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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
107/1227

2-25 初めての救出作戦④~13匹の大蛇と、大賢者マクドナルド・カリバー。

ありがとうございます。

宜しくお願いします。

――― R4075年7月18日(光)21:50


......シオさんだけ転位しなかった理由は、ハーゲン長老にも分からないんですね」


「そこで気絶しておるメルカッツなら何か知っておるやもしれんのじゃが」


「恩人殿。我々は空高く静止した状態なのですが、何が起きているのでしょうか?」


 あれ?もしかして、皆、説明しないと分からないって感じなのか?


「ここが何処だか分かりますか?」


≪宙だろう?


≪空に浮いてる。


「自分達の場所では無く、下を見てください」


≪森と海と山が見えるな。


 他人に興味が無いのは仕方ないけど、自分達が住んでた場所にも興味が無いのか?


「そういう意味じゃないです。俺の左側に湖が見えますよね?あれは、ゼルフォーラ湖です」


≪帝国のか!


「俺の正面に見える山脈はワワイ山脈です」


≪帝国の山か!


「俺の右少し後方ろに見えるのはカトムーイです」


≪ほう


「俺の後ろに見えるのはフィーラです。俺の前に見える廃墟と言うか森に飲み込まれた様に見えるあれはワルクです」


「・・・ここは、エルヴァーリズ王国・・・ワワイ大森林の上空じゃな」


「そうです。ここは、フィーラとワルクのちょうど中間地点の上空1Kmです」


≪凄い・・・


≪神か何かなのか?


≪我々に神はいない。


≪だが、現に人間が空に浮かび、この人数が一瞬で転位した。


「まるで大賢者マクドナルド・ガリバー様のようなのじゃよ」


 うん?何処かで聞いた様な・・・


「だが、これだけでは、助け出したという証拠としては不足しておるのじゃよ」


「分かりました」


 【転位召喚・極】『召喚』ジャスミン『場所』俺の隣 ≫


 ジャスミンが俺の横に出現した。


「えっ?」


「ジャスミンさんですね。アルから話を聞いたと思います。俺はロイク。あの老人は#6の長老で、北家に従うハーゲン・ノイさんです。あっちで気絶している老人は#3の長老で、元中に地域に隔離管理されていますが、東家に従うメルカッツ・カノイさんです」


「あぁ~守護聖人ロイク様ぁ~!感謝致しております。私達を助け出してくださりまして、本当に本当に有難うございます。この御恩生涯忘れたりは致しません」


「麻痺させた上に気絶とかって済みませんでした」


「助け出していただき感謝の気持ちしかありません。麻痺や気絶程度、これまでの地獄の日々と比べれば苦にもなりません」


「それは、良かったです。意識を失わせ強制的に連れ出したので、気が付いたら色々言われるだろうなと思ってたんです。ハハハ」


「隔離管理されているだけでも飼い殺状態です。寿命が長い自分を呪い、自殺する事の出来ない自分を呪い人間族を呪うだけの日々でした。フィーラに連れ出されたと思えば魔力を抜かれ続け、男達の相手をさせられ、声を出せば口答えしたと殴られ、少しのミスで処刑され、(あるじ)や客との子供を出産すると見世物に調度良いと奪われ。まるで地獄その物でした」


「何か俺が想像してた奴隷と違い過ぎて、今の話を聞いててピンと来ないんですが、それって奴隷っていうか人間として扱われてませんよね?帝国では奴隷って人間以下になる事なんですか?」


「人間族が今更何を!下等で下劣極まり無い存在が、高尚なる樹人族(エルフ)や、気高き愚かなる存在獣人族や、酒に溺れ怠惰なる存在小人族を、奴隷階級民として隔離管理し、服従と強制で支配した。奴隷階級民に人間種たる権利は無い。強制労働員として連れ出された者には生き物のとしての権利すら無い。このような地獄を作り出したのはお主等じゃよ」


