0-1 マルアスピー村
宜しくお願いします。
2019年6月13日 修正
・本文冒頭のサブタイトル等を削除しました。
・
・
・
≪シュッ!
森の空気を劈き1本の矢が、大きな木々を縫う様に飛んでいく。
≪ドゥッ ニュチュッ
その矢は、体長80cm程ある赤紫色の粘体質に突き刺さる。
≪フニュ ニュ~
赤紫色の粘体質は形状を維持できずドロドロに融解する。
≪シュッワァワァ~↑
そして、揮発し消滅した。
≪パサッ
跡には、1本の矢と、小さな半透明空色の塊が1つ残されていた。
体長80㎝程で赤紫色の粘体質は【ジュルム】と呼ばれる魔獣だ。収縮自在の粘体で獲物に纏わり着き、生きたまま体内に取り込み溶かして吸収する。属性を持った上位個体種も存在する。この世界の最弱魔獣だ。
≪ガサッガサガサ タッタッタッタッタ ザザァー
俺の名前は【ロイク・シャレット】個体レベル1。【JOB・inh(継承)】LBT【狩人】見習い。年齢24歳。B型。虹彩フロス色、髪色ゼウス色、髪型セミロング、身長168cm、体型リーン。他に3つのJOB・inhを所持している。顔は良くも無く悪くも無く。
「ロイク、どうだぁー?【魔晶石】はぁ!落ちてっかぁー?」
「いや、またハズレだ」
俺はジュルムが消滅した跡へ駆け寄り、地面に残された塊を拾い上げると、森へと降り注ぐ木漏れ日に、拾い上げた塊を翳し光の屈折を確かめ、200m程離れた藪の奥に向かって叫んだ。
「チッ・・・なんだぁーまたハズレかよぉーしっかしぃー出ねぇなぁー」
≪ガサガサガサゴソ ・・・ボリボリ ボリボリ
左手に持った弓で藪を払い、右手で尻を掻きながら1人の男が近付いて来る。
「【MP】も3回分使っちまったしよぉー。今日の狩りはぁーしめぇーにすっかぁー?」
「終わるのは構わないけど、それより、今日の森何か変じゃないか?」
「ぁん?そっかぁー?」
尻を掻きながら現れた男の名前は【バイル・シャレット】。個体レベル26【JOB・cho《任意16》】BT【射手】レベル7。【JOB・inh】LBT【狩人】レベル10。【JOB・inh】NBT【皮革職人】レベル6。年齢45歳。O型。虹彩ミモザ色、髪色ラシャ色、髪型スパイキー、身長176cm、体型ローバスト。眉目秀麗だとは思う。ただ、気分屋で超絶適当その上下品さをも併せ持った残念な人だ。そして、恥ずかしながら俺の父親であり狩りの師匠だ。200m以上も離れた地点から獲物を矢で仕留める腕は間違い無く本物で、凄いと素直に称賛できるのだが・・・
「あぁー何だぁ!魔晶石も出ねぇーしよぉー。言われてぇみりゃー変かもなぁ!」
「獲物の気配が少ないと…」
≪パッチーン
「あぁー・・・なんだぁーあれだぁっ!あれ、休日だぁ!」
父は、閃いた。とばかりに指を鳴らした。
「なぁんだぁー?休日も知んねぇーのかぁー?」
父の、無責任発言が続く。
「・・・いや、そうじゃなくて…」
父は、俺の言葉を遮り、
「あったってぇーいいだろうぉーよぉー。皆疲れてぇんのぉー!」
「・・・」
俺は軽く頷いた。確かに疲れる。間違い無い。
「だぁろうぉー」
父は、腕を組みながらドヤ顔だ。俺は、憐れみを隠し切れない視線を父からそっと外した。
≪チッ
おや、珍しく察して ~
「つぅかさぁー。4匹も狩って核だけって何だよぉ~。小魔晶石の1つくらい落とせっつぅーの!けちくせぇーなぁー」
~ 無いか・・・。父は、舌打ちをすると愚痴り始めた。
「なぁーおめぇーもそう思うろうぉー?魔獣は、ケチだケチ! あぁー、もうやってられねぇーぜぇ!酒だぁ!酒けー!」
「・・・」
*****核と魔晶石の説明*****
【核】や【魔晶石】は、魔獣の体内で生成される半透明の石の事をいう。
