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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ー来る日編ー(本編開始ちょっと前=真の序章)
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8-077 デスサイズ?の正しい使い方

 トロピカルジュースをサイドテーブルに置きデッキチェアで畦道バカンスを楽しむ女神様'sを横目に稲刈りをすること約十時間。


 あくまでもコルトの時の理ではの話でだが・・・。


「皆別人よのう。(トオ)を数えた辺りから見違えるように稲刈りが様になっておる。故にホレッ」


 会話中も共鳴(レソンネ)中も手を止めず黙々と稲を刈り続けていたリシュルが、フォルティーナから貰った稲刈り用の大鎌?(デスサイズ)を大きく振り抜いた。


「この通りじゃ、一振りでここまで見事な刈入ができるようになった。玄人跣ではあるが外に出しても恥ずかしくない十二分に通じる腕前であろう。違うか?」


 稲刈り用の大鎌?(デスサイズ)が妙に似合っていることは置いとくとしてだ。俺達の中で一番稲刈りが上手いのはリシュルで間違いない。そりゃそうだろう一振りで三百坪分の稲を刈れるとか・・・稲刈りって極めるとこの領域までイヤ無いな、タブン。これが普通ってことはないはずだ。


「リシュルのそれは流石に真似できないんでそれはそれとして、ルーラルプレインのこの広大な田圃を十三回も刈入してると流石にそれなりにそれっぽくは成りますよね。って俺が言っても説得力の欠片もありませんけど」

「ロイクさんも普通におかしいですから、鎌を一振りしただけで三十坪分の稲が刈れるとかそれも普通のことではありませんから」

「マリレナ様の仰る通りです。木の実を収穫する時を思い出してください。一振りで桃や林檎や葡萄や梨や柿や蜜柑が一町一反一畝も同時に枝から離れるのです、収穫どころの話ではありませんこれは最早普通に大惨事です」


「バジリアはまだまだまだまだ思考が柔軟ではないのぉ。稗粟麦米黍豆栗胡桃が地に落ちたところで拾えば済むだけの話であろう。果実は高さや地の固さにもよるが如何様にでもできるではないか。実りに感謝し一つ一つ丁寧に摘むも良し、季節の移ろいは待ってはくれぬ故早々に収穫を済ませ次期に備えるのも良し。価値観なぞ領分に合わせ其々で良いではないか」

「そうなのじゃぁ~♪ 終わるのが早ければ早いほどそれだけで私はとっても嬉しいのじゃぁ~♪」


「リシュル様とロイク様のそれが世間一般的に言うところの普通ではないということだけでもご理解いただければ私としては他に何も言うことはございません。それに何よりも、私も早く終わらないかなと思っておりましたのでお二人のそれには非常に感謝しております。以上です」


 シュパッ。

「あっ、私にも出来たのじゃぁ~~~♪ 皆見るのじゃ私に注目するのじゃぁ~ムフッフッフッフッフ今から今この時をもってここは私の物なのじゃぁ~~~~~っ!!!! ギャッハッハッハッハッハッハ」


 シュパッ シュシュパッ シュッ シュッシュッポッポ シュッパッ シュパッシュパッ。


 一振りでリシュルの半分俺の五倍くらいだろうか。あっという間に地平線の彼方へと姿を消してしまったトゥーシェ。


 悪い笑みと怪しい高笑いと稲刈り用の大鎌?(デスサイズ)でリシュルと同じ顔、リシュルとは違った意味で妙に様になっていたな。・・・別の一面を・・・イヤいつも通りのトゥーシェだな。


・・・

・・


 飽きたトゥーシェと何処かで合流することになるだろう。俺達は黙々と稲刈りを続けた。女神様'sを横目に。



****

~余談~

リシュル「のぉ旦那様よ、今日は暗くなるのが遅くはないか」

ロイク「そういえばそうですね。彼是十八時間も稲刈りしてるのに変ですね」

マリレナ「それなのですが、会議が長引くことを想定して今日は何時までも今日のまま、会議が終わるまではお土産を渡した頃合いの時が続くようにしておいたから安心してくれんとモデル嬢さんが仰っていました」

ロイク「あぁなるほど」

リシュル「それ故か」

バジリア「あの一つ質問しても宜しいでしょうか。暗くなって来たら終わりましょうと、終わる予定になっていましたよね。この場合はどうなるのでしょうか」

ロイク「トゥーシェと合流したら休憩にイヤ終わりってことで」

バジリア「合流したらですか・・・」

マリレナ「・・・あぁ―――まだ続けているようですよ。あらら・・・トゥーシェさん一振りの範囲がおかしなことになちゃっていますね」

貴重な時間をありがとうございました。

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