「ゼルフォーラ王国は、人間族が9割以上を占める国でしたが、小人族、獣人族、樹人族(エルフ)、魔人族。たまに竜人族とかを見かけますが差別とか人権が無いとか聞いた事が無いです」


「恩人殿。だったとはどういう事なのでしょうか?」


「俺の領地もそうなんですが、領都って呼ばれる貴族領の地方行政の中心地が増えた事で、移民とか移住を希望する人が急増してて、俺の領地に至っては、3割弱が人間族で後は他の種族なんですよ。しかも俺の秘書官は皆さんと同じ樹人族(エルフ)です」


 さっき、採用したばかりだけど・・・嘘ではないよね。


「そう言えば、私達が寝ていた病室を行き来していた看護師達は皆さん樹人族(エルフ)でした」


 あれ?アルさんは?・・・まっ!良いか。


「ジャスミンとやら・・・」


 ハーゲン長老は、鋭い視線でジャスミンさんを睨み付ける。


「お主は何処の者なのじゃね?」


 何処の者?


「私は、元王都フィーラの生まれです。#1で隔離管理されたのは生まれてから15年目の時です。3年前に【MP】狩りに合いフィーラに連れ出されました」


 あぁ~そういう事か。


「なるほど・・・お主の他にも保護されておるのじゃな?」


「はい。5つの自尊。エアクレールングヤー(不干渉宣言)に誓いましょう」


「あぁ~なんじゃ・・・そこはどんな場所じゃたのかね?」


「私が目覚めた場所・・・私達が保護されていた場所は、病院では無く大聖堂と呼ばれている建物の中でした。大人達から世界創造神はいない。樹人族(エルフ)は見捨てられたのだと教わっていた事もあり、啓示で見た風景だと気付くのに少しかかりました」


 あれ?もしかして、ゼルフォーラ王国の人達と啓示の内容が微妙に違うのか?


「啓示で見た風景とはなんじゃね?」


「建物はワワイの森の木々より高く。高所から眺める景色はとても美しく壮大で自由が広がっていました。東に見えた世界創造神・・・いえあの地では創造神様とお呼びするそうですが、創造神様の為に建立されたというエメラルドとパールホワイト色の大神殿。フィーラから見る海とは全く違う青く輝く海。啓示を受けたあの日。私は何も信じませんでした。ですが、夢の通り啓示いただいた通りでした。目覚めるとそこは地獄ではありませんでした。皆自由に楽しそうに話をし笑顔で仕事をしていました」


「幻覚を見せられた訳ではないのじゃな」


「もし仮に幻覚であったとしても、帝国で強制労働奴隷として家畜の様に扱われるより幸せです」


「・・・そうか。ジャスミン。お主の話を信じよう」


「ありがとうございます」


「・・・礼は・・・そこの人間族の男・・・イヤ、神が言った守護者殿に伝えるべきじゃね。#6の住民は儂が責任を以て説得致します。監視域内の広場に集めます。どうか儂等を樹人族(エルフ)を救い出してください」


 ハーゲン長老は頭こそ下げなかったが、本人の中では謝罪と礼を同時にしたつもりみたいだ。


「最初からそのつもりでここに来たので、今更(・・)って感じです。考えてみたら、最初に救出した女性達は#1~#24の出身者達な訳だし、あぁ~でもダメか目覚める前に霧が晴れちゃうかのかぁ~」


「守護聖人ロイク様」


 ジャスミンさんは俺に祈りを捧げるつもりだろうか、姿勢も挙動も何だかおかしい。


「ジャスミンさん?祈りを捧げるのは神様か魔力陣でお願いします。それと、俺の事はロイクで良いですよ」


「畏まりました。ロイク様」


 この人も、ロイク様で通す気か・・・


「それで、何か言い掛けてましたよね?」


「啓示で見た風景では、ロイク様はフィーラの港とワワイ湾を霧で覆い私達を光の魔力陣で救い出しておりました」


 あ!


