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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー来る日編ー(本編開始ちょっと前=真の序章)
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8-091 まだ何もしてないのにまともな天使がいた

 綺麗に清掃された正面玄関から今にも倒壊しそうな木造の神道一号線下り警邏詰所内始原警察署通称神界中央警察署内に足を踏み入れると。


 到着を待っていたのは天使達の溢れんばかりの笑顔だった。


 地域の安全と平和を守る組織というか反応の薄い少しばかり奇行が目立つ天使達からこんなにも笑顔で歓迎されると何かあるんじゃないかと邪推してしまうんだが・・・これって、あれだよな、ここにアレが居るから、こうなんだって、ことだよな・・・。


 署内一階ロビーに立ち並ぶ五十人程の天使達の笑顔をチラ見し、何となく溜息を零す。


 ブレないというか何処に行っても迷惑ばかりかけて・・・ホントあの阿保女神様(アイツ)はいったい何がしたいんだか。


「ようこそおいでくださいました。世界創造神様より御話をいただき御到着を今か今かと羽をはためかせ御待ちしておりました」


「天使メルケール、千百七十六時間前に話をしたばかりですが元気そうで何よりです」

「有難くも勿体なきお言葉をいただきましたこと敬意を込め真摯に感謝申し上げます。聖神竜(シリュー)様改めまして本日もどうかどうか宜しくお願い致します」


「天使メルケール、一つ訂正があります」

「畏まりました」

「最末の下界コルトを知っていますね」

「はい」

「流石ですね、話が早くて助かります。一度しか言いませんので記述の許可を与えましょう」

「有難き幸せに存じます。それでは失礼して」


 天使メルケールは宙から小さなメモ帳と羽ペンを取り出すとフラン様の御言葉を待つかのように静かに姿勢を正した。


「下界コルトの時の理内R歴四千七十五年十二月十六日午前フランスターシャ・フランシャルロッテ・プルナガルシアと名を改めました。今後はシリューではなく短くフラン、私のことはフランと呼ぶように」

「畏まりました。署内徹底致します」



 天使メルケールとフラン様はどうやら既知の仲みたいだ。フォルティーナの件で話し込んでるし邪魔しないように少し離れてよっと。


「ヒソヒソヒソヒソ、ロイクはん、真面目なフランはんのこっとすさかい警察に知り合いの天使が一人や二人おってもおかしないとは思てましたけど、まさかの署長が出てきたなぁ。これなら話が早おして助かる」

「コソコソコソコソ、有難い限りです。ですが、寧ろ・・・問題は駄々を捏ね繰り回して全力で迷惑を掛けまくってるアレですよね」

「そやな」


 時間を持て余した結果、共鳴(レソンネ)で話せば良いのに態々交頭接耳しながら悪狼神様と今後の計画を練っていると。


粗神茶(ソチャ)ですがどうぞ」

 天使が黄色い紙のコップを手渡して来た。


 紙に・・・熱いお茶? あれっ!? 熱くない。

「これって紙ですよね」

「はい、(カミ)コップ職天使(ショクニン)の親方に一級品の陽向紙(ヒナタガミ)のみで作らせた景色良き一品でございます」


 黄色い紙コップにしか()えないんですけど・・・まっなんだ、神界では紙コップの価値が高いってことで、まっいっか。


悪狼神(アッオイ)様お久しぶりでございます。御尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じ奉ります」

「おや誰か思たら、相変わらず固いどすなぁポテーは。あっ紹介するなぁ。この若干年期の入った見た目の妙齢な天使は家でメイド長をしとったポテー・ルゥヴ言います」

「・・・真狼神(マッオイ)様が御息女悪狼神(アッオイ)様のナニー兼キャプテンサーヴァントのポテーと申します。えっと」

「あぁーそうどしたなぁ忘れてました。こちらはウチがお世話になってる下界コルトの管理神(カンリシャ)でロイクはんどす」


 ・・・署長の天使メルケールもそうだけど天使ポテールゥヴもじゃん。居るんじゃんマトモな天使。

悪狼(アッオイ)(シン)様にはいつもお世話になっております。挨拶が遅れましたロイク・ルーリン・シャレットと申します。創造神様よりコルト下界の管理を任されたばかりの若輩者ですが以後お見知りおきを」

「これはこれは御丁寧に有難うございます。私は主天使(ドミニオン)のポテーです。ルゥヴの姓氏は悪狼神(アッオイ)様の御母君邪神狼(ユカラ)様より賜ったものにございます」


 なるほどなるほど。突然憂鬱で面倒な日になったんで今日はもういいやって思ってたんだけど考えを改めよっと。悪狼(アッオイ)神様関連の貴重な情報が手に入るとは・・・。

「ルゥヴは苗字だったんですね」

「はい。強い雌の狼という神意が込められた私には勿体ない姓氏にございます」


・・・

・・


「...... ~ ......へぇ~そんなに広いと掃除とか大変そうですね」

「天使が二百十六人住み込みで働いておりましたので、労働環境には恵まれていたと考えております。休日も定期でございましたし」


 天使ポテー・ルゥヴと話し込んでいると。

「ロイクはんロイクはん呼んでますえ。フォルティーナ様の所へ案内してくれるそうどすえ」

 ハァ~悪狼神様のことを楽しく根掘り葉掘り聞き出していたのに・・・ハァ~~~アッ・・・。

「ハァ~アッ・・・一瞬でメランコリーな気分に落ちちゃえますね」


 パンパン。

 痛くない程度に加減して両手で両頬を二度叩く。


 改善した気はしないけどこれはあくまでも気分の問題だ。頬を叩いたくらいで、よしっフォルティーナに会いに行こう。とかマジで有り得ないし・・・。


「お待たせしました。行きますか。それでは天使ポテー・ルゥヴ是非また話を聞かせてください」

貴重な時間をありがとうございました。

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