8-154 来る日もそうだけど、それよりも御光臨まであと一日 ⑧+⑨
・・・
・・
・
今回に限ってはフォルティーナに感謝の気持ちを覚えた。・・・少しだけ。
本来であれば一番の問題だったはずの来る日に起こるらしい何か。
来る日の何かと創造神様の御光臨奇跡の日の真っ只中に理の調査を執行すると通達して来た神界の理法律院。
派遣されて来るのは二万柱以上もの神竜様方で編成された調査隊とは名ばかりの神界の憲兵隊。
浄化のスペシャリスト、豊かな大地美しい魂。彼等は泣く子も黙る理竜憲兵隊。
遊狐様フラン様ロザリークロード様セーラ様から執行の理由を教えて貰ったが遊びに来たいだけだろう素直に言えば良いのに・・・全くもって必要性を理解できない。どうして態々来る日の当日に執行するのか本気で納得できていない。
そんな来る日(誓約書あり)と理竜憲兵隊の対応を一手に引き受けてくれると有難くも宣ってくれたフォルティーナは下界コルトにとって間違いなく久々に女神様だ。
と言うか、たまにうっかり忘れてしまいそうになるが、フォルティーナは本当は本物の女神様だ。
顔を合わせる度に「敬え」とか「尊べ」とか「讃えろ」とか「儲け話はないかね」とか良く分からないことを口にするけど嘘じゃない本物の女神様だ。ただちょっと俺達以上に下世話で大いに欲深いだけで・・・。
自由で自分勝手で我儘で気ままで、もう何でもありなだけで・・・。
こんな滅茶苦茶な毎日に順応というか慣れつつある否これが当たり前だと思い込まされている節があるのにも納得がいかない。
どうも神々様方が絡むと納得のいかないことが多くなる傾向にあるようだ。・・・ホント納得がいかない。
まっ何だ。明日くらいは皆の女神様でいてください。ホント、マジでお願いします、フォルティーナ様。
・
フォルティーナが去った後、珍しく色々と順調に進んでしまったことがいけなかったのだと今にしてみれば思う。
後はなるようになれ、練習の成果を見せるだけだ。と、解散の挨拶をしている時だった。
今まで一切関係の無かった神々様方の代表を名乗る名前も知らない男神様が突然姿を現し。
「これは我々の総意ではあるが強制ではない。これは我々による提案でしかなく願わくば善処を期待するものである」
と、一通の手紙を手渡され、見ているから今直ぐ読んで返事をくれとせがまれた。
手紙には。
*****
あぁフォルティーナポートの店長殿へ
(店長殿って、・・・まさかタルヒーネ様に丸投げする訳にもいかないしなぁ~)
はじめまして、我々は神です。
突然ですが提案します。
(でしょうね。神様だって現れた瞬間に理解できました。我々ねぇ~)
世界創造神様は、下界の民の日常の風景生活の一コマに御身を委ね。そこでしか視ることのできない体験することのできない世界を御所望である。
(御指摘痛み入ります。ただ何と言いますか、直接メールでやり取りしてるんで・・・大丈夫です)
御意向成就の妨げとしか思えぬ為体を我々は改善し成就へと導くを可能とする。
(雲行きが・・・ここから本題ってことかな)
世界創造神様と小間使いのみという非現実を悔い改め、我々をショッピングの休日の賑わい幸せそうな家族体暇潰しで寄っただけの冷やかしの楽しそうな客体無償のエキストラとして採用してみてはどうだろうか。
(・・・やっぱりだ、予想通りだったわ。ようは創造神様が来るなら自分達もって迷惑なパターンのノリ系だ)
我々は心を痛めているだけなのです。
お客様は神様です。お客様が一人もいないショッピングモールに違和感を覚え我々に出来ることはないかと考えてしまったちょっとお節介な神が我々なのです。
(お客様は神様ですってそのまま言葉通りに受け取られても・・・)
よしなに。
*****
と書かれていた。
う~む。
「御光臨の日に一般のお客様の体で参加したいってことですよね?」
「KANBEやコルトではお客様は神様という小粋な文化が発展し丁寧で心温かなサービスを常とすると下界ウォーカーに掲載されていた。貸し切りでは日常とは呼べず。・・・どうだろうか邪魔はせぬ、・・・頼む手伝わせてくれ。我々の願いが叶うのであれば、助力を約束しよう。聞けばコルトは明日の来る日に悩まされているとか」
「そうですね。明日はホント色々立て込んでるんですよ」
「聞けば理法律院の竜共に目を付けられてしまったとか」
「みたいですね」
「我々は皆無役の昼行燈それなりの財を持つ。明日以降の復旧復興有り余る時と財を用いて助力としたい。助力させてください」
名前も知らない男神様にペコペコと懇願された。
何故にこんなに必死なのだろうか、分からないまま質問を重ねた。
「因みに、エキストラの数はどのく」
「きっかり四千四百九十三柱でありますっ!!」
らいですかって最後まで言わせてってはぁっ?
「え?四千・・・」
神様が?
「きっかり四千四百九十三柱、人に換算すると四千四百九十三人であります。内、大人が二千六百七十五人。内、性別男が一千三百二人、この性別なのですがあくまでも神としての初期値であり必ずしもそうではないと理解して欲しい。内、性別女が一千三百七十三人。内、子供が一千八百十八人。内、性別男が七百七十人、性別女が一千四十八人である。また、家族体は夫婦のみ子供の有無を抜きに一千二百。恋人体は七百。異性同性の友人体は自由参加を予定してあります。復旧復興の助力に際して、流石の我々もこればかりは譲れぬところがある、子供達の助力これに関しては実親或いは主にある者の代行で赦されたし。完成までの期間通うは吝かではない、だが可能であれば下界或いは貴殿有する然るべき地を間借りしたい。我々の移住も視野に検討されたし。・・・それでは時の理下界コルト三時間から四時間前行動明日の午前十時ここあぁフォルティーナポート噴水中央広場、皆が集まるには少々狭・・・いか・・・ここあぁフォルティーナポートの正面丘の上の草原に集合しよう。明日の我々は一般の客ただの空気とでも思って貰って結構ヌワッハッハッハッハッハッハッハ」
押し切られる形で奇跡の日のお客様は神様が決定した。
・
フォルティーナに限らずホント自由な皆々様方だ。
貴重な時間をありがとうございました。




