8-094 おかしな規模の五百一号室
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「反対東側の壁を御覧ください。あちら北東の角北側の壁にドアが二つございますが、向かって西側私達寄りのドアの先にあります部屋の・・・おっとその前にドアの仕様を御紹介致します」
ドアの仕様? ドアなんて前後左右上下引くか押すかくらいしか使い道がないと思うんだが。
「北東の角から西側に向かって並ぶ二つのドアと南側に向かって並ぶ二つのドア。そして南東の角から北側に向かって並ぶ二つのドアと西側に向かって並ぶ二つのドア。八つのドアがある訳なのですがこのドア残念なことに見ようによっては見えるかもしれませんが非日常を演出したいという職天使達からの要望もあってやむにやまれず白い壁に擬態するよう少々恥ずかしがり屋さんなところがあるシャイなドアを採用してしまった為このような仕様となっております」
恥ずかしがり屋? シャイ? 普通に視えてますが、え?
「ですが御安心ください。八つとも基本的には普通のドアと同じ本質を持ったドアですので非日常を演出しているそうなのですが日常の生活には何の支障もございません。シャイと言っても所詮はドアですからねハッハッハッハ」
・・・うーん・・・これも考えるだけ無駄そうな・・・スルーするで聞き流しだな。
「それではドアの先にいったい何があるのか御紹介したいと思います。先ずは、北側の壁に並びます手前側のドアの先でございますが、先には性別を抜きに道徳と倫理をテーマに内なる宇宙移り香漂う微妙な心を表現した百六十㎡程あります露天風呂があります。そして隣奥側のドアの先でございますがこちらも性別を抜きに累世同居無病息災をテーマにノー御家騒動ウェルカム円満具足を斬新な切り口で体現した百三十㎡程の露天風呂があります」
ようは広い露天風呂が二つある訳ですね。
「引き続き北から南へ四つのドアを順次御紹介あっ! そうでした二つの露天風呂には冠がございまして手前側のドアの先にあります露天風呂を徳理天然温泉郷、奥側のドアの先にあります露天風呂を無累天然湯元、これを機に覚えていだければなと厚かましくも存じ奉る次第でして、あっ因みにではありますが私共は恩愛の情をもって温泉郷と湯元で普段は通しております」
浸かる日が来ることは無いと思うが、一応・・・徳理天然温泉郷、無累天然湯元、短く温泉郷と湯元でも可。覚えておくとしますかね。
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「...... ~ ......北から順に六十九㎡弱の鶏の間、五十三㎡弱の鳴の間、九十八㎡強の日の間、四十㎡弱の旦の間。全ての間が芸術は爆発だをテーマに個性溢れる寝室となっております」
貴重な時間をありがとうございました。