核とは、大きさ1cm以下の魔晶石の事をいう。色は【半透明空色】
魔晶石とは、【活性魔晶石】と【非活性魔晶石】の事をいう。
活性魔晶石とは、属性を帯びた魔晶石の事で、魔術師の魔術補助や魔導具の起動に利用される。一度帯びた属性を取り除く事は不可能で、魔力を再注入する事で砕け散るまで何度も利用する事ができる。
地属性を帯びた魔晶石の色は【茶褐色】
水属性を帯びた魔晶石の色は【青褐色】
火属性を帯びた魔晶石の色は【赤褐色】
風属性を帯びた魔晶石の色は【黄褐色】
聖属性を帯びた魔晶石の色は【黄金色】
邪属性を帯びた魔晶石の色は【黒紅色】
光属性を帯びた魔晶石は色は【真珠色】
闇属性を帯びた魔晶石は色は【漆黒色】
非活性魔晶石とは、属性を帯びていない魔晶石の事で、属性を注入する事で任意の属性を帯びた魔晶石を生成する事ができる。色は【半透明空色】
魔晶石のサイズ
1cm以上3cm以下【小魔晶石】
3cm以上【中魔晶石】
5cm以上【大魔晶石】
10cm以下【魔石】
10cm以上【大魔石】
*****核と魔晶石の説明おわり*****
≪クンクン
親父は、ジュルムを射った矢を拾い上げると、鏃に付いた粘液の匂いを嗅いでいる。
≪ペロッ
そして、徐に口へ近付けると舐めた。
「うわぁっ!相変わらずまじぃなこれぇ!」
≪ペッペッ ペッ
「いやぁーこれ、あめぇー匂いがすぅん≪ペッ だろうぉ~!何となく舐め≪ペッペッ ちぃまうんだよぉ~!」
「あぁ・・・」
こいつは俺の父親な訳で、俺にも思う所はある訳で・・・
「これで味も甘けりゃ最高なのになぁー≪ペッ ほんと残念だぁ~ワッハッハッハ!≪ウェ ペッ」
「そ、そうだな・・・」
本当に、残念だと思う。
≪キュッキュッ シュッ
父は、鏃の粘液を木の葉で綺麗に拭き取り、矢を矢筒に戻すと、
「まっ。居ねぇーもんは狩れねぇってぇーなぁっ・・・!≪ペッ 帰って酒だぁ!」
藪の奥を指差した。そして、村に向かって歩き始める。
「獲物袋はぁー、あっちに置いてあっからよ・ろ・し・くぅ!」
「おい、ちょっと待てよぉ」
≪タッタッタッタッタッタ ガサガサ ガサゴソ タッタッタッタ ―――
俺は、獲物袋を急ぎ回収し、
――― タッタッタッタッタッタ ザザァッ
父の後を追った。
「お前も今度舐めてみっかぁ?」
≪はぁ~はぁ~はぁ~
「・・・いや、やめとく・・・」
「そっかぁ~まじぃしなぁ!ワッハッハッハ」
余談だが、輓獣や荷車が使えない森や山等での狩りでは、獲物袋の運搬が一番重労働だ。
「親父、酒飲む前に、もう一仕事あるからな」
「わぁ~ってんよぉ!」
今日はいつもの半分程の重さなので軽い。嬉しいのやら悲しいのやら・・・
*****簡易説明*****
俺の生まれ故郷は、世界の中心【ゼルフォーラ大陸】にある大国【ゼルフォーラ王国】の【貴族領】で【アンカー男爵領】の【マルアスピー村】という。ゼルフォーラ大陸の5分の3程を占める大森林【大樹の森】の【聖域】に最も近い集落として有名だ。
聖域の中央には【樹齢UNKNOWN】高さ300m以上の【精霊樹】があり、【世界創造神信仰】の象徴の1つとして崇めたて奉られている。
村境(領地範囲)
東の境界 大樹の森にある【コルト湖】を
水源とする【コルト川】まで。
南の境界 コルト川によって分断された
【ヒグマ山脈】の
先端【ヒグマの丘】まで。
西の境界 大樹の森まで。
北の境界 大樹の森まで。
村の面積(アンカー男爵領領地面積)
南北約3800m東西約5000m
約19㎢
自然の財産:【森】【林】【川】【湖】【池】【山】【海】等は、ゼルフォーラ王国では国王の管理下に置かれる。ただし、聖域のある大樹の森に関しては【世界創造神様】の森として財産は国籍問わず全ての者に解放されている。
