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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
113/1227

2-31 神授はいつも、嵐の予感①~フィーラ王国建国と、連合国家フィリー樹立~

宜しくお願いします。

――― R4075年7月20日(樹)10:00


 エルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)ファミリーエリア(北地区)の地下0階(れいかい)の森林の北部に存在する神殿の中にある畳の間の中央に置かれたちゃぶ台を囲む様に並べられた座布団の上に座っている。


 フォルティーナの試練を無事達成した父バイル、パフ、アリス、テレーズ、サラ。5人が持ち帰って来た。小人族、巨人族、獣人族、竜人族、妖精族の新鮮な魂と、少し前にトゥーシェと俺が持ち帰った樹人族と魔人族の魂を使い、人間種8種族全ての封印を解除した。


 封印を解除し進んだ先に存在していたのが、この畳の間だった。


 そして、俺達は、この畳の間で深刻な状況に直面していた。


 ちゃぶ台を囲む様に並べられた座布団には、座る人間を指定する神授が与えられていた。


 守護者の名を神授されしコルト下界の聖人は膝を折る。この座布団はその為だけに存在する。ようは俺だけがここに座って良いらしい。


 大樹の聖域の精霊樹に宿りし精霊界の精霊は膝を折る。この座布団はその為だけに存在する。ようはマルアスピーだけがここに座って良いらしい。


 こんな感じで、運を司る遊びの女神フォルティーナ。神獣神鳥アル。悪魔種夢魔族トゥーシェ。サラ。テレーズ。アリス。パフ。メリア。バルサ。カトリーヌ。父バイル。母メアリ。(大)賢者ガリバー。剣聖ボードワン。座布団は座る者を指定し他を拒んだ。


 深刻な状況にあるのは何故か。それは、座る者を指定する座布団に空きが存在し、空席の座布団に指定した者が着座しない限り、次の段階に進む事が出来無いという現実に直面した事だ。。


 座布団が指定する者は俺の家族に限定されているとフォルティーナは話ていたが、そうなると何故、高位樹人族(ハイエルフ)の賢者ガリバーが指定されていたのか疑問が残る。剣聖ボードワン天爵殿下は、サラさんの祖父であり、俺の曾祖父の弟でもあるので、家族に入るかもしれない。家族の有無はどうであれ、先に進む為には必要な存在だ。この2人に関しては事情を話。地下0階(れいかい)の神殿へ招待した。


 メリア、バルサ、カトリーヌの3人は、0時に世界規模で啓示された創造神様からの3度目の神授で、創造神様より俺に協力する様に言われたそうだ。具体的には、パフ、アリス、サラ、テレーズに続き俺の花嫁として公認した。お幸せに。と、かなり強引な物だった様だ。創造神様が個別に神授していると思ってもいなかった俺は、座布団に着座を指定された3人の下へフリーパスで移動し協力を要請。地下0階(れいかい)の神殿へ招待した。


 メリアが協力的なのは理解出来るが、バルサやカトリーヌが支度を整え待機していた事や、2つ返事で協力要請を了承してくれた事に、多少違和感を覚えていた。


 そして、直面する深刻な状況それは、【小人族の許嫁】【巨人族の許嫁】【竜人族の許嫁】【魔人族の許嫁】。心当たりの無い座布団。空席の座布団の存在。



 建国も行き詰まり。地下0階(れいかい)の先も行き詰まり。畳の間でちゃぶ台を囲みながら皆で神茶を飲んでいた。


「8種族から嫁ってぇー。賢者の爺さんが言ってた通りになったなぁっ!」



「ねぇロイク。ヴァルオリティア帝国で奴隷階級民として隔離管理されている種族は、あと小人族、獣人族だけなのよね」


「みたいですね。巨人族は人間族と同じ大きさに変化出来る魔導具のおかげで帝国中で生活しているそうです。竜人族や魔人族は【STR】【VIT】【INT】【MND】の高さもあり帝国も一定の距離を保ち接しているそうなので、小人族や獣人族や樹人族の様に人権を侵害されてはいないみたいです。妖精族は、愛玩動物感覚で取引されていると報告はありました。保護する必要はありますが、やっぱり優先する必要があるのは、小人族と獣人族だと思います」


