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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーアシュランス王国建国編ー
100/1227

2-19 転位陣ネットワークと、初めてのお願い①。

宜しくお願いします。

――― R4075年7月17日(邪)9:45


 俺は、エルドラドブランシュ(領主館であり俺の家)ファミリーエリア(北地区)の3階にある応接の間(中広間)に、......


*********出席者達**********


 ≪王家・国王一家≫


 1.JOB・本職【為政家】(母方の祖父の弟)

 イヴァン・ルーリン国王陛下(56)

 ※JOBに【マジシャン(魔術師)】を所持※


 ②.JOB・本職【為政家】

 アリス・I・ルーリン王妃(48)

 ※実家、ミィストゥリィー公爵家※


 ③.JOB・本職【為政家】

 リナ・ルーリン王女殿下(21)

 ※イヴァン国王陛下の長女※


 ④.JOB・本職【為政家】

 アルセーヌ・ルーリン王太子(18)

 ※イヴァン国王陛下の長男※


 5.JOB・本職【為政家】

 ガスパール・ルーリン王子(18)

 ※イヴァン国王陛下の次男※

 ※アルセーヌとは双子※

 ※JOBに【マジシャン(魔術師)】を所持※


 ≪王家・ボードワン一族≫


 6.JOB・本職【剣聖】(母方の曾祖父の弟)

 ボードワン・ルーリン天爵殿下(87)

 ※JOBに戦闘型(BT)準戦闘型(LBT)多数所持※


 7.JOB・本職【グレートマージ(大魔導士)

 ドミニク・B・ルーリン妃(85)

 ※ボードワン天爵殿下の第1夫人※

 ※実家、ミィストゥリィー公爵家※


 8.JOB・本職【サンシュヴァリエ(聖騎士)

 バルタザール・ルーリン王子(59)

 ※ボードワン天爵の長男※


 9.JOB・本職【シュヴァリエ(騎士)

 パトリシア・B・ルーリン妃(54)

 ※バルタザール王子の第1夫人※

 ※実家、フェトロング辺境伯爵家


 10.JOB・本職【シュヴァリエ(騎士)

 ジャマル・ルーリン王子(26)

 ※バルタザール王子の長男※


 11.JOB・本職【シュヴァリエ(騎士)

 クレマン・ルーリン王子(24)

 ※バルタザール王子の次男※

 ※サンドラ・ルーリンの養子※


 12.JOB・本職【剣聖】

 サンドラ・ルーリン王女(49)

 ※ボードワン天爵の長女※


 ≪王家・エンゾ一族≫


 13.JOB・本職【為政家】(母方の祖父)

 エンゾ・ルーリン天爵殿下(63)


 14.JOB・本職【為政家】

 イネス・E・ルーリン妃(62)

 ※エンゾ天爵の第1夫人※

 ※実家、モンロー伯爵家※


 15.JOB・本職【グラディアートル(剣闘士)

 オーレリー・ルーリン王子(45)

 ※エンゾ天爵の長男※


 16.JOB・本職【為政家】

 ローラ・O・ルーリン妃(42)

 ※オーレリー王子の第1夫人※

 ※実家、マーガレット辺境伯爵家※


 17.JOB・本職【エペイスト(剣士)

 クレーリー・ルーリン王子(25)

 ※オーレリー王子の長男※

 

 ≪王家・祖世代≫


 18.JOB・本職【ヒーラー(治癒士)】(母方の曾祖母)

 クララ・J・ルーリン国太后(87)

 ※前々国王ジャン・ルーリン陛下の第1夫人※

 ※実家、マーガレット辺境伯爵家※

 ※為政家から再転職しヒーラー(治癒士)


 ⑲.JOB・本職【為政家】

 エメ・B・ルーリン太后(前王妃)(63)

 ※前国王ベルナール・ルーリン陛下の第1夫人※

 ※実家、デェイビュー公爵家※


 ≪トゥージュー公爵家≫


 20.JOB・本職【マジシャン(魔術師)

 リラリス・トゥージュー公爵夫人(44)

