のフォルティーナがコルト下界に住み、愛する我が精霊達と共にロイク君、君の傍らにあろうとは・・・。あっ・・・今日はこんな話をしたくてここに来た訳ではなかったのだけれど、こういうのもありだよね」
フォルティーナがカッコ良く聞こえるんですけど・・・聞き間違いってことはないよな。
それにしても、話が見えない話が長い独特過ぎる語り口調。なのに何だか引き込まれてついいつまでも聞いていたい気持ちになってしまうのは何故だろう。これが人の前に立つ力導く力って奴なのかっ!!
「今は何処も皆同じようなものさ、大いなる何かが働いている。そう思わずにはいられない世知辛い世の中だよね。ロイク君はあぁフォルティーナポートルーゴリア支店の店長に会ったことはあるかい?」
ルーゴリア支店? ・・・あぁなるほどね、ブランルーゴリア王宮城の真横に建てたからそこからネーミングしたのか。店長はぁ~~~えっと誰だったっけ?
「たぶんですが、会ったことはないかと」
「店長、副店長、助役、相談役、補佐役、監査役、階責任者、売場監督、人事部長。今最も働きたい職場ランキング第一位はあぁフォルティーナポートルーゴリア支店で、ずっと不動の一位だったブランルーゴリア宮殿が第二位だってことくらいは勿論知っているよね?」
へぇ~、そうだったのか。
「申し訳ないです、初めて聞きました」
「そこで話が戻って来る訳さ。皆があぁフォルティーナポートルーゴリア支店で働きたいと思っている。僕はプリフェストの管理を世界創造神様に任され、精霊達を束ねる精霊王でもある身だから困っているのさ。・・・数える程しか居ない限られた優秀な人材が支店への優先転属を希望するんだ。受理しないなら残念だけど離職するって、工房ロイスピー人財育成人事管理本部あぁフォルティーナポート事業人財採用課に直接応募するだけだって、脅して来る始末でね。何事にもそうだけれど、ウチに割り当てられた枠にだって限界はあるよね。離職を希望する者に事情を説明するのもおかしな話だし、何よりも結局のところ応募書類が届くのはあぁフォルティーナポートルーゴリア支店の店長兼人事部長の僕のところだからね。ハァ~本当に困ってるんだ、どうしてこうも人手が足らないのか・・・聞けばアシュランス王国も同じような悩みを抱えているとか、打開策に悪名高き天使族や特化型の精霊獣(コルト下界では聖邪獣と呼ばれている)まで登用しているとかいないとか。大丈夫なのかい? 失礼な言い方かもしれないけれど、もう少し様子を見させて貰った上で問題がなければウチもやろうかなって本気で思ってるんだよね♪ その時には宜しくね、ロイク君」
後継者の話って精霊王のじゃなくて、世界とか国を支えている、そっちの方ね。深刻っちゃぁ~深刻だけど・・・身構えて損したわ。
コルト下界も来る日以降は皆違う方向を見て動き出す。元からまとまりなんて無い世界が今以上に自由に動き出す。今でも管理なんて殆どやってないのに世界に国にってマジで大丈夫かな・・・・・・ホントに・・・。
貴重な時間をありがとうございました。