「なるほど。その手がありました。転位陣を監視域内と俺の領地内に設置して自然魔素(まりょく)を供給し続ければ良いだけだったんだ・・・」


 啓示で見せるなら俺に見せてくれれば良いのに・・・


「転位召喚で移動出来なかったシオさんもこれなら大丈夫そうです。よし!まずは、皆さんを居住している#に飛ばします。皆を説得して広場に集めてください」


「ロイク様。他の監視域各地区の住民達はどうなってしまうのでしょうか?」


「啓示ではどんな感じでした?」


「啓示では光の魔力陣によって皆が助かる風景だけでした」


「守護者殿よ」


「あ、はい」


「儂が見た啓示は・・・儂が神より与えられた啓示は!」


 ハーゲン長老は、大きな声で神と言った。


「儂が守護者殿に協力し他の地区を周り白い光を発する魔力陣に皆を誘導し・・・」


「それから?」


「大きな蛇と対峙していた」


「え?何でここで蛇が出て来るんですか?」


「啓示の話だ」


 啓示の話って事は、それは現実になるって事ですよね?・・・創造神様。やっぱり啓示って俺に見せた方が早いと思うんですが・・・


「・・・まぁ~蛇が出て来たら、その時はその時です。まずは、皆さんを飛ばします。俺は霧をもう一回発生させたら、領地に戻って転位陣を設置して、#6に戻って#6の移動を終わらせたらハーゲン長老と一緒に#1から順に救出します。メッテさん。シオさんをお願いします」


「は、はい・・・」


 メッテさんは気絶したままのメルカッツ長老を気にしている。


「えっと、その人は、領地に戻る時に連れて行きます。邪魔ですからね」


「分かりました」


「それでは、皆さんを一度飛ばします。移動の準備をして待っててください。説得も忘れずにです」


「恩人殿よ」


 細マッチョな男が不安気な表情で俺を見る。


「どうしたんですか?」


「サキンは」


「サキン?」


「俺の弟です」


 もう一人の細マッチョを指差した。


「あぁ~兄弟だったんですね」


「はい。サキンは、恩人殿と大きな蛇に対峙する啓示を与えられています」


「貴方は?」


「兄者は・・・」


「私は、どうやら・・・大量の出血をし海に落ち死ぬ様なのです」


「死んじゃう啓示ってあるんですか?」


「啓示を見たのは今回が2回目で分かりません」


 おかしいな!聖属性の結界で護られてる、細マッチョがどうして死ぬんだ?念の為だし・・・


「えっと、お兄さんの方は......


「ウキンです」


......ウキンさんは、長老と一緒に先に俺の領地に行きますか?」


「そんな啓示は与えられていない」


「そ、そうですか・・・それなら良く分かりませんが、皆さん啓示通りに動くのもしゃくですがお願いします」


≪分かりました。(大勢)