世界創造神信仰の【伝統行事】として、マルアスピー村では毎年2つの祭りが行われる。
【5月1日~5月10日】で行われる
【春の大樹の森・大奉納祭】(奉納祈願の祭り)
【11月1日~11月12日】で行われる
【秋の大樹の森・大感謝祭】(感謝賛美の祭り)
そして、明日5月1日は大奉納祭初日で、世界創造神様に奉納する森猪を村の青年団が協力して大樹の森の中で仕留める【森猪狩り】が行われる。
1年は、13ヶ月。
4月~6月は、【息吹の春】
7月~9月は、【火焔の夏】
10月は、【大樹の休息】
11月~13月は、【結束の秋】
1月~3月は、【水煙の冬】
1ヶ月は、30日。3週間。
1週間は、10日。
【無】1日 11日 21日
【地】2日 12日 22日
【水】3日 13日 23日
【火】4日 14日 24日
【風】5日 15日 25日
【聖】6日 16日 26日
【邪】7日 17日 27日
【光】8日 18日 28日
【闇】9日 19日 29日
【大樹】10日 【樹】20日 30日
時間の概念は無い。日が昇り明るくなると朝。日が沈み暗くなると夜。
陽は2つ存在する。【横陽】東から昇り西に沈む陽と、【縦陽】南から昇り北に沈む一回り小さな陽。横陽と縦陽の重なり1つの陽になっている時間を昼と認識する。
この世界に月は無い。
*****簡易説明おわり*****
――― 帰村
村の北口【加工場口】から村に戻ると、入って直ぐ左側にある公共の【素材解体加工所】で、今日仕留めた獲物の解体作業を始めた。
今日はいつもより少ないが、獣の【森狐】4匹と【森猪】2匹を手際良く【森狐の皮】4枚と、【森狐の牙】8本と、【森狐の肉】24Kg。【森猪の皮】2枚と、【森猪の牙】4本と、【森猪の肉】43Kg。【出汁加工用骨】10Kgの、素材にした。ジュルムは自然消滅する稀な生き物で解体する必要が無い。4匹分で【核】4つ。
解体後は、父による加工作業だ。
解体した素材はそのまま【素材買取所】に売っても良いが、加工の能力を所持しているのなら、一手間加え素材のレア度を上げ高く売った方が良い。
解体の能力を所持していない者は、仕留めた獲物をそのまま素材買取所に持ち込み解体手数料を支払い買い取って貰う事も可能だ。
父はあっという間に、森狐の皮4枚を【森狐の毛皮】4枚と、【森狐の尻尾】4本にし、森猪の皮2枚を【森猪の革】2枚にした。牙骨角爪の加工は時間がある時に家で集中してやるそうだ。
解体と加工を終え、村に2軒ある素材買取所の1つで、加工場口に近い【北部素材買取所】で本日の成果を金に換えると真っ直ぐ帰宅した。
――― 自宅
≪バァッン
「今日の稼ぎはぁー!核が4個で2000NL。森猪の革が2枚で2000NL。森狐の毛皮が4枚で6400NL。森狐の尻尾が4本で3200NL。森猪の肉が40Kgで16000NL。森狐の肉が20Kgで3200NL。森猪の牙4本と森狐の牙8本は次の機会だぁ!」
≪コツコツコツコツ コツコツ ドサッ
父は、玄関のドアを開けるや否や、台所に向かって大声で今日の稼ぎを詳細に説明しながら、居間へと歩き椅子に腰掛けた。
≪ジャッ ジャッジャッ
「ってなぁ!訳でぇー【大金貨】65枚。【金貨】1枚。【小金貨】1枚で、32800NL。ここに、置いとくぞぉー↑」
腰ベルトに括り付けた財布代わりの布袋を取り外すと、台所に向かって音が聞こえる様に布袋を2・3度上下に振ってから、居間にあるウッドテーブルに置いた。
*****通貨の説明*****
【通貨】通貨単位【NL】
使用可能な国
【ゼルフォーラ王国】【ヴァルオリティア帝国】
【トミーサス王国】【ララコバイア王国】
【ドラゴラルシム王国】
非NLの国は13ヵ国存在する。
