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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
110/1227

2-28 始めての風の迷宮②~迷宮の中のアンカー男爵邸と、侵入者~

宜しくお願いします。

――― R4075年7月19日(闇)15:20


 俺達は、(ヴァン)の迷宮の地上1階。


 魔獣ドゥイラーモルモフ(穴魔鼠)だけが出現すると思われる普通の洞窟を攻略し、下へ続く階段を下り地下1階。魔獣ヴァンバット(風蝙蝠)だけが出現すると思われる普通の洞窟を攻略し上へと続く階段を上り異なる地上1階。魔獣ドゥイラーモルモフ(穴魔鼠)ヴァンモルモフ(風魔鼠)ヴァンバット(風蝙蝠)が出現する床が水浸しの普通の洞窟を攻略し上へと続く階段を上り地上2階へと移動した......


***(ヴァン)の迷宮の構造***


 1階層・出入口 地上1階

 ↓(下り階段)

 2階層・地下1階

 ↓(上り階段)

 3階層・地上1階(1階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 4階層・地上2階

 ↓(上り階段)

 5階層・地上3階(フロアー長(BOSS)

 ↓(下り階段)

 6階層・地上2階(4階層と異なる)

 ↓(下り階段)

 7階層・地上1階(1階層と3階層と異なる)

 ↓(下り階段)

 8階層・地下1階(2階層と異なる)

 ↓(下り階段)

 9階層・地下2階

 ↓(下り階段)

 10階層・地下3階(フロアー長(BOSS)

 ↓(下り階段)

 11階層・地下4階

 ↓(下り階段)

 12階層・地下5階(フロアー長(BOSS)

 ↓(下り階段)

 13階層・地下6階

 ↓(上り階段)

 14階層・地下5階(12階層と異なる&フロアー長(BOSS)

 ↓(上り階段)

 15階層・地下4階(11階層と異なる&フロアー長(BOSS)

 ↓(下り階段)

 16階層・地下5階(12階層と14階層と異なる&フロアー長(BOSS)

 ↓(上り階段)

 17階層・地下4階(11階層と15階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 18階層・地下3階(10階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 19階層・地下2階(9階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 20階層・地下1階(2階層と8階層と異なる&フロアー長(BOSS)

 ↓(上り階段)

 21階層・地上1階(1階層と3階層と7階層よ異なる)

 ↓(上り階段)

 22階層・地上2階(4階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 23階層・地上3階(5階層と異なる)

 ↓(上り階段)

 24階層・地上4階

 ↓(上り階段)

 25階層・地上5階(フロアー長(BOSS)

 ↓(上り階段)

 26階層・地上6階

 ↓(下り階段)

 27階層・地上5階(25階層と異なる&フロアー長(BOSS)

 ↓(転位陣)

 28階層・東西南北100m四方の空間


***説明おわり***


......俺達は、27階層・地上5階のフロアー長(BOSS)ヴァンキマイラ(風牝山羊)を、父バイルが1本の矢で即死させ攻略。出現した転位陣で移動し28階層へ移動した。


 ヴァンキマイラ(風牝山羊)は、獅子の頭に山羊の動体。尻尾は蛇の頭。火属性と風属性と毒を操るパワーとスピードに優れた魔獣みたいだったが、【即死無効】なり【即死耐性】を所持していない魔獣だった。それ故、俺の父バイルにとってはその辺の野兎と大した差など無かった。