 ※前国王ベルナール・ルーリン陛下の長女※

 ※アラン公爵の第1夫人※


 21.JOB・本職【為政家】

 アラン・トゥージュー公爵(50)

 ※JOBに剣闘士を所持※


 22.JOB・本職【為政家】

 セザール・トゥージュー次期公爵(26)

 ※JOBに剣闘士とマジシャン(魔術師)を所持※

 ※アラン公爵の長男※


 ㉓.JOB・本職【為政家】

 プティット・トゥージュー(23)

 ※アラン公爵の長女※


 ≪ラカコア伯爵家≫


 ㉔.JOB・本職【為政家】

 クリオ・ラカコア伯爵夫人(35)

 ※前国王ベルナール・ルーリン陛下の次女※

 ※ヤン伯爵の第1夫人※


 25.JOB・本職【為政家】

 ヤン・ラカコア伯爵(35)

 ※クリオ・ルーリンの夫※

 ※JOBにハンター(狩人)マジシャン(魔術師)を所持※


 26.JOB・本職【為政家】

 エディ・ラカコア次期伯爵(16)

 ※ヤン伯爵の長男※

 ※JOBにハンター(狩人)を所持※


 ≪パマリ侯爵家+伯爵家≫


 27.JOB・本職【為政家】

 ステファン・パマリ侯爵(71)


 28.JOB・本職【ハンター(狩人)

 ミント・パマリ侯爵夫人(67)

 ※ステファン侯爵の第1夫人※

 ※実家、アヴィル侯爵家※

 ※JOBにマジシャン(魔術師)を所持※


 29.JOB・本職【シュヴァリエ(騎士)

 ジェルマン・パマリ伯爵(44)

 ※ステファン侯爵の次男※

 ※ゼルフォーラ王国中央騎士団総括団長※

 ※ゼルフォーラ王国中央騎士団第3師団団長※

 ※JOBに戦闘型(BT)準戦闘型(LBT)多数所持※


 30.JOB・本職【アーチャー(射手)

 マリア・パマリ伯爵夫人(38)

 ※ジェルマン伯爵の大夫人※

 ※中央騎士団第3師団遊撃部隊隊長※

 ※実家、スラリス辺境伯爵家※

 ※JOBにハンター(狩人)を所持※


 ≪ルーリン・シャレット副王一族≫


 31.JOB・本職【イーヴァルスナイパー(邪の狙撃手)

 バイル・シャレット士爵(44)

 ※俺の父親でトミーサスの英雄※

 ※神授により容姿は36歳※

 ※JOBに戦闘型(BT)準戦闘型(LBT)多数所持※


 32.JOB・本職【マジシャン(魔術師)

 メアリー・シャレット士爵夫人(42)

 ※俺の母親でトミーサスの英雄の夫人※

 ※神授により容姿は32歳※


 33.JOB・本職【パティシエール(菓子職人)

 マルアスピー・R・ルーリン・シャレット(便宜19)

 ※精霊界の長老精霊(聖光の母精霊)ドゥーミナの孫※

 ※コルト下界に追放された大精霊(追放精霊)ミトの娘※

 ※ロイクが所持するJOBを共有(神授職業以外)※


 34.JOB・本職【ソメポールマージ(頂魔導士)

 パフ・レイジィー(16)

 ※書籍店オーナー、リディア・レイジィーの娘※


 35.JOB・本職【武弓聖】

 アリス・パマリ(19)

 ※ジェルマン伯爵の長女※


 36.JOB・本職【知弓聖】

 テレーズ・トゥージュー(18)

 ※アラン公爵の次女※


 37.JOB・本職【ソメポールサージュ(頂賢者)

 サラ・ルーリン王女殿下(21)

 ※バルタザール王子の長女※


 38.JOB・本職【シャントゥール(歌唱する者神)

 アル・R・ルーリン・シャレット(便宜21)

 ※神獣種神鳥の長・二級神(五級から昇格)※


 39.JOB・本職【トレトール(反逆する者)