大息吹の大陸ネコトミサール全土を
統治する【ターンビット王国】の
通貨【C&M】等
小銅貨=1NL
銅貨=5NL
小銀貨=20NL
銀貨=40NL
小金貨=100NL
金貨=200NL
大金貨=500NL
国家、貴族、豪商間で行われる大きな取引には
【世界通貨】が利用される。
小白金貨=約2000NL
白金貨=約5000NL
大白金貨=約10000NL
世界通貨で取引する際の小額分は、支払う側の通貨が優先される。慣例として国際取引では、端数を切り上げする事が多い。
世間に余り流通していない世界通貨や異なる通貨の代わりとして、【商人商家協会】通称【商人ギルド】に金を預け【MGカード】(複製偽装不可)を発行して貰い。各国の商人ギルドで、利用可能な通貨を預けた金の範囲内で引き出し利用する方法がある。発行手数料は小白金貨1枚。毎年10月1日にカード継続利用料として、預けた金から自動で引き落としされる。紛失盗難時の再発行の手数料はかからない。他人のカードを扱う事は不可能。
*****通貨の説明おわり*****
「ちぃーっとばぁっかし少ねぇけど、魔晶石が1つも出ねぇーしって感じでなぁ!」
「お帰りさない。今日は随分早いのね」
2階から母の声が聞こえる。
「あっれぇー、2階だったのかぁ!今日の稼ぎは、32800NLだったぞぉー核が4個でぇー」
父は、2階に居る母に向かって、更に大きな声で説明し始めた。
≪パタン パタパタパタ タッタッタッタ ―――
「大金貨65枚と、金貨1枚と、小金貨1枚で32800NLね。ご近所様にまでハッキリ聞こえていたと思いますよ」
≪ ――― トコトコトコ
母は、呆れた口調で父に話かけながら階段を降り台所へ移動した。
母の名前は【メアリー・シャレット】個体レベル12。【JOB・cho《任意16》】BT【魔術師】レベル5。【JOB・inh】NBT【縫製職人】レベル7。【JOB・inh】NBT【為政家】レベル3。年齢43歳。B型。虹彩ゼウス色、髪色ゼウス色、髪型ミディアムロング、身長160cm、体型スリム。※D※容姿端麗で、とても温和で優しくて洗練された立ち居振る舞い、父とは不釣り合いな人だ。
因みに、家のご近所様は、西に160m程離れた【シン家士爵家】と、南に200m程離れた【ガガ家】の2軒だけなので、どんなに大声で話をしたところで聞こえる事はまず無いだろう。
ただ、父の声が煩いという事にかわりはない。
*****村の簡易説明*****
俺の家は、【王民居住地区】と呼ばれる地図の左上の北口の近くで①の場所にある。家の目の前に公共の素材解体加工所がある。
アンカー男爵家一族:4人
執事:1人
使用人:10人
貴族領軍私兵隊:18人
アンカー男爵家の専従奴隷:108人
王民(国王の民):7家25人
(内シャレット家は:3人)
王民7家共有農地、専従期間限定奴隷:14人
領民(貴族領の民):356人
通行管理税徴収兵
(王都から派遣された王国軍の兵士):5人
村の総人口:541人
(内16歳~29歳の男は、ロイクを含め9人)
*****簡易説明おわり*****
≪ドサッ ドサッ ドカッ
「忘れるところだった、母さん、これ家の分」
俺は台所に移動し、獲物袋から売らずに持ち帰った森猪の肉3Kgと森狐の肉4Kgと骨10Kgを取り出し調理台の上に置いた。
「あら、こんなに沢山?」
「それがさ、森の獣や魔獣がいつもより少ない気がして、念の為に家にストックしておこうかなって思ってさ」
「あら、明日のお祭りの猪は大丈夫なの?」
「奉納用の1匹位は何とかなると思うけど」
「そっそ、1匹だろうぉー!何ともなるってぇ!フルパーティーで狩りだろうぉー。そっれっとぉっー。骨だけどよぉ半分こっちにくれや」