 俺達が転位した先は、雲1つ陽1つ無い異様な快晴の空が広がる東西南北100m程の、平らな土の床の上だった。四方のその先はたぶん何も無い。


≪侵入者 侵入者 侵入者


 何処からとも無く空間全体に警報が少し高音で響き渡る。


「何だぁー?ロイク侵入者だってよぉっ!」


 父バイルは、服の上から尻を掻きながらいつもの調子だ。


 親父・・・この状況で警報が鳴ってたら普通侵入者って俺達だよな・・・


≪侵入者 侵入者 排除 駆除


「おいっ!何か物騒な事言ってんぞぉっ!俺達で捕まえっかぁー?」


 何言ってんだこの人は・・・


「バイル様」


「おう何だぁっ!ジェルマンとこの嬢ちゃん」


「侵入者は私達の事だと思いますが」


「おぅ。そうだなぁっ!」


 今、気付いただろう・・・偉そうに腰に手を当てても遅いって、親父・・・


「はい・・・」


 アリスさんは、反応に困っている様だった。


≪ピカ――――――――――


 突然、俺達を360度囲む様に、床が光り出し、魔獣達が次々転位し姿を現した。


 その数ざっと400匹。・・・この空間では、異様な圧迫感だ。


「ねぇロイク」


「はい。なんでしょうか?」


 樹人族(エルフ)以上に表情や感情を表に出さない。大妖精様は、こんな状況にあってもとっても冷静だ。


おとうさま(義理の御父様)がさっき倒したヴァンキマイラ(風牝山羊)がまたいるわ」


 俺は、マルアスピーが指差す方を確認する。


 グチャグチャと入り乱れた奥の方に、それはいた。裸眼で視認と言うよりも、神眼が重なり合う魔獣の情報の中から見つけ出した感じだ。


「親父、どうやら、この空間のフロアー長(BOSS)ヴァンキマイラ(風牝山羊)みたいだ」


「おう。楽勝だなぁっ!」


 俺は、ヴァンキマイラ(風牝山羊)がいる方を指差した。


「あれ狙えるか?」


「はぁー?・・・どれだよ。あれって?」


 (よこしま)なスキルと神授スキル【遠望】を使えよ・・・お前は・・・!


「ほら。あの魔獣の一番奥にいるだろう」


「あぁ↑――・・・あれかぁっ!」


「狙えるか?」


「あたぼぉーよぉっ!あんなでけぇーの糞しながらでも当てられるぜぇっ!」


≪シュッ


 親父はほぼノーモーションで矢を1本射った。


 矢はヴァンキマイラ(風牝山羊)に吸い込まれる様に突き刺さりヴァンキマイラ(風牝山羊)を即死させた。ヴァンキマイラ(風牝山羊)は素材を残し消える。素材は、俺とPT登録しているので自動回収だ。


 そして転位陣から新しいヴァンキマイラ(風牝山羊)が出現した。


「あら?ここってぇーあのリオンとキャプリコーンヌとヴィペールの合体魔獣の素材ホイホイだなあぁっ!やったぜぇ!」


「何呑気な事言ってるだよ。攻略方法を考えないと」


「あぁー何だ!任せたぜぇい・・・俺はよぉー狩り一筋って決めてんだよぉっ!攻略はお前に任せたぁっ!」


 父バイルは、マルアスピーの胸の谷間をチラ見してから、パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさんに指示を出す。


「パフパフっ!ジェルマンとこのお嬢!リラリスん()の下っ子!おめぇーら3人でこの魔獣共を()っておしまい。・・・分かったかぁっ!」


「「「はいっ!」」」


 一瞬、お姉ぇー言葉が聞こえた様な聞こえなかった様な・・・


「サラ姫さんはよぉー。今囲まれてからぁっ!後衛とか無しな無しぃっ!・・・あぁー適当にサポート頼むわぁっ!」


「了解」


 了解って、今のが指示なのか?・・・


 迷宮に入ってから、この何とも言えない微妙な指示と、それに従う4人を見て来たが、即死や高火力1撃必殺になりがちな、父バイルを中心としたこの5人組はパーティー戦闘とは程遠い状態だった。


「えっと樹人族(エルフ)の爺さんとロイクんとこの樹人族(エルフ)は適当にやってくれぇっ!」


「近付けなければいいのじゃな。造作も無い」


「分かりました」


 この妙なパーティー戦闘スタイルに対応出来ている樹人族(エルフ)の2人を、俺はとても優秀だと感じていた。大賢者様と俺の秘書。



 戦闘が始まった。



 圧倒てきだった。


 ここは、(ヴァン)の迷宮と言うだけあって、火属性を扱える者には非常に有利だった。


 圧倒的な高火力で魔獣達を仕留める仲間達。大賢者様よりも強力な威力の火属性魔術を【MP】消費無し詠唱無しで連射するパフさんの殲滅速度は途轍もなく凄かった。流石は(きわみ)級の魔術だ。


 父バイルの弓矢での攻撃は、恐ろしい進化を遂げていて、ほぼノーモーションで即死攻撃を放つ。(よこしま)を通り越し既に死神か何かの域に達してしまった様だ。フォルティーナの試練で毎日の様に夜遊びした成果だ。


