2-26 始めての救出作戦⑤~救出作戦、その後~
フィーラやワルタやワワイの森から救出した樹人族達は......
**********内訳***********
≪樹人族≫
【男性】 1,855,691人
【女性】 2,146,040人
【合計】 4,001,731人
≪樹人族と高位樹人族の混血≫
【男性】 1人
【女性】 17人
【合計】 18人
≪樹人族と闇樹人族の混血≫
【男性】 0人
【女性】 11人
【合計】 11人
≪闇樹人族≫
【男性】 5,341人
【女性】 286,320人
【合計】 291,661人
≪高位樹人族≫
【男性】 40人
【女性】 268人
【合計】 308人
【総合計】4,293,729人
***********************
......と、想定していたよりも遥かに多かった。
***********************
滅エルフィーローズ王国の主要樹人族紹介
R4075年7月19日(闇)9:00時点
***********************
≪高位樹人族の大長老≫
※高位樹人族共和制議会議長※
【名前】マリレナ・ハイペリカム
【性別】女
【年齢】84107
【種族】人間種樹人族高位樹人族
【身分】風の樹人族の大長老
【階級】高位樹人族
***********************
≪四大属性+無属性の大賢者≫
※ゼルフォーラ王国パレスマージ隊の
5代前のパレスマージ長※
※アカデミーの7代前の学長※
【名前】マクドナルド・ガリバー
【性別】男
【年齢】29971
【種族】人間種樹人族高位樹人族
【身分】風の樹人族&王民
【階級】ゼルフォーラ王国上級子爵
※R3888年10月12日引退※
※賢者の『杖、衣、帽子、石』※
***********************
≪シオの母親≫
※高位樹人族の巫女※
【名前】アストリス・ヴェロニカ
【性別】女
【年齢】8439
【種族】人間種樹人族高位樹人族
【身分】風の樹人族の巫女
【階級】高位樹人族
※高位樹人族である事を隠し
監視域の中では隠れる様に暮らしていた※
***********************
≪高位樹人族と樹人族のハーフ≫
※ロイクの転位召喚魔法が通じない※
【名前】シオ(父親に苗字が無い為、名前のみ)
【性別】女
【年齢】98
【種族】人間種樹人族混血1種
【身分】風の樹人族の巫女の娘
【階級】混血樹人族1種
***********************
≪闇樹人族の長老≫
※闇樹人族共和制議会議長※
【名前】バジリア・マンジュリカ
【性別】女
【年齢】7016
【種族】人間種樹人族闇樹人族
【身分】風の樹人族の長老
【階級】闇樹人族
***********************
≪滅エルフィーローズ王国王家の生き残り≫
※ゼルフォーラ王国パレスマージ隊の
王都モルングレー所属 元三級魔術師※
※現在は、ロイクの秘書官※
【名前】メリア・ワワイバーン・ノイリア
【性別】女
【年齢】24
【種族】人間種樹人族混血7種
【身分】風の樹人族&王民
【階級】ゼルフォーラ王国士爵(世襲権あり)
ルーリン・シャレット天爵副王領の
領主秘書官
***********************
≪メリルのパレスマージ隊時代の先輩≫
※ゼルフォーラ王国パレスマージ隊の
王都モルングレー所属 一級魔術師※
【名前】ルカ・マクリス
【性別】男
【年齢】307
【種族】人間種樹人族
【身分】地の樹人族&王民
【階級】ゼルフォーラ王国士爵(一代貴族)
***********************
≪滅エルフィーローズ王国3侯爵家の1つ≫
【名前】アンネシュ・ハーラル
【性別】男
【年齢】(500~1600)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族&筆頭侯爵
【階級】標準樹人族
***********************
≪滅エルフィーローズ王国3侯爵家の1つ≫
【名前】クヌート・シュル
【性別】男
【年齢】(500~1600)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族&侯爵
【階級】標準樹人族
***********************
≪滅エルフィーローズ王国3侯爵家の1つ≫