母と俺との会話に父が入って来た。
「残しておくわ」
「おぅ!」
「今年は青年団に9人も人がいたのね?」
「一応9人って感じ。NBTの【商人・回復道具屋】【料理人】【鍛冶職人】【為政家】が4人と、LBTの【狩人】が3人。3人っていても1人は俺で【狩人】見習いだから微妙だとして、BTは【冒険家】と【王国軍・徴収兵】が2人。何とも言えないフルパーティーメンバーだと思う」
「あぁーなんだぁ!ロイクぅーお前は、狩人見習いかもしんねぇーけど、本当ならレベル5か6はあるはずだぞぉ!俺が、保証する!うん」
「いやいや、あるはずだぞって言われても、見習いは所詮見習いだから・・・それに個体レベルは未だに1のままだし、JOBのレベルが5とか6って言われても、個体レベルが俺より上のNBTメンバーの方が結局強いだろう」
そう、JOBのレベルよりも、この世界は個体レベルの方が重要なのである。
「そうぉーかもしんねぇーけどよぉー。うーん。よぉっし!明日用に、お前の装備武器一式メンテナンスしてやるよ。よこしな」
「あぁ・・・。ありがとう」
≪コト トン トン シュルッコト シュルッコト
「それじゃ、これお願いするよ」
「おぅ。まっかせてぇおけぇぃ!」
俺は、左肩に掛けた弓と右肩に背負った矢筒2つと腰ベルトに固定した短剣2本を父の目の前のウッドテーブルに置いた。俺の矢筒には12本ずつ矢が収納してある。結構な量だけど宜しくお願いします。
「お父さんがメンテナンスしている間に、お肉の加工手伝って貰えるかしら?」
「了解。森猪の肉はハムで、森狐の肉は干し肉で良いのかな?」
「そうね」
――― 約2時間半後、自宅2階ロイク自室
俺は、母と肉の加工を済ませ、メンテナンス処理を済ませた装備一式を父から受け取ると自分の部屋へ移動した。
俺の部屋は、ドアを開けると目の前に観音開きの窓と机。右側の壁に押し付ける様にベッドとタンス。大切な物はベッドの下の木箱に収納。こざっぱりとして無駄が無い。弓と矢筒は机の横に立て掛け、短剣は枕元に護身用1本、机の上に1本。
俺は、ベッドの下の木箱から、傷だらけの木版を取り出し、ナイフで2本線を削り加えた。16歳の誕生日、初めて狩りをした日から仕留めた獣や魔獣の数を1匹1本で記録し続けている俺の日課だ。今日の狩りで、通算1000匹目なのだが、それでも個体レベルは上がらなかった。
同い年で回復道具屋の息子バラは個体レベル10。【JOB・inh】NBT【商人・回復道具屋】レベル2。年齢24歳。A型。虹彩ガンビア色、髪色オリーブブラウン色、髪型ボブ。身長202cm、体型スラング。血を見るのが苦手な男だ。・・・そうだ、バラで思い出した。明日の為に回復道具を買っておかなくちゃ。忘れるところだった。
――― マルアスピー村の回復道具屋
≪ガチャッ キー カラーン カラーン カラーン
「いらっしゃい。って、ロイクかよ・・・」
≪キー トン カラーン カラーン カラーン
俺は、夕食までには帰宅すると母に告げ、村に1軒しかない回復道具屋に移動した。
「今日は店番か?」
「そ、午後は親父の代わりに暇な店番。で、今日は何を買いに来たの?」
店番をしている男の名前は【バラ】。村で1・2を争う巨漢で、競っている訳ではないけれど、相手は本人の父親で店主のビリーさん。
「明日の森猪狩り用に回復道具を幾つか買っておこうと思って」
「毎年思うけど、狩りに強制参加は絶対おかしいって、商人が狩りって納得いかないよ」
「そっか。俺より強い、回復道具屋のバラ様なら狩りの1つや2つ平気だろう」