 トゥーシェ・R・ルーリン・シャレット(便宜16)

 ※悪魔域の魔王の孫娘※

 ※悪魔種夢魔族の長の娘で悪魔域の夜の女王※


 40.JOB・本職【ジュウール(遊戯する者)

 フォルティーナ・R・ルーリン・シャレット

 ※運を司りし遊びの女神・大上神※

 ※自称27歳※


 ※数字を〇で囲んである人物は非戦闘型(NBT)のみ※

 

***********************


......集まり、来たる日に備えての会議に出席している。


 料理の神chef(シェフ)アランギー様に、神界の神茶(しんちゃ)を煎れていただき出席者に振舞ったのは良いが、以前アランギー様より教えていただいた通りで、香りだけで味や温度を何も感じない。そう神界神域に存在する食べ物や飲み物には香りしかない。


「いやぁ~しかし不思議な飲み物だね」


「本当に不思議だわ・・・鮮やかで華やぎのある洗練された香りの中に、優しく柔らかな覆い香と爽やかな香り・・・ですが口に含むと・・・何と表現したら良いのでしょうね」


 イヴァン国王と、アリス王妃は、香りだけの神界の神茶を飲み、どう評価して良いのかお困りの様子だ。


「この御茶は、創造神様より昨日いただいたばかりの神の世界の御茶で、あの精霊樹。神樹の若葉が素材の御茶なんだそうです」


「神々様が御飲みになられる神茶(しんちゃ)という訳か。うん、実に有難い事だ。もう一杯いただけないだろうか!」


「おんや。香りを楽しむだけの無味茶(むみちゃ)をもう1杯御所望ですか。はい。どうぞどうぞ」


「これはこれは、最高のchef(シェフ)アランギー殿。かたじけない」


 剣聖ボードワン天爵殿下は、この香りだけの御茶を楽しんでいる様子だ。アランギー様。神様の世界の御茶を麦茶(むぎちゃ)みたいに言わないでぇ~


「この無味茶(むみちゃ)には、1杯飲むと寿命が3年延びる効果があると言われています。はい。それともう1つミラクルアロール(時の奇跡)と呼ばれる御夫人方に非常に喜ばれる効果があると言われています。はい。個人差はあるらしいのですが、稀に、極稀に(・・・・・)、見た目が気持ち(・・・)若返る時があるそうです」


「この御茶に若返りの効果が・・・」


「創造神様の御茶は凄いのですね」


 女性陣の飲むペースが上がった様な気がするのは俺の勘違いだろう。



 さてと、昨日の夜、マルアスピーと話合って決めた事を始めるとするか。


「今日は朝から集まっていただきありがとうございます。御前会議で話合うには難しい事と、公での運用と王家に関わる者だけが知る特殊な運用の話をしたいと思います。ここに集まっていただいた皆さんは、王家や王族や外戚王族。俺の理解者の方々です。お呼びしていない外戚王族の方々は、後日、御夫人様方の御実家の方々を交えた際の会議の席に出席していただきたいと考えています」


「今日の集まりは、守護者、管理者、聖人、大樹の英雄、副王としてではなく、身内や友人として私達を呼んだという事かな?」


「はい。大叔父上殿(国王陛下のこと)」


「ならば、世も今より、国王ではなくイヴァン・ルーリンだ」


≪はっ!(大勢)


