8-127 責任と義務と尊重と理解。夫婦になる以前の問題 ⑤
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「それでは、メリアさんお願いします」
「はい。私の種族なのですが実感は全くありませんが高位樹人様になっていました。それと、個体レベルは七百八十一です」
マルアスピー程ではないが基本的に淡々としているメリアは、優しく静かな声で申告した。
憧れの高位樹人族に進化したことを実は今にも飛び跳ね踊り出したくらい叫び出したいくらい大喜びしているが、決して表情や態度に現すことはない。
ゼルフォーラ大陸の樹人族をまとめる立場にあるからには常に冷静で常に朗らかで常に凛としていなくてはいけない。と考えるようになったからだ。
聖神竜ことフランと悪狼神名前はまだ無いは偶然にも同じことを考えていた。皆それぞれ違った意味で優しく真面目で正義感に溢れているのは良いこと。けれど、放っておいたら損するタイプだわ、見守るだけでは駄目なようねと。また、この会議まだ終わらないの長いわねとも。
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「カトリーヌさんお願いします」
「はい。私は妖精族でしたがそのまま高位に進化する訳でもなく、風と樹の中精霊に昇華したみたいです。個体レベルなのですが・・・気が付いた時には千一になっちゃってました」
「ちょっ、ちょっと待ったぁ~ど、ど、どうやったら千一だなんて信、信じられない有り得ないわ、え、えっと・・・カトリーヌ私を弟子にしてください、お願いします」
「「・・・・・・」」
素直と言うか貪欲と言うかアリスの掌返し瞬間芸に、カトリーヌとパフは笑うのを必死に堪え言葉がでてこない。
「弟子にするとかそういったデリケートな話は一先ず保留にするとして、この短時間でどうやって個体レベルを千一まで上げたのか、その方法を教えていただくことの方が先ではないでしょうか」
「それもそうね。確かに突然弟子にしてくださいって言われても困るわよね。余りにも衝撃的な発言だったものだから騎士としての基本を忘れてしまうところだったわ。・・・方法を教えて貰えるなら先ずは一人で試してみるのが基本よねっ!!」
アリスは、バルサの発言に便乗する形で更に持論を展開した。
「はい皆さん、今は会議中です。発言の際は挙手をお忘れなくお願いします。どんな方法でレベルを上げたのか気になって当然ですが、個体レベルと種族の確認を終わらせてからにしましょう。・・・それでは、最後ですエルネスティーネさんお願いします」
パフは、途轍もなく良い笑顔で言い切ったアリスの騎士道っていったい何と思いながらも進行役を見事に演じ切ってみせた。
「は・・・はい。種族はちょっと良く分からないのですが、高位半人高位半魔族で、個体レベルは九百九十九です。あと一万九千弱の経験値で千に上がります」
「はぁーん? エルネスティーネ貴女もなのっ!!」
「・・・アリスさん落ち着いてください。今はエルネスティーネさんの時間です」
「・・・そ、そうね・・・パフさん、エルネスティーネさんごめんなさい、続けて」
「え? えっと・・・他には・・・・・・以上です」
パフは、悲鳴にも似た声を張り上げたアリスを静止し。アリスは、意図を何とか汲み取りエルネスティーネに続きを話すように促し。エルネスティーネは、少し考えたフリをし申告を終了した。
「はっ、はぁ”~んっ!? エルネスティーネ以上って何よ違うでしょっ!!」
「アリスさん、発言の際は挙手をお願いします」
「えぇぇ―――だってぇぇぇパフさん」
「えぇじゃありません」
貴重な時間をありがとうございました。