春の大樹の森・大奉納祭の初日に行われる村の青年団による森猪狩りは、村に住む16歳~29歳の男性なら必ず参加しなくてはいけない。16歳~20歳の未婚女性は希望すれば参加できる。元々は、BT・JOBとLBT・JOBの16歳~29歳の村在住の男だけで行っていたのだが、人口減少が原因で段階的に今に至った。
「言っておくけど、僕は、NBT【商人・回復道具屋】レベル2で、個体レベル11の一般人だから」
「あれ?・・・バラって個体レベル10じゃなかったっけ?」
≪≪≪≪≪登場人物紹介≫≫≫≫≫
―――主人公―――
【名前】ロイク・シャレット 【性別】男
【種族】人間族 【個体レベル】1
上記は、スキル【Évaluation・STATUS】レベル1で確認可能な個人情報範囲。下記からは、スキルレベル2以上必要になる。
【生年月日】R4051年3月10日(大樹)
※R《リーファ歴》※
【年齢】24歳 【血液型】B型
下記からは、スキルレベル3以上必要。
【身分】王民貴族 【階級】士爵家の長男
【賞】なし
【罰】なし
下記からは、スキルレベル4以上必要。
スキル【Disguise】を見破る。
【虹彩】フロス色
【髪色】ゼウス色
【髪型】セミロング
下記からは、スキルレベル5以上必要。
スキル【Mimicry】を見破る。
【身長】168.7cm 【体重】55Kg
【体型】リーン 【利腕】右
下記からは、スキルレベル6以上必要。
スキル【Transform】を見破る。
【状態】異常なし
【JOB・cho(本職)】選択不可
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
下記からは、スキルレベル7以上必要。
JOB継承父系母系の鑑定には、スキルレベル8以上必要。
【JOB・inh】
LBT:【狩人】見習い≪父系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【皮革職人】見習い≪父系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【為政家】見習い≪母系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【縫製職人】見習い≪母系継承≫
下記からは、スキルレベル9以上が必要。
≪STATUS≫
【HP】50
【MP】28
【STR】24
【DEX】24
【VIT】25
【AGI】38
【INT】31
【MND】30
【LUK】12
下記からは、スキルレベル10が必要。
※御褒美開示。老若男女問わず。※
下記は主人公の個人情報ではありません****
※【B】※
※【W】※
※【H】※
【使途】:神の使い
【加護】:精霊より与えられる
【天恵、慈愛、冥護】:神より神授
【きまぐれ】:世界創造神様より神授
**********************
【N/A】(ロイクは何も受けていない)
≪LIFE・SKILL≫
※王宮・教会・学芸院・騎士団・各協会で
付与可能なスキル※
※付与可能なスキルレベル3まで。
付与されたレベルから成長する事はない※
※国から報酬として付与される際の
税金は免除される※
※満16歳から付与可能※
スキル【Évaluation・SKILL】レベル1で、確認可能なスキル情報範囲はスキルの名称まで、スキルレベルの鑑定には、スキルレベル2以上必要。
【N/A】(ロイクは所持していない)
下記からは、スキルレベル3以上必要。
スキルレベルの鑑定には、
スキルレベル4以上必要。
≪SENSE・SKILL≫
※知識として学び身体で覚える事で、
適性を持った者なら取得可能※
※ライフ・スキルがセンス・スキルに
移行する場合がある※
【弓の心得】レベル4
(弓装備時、弓の補正値が反映される)