「大樹の英雄殿よ。建国もこの先に進む為にも、小人族、巨人族、竜人族、魔人族と接点を持つ必要がある。小人族や獣人族の保護も進める必要がある。トミーサス王国とゼルフォーラ王国の戦争やトミーサス王国の人権侵害、ヴァルオリティア帝国の内戦や人権侵害。前に進為にはこの2つの国をどうにかするしかないと思うのじゃが」


「左様。大賢者殿の仰る通り。人を殺してはいけないと、条件はあるにせよ。ロイクは、戦争に介入して良いと認められた訳だ。サス湖の戦いはルーリン・シャレット領軍の参戦で圧倒的な勝利に終わるだろう。トミーサス王国との戦争はゼルフォーラ王国の現状の戦力で何ともなると言う事だ。ロイクはヴァルオリティア帝国と8種族の件に集中して良いだろう。内戦真っ只中の帝国がトミーサス王国へ支援する事は無いだろうからな」


「なぁーメアリィー。俺さぁっ!さっきから気になってる事があんだけどよぉー。言って良いと思うかぁっ?」


「言葉にしないと伝わら無い事は多いです。貴方は自己完結してしまう事が多いので、言った方が良いと思いますよ」


「おぅ。そうだなぁっ!」



 皆、父バイルが語り出すのを待っていた。


「おい親父。言いたい事があるんだろう。どうしたんだよ」


「おっ!良く気付いたなぁー」


 良く気付いたなぁーって、あれだけ大きな声で言いたい事があるって言われたら、皆気になるって・・・


「それで、気になる事ってなんだ?」


「昨日ぉー。(ヴァン)の迷宮の入り口前でぇっ!、皆で話しただろうぉー」


「あぁ~」


「そん時になぁー実はもう1つ気付いちまった事がぁーあんだよぉっ!」


「バイル。さっさと言うね」


 フォルティーナは、父バイルの思考を既に認識したからだろう。ニヤニヤとほくそ笑んでいる。


「神乳にはぁー言わなくてもバレちまうんだったなぁっ!」


 父バイルは、母メアリの胸に視線を動かしてから、フォルティーナの胸へ視線を動かし、そして座布団に座る女性陣皆の胸を確認してから切り出した。


樹人族(エルフ)は8種族の中で、夢と希望(・・・・)が僅かばかりだがぁー少ないっ!帝国が奴隷にしてぇーちゃんと飯を食わせねぇーからだぁっ!これは、あっちゃーいけねぇー事だぁっ!大方、小人族も獣人族(おんな)じ状況でぇー夢と希望(・・・・)が小さくなってる。急いで助け出して、夢と希望をだなぁー。浪漫を取り戻すべきだと思う訳よぉー」


 こいつ、アホだろ・・・


「メアリー。お前の選んだ男もまた英雄の1人だったな・・・流石は、トミーサスの英雄。良く言った」


 純粋な人が親父の(よこしま)な心に騙された・・・


「お、おう!やっぱぁー、男はいつでもアドベンチャーボーイじゃねぇーとなぁっ!」


「イーヴァルのバイルよ。救出を優先するという事はじゃな。帝国と正式に争う事を意味する訳じゃが。ゼルフォーラ王国は高い戦闘力を所持する者のほとんどが人間種通しの争いに参加する事を神授により禁止されておる。この状況で帝国との戦争へ突入するのは無理があるじゃろう・・・」


「そうだなぁっ!」


 親父の事だから、具体的な方法を考えてるって事は無いだろうけど、一応聞いておこう。


「小人族や獣人族。他にもヴァルオリティア帝国やトミーサス王国で人間族では無いという理由だけで奴隷として扱われている人達を救出するのは決定事項として、具体的にはどういう流れで考えてるんだ?」


「そりゃぁーおめぇーあれだあれっ!・・・フィーラみてぇーにだなぁー」


「メリアさん。アルさん。ルーリン・シャレット領の領地中央に臨時設置した入国前居住区の状況ってどうなってますか?」


 アルとメリアは、領主としての俺の秘書官でもある。


「準備しました居住区10箇所の稼働率は、全て80%以上です」


「それってぇーつまりどう言うことだぁー樹人族(エルフ)の嬢ちゃん」


「つまり、現状では、あと120万人~140万人を受け入れるので精一杯という事です」


「大聖堂や教会。神殿の介護室や保護施設は、通常の状態に戻っています」


「ロイク。フィーラを帝国から奪取し、移住した帝国民によって建設された現市街地ごと帝国の何処かへ転位させ、現市街地は畑にでもして、旧市街地(森の中)に樹人族(エルフ)を移住させる事は出来んのか?」