 王族と俺の家族以外の人達は、胸に手を当て軽い会釈をした。国王じゃ無いって言われても国王である事に変わりは無い訳で・・・。臣下としての簡易礼法は仕方ないか。



「まずは、創造神様より神茶と一緒にいただきました神授スキル【転位陣の叡智】についてです。これは、転位の魔法陣を設置するスキルです。設置した転位の魔法陣間限定の移動手段で、転位元と転位先の距離は近い遠い関係無く1人の転位移動に1回で【MP】を2000消費します。無属性の魔晶石や魔石の自然魔素(まりょく)を代用するも出来ます。複数人で【MP】を出し合い合算する事も出来ます。無属性の自然魔素(まりょく)なので、属性の心得を所持していない人でも【MP】さえあれば合算に参加する事が可能です。1度に転位移動出来る人数は、転位の魔法陣の内側の円の中で、他の人と接触していなければ何人でも可能です。今朝、朝食後に試したところ、マルアスピー、パフさん、アリスさん、サラさん、テレーズさん、トゥーシェ、アルさん、フォルティーナ、俺の9人なら余裕でした。ただし、消費する【MP】は、2000×人数分です。転位陣を使って物を移動させる場合なんですが、円に収まるサイズのファルダガパオの箱を1人の人間だと転位陣に登録した上で、王家に200個献上します。箱の中には、約2t物が入る様にしておきます。当然の話ですが生きた存在は入りません。植物とかは大丈夫です」


「ロイク。ファルダガパオの箱を私に200個も渡してどうするつもりなのだ?」


「はい、転位陣を正創生教の教会。現時点では、ゼルフォーラ王国内に限定しますが、教会に転位の間を設けるつもりです。そして、パレスエリア内にある王宮聖人教会には警備の都合上設置する訳にいかないでしょうから、教会の隣に警備と転送担当の者を常に待機させた状態で、転位陣専用の建物を建設します。俺の考えでは、転位陣を5つ程設置し、人間の転位専用は1つだけにして、残りは物の転位専用にするつもりです。といっても、人として認識させたファルダガパオの箱の転位専用になります。人間の転位専用にする転位陣には、陛下が利用許可を与えた者の名を登録し利用出来る様にします。差し当たり、王家、王族、外戚王族、3公、5侯、4辺伯、8+1伯。大臣や王国の重役達には許可を与え。箱も1個与えてください」


「箱を与えるのも、利用の許可を与えるのも構わんがそれでどうするのだ?」


 パトリック・ミィストゥリィー宰相が居ないと説明が多目に必要になるのか・・・


「箱を与えた者の貴族領地の領主館にも転位陣を設置するつもりです。この転位陣は、パレスエリア内に新設する転位専用の建物内の転位陣との往復しか出来ない様に設定します」


「なるほど」


「それで、教会に設置する転位陣の利用料は、1人1回3万NL(ネール)。3万NLの内訳は、王国へ転位税1万NL。貴族領へ転位税5000NL。正創生教へ管理費1万NL。ルーリン・シャレット家に使用料金5000NL。教会には転位の時だけ【MP】をサポートするスタッフを3人~5人配備して貰う予定です。協力の代金は固定金額一律5000NL御布施として回収予定です。ポーション(回復水)・【MP】の現物でも良いとは思いますが、そのあたりは各教会に任せて良いと思います。近日中に、【MP】の回復効率がかなり良い、お菓子や軽食を販売予定です。当面は、ここ聖都スカーレットでしか購入出来ないかもしれませんが・・・」


『売り込みかしら?フフフッ』


 長々説明した分。CMです。


「教会に設置する転位の間には、出入通行管理受付所の設置も必要になりますが、予算的には負担にならないと思います」


「出入通行管理の税徴収兵達は、税務官としての任務が中心で軍務は緊急時以外免除されているからな」


「それもなんですが、この転位陣の設置を物専用で4つも準備したのには訳があるんです」


「物の移動の方が重要だからなのだろう?」


「勿論、そうなんですが、王国内のミスリル鉱石の管理を王家で行おうと考えたからです」


「ミスリル鉱石だと?・・・ロイク。現状でもミスリルの鉱石の管理は王家が行っておるぞ。ロイで極稀に採掘されるミスリル鉱石は、ブオミル家が王国へ責任を持って引き渡す事になっておる」


「ボードワン殿。ロイの鉱石専門の商業地区には、王国から一律の金額で払い下げられているはずのミスリルの金額よりも安価の物が数多く出回っているそうです。主にミスリルの含有率が10%以下の鉱石らしいです」