【短剣の心得】レベル3
(短剣装備時、短剣の補正値が反映される)
【剣の心得】レベル1
(剣装備時、剣の補正値が反映される)
【衣の心得】レベル2
(衣装備時、衣の補正値が反映される)
【軽鎧の心得】レベル1
(軽鎧装備時、鎧の補正値が反映される)
【盾の心得】レベル1
(盾装備時、盾の補正値が反映される)
【俊足】レベル3
(移動速度が上昇する)
【警戒】レベル3
(危険感知と感知範囲拡大)
【解体】レベル3
(装備、獣、魔獣を素材にする)
【加工・全】レベル2
(素材の価値を高める)
【地属性の心得】レベル1
(地属性の素養を持つ)
【水属性の心得】レベル1
(水属性の素養を持つ)
【火属性の心得】レベル1
(火属性の素養を持つ)
【風属性の心得】レベル1
(風属性の素養を持つ)
下記からは、スキルレベル5が必要。
≪BIRTHDAY・SKILL≫
※16歳の誕生日の日に神授される事がある※
※解析不可能な場合が多い※
【*****】(UNKNOWN)
【*****】(UNKNOWN)
【********】(UNKNOWN)
―――主人公の紹介おわり―――
―――主人公の父親―――
【名前】バイル・シャレット 【性別】男
【種族】人間族 【個体レベル】26
【生年月日】R4030年10月19日
【年齢】45歳 【血液型】O型
【身分】王民貴族 【階級】士爵
【賞】
ゼルフォーラ王国
聖焔中勲章 叙勲
ゼルフォーラ王国
一代貴族士爵位 叙爵
ゼルフォーラ王国
王宮騎士団第1師団名誉団員 任命
世界創造神創生教会
神聖サルト騎士団名誉騎士爵 叙勲
【罰】なし
【虹彩】ミモザ色
【髪色】ラシャ色
【髪型】スパイキー
【身長】176cm 【体重】66Kg
【体型】ローバスト 【利腕】右
【状態】異常なし
【JOB・cho(本職)】≪任意≫
BT:【射手】レベル7
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
【JOB・inh】
LBT:【狩人】レベル10≪父系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【皮革職人】レベル6≪母系継承≫
≪STATUS≫
【HP】137
【MP】83
【STR】113
【DEX】90
【VIT】107
【AGI】115
【INT】102
【MND】100
【LUK】90
【N/A】
≪LIFE・SKILL≫
【N/A】
≪SENSE・SKILL≫
【弓の心得】レベル6
【短剣の心得】レベル5
【剣の心得】レベル3
【斧の心得】レベル5
(斧装備時、斧の補正値が反映される)
【衣の心得】レベル4
【軽鎧の心得】レベル1
【盾の心得】レベル1
【警戒】レベル6
【解体】レベル6
【加工・基礎】レベル10
【加工・皮革】レベル6
【加工・骨角牙爪】レベル7
【地属性の心得】レベル3
【地属性特化】レベル1
(物理攻撃に地属性を付加できる)
【地属性耐性】レベル1(地属性耐性)
【風属性の心得】レベル2
【風属性特化】レベル2
(物理攻撃に風属性を付加できる)
【風属性耐性】レベル2(風属性耐性)
≪BIRTHDAY・SKILL≫
【遠望】:消費【MP】30で60秒間
半径10Km内を鮮明に
視認できる。暗視不可。
【上位加工・武具】:スキル【加工・武具】の
上位スキル。武器・防具・装飾品
限定の加工。
―――主人公の父親の紹介おわり―――
―――主人公の母親の紹介―――
【名前】メアリー・シャレット 【性別】女
【種族】人間族 【個体レベル】18
【生年月日】R4033年12月23日
【年齢】42歳 【血液型】B型
