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すっごいキレイな、ヒューどっかーん!  作者: 健康っていいね
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第十話「リトルヒーローズ 前」

ヒーローは戦う。


正義を守るため、平和を守るため、大切なモノを守るため、プライドを守るために。


戦い方は人それぞれ。戦う相手も人それぞれ。


きっと、勇気を持って何かを守るために戦う存在を、人々はヒーローと呼ぶのだろう。


すっごいキレイな、ヒューどっかーん!

10話「リトルヒーローズ 前」です。よろしくお願いします。

 

 牛乳の入ったすいとうをぶら下げ、ぼくは走っている。




 今日もにぎやかな商店街を進んで行き、その先にあったのはとあるタバコ屋さん。




「こんにちは!」




「オウ、こんにちは。クソガキ」




 ぶっきらぼうにあいさつを返してくれたのは、以前ぼくが思いっきりすいとうをぶつけてしまったおじさんだ。




 おじさんはなんと、この小さなタバコ屋さんの店員さんなのだ。




 いつしかここを通った時におじさんに見つけられ、


『あんときのクソガキィィ!!!』


 と指をさされて以来、ここを通るたびおじさんにあいさつをするようになったんだ。




「それにしてもなんだ。おめぇ、最近やたらとニヤニヤしてるじゃねぇか、気持ちわりぃったら……」




「そういうおじさんはいつも新聞見ては世知辛そうな顔してんじゃないか」




「まぁな。大人の世界にはいろいろ…………って、そんな言葉どこで覚えたんだよ。おめぇまだ小学生だろ??」




『世知辛い』という言葉は、ヒカリが使っていた言葉だ。




 最近何かと


『セチガライのじゃ!セチガライのじゃ!』


 とヒカリがうるさかったせいで、うつってしまったのだ。




「こんなガキが世知辛いとか言い出す世界のが、よっぽど世知辛いよなぁ……なぁクソガキ。おめぇのそのニヤニヤはあれか?好きな子でもできたのか?」




 "好きな子"というワードを聞いた時、頭のすみっこに真っ白な少女のキレイな髪が見えた。




「……ぐぬぬっっ!!!」




「ぐぬぬて、歌舞伎みてぇな反応するなお前」




 ぼくの周りのヤツらはどうしてすぐそういうことに気がつくんだ!!!




 ぼくは必死に隠しているというのに!!!




「ちっちがうし!!気になってるだけだし!」




 おじさんのぶっきらぼうな顔が、イヤ~なニヤケ顔に変わった。




「ヘッヘッヘ、いいじゃねぇか!若ぇんだからよ!当たって砕けちまぇ!!」




 イヤ、くだけたくはないんですが。




「おめぇ今、『くだけたくない』とか思ってたろ? そんなんじゃあダメなんだよなぁ。そうやってウジウジしてる間に他のヤツにとられちまうに決まってんだからよ!」




 "他のヤツ"というワードが耳に入った時、どこぞの『ぬれがらす様』が頭をよぎった。





『わたしがヒメと結婚することになる』





「イヤイヤイヤイヤイヤ!!ナイナイナイ!!!」




「そっ、そんなに否定することかよ? ってそうだ。お前に伝えなきゃならんことがあった。チビちゃんのことなんだがな」




 おじさんの言う『チビちゃん』とは、もちろんあの足をケガした白い子猫こと、チビである。



 実は、というほどのことでもないけれど、ここの商店街に居るほとんど人たちは、ぼくより前にチビのことを知っていたらしい。




 なんでもこの商店街にはあらゆる店のうら側――主に食べ物を売っている店――にネコたちがかくれているらしいが、少し前にこの辺りでは見かけない白猫が迷いこんできたので、そいつがこのタバコ屋さんの裏を気に入って住み着くようになったので、おじさんがちょくちょくめんどうを見るようになったということなのだ。




 チビのケガは、ぼくがチビと初めて会った少し前からあったみたいで、はじめは小さいシミのようなモノだったらしい。




 それがだんだんひどくなっていて、最近ではもう、見たら「うわぁ……」って言っちゃうくらいのひどさになっている。




「今度、俺の知り合いに獣医やってるヤツが居るんだが、そいつんとこ持っていこうと思ってな」




「ジュウイってなに?」




「……あー、獣医ってのはアレだ。動物のお医者さんだよ。流石にチビちゃんの足があのままだと可哀想だろ?」




 動物のお医者さん……ってことは!




