8-073 ピクニックで朝食を・一本の桜の木
隠蔽の楽園銀行の宿泊施設は素晴らしさの宝庫だ。ゲスの極み金庫で採用されているセキュリティレベル☆十二の防犯システムは神界の創神殿の創造神様の寝殿と同じ物で、この防犯システムのセキュリティレベルを☆九から十まで下げた物が宿泊施設の各寝室に採用されている。
コルト下界のスタシオンエスティバルクリュの中空の離宮敷地内に建つ理外の民を中心にここ最近パーパスタワー、マルチタワーなどと呼ばれるようになった研究所塔の屋上に設置した自称俺のセカンドハウスのセキュリティレベルは☆五。数多に存在する下界でなら間違いなく最高レベルのセキュリティだ。そういうことになっているらしい。
そんな☆五のセキュリティ俺の眷属の一部や神々様方が自由に出入し寛ぎ飲み食いを繰り返す子供のお遊びレベルのセキュリティと☆十二のセキュリティを比べたところでどうしようもないってことくらい理解している。理解してはいるんだが納得がいかない。
俺のセカンドハウスのセキュリティ・・・どうしてここと同じ物に・・・・・・イヤ違うな感謝こそすれど・・・筋違いって奴だな。
ここに来てから良く眠れるようになりました。ありがとうございます、創造神様。メープルシロップ、蜂蜜、カカオ、バニラ、和三盆、ミルク、サフラン、ペッパー、米、醤油、味噌、山葵、抹茶、マヨネーズに、ワイン、KANBE酒、KANBE珈琲、イクラ、キャビア、カニ、ウニ、エビ等魚介類、家が本家本元ではありませんがKANBE牛とか食べ物ばかりで申し訳ありませんが受け取っていただけると嬉しいです。他にも美味しい物が沢山ありますのでオススメもコッソリ入れるつもりです。あっ、俺の収納の中に入ってる物で御眼鏡にかなうような物がありましたら自由に楽しんで貰えたらなと・・・。
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「ピクニックってことで敷地(隠蔽の楽園銀行の敷地)内にある桜の丘まで来ましたが・・・桜の木一本しかありませんね」
手始めにここで朝食をと・・・遠目には桜の木がいっぱい生えてるように見えたんだが・・・まさかの丘の上には桜の木が一本って・・・。
「ねぇロイク」
「はいなんでしょうか?」
「あの娘が言うには、同時期に挿し木をして桜の名称としてでっち上げてしまった結果同時期に立ち枯れを起こして元の状態あの娘だけの丘に戻ってしまったそうよ」
あの子ってあの桜の木のことだよな。細いし若い木にしか見えないけど元から居たってことは見たまんま素直に木ってことはなさそうではあるんだが・・・マルアスピーは、植物なら概ね心を通わせることができるのだけれど例外というものが必ず存在するの、例えば、そうね、自力で精霊になったとか昇華して神になってしまったとか遊堕ちして悪魔や堕天の存在になってしまったとかかしら。って・・・。
「ロイクはんロイクはん、あの樹木の精霊はんどすけど長いこと桜の若木に宿っとったようどす。見た目通りに判断すると痛い目ぇみることになりますえ。それにえらい上位の精霊のようどす」
「なるほど」
予想通りだ。
「ねぇロイク」
「・・・えっとはいはいなんでしょうか?」
「七十万時間程度の短い期間でしかなったそうなのだけれど囲まれ賑やかに過ごした日々のことを懐かしんでいるようなの、朝食なのだけれどあの娘と一緒でも構わないかしら」
「もちろんです」
貴重な時間をありがとうございました。