【身分】王民貴族 【階級】士爵の正妻
【賞】なし 【罰】なし
【虹彩】ゼウス色
【髪色】ゼウス色
【髪型】ミディアムロング
【身長】160cm 【体重】48Kg
【体型】カービー 【利腕】右
【状態】異常なし
【JOB・cho(本職)】≪任意≫
BT:【魔術師】レベル5
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
【JOB・inh】
LBT:【為政家】レベル3≪父系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【縫製職人】レベル7≪母系継承≫
≪STATUS≫
【HP】89
【MP】127(98+29.4)
【STR】70
【DEX】84
【VIT】68
【AGI】87
【INT】110(85+25.5)
【MND】111(86+25.8)
【LUK】60
【N/A】
≪LIFE・SKILL≫
【威力強化・魔術】レベル3
(【MP】&【INT】&【MDN】を30%UP)
≪教会付与≫
≪SENSE・SKILL≫
【杖の心得】レベル3
(杖装備時、杖の補正値が反映される)
【衣の心得】レベル2
【法衣の心得】レベル3
(法衣装備時、法衣の補正値が反映される)
【Évaluation・FIBER】レベル3
(繊維限定の鑑定)
【加工・FIBER】レベル3(繊維限定の加工)
【強化・衣】レベル4
(装備防具衣限定強化。補正値を40%UP)
【強化・法衣】レベル2
(装備防具法衣限定強化。補正値を20%UP)
【水属性の心得】レベル3(水属性耐性)
【水属性魔術】レベル3
(魔術攻撃水属性が可能)
【水属性耐性】レベル3
【風属性の心得】レベル2
【風属性魔術】レベル2
(魔術攻撃風属性が可能)
【風属性耐性】レベル2
≪BIRTHDAY・SKILL≫
【範囲魔術単体固定】
(魔術攻撃補助が1発動1単体になる。
ただし発動効果5倍)
―――主人公の母親の紹介おわり―――
―――回復道具屋の息子の紹介―――
【名前】バラ 【性別】男
【種族】人間族 【個体レベル】10
【生年月日】R4051年7月10日
【年齢】24歳 【血液型】A型
【身分】領民 【階級】領民一般
【賞】なし 【罰】なし
【虹彩】ガンビア色
【髪色】オリーブブラウン色
【髪型】ボブ
【身長】202cm 【体重】100Kg
【体型】マスキュウラ 【利腕】右
【状態】異常なし
【JOB・cho(本職)】≪継承16≫
NBT:【商人・回復道具屋】レベル2
【装備武器】装備中のみ表記
【装備防具】装備中のみ表記
【装備装飾】装備中のみ表記
【JOB・inh】
※JOB・cho移行※≪父系継承≫
【JOB・inh】
NBT:【農家】レベル1≪母系継承≫
≪STATUS≫(JOBがNBTの者の数値は計測不可能)
【UNKNOWN】
【N/A】
≪LIFE・SKILL≫
【調合・回復水】レベル3
(回復水の調合。30%の確率で同量の材料で
2倍生成)≪商人付与≫
【警戒】レベル1 ≪商人商家協会付与≫
【Évaluation・GRASS】レベル3
(草限定の鑑定)≪商人商家協会付与≫
≪SENSE・SKILL≫
【土属性の心得】レベル2
【土属性魔術】レベル1
(魔術攻撃土属性が可能)
【土属性耐性】レベル1(土属性耐性)
【商業会計】レベル2
(金に関係する計算の補助)
【利益還元】レベル1
(取引成立時の個体レベルの
取得経験値110%UP)
【加工・GRASS】レベル1(草限定の加工)
≪BIRTHDAY・SKILL≫
【N/A】
―――回復道具屋の息子の紹介おわり―――
ありがとうございました。