表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー来る日編ー(本編開始ちょっと前=真の序章)
1171/1175

8-128 責任と義務と尊重と理解。夫婦になる以前の問題 ⑥


 落ち着きを取り戻したサンドラとテレーズとサラからの個体レベルと種族の申告が終わり一段落付いた頃。


「ねぇパフちゃん、それとアナタ達に聞きたいのだけれど、この集まりはロイクの人との付き合い方結婚観夫婦のあり方について話し合う為のものよね」

「・・・はい、間違いなくその為のものです。ただ、この会議に参加する為前置きとして、神々精霊母后様御身の前で参加する資格があることを明示する必要があると考えました。これは私達の総意です」


「参加する資格も何もアナタ達は公認の許嫁なのだから心配したり思考するのは当然のことだと思うの、それにこの会議は私達が家族だからこそのもの、そこまで難しく考える必要はないと思うのだけれど」

「ただ傍聴するのではなく正式に参加し少しでも力になれたらと考えました」


「そう、そうなのね。それなら安心すると良いわ、アナタ達には十二分に資格があることが分かったのだから」

「ありがとうございます、マルアスピー様」

「・・・お礼を言われても困るのだけれど」


 マルアスピーは、おかしな方へと進み始めた話に困惑していた。長い余興が終わったのだからそろそろ会議を初めて欲しいのだけれど。と、パフに進行を促しただけのつもりでいたからだ。


 一方パフはというと、パフは、マルアスピーの気持ちを何となくだが汲み取ることのできる数少ない人間種(ヒューム)の一人だ。だからこそ、瞬時に理解することができた。


 マルアスピーが抑揚少なく穏やかな透き通った声色で話をする時は、大抵興味の無い話が長々と続き呆れている時か趣旨を違える的を得ない話に関心を失いつつある時だ。そして今はそのどちらともだと。


 ならば、まだ説得する時間は残されている。マルアスピーが完全に関心を失ってしまう前に精霊様だけど人情に厚いその情に訴えることができれば何とかなると。


・・・

・・


 パフは、立場こそ重責過ぎる者の一人ではあるが、自身としては借金奴隷から解放されたばかりの本好きなだけの本屋の娘だと認識している。


***余談というかプティ情報***

 借金奴隷は奴隷として管理されてはいるが性質的には奴隷とは全くの別物だ。手厚い保障、解放と同時にステータスの称号に刻まれる【皆済者】※他者からの信用度が僅かに上昇する※、解放後三年間の免税※ゼルフォーラ王国では年収が五百万NL(ネール)以上の場合に限り免税の対象から外される、免税の権利は失効せず繰り越しとなる※。など、何故奴隷として管理されてしまうのかされているのか謎だらけの制度だ。

*****************


 世の中は見渡さなくとも齟齬だらけ。

 グレーを白黒ハッキリさせることが正しいこととは限らないしどちらの側にも正義が存在する。

 一方的な正義や思い込んだ正しさを振り翳すことは火に油を注ぐようなもの。

 態々争いの種を蒔くなど愚挙でしかない。

 世の中は時に疑問は疑問のままの方が良い。


 借金奴隷になる前にこんなことを考えてたなぁー、とそんなことを思い出しながら説明を続ける。


「マルアスピー様は公認の嫁でありそして既に妻の立場にあります。神々精霊様方トゥーシェさんリシュルさんは法の下ではまだ妻ではありませんが公認の嫁です」

「そうね」


「ですが私達は未だ公認の許嫁、人は嫁と聞いた時夫や婿を連想しますが、許嫁と聞いて連想するのは「若いって良いわね」「あらあら大変ね」「身分のあるお(イエ)のご令嬢様だったのね」くらいが関の山」


 パフは、いないだろうな私のこの持論に同調してくれる人はと思いつつも、それっぽい言葉を並べ情に訴えかけ続けた。


 そして勢いに任せ。

「ロイク様の結婚観や夫婦についての認識を理解し正確に把握する為には同じステージに立ち同じ目線で話をする必要があると思うのです。許嫁のままでは駄目なのです。許嫁のままでは結婚もできませんし夫婦にもなれません。・・・神々精霊母后様御身の前で宣誓します。今から公認移行の儀に臨みたいと思います」

 と、つい口走ってしまった。

貴重な時間をありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