8-072 フォルティーナ、神気強化作戦 ⑦
兎に角美し過ぎる造園の綺麗過ぎて池の底が丸見えな深くも浅くもない小池に今にも沈没しそうな素材不明の質素な小舟を浮かべて雲一つない晴天の水色の空を見上げている。
もう彼是どれくらい経っただろう。そろそろ二ヶ月イヤ三ヶ月は・・・。
戯れること一週間(コルトの時の理では十日)そのくらい経った頃だったような気がする、タブン・・・。
皆、皆の心を優先するかのように口にしない。満喫モードのトゥーシェ以外は思い遣りと言う名の暗黙の了解を発動させ語らない。
いつ帰れるのか、いつ終わるのか、いつまで続くのか、あのアレはフォルティーナはどうしたのか、アレはいったい何をしているのか、自分達はここで何をしているのか。
トゥーシェ以外は誰も触れないようになった。・・・そうするしかなかった。
「綺麗だなぁ~♪ 静かだなぁ~♪ ・・・・・・ホント全てが夢みたいだよ・・・あああぁぁぁホント全て夢だったら良かったのになぁ~~~~~!!!!」
「ちょっちょっとロイク急に叫ばれると吃驚するのだけれど、止めて貰えるかしら」
「あぁ―――はい、すみません。何か限界が一瞬だけ来ちゃったみたいで・・・」
「ふむふむ瞬間的に限界が来て一瞬で乗り越えてしもうたと。いやはやロイクはんを見てると飽かしまへんなあ、ほんまにウフフフフフッ」
「そうなんですよ。一瞬だけホントに一瞬だけ突発的にああぁぁってなるんですが直ぐに何も感じなくなるって言うか虚しくなると言うか何かどうでもよくなっちゃうんですよねぇ~」
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悪狼神様とマルアスピーと今にも沈没しそうな小舟でささやかな息抜きをし、タブン、リフレッシュしできたので、リビングルームに戻って戯れを再開した。
勝者のそれに肖ろうと悪狼神様とフラン様の隣を陣取り惰性で戯れつつ、同じ結論に至ったとしか思えない滅茶苦茶目の前に居るリシュルに小舟での一幕を話していると。
「あのぉー、それなのですが、ロイクさんが気付いていないだけで精神的にかなり危険な状態ではないかと・・・思うのですが」
正面少し離れた場所に設置された焦げ茶色と深緑色の金色が眩しい高級感溢れる一人掛け用のビンテージソファーに腰掛け戯れているマリレナさんがおかしなことを口にした。
危険な状態? ・・・食欲もあるし、トイレも普通だし、たっぷり眠ってるし、ちゃんと息抜きもしてるし、できることなら一人でのんびり温泉に浸かりたいけど終わるまでは我儘はなしって嬉し恥ずかしを受け入れ嬉しい悲鳴とまではいかないけどそれなりに夢と浪漫を追求できているはずなのに?
「そうだっ、そうですよ。明日は皆でリビングルームから離れてピクニックに行きましょう。久々にBBQもしましょう。巨匠アンガーレム様に会いに行くのも良いかもしれません。ねっマルアスピー様、ユーコ様フラン様アッオイ様ロザリークロード様ミュー様バジリア、トゥーシェさんリシュルさん。ロイクさんそうしましょう・・・あっエリウス様も御一緒に」
勢いが・・・何となく怖いような気もしないでもないが・・・いつものように優しくて柔らかくて美しいのに可愛くて・・・この、つい見惚れて・・・この微笑みを前に・・・有り得ないでしょうが、断るなんて。
「是非っ!!」
あとエリウスよ、マリレナさんに悪気はなかったんだ。だからできればそんな悲しそうな顔でこっちを見ないで貰えると有難いんだが・・・。
貴重な時間をありがとうございました。




