8-121 甘くないひと時・マルアスピー編 ③
「...... ~ ......常日頃より規則正しく生活しているせいか度々このような事態に陥ってしまうね」
規則正しい? フォルティーナが?
「もう少し無駄を愛する努力をしてみては、急ぎ過ぎているわよ等と無責任にも度々提案してくる知り合いが多くて困るね。アタシのことは程々で構わないね寧ろ貴重な時間労力は自身の為に使って貰いものだね」
あれ? 勘違いはいつものことだとしても何か何となく良いことを言ってるような気が・・・。
「皆がそうであるならば、否皆そうあるべきだとアタシは思うね。自身の為身を粉に動き回る者は自ずから他者のことが良く見えなくなるものだね。時間と労力を自らの為だけに使う者こそ究極の他人つまりだね縁運命の一つでも交錯しない限り関わり合うこともない無害その他大勢の空気みたいなものということになるね。・・・アスピーもロイクも聞いているのかねハァ~身の丈に合わない余りにも高尚な話過ぎて理解できないのは分かるがだね、聞くという努力だけはするべきだとアタシは思うね。良いかねそもそも...... ~ ......」
気のせいだったわ。
・・・
・・
・
「おっと・・・」
ずっと一人で喋り続けていたフォルティーナが白い壁に掛けられた時計を見て時を止めた。
「ふむふむだね・・・」
時間を確認した上でしょうもないことを画策しているようだ。タブン。
マルアスピーとアイコンタクトで、納得したら何処かへ行くはず、黙って見守りましょう。と頷き合う。
「アスピーロイク、そろそろ夕食だと勘違いして今日の間に顔を出したらまだ誰もいなくて折角だからと席に着いたまでは良かったね」
いつまで一人で喋り続けるのだろうか・・・。
「そんな時だったね。周囲が心配し過ぎる域にまで到達してしまった唐変木が今日もまた盛大に拗らせて面白いことになっていたね。暇を持て余していたいたアタシは迷わず飛び込むことにしたまでは良かったね。・・・ハァ~・・・・・・それでもだね夕食まであと一時間半もあるね。世の中とはままならないもの知ってはいてもこうもままならないと本当に嫌になってくるね。こういう時は神殿に顔を出して黒い数字の羅列を眺めるに限るというもの・・・アスピーロイク、残念なことに時間が来てしまったね、それでは夕食の時間にまた会いましょうだね」
パチン。
乾いたフィンガースナップの音を残してフォルティーナは姿を消した。
「とても久しぶりのはずなのだけれど、相変わらずこんな感じなのねと思ってしまったわ」
「こっちに帰って来てからカジノの利益確認を正式な日課にしてる節があるんで、前よりちょっと貪欲さが酷くなったようにも思えますが、まっ相変わらずと言ってしまえばそうかも・・・」
「気が向いて静かにしてくれているのだから感謝しなくてはならないわ、お金にもそれなりに価値があったのね」
お金の価値・・・被害を少なくする為の投資、悪いことをしない為の投資、フォルティーナの場合脅しや集りの類に限りなく近いような気もしないでもないが・・・。他人、知人、行政、宗教、神様、親族、夫婦結局は全部似たような・・・慣れって怖ぇ~返ってこないことが当たり前になり過ぎてるじゃん。返ってこないって論外だろ論外あっでも行政も宗教も・・・国のお金もっと大切に使おっと。
直近、色んな意味で問題なのが嫌いじゃないけど悔しいかな実父バイルと創造神様公認の意味不明な嫁フォルティーナな訳なんだが・・・。
あっ、来る日の後もだな。
・
フォルティーナから解放された後も若干の沈黙が寝室改め本の少ない書斎を支配した。
沈黙は肯定ではない、絶対に。言っても無駄会話が成立しない相手との辛い時間を可能な限り早く終わらせる為の処世術、タブン。相手が盛大に勘違いしたままだということがだけが問題になってくるが、その時もまた静かに沈黙するまでのことだ。
これを、華麗にスルーする。華麗にスルーした。と、思うことにした。俺もまた相変わらずなのかもしれない。
「自分のことは棚に上げておくとして、マルアスピー、嵐が去ったからこそ気付いたことがあります。夫婦っていったいなんなんでしょう。創造神様の公認、神々様方教会王様王族領主村長親の公認って結局のところなんなんですかね。二人のことなのに誰かに公認されないとダメとかおかしいとおもいませんか?」
「まさかとは思っていたのだけれど、ロイクアナタ・・・・・・まだその・・・そうよねその段階なのよね」
貴重な時間をありがとうございました。




