第二十二話「夢」
多くのことは望まない。
ただ、どちらかでよかった。
花火が、見ていられない位に、ひどいモノだったら。
ここに君が居てくれたら。
ほんと、どっちかでよかったんだ。
でも、花火はすっごいキレイだし、ここに君は居ない。
だから、こそ。
少年は走った。
そして、白い少女は――――
「お前……えーっと、ダレだっけ」
なんだろう。
なんかこの猫、すごいなつかしい感じがする。
「にゃあ」
三本足の白い子猫は、人のお腹の上でやる気無さそうに鳴きやがった。
「ていうか! なんでぼくを止めたんだ!! こっちは必死に……」
ブーー!!!!!!!
いきなり横からクラクションの音が聞こえてきて、思わずぼくの身体がビクっ!と跳ねた。
「なぁ~う」
倒れたぼくのすぐ目の前で、大きな車がえげつないスピードで通りすぎて行った。
……あぶねぇ!!!!
あのまま進んでいたら、ぶつかってた!!!
「お前、ぼくを助けてくれたのか?」
「にぁぅ」
子猫はまたやる気の無さそうに鳴くとようやくぼくのお腹から降りた。
「ありがとうなって、おい待ってよ!」
白い子猫はその短い三本足を使って器用に歩く。
そして目の前の信号を渡りきると、『ついて来い』と言わんばかりにこちらを見つめてきた。
「まさかお前、病院までの道を教えてくれるのか!!?」
「にゃー」
「その『にゃー』は"イエス"ってことで……いいんだよな??」
「イニャスゥ……」
「マジで!? 信じるからな!!?」
「……ニャッ!」
しつこいと思われたのか、チビはそっぽを向いて走り出してしまった。
「あっ ちょっ! 待って!!」
急いでぼくも追いかけなきゃ!
夜の街を駆け巡る、一人と一匹。
今は大変な時で、遊んでいるワケでもないけど、君と一緒に走っているだけで何でこんなにうれしく思えるんだろう。
……なぁ、チビ?
☆☆☆☆☆
タイトル「ノンフィクション」その12
「んん……うぅ……」
ねむい。
あれ、なんかいつもとベッドが違う。
「……んん?」
目がなかなか開かない。
わたしはホントに寝起きによわいなぁ。
「…………あれ?」
なんで、こんなに目が開けないんだろう。
おかしいなぁ。
あぁ、そうか。
もとに、もどったんだね。
みんなは、今どうして…………あれ?
「なんで、わたしみんなのこと……」
もとにもどるのなら、わたしのキオクだってなくなっちゃうはずなのに。
…………何か、音が聞こえる。
すごい遠くで何かがバクハツしてる?
「この音どこかで……あっ!」
そうだ! これは花火の音だ!
「今日が花火大会の日なら、"もとにもどる"のは……明日?」
わたしの目だけが、先に見えなくなっちゃったんだ。
じゃあ、明日は笑って過ごさなくちゃ!
天使さんと約束したからね!
アヤカさんも、そうしていたから。
約束……したんだから。
守らなくちゃね。
『わたしは……わたしの夢は、だれかと花火を見ることです!!』
『いい夢だね。ハナちゃんなら、きっとかなえられるよ!』
なんとなく、いつかの会話を思い出す。
「アヤカさん……わたし、夢かなえられなかったよ……」
それでも、十分だ。
わたしは十分幸せだ。
大好きなともだちができて、いくつもの楽しい思い出を作ったんだから。
……思えばあっという間の3年間だったな。
きっと世界がもとにもどっても、楽しくて新しい日々がまた始まってくれるはずだよね。
たとえキオクがなくなっても。
今まで描いた絵が消えたとしても。
みんなと出会ったことがなくなっても。
みんながわたしのことを忘れても。
後悔なんてしないよ。
だって分かってたんだ、こうなることは。
終わりはあるって、天使さんは言っていたから。
そういえば、ここは病院のベッドの上なのかな?