 高火力攻撃と即死攻撃。現時点ではオーバーキル状態な為、即死攻撃を仲間達は続けている事になる。


 大賢者様の魔術は、古代魔術(魔法)に近い物らしく、火属性下級魔術『フラメ』中級魔術『ブレイズ』上級魔術『グリューエント』は、グリューエントがなかなか良い感じだった。


 俺は、3つとも【ゲデヒトニス(量産)】で貰った。後でさり気無くお礼をするつもりだ。


 メリアさんは、人間族による弓や魔術による有り得ないレベルでの破壊殲滅力を、400匹の魔獣で経験した。かなり自身を失っている様なので後でケアーが必要そうだ。


 彼女達はチートなんです。って、俺が言うのもなんですが・・・


 そして、気付けば、ヴァンキマイラ(風牝山羊)だけになっていた。


「ロイクぅー。あいつだけ何度倒しても出て来んだけどよぉーどうすんだよぉっ!」


「魔獣の足元の転位陣を破壊するのはどうでしょうか?」


「パフパフ。俺達が来た転位陣と、あれが出て来る転位陣しか無いんだぜぇっ!あれが次の転位陣だったり出口に通じてたらどっすんだぁっ!」


「そ、そうですね」


 親父が冴えてる・・・とは言え・・・今回は、パフさんの意見を採用だな。俺なら修復出来るし・・・


「親父。俺って修復の魔術が扱えるから、魔獣が転位して来ない様に一旦壊しておいてくれ」


本気(マジ)かぁっ!」


「あぁ~。パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん、大賢者様、メリアさん。お願いします」


「はい」×5


「大樹の英雄殿任しておけ」


 父バイルは俺をガン見し、マルアスピーの谷間に視線を移した。


「お前何でもありだなぁっ!」


「親父、さっきから何故、俺じゃなくマルアスピーの胸に話掛けてるんだ?」


「・・・わぁーたよぉっ!俺が、仕留めたら次が来る前に魔法陣をぶっ壊しちまえっ!」


 逃げた。やっぱり、見てたのか・・・


≪シュッ


 親父が放った1本の矢を皮切りに、魔法陣の転位陣目掛け皆は一斉に魔術を放った。


≪ドドドドドゴゴゴゴゴォー


 さっきから何故俺が何もしていないかと言うと、俺の魔法が最低火力でも危険過ぎるからだ。フロアー全体を焼き尽くしてしまう恐れがあった。恐るべき優位属性。



 俺は魔法陣を確認していた。


「この魔法陣ですが、描き直すだけで最後のエリアに行けそうです。どうしますか?」


「あぁ~最後ってどういう意味よぉー」


「最後って終わりって意味だけど、他に何かあるなら教えてくれ」


「なんつぅーかさっ!思ってたより面白くねぇーなぁっ!」


 父バイルは、マルアスピーの胸の谷間をチラ見する。


「おい親父。母さんに言うぞ」


「な、何をだよぉっ!」


『フフフッ』


 気に成らないんですか?