「なぁっ!」


「しかも、王国が管理しているミスリル鉱石は、王国内に流通しているミスリル鉱石の7%程度らしいです」


「な、なんと・・・」


「ブオミル家が悪いのでは無く、含有25%以下のミスリル鉱石の王都への輸送費と払い下げ代金や採掘にかかる諸経費に問題があるようです」


 鉱物専門では無いが、ロイのアフェールギルド(商人商家協会)ギルドマスター(協会長)で宝石商のロメイン・バトンさんに確認した話だ。


「ミスリルの産出が低いのは超希少金属だからだとばかり思っていたがまさか含有率の高い物以外は、直接市場に出回っていたとはな。ロイク。市場に流通している量はどの位なのだ?」


「この200年間のデータで良いですか?」


「200年だぁーお前、そこまで分かってんのかぁー」


「親父、後で相手するから、ボードワン殿と話をさせてくれないか?」


「おっ!おうよぉっ!任せとけぇー」


「ゼルフォーラ王国内で200年前から今日までに採掘されたミスリルは、ミスリルの純度を100%に置き換えると約67Kgです。鉱石としては6t程採掘していますが、ほぼ鉄鉱石みたいです」


「年間の産出量は、純度100%のミスリルだとして、3.35Kgだけとはな・・・しかもその7%程しか王国は管理していなかったとは・・・情けない」


「俺のスキルで、ミスリル鉱石を探したところ、ロイの近辺にはもう無いに等しい状況でしたので、今後は勝手な流通は減ると思います」


「だが、ロイク。それはミスリル鉱石の枯渇を意味するのではないか?」


「大叔父上殿。代わりのミスリル鉱脈を幾つか見つけましたので、その心配はありません」


「な・・・」


「ロイク。それは本当か?」


「ミスリルの鉱脈だと!鉱脈を発見したというのか?」


 イヴァン国王が絶句する中、祖父エンゾ天爵と、剣聖ボードワン天爵の2人は、俺の話に勢い良く食い付いた。


「その為に、4つ転送陣を物専用として設置した方が良いと考えたのです。見つけた鉱脈は全部で4つ。1つは、新副都市エルピスからリッツまで敷いた街道の途中にある西モルングレー山脈の東の先端側。もう1つは、サス山脈の中央部5000m付近の高山地帯でサス山脈の西の端から昇り山脈の頂を進むと辿り着ける場所です。もう1つは、東モルングレー山脈の北の端にある谷部分です。もう1つは、ホラセイラ山脈のカイライ山から北に40Kmの場所です。文献によると、サス山脈の鉱脈の近辺はドラゴン()達の繁殖地みたいです。東モルングレー山脈の北の谷は、ドラゴン()達の求愛の谷と呼ばれていたみたいです。ホラセイラ山脈の鉱脈近辺はドラゴン()達の聖地なんだそうです。西モルングレー山脈の鉱脈は、元々東西モルングレー山脈は1つの山脈だった様で、1つだった時代鉱脈近辺はドラゴン()の巣があったそうです。全て過去の話だと思うので今は安全だと思います」


「王都の目と鼻の先にミスリル鉱脈があったとはな。もっとも森を伐採し街道を敷く事にならなければ、見つかったところで採掘を開始するまでに何十年必要やら・・・だが、今はロイクのおかげで王都への運搬も簡単に行える。王宮に戻り次第早速指示を出す事にしよう」


「だが、イヴァン。あとの3つは辿り着くだけでどれだけの犠牲者が出るか分からんぞ」


「叔父上殿。今は欲を出さずに、西モルングレー山脈の鉱脈開発に集中するしかないでしょうな」


「それを解決する為に転位陣を設置するんです。俺が先に行って転位陣を設置してきます。坑道内に、人間専用の転位陣と荷物専用の転位陣を設置する予定です。坑道で働く人達は、王都の各騎士団事務所から坑道へ転位出来る様にする事で荷物のチェックも用意だし、掘った鉱石はパレスエリア内に新設する転位専用の建物に一度集められる事になるのでこっちの管理も容易になると思います。食料や水や配給等の日用雑貨類も直接転位陣で転位移動させればいいだけです。坑道と働く人を警備監視する兵士を駐留させる必要があります。大樹の森の中の鉱脈2つは手練れの兵士を、サスの方はそこそこの兵士を、西モルングレー山脈の方は新兵や訓練兵で良いと思います」


