8-150 来る日もそうだけど、それよりも御光臨まであと一日 ①+②+③
―――アシュランス王国・王都スカーレット
王城グランディール3F・国王執務室
R4076年02月22日(樹)09:20―――
朝食からのティータイムで確りと情報を交換しイヨイヨ明日かぁ~嫌だなぁ~面倒だなぁ~中止にならないかなぁ~等と無駄なことを考えながらパフさんを隣にエリウスを後方に従え【フリーパス】で国王執務室へと移動した。
本日分の書類の山タブン午前中分を【タブレット】に収納し視界に展開した画面内の【執務代行】を視線で選択しサクッと公務を終える。
所要三ラフンから五ラフン。捺印あるいはサイン入りの書類の山が執務机の上に出力されるタイミングを見計らいパフさんとの業務報告を開始する。
「陛下に改めて確認したいことがあります」
パフさんは今日もクールビューティーだ。いつものように手を止めることなく書類を整理しながらの対応だ。
「改めて確認するようなことってありましたっけ?」
「・・・現状、改めて確認しなくてはならないことばかだと考えています」
「そんなもんですかね。今更って気もしなくもないですが来ちゃうもんは来ちゃう訳だしなるようにしかならないなら臨機応変に行き当たりばったりでも誠意を持ってって・・・なんて言うんだろうなぁ~もうこの際創造神様で楽しんじゃおうくらいのもうどうにでもなれくらいで良いかなって思っちゃってます」
「大物と言いますか、随分と投げやりと言いますか。明日はロイク様がエスコートの中心です。良いですか先程のchefアランギー様やメアリー様からの指摘を真摯に受け止めて、一日いえ世界創造神様が御光臨なされている束の間の奇跡の間だけで良いのでバイル様のように気の抜けた為体下品な発言は極力我慢してくださいよ」
・・・何故だ? chefアランギー様も母さんも・・・パフさんまで親父のような恥ずかしい真似をするなと俺に言う?
おかしくないか? 確実におかしいだろう。息をするかのように下品なことを口にするのも、ヤル時キメル時以外はまるで満腹時の狼や獅子並みにだらけていて緊張感がないのも、親父の話だろ。
親父みたいに下品になった覚えも無ければ、緊張感を欠いただらしない生活をした覚えも無ければ、借りたものを返さないとか、風呂に入らないで布団に入って母さんに叱られるとか、お客様の前で平然と屁をして「かぁー今日も臭せぇーななっ」とか同意求めたりとかした覚えは無い。
嫌悪感すら覚えている親父のあれやこれやを、何故に・・・。
「...... ~ ......ク様、ロ・イ・ク・様っ!! 大事な話をしている時くらいちゃんと聞いていただけませんか。家は有難くも沢山の神々様方の奇跡に恵まれそのせいか上層部の基本スタンスがchefアランギー様か私への丸投げです。きちんと公務を熟してくれる者もチラホラと非常に少なくはありますがいないこともありませんが、あの陛下聞いてます? これは説教とか小言とかではありませんので最後まで聞いていただけると嬉しいのですが・・・」
「安心してください、ちゃんと聞いてますから。丸投げはホント良くないと思います」
・
パフさんは手を止めることなく書類を整理しながら話を続けている。
物凄い速度で処理されていく手元の書類に目をやりながら、相変わらず凄いなぁ~、凄過ぎる出来る女ってのは年齢とか種族とかをこうやって超越しちゃうんだよなぁ~。フォルティーナとかと違ってと静かに思考する。勿論、パフさんの話を聞きながら。
「コルト下界の民が一丸となって来る日に備え陛下に協力するという神授の件はいったなんだったのでしょうか?」
「神授のことを俺に聞かれても流石に答えようがないです。フォルティーナが対応することにはなりましたが、完全に丸投げって感じでもないじゃないですか」
「そうでしょうか。私達は来る日の真っ只中私達の世界の命運が決しようという最中にショッピングモールという安全を約束された場所で有難くも優雅に世界創造神様をおもてなしするという名誉を」