【名前】ヘンリク・ホーコン
【性別】男
【年齢】(500~1600)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族&侯爵
【階級】標準樹人族
***********************
≪滅エルフィーローズ王国2伯爵家の1つ≫
※文官の最高責任者※
【名前】スヴェレ・サヴィニア
【性別】女
【年齢】579
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族&伯爵
【階級】標準樹人族
**********************
≪滅エルフィーローズ王国2伯爵家の1つ≫
※武官の最高責任者※
【名前】ヨランダ・ヒース
【性別】女
【年齢】733
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族&伯爵
【階級】標準樹人族
**********************
≪スヴェレ・サヴィニアの娘≫
【名前】クレフィーレ・サヴィニア
【性別】女
【年齢】203
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族
【階級】標準樹人族
**********************
≪滅エルフィーローズ王国 四長老家
カーフィリア北家 領国家老一族の長≫
【名前】ハーゲン・ノイ
【性別】男
【年齢】1309歳
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族領国家老
※現在は長老を自称※
【階級】標準樹人族
**********************
≪滅エルフィーローズ王国 四長老家
カーフィリア南家 領国家老一族の長≫
【名前】マクシミリアン・ワワイ
【性別】男
【年齢】(1400~1600)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族領国家老
※現在は長老を自称※
【階級】標準樹人族
**********************
≪滅エルフィーローズ王国 四長老家
カーフィリア東家 領国家老一族の長≫
【名前】メルカッツ・カノイ
【性別】男
【年齢】(約1550)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族領国家老
※現在は長老を自称※
【階級】標準樹人族
**********************
≪滅エルフィーローズ王国 四長老家
カーフィリア中家 領国家老一族の長≫
【名前】モーザス・ワワイ
【性別】男
【年齢】(1300~1500)
【種族】人間種樹人族
【身分】風の樹人族領国家老
※現在は長老を自称※
【階級】標準樹人族
**********************
――― R4075年7月19日(闇)9:10
俺は、聖都スカーレットのエルドラドブランシュの5階中央にある俺専用の執務室に、高位樹人族の大長老マリレナ・ハイペリカム、闇樹人族の長老バジリア・マンジュリカ、文官の責任者スヴェレ・サヴィニア伯爵、武官の責任者ヨランダ・ヒース伯爵、3侯爵、自称長老の4人を集めた。
ルーリン・シャレット天爵副王領側からは、領主秘書官メリア・ワワイバーン・ノイリア、相談役(諜報員)ルードヴィーグ・ダダ、補佐官マルアスピー、補佐官アル、参謀祖父エンゾ、興味本位父バイル(樹人族の美貌を拝みたいと無理矢理参加)が、出席した。
話し合いは終始穏やかな雰囲気では無かったが、順調に進んでいた。
そして、筆頭侯爵アンネシュ・ハーラルの身勝手な発言が切欠となり、改めて席を設ける事で終了した。
身勝手な発言とは次の4つだ。
①監視域に隔離管理されていた樹人族達を皆殺しにされたく無ければ協力しろと帝国に脅迫され、抵抗も脱走も許されない状況下に置かれ、総督府の地下に造られた獣や魔獣を軍事転用する為の研究所と実験場が消費する自然魔素を、同じく地下に造られた個室の隔離施設に拘束され200年に渡り強制搾取され続けていた9割以上の高位樹人族達に対し、『樹人族を知によって導く高尚なる存在は、今まで何をしていたのか』『高位なる存在は帝国に魔力を供給する代わり清潔な空間を提供され何不自由無く生きていた。監視域で隔離管理された樹人族を見捨てた存在だ』と、持論を展開。