たぶんそうだ。
このにおい、わたしはよく知っている。
みんなは今ごろ、花火を見ているのかな。
ヒビトくんたち、ちゃんと楽しんでいるといいな。
みんな、ずっと楽しみにしてたんだから。
みんな……みんな……わたしも…………ずっと。
見たかったなぁ。
みんなと、大きくてキレイな花火を。
「そうだ」
みんなのこと覚えているうちに、絵を描こう。
……って、スケッチブックないじゃん。
書けないじゃん。
慎重に、慎重に、辺りを手で探った。
この感じひさしぶりだなあ。
何も見えないって、こんなに怖かったっけ?
どこかにないかな。
あっ、何か手に当たった!
って、これはカベか。
じゃあカベをつたっていけば、何か…………。
んんん、これは……棚??
いや、つくえ?
まぁいいや、その上に何か……置いて……!
「あっ!あった!」
こ、これは!スケッチブック!!?
「な、なんでこんなところに」
と、横にも何かある?
平たくて四角い箱だ。
開けてみよう。
「これ……もしかして!!」
ウチにある色えんぴつ入れじゃん!!!
なんてラッキーなの!!お母さんがおいてくれたのかな?
「お母さんありがとう……よしっ!!」
世界がもとにもどる前に、みんなの絵を描こう。
耳をすますと、まだ花火の音が聞こえる。
「そうだ」
みんなが花火を見ている絵にしよう!
っていうかこのスケッチブック……これちゃんと白紙のページに描けてるよね?
それと、このえんぴつは順番通りに入ってるよね??
ちょっとだけ心配だけど、しかたない。
わたしには、もう描くことしかできないんだから。
前に見た打ち上げ花火のことはよく覚えている。
それは、赤くて、オレンジで、緑だったり、青だったり、いろんな色があって……。
丸だったり、おうぎ型だったり、☆だったり、いろんな形があった。
大きかったり、小さかったり、大きいやつの後に、小さいのがパラパラするやつもあったなぁ。
でもそれは描きにくいからいいや。
海辺から見てるとすれば、人がいっぱいいるだろうから描くのしんどいな……。
どこかの展望デッキから花火をながめてることにしよう!
並びは左からヒビト君、ヒカリちゃん、ハルヤ君。
シショーさんは……なんか、別のところから三人を見守ってるような気がする。
絵のなかにはいれないでいいかな……?
ごめんなさい、シショーさん。
その丘には手すりがあって、ヒビト君はそこにウデを乗せて花火をながめてて……。
ヒカリちゃんは、花火をどうにかつかもうとしていて、手すりから身を乗り出して手をいっぱいに伸ばしてる!
ハルヤ君は、そんなヒカリちゃんを見て『あぶねぇ!』って言いながら身体を支えてあげてそうだな……。
「見えなくても、けっこう描けるんだなぁ」
手でページの大きさを確認しつつ、想像しながら描き始めたけど、ここまでスムーズにできてる……気がする。
描けた絵が見れないっていうのが気がかりだけど、多分見なくても問題ない。
思えばここ最近は、絵を描くときはみんなのことや景色をずっと見て、スケッチブックは見ずに手だけ動かしていたっけ。
そのおかげなのかな?
「よし、仕上げだ」
気づくな。
「夜空をしっかり塗って、花火ももっと細かく描いて、デッキと、手すりもそれっぽくして……」
気づくな……。
「みんなの服にかげを……つけて」
気づかないで……。
「もうちょっとで完成……」
この絵は、もう完成してる。
「まだだよ」
せっかくの絵がつまらなくなる。
「ヒビト君の横が"空白"になってる」
嫌いなものなんか、描かないで……!