――― R4075年7月18日(光)23:00


 霧の晴れたフィーラの総督府の前に広がる大きな公園。


 俺は、帝国軍の刻印が額に焼き付けられている青紫色の黒が混ざった鱗が特徴的なちょっと黒光りした大きな大きな蛇13匹と対峙していた。


 ハーゲン長老とウキンさん、サキンさん、そして知らない老人型の樹人族(エルフ)1人とシオさんとメッテさんも何故か一緒に巻き込まれている。


「恩人殿。まさに啓示の通りです」


 ウキンさん、回避しようと思えば、それって回避出来たって事なんじゃ・・・


「こんな大きな蛇が何処に隠れていたんでしょう?」


「1300年近く生きているが、こんな魔獣は見た事がないのじゃね」


「これ蛇ですよね?魔獣じゃ無いですよ」


「何ですと?」


 サキンさんは、刀を構え蛇を睨み付け、膝を震わせていた。


「あれが何なのか良く分かりませんが、皆さんには聖属性の結界を張ってあります。俺よりも遥かに高い攻撃力で攻撃されない限り破れる事はありません」


「恩人殿それはどの位の攻撃か具体的に分かりますか?」


「そうですね。ドラゴン()が全力で体当たりを1億回繰り返してもヒビ1つ入ら無い位でしょうか」


「・・・ドラゴン()の体当たりがどの位なのか想像が付きません」


 なるほど・・・


「試してみれば分かることよ」


 老人が杖を翳すと、魔石が埋め込まれた杖の先端から深紅の炎が飛び出し、サキンさんの結界にぶつかると同時に消滅した。


 今、無詠唱だった?


「サキン!」


「ウキン!」


「サキン。間違い無い。北の長老様あの方はっ!」


「間違い無い・・・我等が英雄マクドナルド・ガリバー様じゃよ」


 この老人は誰だって思ってたんだけど・・・樹人族(エルフ)の英雄なのか?


「大樹の英雄殿よ。全属性の賢者(ヌフサンサージュ)殿よ。(われ)が炎を打ち消すとは・・・」


「俺の事を知ってるんですか?」


「この世界に生きる人間種で大樹の英雄殿を知らぬ者はおらんよ」


 この人はいったい誰なんだ!?


「北の長老様!こちらの御老人が、あの伝説の・・・精霊に愛されし英雄、大賢者マクドナルド・ガリバー様なのですか?」


 メッテは、表情には出ていないがかなり興奮しているみたいだ。


「皆さんこちらの御老人を知ってる様ですが、どんな方なんですか?」


「恩人殿!?大賢者マクドナルド・ガリバー。精霊に愛されし精霊具の英雄マクドナルド・ガリバー。四大属性を操り宙を歩き。その(まなこ)は賢者の瞳と呼ばれ未来を見る事が出来る。そして転位魔術を自在に操り神出鬼没の英雄・・・」


「・・・メッテ様。こちらの御老人様は、ロイク様と同じ様な事が出来るのですか?」


「シオ。こちらの御方は我等が樹人族(エルフ)の英雄大賢者マクドナルド・ガリバー様です。人間族の救世主ロイク殿と一緒に・・・・・・同じ事をしていますね・・・」


「はい」


 シオとメッテが同時に俺を見る。


「大樹の英雄殿よ。人間族でありながら、高位樹人族(ハイエルフ)様方の様に聖属性を扱い、闇樹人族(テネブル)殿達の様に闇属性を扱い・・・貴殿はいったい何者なのかね」


「俺も貴方がいったいどんな人なのか気になります。まずは目の前の大きなただの蛇(・・・・)を倒しましょう」


「それもそうじゃな。してどう倒すつもりかな?」


「そうですねぇ~・・・あれっってただの蛇(・・・・)なので普通に狩る感じで良いじゃ無いでしょうか?」


「恩人殿。俺の刀もウキンの刀も、あの堅い鱗に弾かれ刃がかけてしまいました。ターンビット王国の刀工が打った優良品の刀がです」


 さっき神眼で確認したけど、確かにその刀凄いんだけど、名が凄いだけで別に普通なんですが・・・


 兄ウキンの刀は、優良品ランクの武器で名を『大太刀銘秀作作おおたちめいしゅうさくさく名物赤青黄色花弁めいぶつあかあおきいろかべん乙姫鬼切丸寝太郎おとひめおにきりまるねたろう』。弟サキンの刀は、優良微品ランクの武器で名を『太刀銘松竹梅作たちめいしょうちくばいさく名物花鳥風月めいぶつかちょうふうげつ好色団子附金糸妖毛こうしょくだんごつけたりきんしようこ巻太刀拵鞘風まきたちこしらえさやふう』。どちらも、【STR】+25で、【AGI】+26で何とも微妙な武器である。


 細マッチョ2人のステータス値は......