『そうね』


「暇過ぎんだよぉー!」


 暇だからって・・・暇つぶしで、見るもんじゃ無いだろう・・・胸は・・・たぶん・・・


「遊びに来た訳じゃないから仕方無いだろう」


「お前さぁー仕方ないで片付けんなよっ!良いかぁっ確かに世の中にはどうーしようもねぇー事があるけどさぁー仕方ねぇーで片付けんなよぉー」


 仕方ないのは、親父・・・貴方の事だと思うけどな。


「つまり?」


「良くねぇーって事だなぁっ!」


 ・・・あぁ~やっぱりだ。相手にするだけ無駄だな。仕方ない諦めよう。


 俺は、魔法陣の転位方向を送り元に書き換え、送り先を最終エリアに書き換え、自然魔素(まりょく)を注入した。



 俺達は、マルアスピー村のアンカー男爵邸にそっくりな建物の目の前に転位移動した。


 転位先は、広大な大地。ただ只管に広い森と草原だった。空は有る様な無い様な認識が不明瞭だった。


「あれ?見覚えがあんぞぉっ!・・・おぉ―――これってぇーアンカー家の屋敷じゃねぇーかよぉっ!お前転位陣で遊ぶなよぉー」


 その思考にどうやったらなるんだ・・・


「良く見ろって、アンカー男爵邸はマルアスピー村だろう。ここは何処だよ」


「おっ!改修が終わったのかぁっ!よかったなぁー」


 建物の話じゃ無いんですけど・・・


「じゃ無くて、周り見ろって。どう考えても、俺達の知ってるアンカー邸じゃないだろう?」


「そっかぁーそっくりじゃねぇーかぁっ!」


「トミーサスの英雄よ。この迷宮の構造から考えて、お主が知っておる建物と目の前にある建物は似て非なる物だと考えた方が正解じゃろうな」


「おぉ。そっかぁっ!」


 え?今ので理解したのか?親父が・・・


「階段を上ったり下ったりと、確り把握しておかなければ自分達が何処におるのか場所の感覚を失ってしまう迷宮。察するに階段も簡易転位の様な物なんじゃろうな」


「そうだなぁっ!俺もそう思ってたぜぇっ!爺さん!ハッハッハッハ」


 あっ!こいつ便乗しやがった・・・



 俺達は、建物の周囲を、豊かな自然を満喫しながら探索していた。


「ねぇロイク。ここ魔獣の気配が無いわね?」


「はい。全く感じません。ですが、もっと厄介な存在が・・・」


「そうみたいね。これって・・・」


「アンカー男爵邸にそっくりなあの建物の中にいるみたいですが・・・」


「えぇ」


 マルアスピーと小声で話をしていると、親父が近付いて来た。胸元をガン見しながら・・・


「いったい何の話だぁっ!」


 父バイルは、俺へと視線を動かす。


 どうやって説明すれば良いかな。神気って言っても通じないだろうし・・・


『ロイク。戦うの?』


 それしか道が無い場合はそうなりますね。


『分かったわ』


「ロイクと私は、屋敷の中を調べます。貴方達は屋敷の外を調べて貰えるかしら」


「2人で屋敷の中に入って、なにするきだぁー?」


「外の調査が終わっても中に入ってはダメよ」


「広過ぎんだろぉー!おめぇーら・・・」


「分かりました。ロイク様マルアスピー様。外は私達にお任せください」


 父バイルの話に割って入ったのはパフさんだった。


「ここでは、連携も見せ場もありません。ロイク様。地下0階(あそこの)攻略を早く進めましょう」


「アリスの意見に賛成です。ロイク様。フォルティーナ様が戻りましたら是非お願い致します」


「私もここでは後方支援の必要がありませんので、練習になりません」


 確かにサラさんは、後衛で支援を担当しているが、俺と同じ感じでこのパーティー内では要らない子になっていた。


「ありがとうパフちゃん。それに、アリス、テレーズ、サラの意見に私も賛成だわ」


 親父が俺の肩を軽く叩いた。


「頑張れよ。むすこ・・・」


 何かを悟った様な表情を浮かべ、マルアスピーの谷間を凝視していた。


 大賢者様と俺の秘書は、マルアスピーの提案を飲んでくれた。



――― R4075年7月19日(闇)17:13


 俺は、マルアスピー村の領主アンカー男爵家の屋敷にそっくりな建物の中に、マルアスピーと2人で入った。そして、中央ロビーを抜け現実では壊れたままの西側の1階へと移動した。


「神気はこっちからなんですが、さっきから強くも弱くなりませんね」


「えぇ」


 目の前の扉を開け、部屋の中へ移動する。


「おんやっ!パトロンロイク殿よ。ここは、神獣カフェドームココドリーロと同じ神域です。はい。どうやってこちらへ?」


 何で(ヴァン)の迷宮の中にこの(・・)が・・・あっ神様が・・・


「料理の神chef(シェフ)アランギー様こそ、どうしてここに?」


「おんやっ!おかしな質問ですぞ。はい。ここは、私の自宅兼料理を探求する城なのです」


「えっと、ここって神域何ですよね?」


「神域だと認識する事4億年でしょうか。はい」


「4億年ですか・・・」


 アンカー男爵邸より先に存在してたって事?