「ちがう。わたしは、もう――――」
☆☆☆☆☆
ココロの中には、いつもあなたが居た。
「この目が見えるようになってから、いろんなものを見て、描いてきたよね」
メカクシをした、わたしが居た。
「何でもない道だって、カベの面白いもようだって、虫さんだって、花だって、大好きなともだちだって、ボールだって、空だって、海だって、花火だって、なんだって描いてきた」
今ならわかる。
あなたは、"悪いやつ"でも"イヤなやつ"でもない。
「『絵を描くのは忘れないため』
……なんて、ホントは後付けなの」
ほんのちょっと、わたしより正直なだけだ。
「知ってるよ。"好き"だから絵を描いてきたんだ」
目が見えるようになってからのわたしは……。
「そんなわたしでも、一度も描かなかったものがあるの」
目に見えるモノだけを信じて、愛して、
あなたのことを……"ココロの声"から目を背けてきた。
「……それも知ってるよ。でも仕方ないだろ。
嫌いなものは描かないし。
つまらないものも描きたくない。
わたしは好きなものだけを、キレイなものだけを、面白いものだけを描いていたいんだから」
けれど、みんなと出会ってわたしは変わった。
「……お前を初めて見たときのこと、よく覚えてる」
すごく、変わった。
ダレが見ても分からないだろうけど。
「あなたはわたしを見て"つまらない"って言っていたね」
それは、きっとみんなのおかげだ。
「当たり前だろ。真っ白けで、色がなくてつまらない。オマケに周りの奴らから変に見られる……」
だから、わたしは……!!
「そんなわたしを、みんなが"キレイだ"って言ってくれた」
この絵に!! 空いた空白に…………!!!!
「それでも! お前は……わたしのことを……!!」
夢を……!!!! 描く!!!!!
メカクシをした白い少女……わたしのココロを抱きしめた。
「――――わたしはもう、わたしのことが大好きになれたんだ」
……強く、強く抱きしめた。
わたしのココロは、泣いていた。
赤ちゃんみたいに、泣いていた。
☆☆☆☆☆
この3年で、初めて"わたし"を描いた。
空白を埋めたのは、"ヒビト君の横顔を見て笑っているわたし"だった。
……なみだが止まらないや。
ソデでふかなきゃ、せっかく絵を描いたページがふやけちゃう。
自分のことが"キライなまま"だったら、こんなにつらくなかったんだろうなぁ……。
「はぁ……つらいなぁ…………」
せっかく、わたしはわたしのことが好きになれたのに。
「ほんとに……かなしいよ…………」
わたしの、大好きなみんなとの時間は……。
「いやだ……いやだ……!」
わたしの、大好きなあの日々が……。
「そんなの……イヤだよぉ……!!!」
さみしいな。 もう、終わっちゃうのか。
「ぁあ……う"ぁぁああああぁぁぁああ…………!!!!! うあああぁ"あ"ああああぁぁんん……!!!!!!! いやぁぁぁぁぁぁあ…………!!! やだよおぉぉぉぉお…………!!!!! いやぁ……いやぁぁぁ……!!!!!!!!!!! いやあ"ぁぁぁぁぁ"ぁああ"ん!!!!!」
とつぜん、病室のドアが開いた。
そこに居たのは、ナースさんでも、お母さんでもなかった。
「ハナ……!!!!」
「ヒビト……くん……??」
☆☆☆☆☆
病室のドアを開けると、そこにはひどく泣いているハナがいた。
「はぁ……はぁ……ハナ」
彼女が目を覚ましていることに喜べたのはほんの一瞬のことだった。
「ヒビト君……どうしてここに……?」
「ハナに、会いたかったんだ」
「……なにそれ、おかしいなぁヒビト君は」
ハナは、泣きながらクスりと笑った。
「けど、わたしもおんなじこと思ってたよ」
「ハナは……その、だいじょーぶなの?」
「いやぁ、だいじょーぶじゃないよ。何も見えなくなっちゃったんだ」
「…………」
言葉が出なかった。
