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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー来る日編ー(本編開始ちょっと前=真の序章)
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8-105 来る日まであと三日 ⑤

「やっぱりじゃ儂の予想通りじゃったわ」


 撫で舐め回すようにゲートの状態を確認していたアンガーレム様がレディーマリリンさんとオスカー殿が合流したミューさんとパフさんと俺のもとに戻って来た。


 作業を目の前で見ていた俺達がドン引きしているとは思ってもいないだろう。アンガーレム様はそれくらい充実感に溢れたご満悦な表情をしていた。


「予想通りって聞こえましたが、このまま置いといて大丈夫なんですかね?」

「ふむそれなんじゃが、結論から言うとじゃな良く分からん」

「は?」

「じゃからどっちとも言えんちゅうことじゃ。・・・ちとこれを見ちょくれ」


 アンガーレム様は懐から綺麗な球体な方のスクルー・ジ・ズ・オーブを取り出すとレディーマリリンさんとオスカー殿とパフさんに見るように促した。


 ミューさんと俺は歪な方を含め見慣れたというか時の理から外れこれでもかってくらいとっても長い長い時間をジャックポットとスクルー・ジ・ズ・オーブと関わって・・・正直、この二つとは暫くお近付きになりたくないところではある。


 つうかアンガーレム様、右手の掌(テノヒラ)で落ち着きなく転がしてたら集中して見られないと言いますか・・・。



「なんじゃそれは、そ、そんなものが・・・それ一つでこの大穴の底イヤ、ガルネス市街地を覆い尽くしてもおかしくない・・・そ、その負の魔力を凝縮したとしか思えん(ギョク)はいったい・・・」

「糞爺の言った通りさね、その玉は一見美しく人を魅了する・・・そう欺く姑息で周到な厭らしさ、まるで薔薇の棘じゃないかい」


 ほう、なるほどね。魔力に長けた二人にはそう見えちゃう訳か。


「阿呆棘が付いちょったら今頃儂の手なんぞ血塗れじゃ。チャンスはこれっきりじゃからな、もう一度しか言わんからそのつもりで観察するんじゃぞ」


 アンガーレム様は親指と人差し指でスクルー・ジ・ズ・オーブを摘まみレディーマリリンさんとオスカー殿の顔の前に突き出した。


 そういえば素手で直接触ってるけど大丈夫なんだろうか・・・って平気そうに見える・・・神々様方ですら直接触ろうとはしなかったし、俺も油断して手に取ってしまった時不快な気持ちが流れ込んで来たから二度目からは気を付けるようにした。・・・手の皮が厚いくらいじゃ無理だよな。アンガーレム様っていったい。


「良いか、これは奇跡そのものじゃ、良く見てみぃこの美し過ぎる球体、何処から覗いても綺麗過ぎる滑らかな曲線じゃ。しかもじゃ向こう側が何もないかのようにハッキリと覗けてしまえる程の透明度じゃ、分かるかっ不純物が一切混ざっちょらんちゅうこはじゃぞ、つまりじゃこれは宙と何ら変わらんまるでここに存在しちょらんかのように存在しちょる神の奇跡ちゅうことになる訳じゃ。そんなことも分からんようではまだまだじゃの」


「し、しかしアンガーレム様。その玉からは悍ましいと言いますか禍々しいと言いますか、息苦しさを感じる程の負の魔力が漏れ出しています」

「偉大なる地精霊アンガーレム様にお尋ねします。そのように悍ましい玉をいったい何処で手に入れられたのですか。そのように禍々しい玉が他にも存在するのですか」


「人の子の爺と婆は礼儀っちゅうもんが分かっちょるもんじゃとばかり思っちょったんじゃがの・・・ちぃーとばかり失礼じゃぞお前等。これの美しさが分からんとはのっ、嘆かわしい。じゃがの儂は出来ちょる方じゃからの答えてやらんでもない。これは・・・あぁー何じゃったけかの・・・あぁーうん? お、そうじゃった神共が言うにはスクルー・ジ・ズ・オーブちゅう代物らしいんじゃが、まぁーようは美し過ぎる奇跡のビー玉じゃ。出先で偶然見つけたんじゃが、奇跡の球体として生を受け存在しちょるこっちの方は全て儂が所有して良いちゅうお墨付きが出ての、拾っても拾っても拾った先から拾えてしまえる程に良く拾えるちゅう話じゃな、じゃがの譲ってやれんこともないんじゃが如何(イカン)せんこれは存在そのものが奇跡の塊じゃ、易々と譲って良いとも思えんちゅう感じなんじゃわ」


 スクルー・ジ・ズ・オーブって名前は確かに覚え難い。遠目にはガラス玉とかビー玉にしか見えないのも確かだ。


「そこで提案なんじゃがの、奇跡から外れ歪んだ歪んではおるが偶然が生み出した歪な奇跡とも取れんでもない方のこれならば儂のアーディアーネスモイスチャーマスターロイクが腐る程抱え込んじょる、欲しいっちゅう話ならば言うてみるんじゃな悪いことにはなんらじゃろ」


 また適当な話を・・・。脱線は家のお家芸みたいなもんなんで気にしないつうか構いませんが。せめてゲートの話が終わってから・・・。

貴重な時間をありがとうございました。

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