②監視域に隔離管理されていた樹人族達を皆殺しにされたく無ければ抵抗するなと帝国に脅迫され、武装解除し武器や杖を取り上げられ、手錠足枷をはめられ自由を奪われ、森の奥深の監視域で隔離管理されていた闇樹人族に対し、『樹人族を武によって導く高邁なる存在は、力を有していながら森の奥深くに隠れ今まで何をしていたのか』『上位なる存在は帝国に抵抗する事も無く人間族の飼い犬になる道を選んだのか』と、持論を展開。
③ゼルフォーラ王国やルーリン・シャレット天爵副王領や俺に対しては、『自分達エルヴァーリズ王国民を監視域で隔離管理したのは人間族だ。人間族が自分達エルヴァーリズ王国民を解放し保護するは道理』『下等で下劣なる人間族に対し、賠償を伴う謝罪と王国再興の為の資金食料軍需物資戦力の無償提供を命令する』と、持論を展開。
④#3や#6で偶然隔離管理された北と東の自称長老や、マリレナ・ハイペリカム、バジリア・マンジュリカ、スヴェレ・サヴィニア、ヨランダ・ヒース、そして祖父エンゾは、完全なる隔離管理状態にあった3侯爵や南や中の自称長老達に、解放や再興の為に何かしていたのか質問した。それに対しクヌート・シュルは、『脱走の計画を立て今日明日にでも結構する予定だった。自分達エルヴァーリズ王国の上級貴族さえ隣国に逃れる事が出来れば、世界中の樹人族達に協力を募り、下等な他族を従え帝国からフィーラを奪還する事が可能だ。エルヴァーリズを再興しその後の国家運営の在り方まで考えていた』『何もしないで、人間族に感謝の言葉を言い媚を売る者はもはや樹人族は無い』『吾輩は再興の為ワワイの森へと戻り、帝国からフィーラを奪還する。吾輩に賛同し解放後はフィーラを奪還すると誓った者達が#14には沢山存在する。吾輩を#14の住民達の下へ案内しろ』と、頭のおかしな事を連呼した。
・
・
・
俺は、皆を監視域#14から救出した住民達を一時保護していた臨時地区に案内した。
アンネシュ・ハーラル、クヌート・シュル、ヘンリク・ホーコンの3侯爵と、モーザス・ワワイ中の自称長老は、#14で隔離管理されていた36万人の内『男性103000人女性1800人合計104800人』と、ワワイの森の中にあるワワイ山脈の麓のエルヴァーリズ王国の聖地と呼ばれる隠れ里で、フィーラ奪還を目指す事になった。
高位樹人族も闇樹人族も他の樹人族も、誰も彼等を止めようとはしなかった。良くも悪くも他人に興味が無い樹人族の本質だ。
俺は、聖地をタブレットで検索し、フリーパスで移動し、転位陣の叡智で転位陣を設置した。
隠れ里は、湖と川と山と森に囲まれた小さな平地。背の低い樹木地帯だった。森は自然の恵みに富み、10万人程度なら余裕で支える事が出来るそうだ。俺は、彼等約104800人の転位移動を終えた後で、マテリアル・クリエイトで、弓矢や剣や盾や短剣や杖、軽装用の防具、非常用のアラームを創造し渡した。
転位陣は、俺達が転位陣を使って攻めて来る可能性が高いというアンネシュ・ハーラルの意見を尊重し、撤去する事になった。
・
・
・
――― R4075年7月19日(闇)11:00
俺は、御前会議に出席し、自分が関わった樹人族に関する件を報告する為、国王の間にいた。
......ルーリン・シャレット領において保護した最終的な樹人族の数は、418万8924人です」
「王都モルングレーの人口よりも100万人以上も多い樹人族達を1貴族領が保護したとはな・・・」
「陛下。国王王国直轄地及び各領国に対し、樹人族の移住受け入れ態勢を整える様に指示を出した方が宜しいのではないでしょうか?」
「領都を抱えたばかりの貴族達は、指示しなくとも受け入れるだろう。国王王国直轄地の受け入れ態勢はパトリックそちに一任する」
「畏まりました」
ルーリン・シャレット領は、拝領してから1ヶ月と9日で、人口108万人を超える大領国に成長していた。秋の収穫までは他領や他国から食料を購入する必要はあったが財政面には余裕がありこれは問題ではなかった。若い領地にありがちな人材の不足だけが問題だった。
・
・
・
「ゼルフォーラ王国パレスマージ隊で伝説とまで言われ語り継がれている大賢者マクドナルド・ガリバー殿が、まさか樹人族で、しかも存命で・・・しかもゼルフォーラ王国に住んでいたとは・・・当時の世界や王国の事を詳しく聞かせては貰えないだろうか?」