「4つミスリル鉱脈の発見と鉱脈の運用管理と鉱石の物流管理を成し遂げることになるのか・・・王国に大きな利益を齎した者には、名誉男爵位や名誉子爵位を与える事になっている。そしてその利益が永続的な物であれば、男爵位や子爵位を与えても良い事になっている。だが、ロイクお前は既に天爵位。爵位は最高位で、ゼルフォーラ王国の副王でもある。王国としえ与える物が存在しない様に思える。功績を称える言葉を贈ったところで今更だろうしな・・・」


「鉱脈4つの功績として、4つ叶えて欲しい事があります」


「私に可能な事か?」


「はい。1つは、迷宮攻略に関する事です」


「うむ。迷宮の事は管理局を設けたが、管理者はロイクだ。好きにして良いと前に言ったと思うが」


「はい。ですが、迷宮に関係するのですが、税収にも関係する為、1つ目の願いにしました」


「この件は、国王として王宮で聞く事にしよう」


「確かにそうですね」



「今日、集まっていただいたのは、これから話す事が本当の目的です」


「転位陣やミスリルよりも重要な事なのか?」


「はい。俺も昨日上限に達した(カンスト)時に知ったのですが、迷宮の封印が解除されたあの日、俺達人間の個体レベルの制限も解除されていたようです」


 少し順番は違うが、結果的に人間種の個体レベルの上限が解除されたのは事実だ。順を追って説明する必要はないだろう。


「我々の強さの上限がか?」


 剣聖ボードワンの娘で剣聖サンドラ・ルーリン王女が口を開いた。おっ!初めて声を聞いた気がする。力強いが温かくて優しい声だ。


「はい、迷宮の封印が解除されたあの日以前は、一部の人を除いて個体レベル99までが最高だったそうです。ですが、あの日以降は、人間種であれば個体レベルが999まで成長する様になったそうです」


「999!・・・大樹の英雄殿は、そ、その個体レベルが999。上限値に達しているのですか?」


「えぇ~。昨日、創造神様からお預かりしている中空の離宮に侵入した。悪い神様を3人捕らえて創造神様に引き渡した時に、カンストしている事を告げられました」


 若干嘘だけど、この位ならありだよね・・・


「レベル999ですか・・・大樹の英雄殿は、本職にJOBを設定していないと以前父上から聞いたのですが、今も本職は無職のままなのでしょうか?」


「JOBは創造神様から神授していただいて、JOB【剣聖】と同じ様に、神授転職で今は設定済みです」


「失礼とは思いますが、どの様なJOBを本職に設定しているのですか?」


「えっとですね。俺の本職はエロ―(英雄)で、レベル69です」


「JOBのレベルが69?」


「一部のJOBだけらしいのですが、レベルがこのレベルってのも修練度の事なので、個体レベルとは別物らしいですが、99まで上がるらしいです」


「なんと・・・」


『ロイク。脱線してるわよ』


 そうですね。マルアスピーありがとう。


『フフフッ。どういたしまして』


「あとで、詳しく説明しますので、今は俺の話を済ませてしまっても良いですか?」


「これは、申し訳ない事を・・・続けてください」


「という事で、話を戻しますが、迷宮が解除されてからまだ1ヶ月やそこらです。迷宮を攻略しながら修練したとして、流石にまだ個体レベルが70以上の人はそんなに存在していません。転位陣を起動させる為に必要な【MP】2000を1人で賄える人は少ないでしょう。王家や大貴族の皆さんや軍には人が沢山いるので大丈夫だと思うのですが、緊急の際に1人で起動する事が出来ないのは設置した意味が無いですよね」