「あぁ~あぁ~なるほどなるほど。この建物はですねぇ~8年前に色々ありまして新築したのです。はい。見知った建物の様ですが、パトロンロイク殿と奥方殿にはどう見えていますかな?」


「俺が生まれ育った、アンカー男爵領領都マルアスピー村のアンカー男爵邸、領主館に見えますが」


「ふむふむ。この建物はアンカー男爵邸と言う名のコルト下界の存在。人間種の建造物でしたか。はい」


 あの建物に名前があるのかは知らないが、そっくりなのは間違い無い。そういえば、神様って建物に名前を付けてる事が多いみたいだけどどうしてだ?


「ねぇパティシエアランギー」


「おんやっ!私をパティシエと呼ぶ貴女はパティシエールアスピー。はい」


 何か始まったけみたいだけど・・・いったい何?


自然魔素(まりょく)を練り込んだ特殊なスィーツやデザートの開発に成功したわ。次はパティシエアランギー貴方の番よ。デザートの他に軽食やディナーのコースの開発に使う気はありませんか?」



 マルアスピーによるプレゼンが終了した。


「おんやっ!パトロンロイク殿よ。私のパトロン殿は想像力の才能に恵まれておられるようだ。はい。自然魔素(まりょく)を料理に練り込むとは驚きの展開です。はい」


「フフフッ」


 マルアスピーは、何だかとっても誇らしげだ。


「何か盛り上がってるところ悪いんですが、ここの攻略方法を教えて貰っても良いですか?」


「おんやっ!ここの攻略ですか。はい・・・・・・」


 料理の神chef(シェフ)アランギー様は考え込んでいるようだ。


「思うに、この空間の南東の端に、邪属性の自然魔素(まりょく)が噴出し続けている風穴があります。はい。何かあるとしたらそこだと思います。・・・遠いですよ。はい」


「ありがとうございます。・・・遠い?」


「はい。・・・えぇ~・・・・・・・・・3年位でしょうか」


「はい↑?」


「ですから、コルト下界の時間に換算しますと3年位の距離です。はい」


「料理の神chef(シェフ)アランギー様。時間って距離の単位じゃ無いですよね?」


「はい。フェムトメートル。ですが、私の話ているのは、距離というよりも、場所の話でしょうか・・・」


「概念無視で行きます。3年位離れた場所にある訳ですよね」


 真面目に考えても分からない物は分からない。ここは現場確認だ。


「おんやっ!・・・分かりました。それでは、御案内致しましょう。はい」


「ありがとうございます」


 料理の神chef(シェフ)アランギー様も心を読めるんだよなぁ~・・・


「いえいえ。パトロンロイク殿のお役に立てるならお安い御用です。はい。なぁ~にほんの3年待っていれば出現します」


「え?・・・3年待つってどういう事ですか?」


「ロイク。待つとはですね。用意して備える事。物事の順番を時を越え過ごし自分の番になるまで待機している事よ」


「それは分かってます。ここを攻略するのに3年もかかるって事を確認したんです・・・」



 俺達は、建物の前に集まっていた。


 料理の神chef(シェフ)アランギー様を、大賢者マクドナルド・ガリバーと、俺の秘書メリア・ワワイバーン・ノイリアに紹介するのはなかなか至難の技だった。


 彼がどうやってここに来たのか、それは・・・暇を貰い食材を求め旅をしていたら迷い込んだ。


 とても無理有る説明だ。


 料理の神chef(シェフ)アランギー様によると、この迷宮の本来の最終階層は27階層で、フロアー長(BOSS)ヴァンキマイラ(風牝山羊)で、取り巻きにドゥートリヨン(炎魔金獅子)3匹が出現するそうだ。


 ここは、神域にポッカリ空いた飛び地の様な空間らしく、手頃な物件を探していたら良い感じの建物があったので、ここに、模写築したそれだけなんだそうだ。まさかコルト下界と繋がっていたなんてと驚いている様だった。


「ここから、かなり離れた場所に、邪属性の自然魔素(まりょく)が噴出し続けている風穴があるそうです。この空間で怪しい場所はそこ位だそうです」


 タブレットで検索したが、神域を検索する事は出来なかった。


 料理の神chef(シェフ)アランギー様の力を借りて、一瞬で移動する事になった。



「え!?ここって、邪気の洞窟そっくりじゃないですか!」

ありがとうございました。

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