ハナが起きてたことへのうれしさと、びっくりと、ショックと、かなしみと、おどろきと、ここまで走ってきた疲れで、なんだかもうワケわかんないや。
「なんで……?」
ハナは、ゆっくりと説明してくれた。
「わたしの目はね、やさしい天使さんからの借り物だったの。だから……返さなくちゃ。だから、今はもう何も見えない」
うん、よくわからない。 わからないけど…………。
「大好きなみんなのことも、大好きな世界のことも、大好きなヒビト君のことも……もう見えないんだ」
泣いている君を見ると、こっちまでかなしくなってくる。
「ホントに何も……何も見えないの」
さみしくて、ココロがキュっとして、つらくて……ぼくまで泣いてしまう…………。
「どこにいるの……ねぇ……」
それを、どうにかしたくて。
泣いた君も、ぼくもどうにかしたくて……どうにかしなくちゃって…………。
「わからないんだよ……! もう、なにも見えないから……!!」
泣きじゃくる彼女の、光を失った目を見つめる。
「ぼくは、ここにいるよ」
10秒間、息を止めて……。
ぼくの口で、彼女の口をふさいだ。
「……しょっぱいね」
ハナは、そう言ってはにかんだ。
「なみだの味だよ。たぶん」
ぼくらはそっと身体を抱きよせあった。
これだけ近いと、いろいろ伝わってくるんだな。
荒くなった息も、
鼻をすする音も、
速くなった心臓の音も。
「ヒビト君も、泣いてるの?」
「な! 泣いてないよ……!」
「じゃあ、今どんな顔しているの?」
「…………イケメンでクールな顔をしているよ」
「なんじゃそりゃ。じゃあ、あなたはどんな身体をしているの?」
「シショーさんみたいに大きくて、みんなのことを守れる強い身体になったんだ」
「カリフラワーは?」
「た、食べれる……よ?」
「君は、君のままがいいよ」
「うん……ごめん」
「ぷっ! あはははは!」
「ハナには、ウソはつけないね……あはは」
「花火は、どうだった?」
「すっごいキレイだったよ。大きくて、いろんな形があって、色があって……みんながそれを見上げててさ!」
「うん、すごいキレイだよね……でも、じゃあちゃんと見てくればよかったのに。 どうしてこんなとこに」
「それさ……言わなきゃだめ?」
「うん。ダメ」
「笑わないでよ?」
「笑わない。やくそくする!」
「…………そこにハナが居なくて、さびしかったから」
「あはーあはははははは!!!!!」
「ねぇ!!!! やくそくは!!!??」
「いやぁ!あははぁ……ごめんって……」
「1秒もやくそく守れてなかったけど??」
「ちがうんだぁ。 面白がったんじゃないよ?」
「じゃあ……なにさ」
「わたしも同じだったから、うれしいんだぁ」
「……そっか、じゃあ来て良かった」
ぼくらは、ずっとくっついていた身体を離した。
そして初めて、彼女のひざ元にスケッチブックがあることに気がついた。
あぁ……この絵は…………。
「この絵は……ハナが描いたの?」
ぼくがそういうと、ハナはひどくおどろいた顔をしてからうつむいてしまった。
「……うん。でも、それは叶わないわたしの夢だから」
彼女の顔が、白い前髪にかくれている。
「なんで?」
「だってわたしの目……もう何も見えないんだよ?」
彼女の光を失った目が、ぼくに語りかけてきた。
"ムリなんだ"って。
"不安なんだ"って。
"こわくてたまらないんだ"って。
「ぼくが思っているよりずっと、"何も見えない"っていうのは怖いんだろうね……」
「こわいよ。つらいし、不安だし、いろいろ大変だし、何も見えなくてすっごくこわい。 そして何より、ヒビト君やみんなのことが見れないのが、何よりもかなしくて……!!!!
世界はすっごいキレイなのに、『もう見れないんだ』って思う度に……なみだが出てくるの……」
いろんなモノを描いてきた彼女だからこそ。
この世界を描いてきた彼女だからこそ。
それはすごく、考えられないくらいにかなしいことなんだろう。
でも、ぼくは、ぼくたちは……!!