********ウキンとサキン********


        ≪ウキン≫   ≪サキン≫


 【個体レベル】  67      65

 【HP】    1055    1031

 【MP】    2072    2087

 【STR】     134     121

 【DEX】    1344    1301

 【VIT】     766     770

 【AGI】     901     897

 【INT】    1852    1865

 【MND】    1107    1143

 【LUK】     345     329


***********************


......そして、大きなただの蛇は......


********大きなただの蛇********


  ≪大きなただの蛇13匹≫


 【個体レベル】34~49

 【HP】     15980~22005

 【MP】              0

 【STR】     3055~ 3781

 【VIT】     7067~10088

 【AGI】     7122~11159

 【INT】       44~   72

 【MND】              0

 【LUK】              7


 ※魔獣では無いので自然魔素(まりょく)は無い※


***********************


......防御力が7千台~1万台だ。2人がどんなに頑張っても攻撃力134と121では無理だろうな。ただの蛇(・・・・)だ。属性の優劣を気にせず魔術でなら余裕で倒せると思うけど・・・


「ウキンさんとサキンさんも魔術が使えるんですから、魔術で攻撃してください。2人の攻撃力では物理ダメージは無理です」


「恩人殿。我等兄弟は肉体派の樹人族(エルフ)です。魔術より武術を得意としています」


 それ、勘違いです!って、言えないよなぁ~・・・


「大賢者様や長老様やメッテさんやシオさんや俺が付いてます」


 大賢者マクドナルド・ガリバーって人の事も、ハーゲン長老の事も、メッテさんの事も、シオさんの事も良く知らないけど・・・


「わ、分かりました。サキン!俺達も魔術で、この凶悪極まりない不浄なる存在。暗黒の青紫色の黒光りした大蛇に応戦するぞ」


「分かったぞ。ウキン」


「それでは、皆さん。ただの蛇(・・・・)の頭を狙って一斉に魔術を発動させてください」


≪分かりました。了解した。うむ。大樹の英雄殿よ。貴殿の魔術見せて貰うぞ。


「お願いします!」


「炎よ来たれ......


「風よ風よ風さんよ......


「☆●□〇▽※※......


「ふんっ!」


 【パーンヴェルミオン】(レベル)10(威力)1(の250000011988分の1)(範囲)1(の250000011988分の1) ≫ 


 微妙に蒼く眩しい白い火焔を纏った大きな白鳥が出現し、高速飛行で13匹の蛇の周囲をグルリと一周すると、中心で身構えていたただの蛇(・・・・)に突っ込んだ。


 蛇は塵1つ残さず燃え尽きた。


 大賢者マクドナルド・ガリバーの杖の先から炎の矢が2本飛び出したがそれだけだった・・・


≪えぇ~~~・・・・(大勢)


「お、恩人殿・・・い、今のはいったい?」


 ウキンさんは、腰を抜かし地面に尻餅を付いていた。


「大樹の英雄殿よ!今の魔術は・・・あれは魔術なのか?・・・」


「ロイク殿。お主・・・大賢者マクドナルド・ガリバー様と同じニヒトゲザングなのじゃな」


「えっと、ニヒトゲザング?」


「ロイク様。ニヒトゲザングとは、詠唱を必要としない者の事です」


「へぇ~シオさんって物知りですね」


樹人族(エルフ)高位樹人族(ハイエルフ)様や闇樹人族(テネブル)様の中には、極稀にニヒトゲザングが存在していたそうです」


「そうなんですね」


「恩人殿よ。俺は血まみれで海に浮いていた。あれはいったいなんなのだろうか?」


「言ってましたね。啓示で死ぬのが見えたと・・・」


「ロイク様」


「シオさんどうしました?」


「あれどうしますか?」


「あれ?」


 俺は、シオさんが指差す方を見た。ヴァルオリティア帝国の森林都市フィーラの総督府が蒼白い焔に包まれ今にも消滅しかけていた。


「あっ!」

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