「やれなくは無いですが、それって帝国から都市を独立させ樹人族(エルフ)達の国を再興するって事になりませんか?」


「8種族が協力し助け合う国を建国する事が、創造神様より課せられたお前の指名な訳だ。お前がそんな国を建国すると世界中の者が神授により啓示を受けた。樹人族(エルフ)の国として建国した場合は再興した事になるだろうが、ただその場合は、内戦状態の帝国も黙ってはいないだろうな。奴隷階級民。虐げる対象として見ている樹人族(エルフ)が噛み付いたと認識し徹底した排除の姿勢で向かって来るだろう」


「次期皇帝は樹人族(エルフ)を沢山処分した者。馬鹿な話が広まってるみたいだし、これ見よがしにフィーラを襲うと思います」


「帝国がフィーラを攻める為には、船による移動が必要だ。ワワイの森が大樹の森の一部に戻った事で行軍が不可能になったからな。そして、大樹の森は、ロイクが創造神様より管理を託されていると世界中の誰もが知っている。フィーラは海からのワワイ湾側からの攻撃にだけ注意していれば良い事になる。カトムーイやダカイラの様に陸続きの都市とは異なりフィーラは天然の要塞の中だ」


「大樹の森側から魔獣達がフィーラを襲撃しない様にするのは簡単なので、大樹の森を盾に使うのは名案だと俺も思います。フィーラを拠点にして、カトムーイやダカイラを解放するのであれば、ルーリン・シャレット領やゼルフォーラ王国への負担も軽減します」


「ゼルフォーラ王国への移住を希望する者を拒む気は無いが、自分達が生まれ育った地から離れる事に抵抗を感じるも者も多いだろう。そう言った意味でも、解放した地で彼等の生活を安定させる事が重要になって来る。併合後に支配する為に移住した帝国民達を、帝国領の何処かに転位させ、帝国民が1人も居ない状態で復旧復興させる必要がる。それ故に、転位で現市街地ごと移動が可能か確認した訳だ」


「フィーラを奪取した時は、その案を採用したいと思います」


「ふ~む。ただフィーラを独立させても意味が無い様じゃなぁ~。やはり連合王国なり連合国家を樹立するのがベストじゃろうな」


「先日の話ですね」


「あの後、考えてみたのじゃよ。大樹の森の聖域を連合国家の象徴とし、スタシオンエスティバルクリュの創神殿を中心とする大樹の森の管理者で守護者聖人のロイク・ルーリン・シャレット殿を連合国家の代表。連合国家に初期段階で加盟する国は、ゼルフォーラ王国。ドラゴラルシム王国。ララコバイア王国。大樹の森の都市国家フィーラ。神の地とこの4ヵ国で、連合国家を樹立。戦後処理の暫定政権から新体制による国家運営が開始した時点でトミーサス王国を加盟させ、ダカイラやカトムーイは状況に応じ臨機応変に加盟させる。最終的には現在のヴァルオリティア帝国をどういう形でかは不明じゃが加盟させる。どうじゃ良い案だろう」


「来月の10日までに、8種族が集まる国になりますかね?」


「大樹の英雄殿が代表となり、連合国家を樹立した時点で人は集まります。創造神様からの神授に関しては樹立イコール達成と解釈して良いじゃろうな」


「そううまく行くものでしょうか?」


樹人族(エルフ)以外は創造神様への畏敬の念が強い。正創生教と神授と所持する能力を最大限に活用し動く事で、無用な争いや殺し合いを避ける。人を殺さすに戦う訳じゃ。可能な限り争いを回避する必要がある訳じゃよ」