「そこにある絵は、ハナが願ったその景色は……ぼくも願ってるんだ。いつか、そうなってほしいって……!! 」
「でも……!!! 」
絶望的でも、まだあきらめるにははやいんだ。
だって、ぼくは知っている。
「あきらめちゃ、ダメなんだ! ぼくたちはまだ……生きているんだから!!」
自分の叶えたい夢さえ見つかる前に、終わってしまった人のことを。
「…………っ!!」
ハナの、暗くなったココロを明るく照らすために――――
「ヒビトだけじゃないよ!!!」
「オレたちだって同じだ!」
――――二人のヒーローもやってきた!
「ヒカリちゃん……? ハルヤくん……?」
ヒカリとハルヤは、ゆっくりとハナに近づいた。
「わたしは……花火だけじゃなくて、もっとたくさん!まだまだヒメとやりたいことたくさんあるよ!!」
「オレだってそうだ。やっぱ楽しいことをするなら、みんな一緒じゃなくちゃな」
「二人とも……ありがとう」
ハナはまだ泣いているけど、少しだけうれしそうな顔にもどってくれた。
「目のことは、さっきチョロっと聞こえた。 ハナちゃんはもう何も……」
「うん、そうなんだ……」
二人は、ハナの光を失った目を見てショックを受けているようだ。
それでも……いや、だからこそ、ヒカリは元気な声を出した。
「だいじょーぶだよ!! なんとかなる!!! いや、なんとかしてあげる!!!!」
続いて、ハルヤも明るい声で言った。
「あぁそうだ。オレたちまだこの先何十年も生きるんだぞ? なんとかなるだろ! なっヒビト!」
「……そうだね。ぼくそのためなら、なんだってするから! ハナも、あきらめちゃダメだよ!!」
ハナは、ゆっくりとうなずいた。
「みんな、本当に……ありがとう……!!! 」
よかった。
ようやく、ハナの笑顔が見れた。
「目を治すって、なんかいい方法あるかな?」
ヒカリがそうつぶやくと、ぼくらはいっせいに考え込んだ。
「やっぱり、医者になるとか?」
「おおハルヤ!ナイスアイデア!」
医者かぁ……むずかしそうだ……けれど!!
「ぼく、医者になるよ!!」
「おぉ!その意気だぞヒビト! でも医者って大変だぞ~? めちゃくちゃ勉強できなきゃいけないらしいから!」
ヒカリに背中を叩かれた。
背中も痛いし、勉強という言葉に耳が痛い。
「べ、べんきょうくらいどうってことないよ!!」
「頑張れよヒビトー! これは夏休みの宿題なんかに苦戦してる場合じゃねぇな!」
ハルヤにも背中をたたかれた。
「それよりお前らさっきから背中をたたく力が強い!!! けっこう痛い!!」
「うれしいよみんな。わたし、ホントにうれしい」
ハナは、すっかり明るい顔にもどっていた。
「勉強は大変だろうけど、ぼくがんばるからね!!」
「どうってことないよヒメ! わたしにだって、してほしいことがあれば何でも言ってね!」
「あぁ、オレもそうだ。じゃんじゃん頼ってくれ!」
「みんなに、見せたいモノがあるんだ」
「見せたいモノ?」
ハナが、見せたいものって一体なんだろう。
「わたしが描いた、絵本があるの」
「へぇー!! さすがヒメだね! 絵本まで描いていたんだ! 」
「そう。 だから……明日…………」
……あれ? なんか、耳鳴りが……。
「わた……し………の…………家………………で」
ダメだ……なんか、ハナの声が…………遠く…………。
「待っ………て…………………!」
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それは、まるで劇場の幕が降りて場面が転換するときのように…………
……ちょっと待ってよ。
まだ、あの子には伝えたいことがあるんだ。
伝えられていないことがあるんだ。
だから……お願いだ。
あと、1日だけ…………!!!!
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