マクドナルド・ガリバーは、国王の間を見回すと、一言だけ呟いた。
「ここは188年前と変わらんな」
「コルトからモルングレーへ遷都した時から、対外用のエリアは当時のままだと伝え聞いています」
「うーん。そうかもしれんな。実に懐かしい4000年程前に見た時もこんな感じだったやもしれんな。・・・しかし、200年前の話が聞きたければ、あやつルカ・マクリスにでも答えられただろうに・・・」
「・・・4000年前ですか」
「・・・ルカ・マクリス?」
イヴァン国王とパトリック宰相の声が違う言葉で重なった。
「これは、陛下。とんだ失礼を・・・申し訳ございません」
「よい。世もどちらに反応すべきか迷った程だ」
マクドナルド・ガリバーは、そんな2人を気にする事も無く話を続けた。
「最初にここを訪れたのはその位前だったと記憶しておるよ。・・・まだまだ、ヒヨッコだが筋の良い弟子の1人でな、王都モルングレー所属でパレスマージ隊の一級魔術師のはずじゃよ」
イヴァン国王とパトリック宰相は眼を見合わせどう反応して良いのか困惑している様子だった。
仕方ない話に入るか・・・
「先日、フィーラへ外交使節団として派遣された際に、ルカ・マクリスさんに会いました。ちょっと融通の利かない人ですが、宮使いは向いてると思いました」
「若いだけに空周ってしまうのだろう。私も気を付けねばなハッハッハッハ」
高位樹人族にとって29971歳は青年期だ。人間族で例えると、20代前半の若造にあたるらしい。本人曰く貫禄が欲しくて屈折魔術を習得して自らを老人として演出しているんだそうだ。それに爺姿の方が若い娘の尻を中心に身体に触れたとしても大丈夫かと心配されるんだそうだ。なかなかの賢者様だ・・・
「隠居されていたそうですが、フィーラへはどうして?」
パトリック宰相は、敬意を以て丁寧に対応している。が、緊張している事が窺えた。
「自然魔素の流れに違和感を感じてな。確かめる為フィーラに転位移動したのだよ。まさか転位したと同時に大きな蛇に襲われるとはなかなかどうして・・・」
フォルティーナが言い掛けてた事かな?・・・後で聞いてみよう。
「ヴァルオリティア帝国軍の刻印が付けられていたと報告にありました。実は、トミーサス王国軍の兵士に交じって、額等身体の一部に帝国軍の刻印を付けた獣や魔獣が目撃されています。此度の報告にある大きな蛇程ではありませんが、帝国がトミーサス王国に技術面で協力している可能性があります」
「ヴァルオリティア帝国が裏で糸を引いていると見て間違いないであろうな」
「パトリック宰相。その獣や魔獣を王国はどうやって倒してるんですか?」
「大賢者マクドナルド・ガリバー様。副王陛下。幸いな事に、トミーサス王国軍に加わっている獣や魔獣は小型の兎種や鼠種が主です。フィーラの様に大きな蛇で魔術を弾き刃を通さ無いという報告は今のところありません」
「倒せているなら良いのですが、今回の様な蛇が今後出て来るかもしれません。今の内に対策を練っておくべきだと思います」
「ロイクの言う通りだ。パトリック!この件もそちに一任する」
「畏まりました」
・
・
・
「それで、エンゾ兄上。副王領からフィーラの地へ戻る事を選択した一団をどう見る?」
「まず、指導的立場にいる者に対しての、私の率直な意見ですが、507年前に攻め込まれ属国化した際も、201年前に併合され王族狩りを行われた際も、帝国に抵抗する事無く寧ろ協力的な行動を取っていた事も露見しています。発言も支離滅裂で協力を要請する他族を従えると豪語したかと思えば、自身に従う一部の者だけを引き連れ森の奥深くに住む事を選択し、森の奥深くからフィーラ奪還の機会を伺い王国を再興すると言い出したりと、樹人族とは思えない浅はかさと愚かさを兼ね備えたなかなかの小物です。従う者達も同類と見て良いでしょう」
「なるほどな・・・10万人を超える集団だが、ゼルフォーラ王国に害する事は無さそうだな」
「一利すらも無い存在でしょうな。ハハハ」
「帝国の皇帝暗殺、皇位継承争い、樹人族の解放。報告は以上ですか?」
「守護者管理者聖人として、大樹の英雄として、副王としての報告は以上です」
・
・
・
ありがとうございます。
宜しくお願いします。