「ロイク。あたしに任せるね。最高のお膳立てをしてやるね」


「何をする気ですか?」


「ガリバーとボードワンとバイルの意見を参考にしてだね。・・・それと、新たに加わった許嫁達を世界中に発表するね」


「参考にするのは分かりますが、世界中にメリアさん、バルサさん、カトリーヌさんを紹介する必要は無いですよね?」


「何を言ってるね。これは重要な事だね。メリアは樹人族(エルフ)の王国エルフィーローズの正統な王位継承権を持った存在だね。バルサは獣人族獅子族カトムーイ獅子王国の支配一族獅子族の末裔だね。カトリーヌは妖精族。人間族では無いという事実は重要な事だね。という訳でだね」


≪パチン


≪≪≪ あーあー聞こえるかね。1回しか言わないね ≫≫≫


 な、何やってるんですか?・・・ま、まさか、神託じゃ!?


『安心するね。神は創造神1柱では無いと世界中が知ってるね。第2神のあたしが神託だろうが神授だろう何か適当に啓示したところで、問題は無いね』


 何か適当に啓示される事が問題何ですが・・・


≪≪≪ えっとだね・・・人間種8種族全ての存在に啓示を与えるね ≫≫≫


「な、何じゃ?頭の中に直接声が聞こえて来たのじゃが・・・まさかこれは・・・」


「賢者ガリバー様。そのまさかです。今、世界中に啓示が神託されています」


「何と・・・」


≪≪≪ 1度目の神授。2度目の神授。3度目の神授。これは4度目の神授だね ≫≫≫


 それ言う必要ありますか?


『あるね』


≪≪≪ 神授により、神々の地創生の地スタシオンエスティバルクリュ中空の離宮創神殿を中心とし大樹の森、迷宮の管理者を託されし守護聖人ロイク・ルーリン・シャレットは、先の神授を受けそれを果した ≫≫≫


 果たしたって何をですか?


『黙って聞いてるね。交渉のプロを舐めて貰っては困るね』


 交渉???


≪≪≪ 下界名コルト。大樹の大陸ゼルフォーラの地に、連合国家フィリーの樹立を宣す。加盟国は、神々の地スタシオンエスティバルクリュ。ゼルフォーラ王国。ドラゴラルシム王国。ララコバイア王国。都市国家フィーラ王国と宣す ≫≫≫


 フィーラを王国って言っちゃいましたけど・・・どうするつもりなんですか?


『あ~・・・何とかなるね』


≪≪≪ ゼルフォーラ王国・ルーリン・シャレット領・聖都スカーレットのスカーレット大神殿を、連合国家フィリー本部とする。スタシオンエスティバルクリュ管理者・守護者・聖人ロイク・ルーリン・シャレットを、連合国家フィリーの代表と宣す ≫≫≫


 賢者ガリバー様の意見そのまんまじゃないですか!


『・・・偶然だね』


≪≪≪ 森林都市国家フィーラ王国は、連合国家フィリー及び神々の名においてヴァルオリティア帝国より独立を宣す。初代国王は、亡国エルフィーローズ王国正統王位継承者メリア・ワワイバーン・ノイリアの夫。スタシオンエスティバルクリュ管理者・守護者・聖人ロイク・ルーリン・シャレットと宣す ≫≫≫


「創造神様は、メリア殿と大樹の英雄殿を夫婦として公認しておられる様じゃのぉ~。これは、めでたいめでたいのぉ~」


「ロイクぅー良かったなぁっ!」


 おい。フォルティーナ。何のつもりです。俺を国王にしたり、メリアさんと夫婦にしたり・・・


『この方が早いね。メリアとロイク。君達2人の我慢が世界を平和にするね』


≪≪≪ 連合国家フィリーは、トミーサス王国に対して戦を宣す ≫≫≫


「おぉ~何と素晴らしい」


 剣聖ボードワン天爵殿下は祈りを捧げていた。


≪≪≪ 大樹の英雄ロイク・ルーリン・シャレットに対し、事後承諾を認める。来たる日に備えよ あぁ~。と、言う訳だね。まぁ~そんな感じだね。頑張るね ≫≫≫



≪≪≪ 忘れるところだったね。小人族、巨人族、竜人族、魔人族から、絶賛嫁募集中だね ≫≫≫


「ぶぅっ――― ゲホッゲホッゲホッ」


 俺は、神茶を勢い良く吹き出した。

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