「緊急ってどんな緊急があんだぁっ!」


「親父。例えばだぞ、先日みたいに、トミーサス軍に奇襲されるとか、ドラゴンが集団で襲って来るとか、他にも緊急は沢山あるけど、一番は連絡鳩よりも早く情報を手紙なり人間が伝達出来る事で緊急事態への対処速度が劇的に改善される事だな」


「おっ!すげぇーじゃねぇーか!続けろ続けろ」


 おい!・・・脱線させたの貴方ですからね・・・


「なので、ここに居る皆さんの【MP】を+4000に成長させます」


「はぁ~↑???」


 俺の家族以外の者全員が素っ頓狂な声を上げた。


「成長させるとは、どういう事だ?」


「えっとですね・・・創造神様からいただいた能力を使って、各ステータス値を成長させる事でしょうか・・・」


 本当は、昨日大量に手に入れたハーフゴッドマネー(創造神銀貨)全部で16兆枚を使用して、ステータス値を上げるだけだ。本当の事を説明したら1枚幾らだとか騒がれる事が確実だったので、俺の能力って事にした方が早いだろうとマルアスピーと事前に決めた流れだ。因みにハーフゴッドマネー(創造神銀貨)は、王都の競売所で1枚300万NLで取引されている。タブレットで確認したところ、迷宮の攻略が進み現在世界に流通しているのは7枚という事も分かっている。


「それでは、そのまま席に座って神茶を飲みながら雑談でもしててください。俺は順次回って【MP】を成長させます。フォルティーナ。ステータスを確認する簡易魔導具を皆の前に出して貰えますか」


「分かったね」


≪パチン


 フォルティーナが指を鳴らすと、マルアスピー、アルさん、トゥーシェ、ファルティーナと俺を除き、他の全員の顔の前に1枚のカードが出現した。


「これは?」


 サラさんだ。


「それは、フォルティーナと俺で開発した。リュニックファタリテ(装備者指定武具)の個体レベルと、本職に設定しているJOBのレベルと、確認時の身長と体重と視力、各ステータス値と、所持しているスキルの(修練度)を確認出来るカードです。【HP】と【MP】と【状態異常】。それと、各スキルの消費【MP】を確認する事が出来るので、今までより高度な戦術戦略が可能になると思います」


「凄いですわね・・・」


「サラ、こ、これは凄い何て簡単な言葉では・・・」


「叔母上様?」


「私が長年悩んでいた事が、このカードでいきなり解決してしまった」


「そうなのですか?」


「あぁ~。私は剣聖のスキルの(修練度)が上がる度に、そのスキルが使えなく成るという呪いを受けてしまったのだと思っていたのだが、勘違いであった。父上や兄上や母上には分からない苦しみであったとはな・・・」


「も、もしかして、スキルを発動させた後に、気を失う様になったと言うのは、【MP】が0になった事で気絶していたという事ですか?」


「消費【MP】とステータスの【MP】が偶然同じだった時があったのだろう。発動しない理由は、私の個体レベルは42で【MP】が154ある。この1ヶ月で2つレベルが上がっていた様だな。その為だったのだろう。つい先日まで使えていた剣聖技【剣衝の怒涛】というスキルが発動しなくなったのだ」


「発動しない?」


「え?」


 あっ・・・つい、俺まで声を上げてしまったよ・・・


「己のステータスの【MP】とスキルの消費【MP】を見比べ己の力不足を痛感しているところです。私のこのスキルの(修練度)は10。先日まで9でした。このスキルの【MP】消費は160なのです」


「なんと、サンドラ!お前は、技を磨けば磨くほど強くなればなるほど剣聖としての技を失い、己の肉体と剣のみで戦うグラディアートル(剣闘士)の様になってしまうのか・・・!?」