「それこそフォルティーナの丸投げっだって思えば良いんですよ。だって堕女神創造神様がコルトに来たくらいでどうして一々アタシが挨拶しに行かなければならないね面倒臭いね、そういうことは全部俺に任せるってさっき決めたばかりだねとかぶっこいてくれた挙句の果てに、来る日の歪みの件でアタシは大忙しでもうどうにも止められないね、ホラッこの話はもう御開き御開きだねって。こっちは阿保女神から任されただけの善意の塊集団で、あっちは率先して来る日に集中したいってとっても素敵で殊勝な善意の一柱で、ホラッ誰も何処にも丸投げなんかしてないって感じで上手く納まってるじゃないですか、表向きではあれ駄女神が納得してるんですから、良いと思いますよ、これで」
・
「神界から調査隊が派遣される件についてはどのように対応されるおつもりなのですか?」
「あぁー、ジャンダルムリですかぁ―――・・・」
「二万柱以上からなる神竜様方による憲兵隊なのですよね?」
「らしいですね」
「どのように調整したら世界創造神様と同じ日のしかも同じ時間に世界各地で同時に調査を開始するとか、まるで嫌がらせとしか思えない狙い撃ちを・・・フラン様よりはかなり小ぶりで可愛いものだってロザリークロード様は仰っていましたが、成竜仕立ての神竜様の方が大きいとか最後の方で聞こえてしまったのですが」
「言ってましたねぇー・・・確か、強い個体になればなるほど神竜様方は小ぶりになって童子童女の姿で好きなだけ闊歩できるとかって・・・」
「成竜仕立ての神竜様は雑魚ばかりで気持ち大きいだけで雑魚は雑魚だから骨を折らぬように加減するのに骨が折れるわい、喰い掛けの芋羊羹なんぞで・・・我も丸くなってしまったものだガッハッハッハって言ってることが矛盾していると陛下はお気付きに、当然気付いてましたよね?」
「ロザリークロード様って良い意味で細かいこととかホラッ気にしない方じゃないですか。それに、百メートルも八十メートルも三十メートルもここまで大きな感じだとそんなに見た感じ変わらないって、言うか・・・ねぇー・・・って流石に無理があります、よね」
「この際、えぇもうこの際ですけれども、大きさはもう全部大きいので諦めます。諦めました。ですが、世界中が大混乱に陥ってしまう未来しか想像できない件については譲れません」
「譲れないって言われても、言う人間違えてませんか?」
「管理者ですよね?」
「そういうことにはなってますね」
「管理者ですよね?」
「・・・ですね」
「止められなかったのですか? 寧ろ今直ぐ止めて見せてください。管理者なら」
疾っくの昔にやってますって、それが出来るなら、ですけど。
「竜種型の神様が各地にそれなりの数で御光臨して調査するって神託?宣託?どっちでもいいや何かやるって宣言してから始めるみたいだし、来る日真っ只中にむしろ感謝することになるかもって俺は思ってたりするんですけど」
「・・・神々様方の御光臨には勿論感謝しかありませんが、非常事態な上に余りにも突然では」
「混乱する前に静まり返っちゃうと思いますよ、神様を前にすると何か無礼はダメみたいな感情が何となく湧くじゃないですか。ホラッねっでしょ、だからこの際好都合って思うことにしたんです。だってこっちはその時間どうやって頑張ってもそっちには手を回せない訳なんですから、創造神様をおもてなししつつ楽しいい楽しい奇跡の時間を満喫してる最中なんですよ。一丸となって協力するようにって神授はタブン、きっとこのことだったんですよ、タブン」
「何かあった際には陛下が収めてくださるのであれば、・・・もう私の方からは何も言うことはありません。私も明日は世界創造神様のおもてなしに誠心誠意全力で挑む心積もりでいますので、伝え忘れななどありましたら本日の公務が終わるまでの間に仰ってください。良いですねっ!!」
「・・・そうします」
昨日、就寝前にふと思ったんだよなぁー。フォルティーナが来る日を担当してくれる。その時コルト下界には創造神様は居られる。大上神様と同格の祖神様も居られる。上神様や上級神様も沢山居られる。中級神様も神様も下級神様も沢山居られる。しかも神格位は分からないけど神竜様が世界各地に二万柱も散らばった状態だ。
観光で神々様方を誘致するより問題を起こして来て貰うとか、武力を持った強い神様が来る確率が高いのは間違いなくそういことだ。
全部、創造神様の掌なのかなってね。
貴重な時間をありがとうございました。