「そのようです・・・」


「あのぉ~・・・それって、剣聖技のスキルのレベルを下げて発動させたら良いだけなんでは?」


「レベルを下げる?」


「はい、まさか、初心者にレベル9とか10を撃ち込んだりしませんよね?1とか2で倒せる様な弱い相手にそんな【MP】勿体ないですよね?」


「その前に、弱い相手に【MP】を消費した攻撃はしないだろう」


「あ、なるほど・・・」


 俺って、【MP】を消費しないから、その発想が無かったよ・・・


「でも、10で発動しようとするから、【MP】が不足して使えない訳だから、下げて発動させれば良いだけなんじゃ?」


「おい、ロイク。お前何言ってんだぁっ!スキルの(修練度)が上がったのによぉー下げて発動ってぇー無理にきまってんだろうがぁー!」


「そうなのか?」


「考えもみろよぉ!警戒や俊足、加工や解体のレベルを下げて発動出来るかぁ?」


 あぁ~なるほど。オートスキル(パッシブ)マニュアルスキル(アクティブ)の区別が無いのか・・・


「魔術師達は、魔術の威力や範囲を、【MP】を調整して発動させてるのは知ってるよな?」


「あぁ~」


「あれは、【MP】を調整してるって言葉は言ってるが、魔術を発動してるだけなんだよ。例えば下級魔術はレベル1~3。中級魔術は4~6。上級魔術は7~9。最上級や(きわみ)は10以上でマスターできる。習得した魔術スキルは、魔術レベル1~10の中で無意識の内に選択して発動させてるだけなんだよ。短剣や剣や斧や槍や大剣や弓の場合は、オートスキルでステータスや能力に自動的に反映されるのは【各心得】だけで攻撃用のスキルは固定じゃ無いんだよ」


「おぅ・・・そうなのかぁっ!」


「はい。バイル様。私は、弓技のスキルを幾つかセンススキルに所持していますが、弱い魔獣や、近くの魔獣に対して無駄な【MP】を消費しない様に、意図してスキルレベルを下げて使用しています」


 アリスさんは、火属性極魔術【パーンヴェルミオン】の発動の為に、【MP】消費を抑える戦闘を心掛けている。【MP】を抑える戦闘は長時間の戦闘にも耐えられ、疲労の蓄積を抑える事が出来るらしく、フォルティーナも推奨している。


「この下げて発動する方法も後で、教えます」


「本当ですか。おぉ~大樹の英雄殿よぉ~クゥ~~~」


≪パァ―――ン


 剣聖サンドラは、勢い良く神茶を飲みほすと、湯飲み茶わんをテーブルの上に勢い良く置いた。


「習得した暁には、この剣聖サンドラ・ルーリン。大樹の英雄殿の弟子としてお仕え致しましょうぞ」


「まぁ~それはどうでも良いとして、来たる日に備えて自分のステータスやスキルを正しく把握して戦える様になって貰えると助かります」


「ロイク君。良いだろうか?」


「どうしました。ジェルマン殿」


「私にもスキルのレベルを下げ発動する方法を教えて欲しいのだが・・・」


「私にもお願いします」


「俺にも・・・」



 結局、非戦闘型(NBT)以外のほぼ皆に教える事になりました。



 不公平にならない様に、皆の【MP】を一律+4000で、今日は良いかな。陛下だけ+8000にしておくか。


 俺は、イヴァン国王の後ろへ移動すると、それぽく手を頭に翳し、適当な聖属性魔法☆1☆1を発動させ、神々しいい白色の光で自分の手を発光させた。【タブレット】『消費』ハーフゴッドマネー(創造神銀貨)172,800枚。成長させたいステータス【MP】創造神様お願いします ≫


「うん?【MP】の最大値が、8000も上がったようなんだが」


「はい陛下だけ、【MP】を8000成長させました。転位4回分です」


「【MP】が2000以上あれば、パレスマージ(王宮魔術師)隊の中でもエリートと呼ばれていたはず。・・・・・・個体レベルの上限が999となったからには、王国軍も騎士団も王宮魔術師も大幅に見直す必要があるな」


「程々お願いします。普通は、+4000や+8000は簡単ではないので」


「そ、そうだな」



 俺は、皆の【MP】を+4000。陛下だけ+8000にした。ハーフゴッドマネー(創造神銀貨)はまだたっぷりあるので、家族のステータス値の成長に使う事にした。

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