「じゃあ、チビの足治るんだ!!」




 コーフン気味にぼくがそういうと、おじさんは笑いながら、少しだけ困ったような顔をした。




「お、おうよ。まぁ完全に『治る!!』って言い切れはしないがよ、少なくとも今よりは良くなるはずだ。そのために行くんだからな」




「チビ、ずっと足痛そうにしてたからな~!治るの楽しみだな~!」




「って、お前オレの話ちゃんと聞いてないだろ……」




 他のネコみたいに元気に動き回るチビを想像して、思わず顔がユル~くなってしまう。




「ありがとうおじさん!チビのとこ行ってくる!」





「あぁそうだ。ちょっと待て!」




 チビの元へ歩いて行こうとしたところを呼び止められた。




「なぁに?おじさん」




「これ、お前のだろ?一応、汚れてたから洗っといたぞ」




 そう言っておじさんが取り出したのは、ぼくのハンカチだった。




「あっそれ、チビにつけてたやつ!外したの?」




 おじさんの手からハンカチをヒョイっと受けとる。




「まぁな、何もないよりは良いんだが、もっとちゃんとしたの着けてあげなきゃ可愛そうだと思ってな。動物用のガーゼに付け替えておいた」




「おじさんがあの付け替えをやったの!?大変だったでしょ……」




「イヤ?そうでもねぇ。俺のことが好きなんだろう、チビちゃん結構大人しかったぞ!」




 へへへ、と鼻をこするおじさん。




 おじさんはそんな調子こいた事言ってるけど、やっぱりチビ、もう結構弱ってるんじゃ…………。




「いろいろありがとうおじさん!チビのところ行ってくるよ!」




 ぼくは少しだけかけ足で、チビのいる裏路地に入っていった。




 ☆☆☆☆☆




「来たぞチビ~……って、あれは」




 こんな暑い日に、真冬日に着るような厚着をしている白い少女がチビ用ダンボールハウスの前にかがんでいた。




 サングラスとぼうしは外しているみたいだ。




「よし、びっくりさせてやろう……」




 だ~れだ!って目をかくすやつ、ヒカリによくやられるんだよな。



 手はヒカリなのに、声はハルヤが出してダマされるみたいなやつもよくやられる。



 ぼくは足音をたてないように、そ~~っとハナに近づいていく。



 あと一歩のところまで来てもハナがぼくに気づく様子はなかった。




 よしよし。





「だ~」




「ヒビトくんシッ!!!」




「うぇっ!?」




 バレてた……だと!!?




 というかまだ『だ~』しか言ってないのにぼくだってことまでバレてたというのか……!




「だから、シィーッ!」




 ハナはこっちをニラんで、ぼくの口の前に人差し指をつき立てた。




「すっ、スミマセン……」




「こっち見て」




 ハナはヒソヒソ声でそう言って、ダンボールハウスに視線をもどした。




「どれどれ……あっ」




 そこには、まるくなってスヤスヤ眠っているチビがいた。




 その足には、おじさんが話していたピンク色のガーゼが巻かれている。




 この色を選んだのはおじさんだよな……ピンクて、これまた意外な。



 うん、でもぼくのハンカチを巻くよりはガーゼの方が全然いいな。



 後でまたおじさんにちゃんとお礼を言っておこう。




「かぁわいい~♥️」




 ヒカリやママもそうだったんだけど、一体なんで女子たちはかわいい生き物を見ると声が高くなるんだろう。




「かわいいね。ってか、いびき荒いなコイツ」




 チビは一定のリズムで『フグー……フグー……』とイビキをかいていた。




「そのままオヤスミしててね~♥️すぐ描いてあげるからね~♥️」




 ハナはやさしい言葉をかけながら、その白い手でオヤスミしてるチビの頭をナデナデした。





 いや全然、うらやましくなんてないよ。





 ホントだし。いいな~なんて思ってないし。





 そして彼女は、いつものスケッチブックを取り出した。




「今日はチビを描くの?」




「うん、この前来たとき描きそびれちゃったからね。チビちゃんこんなにカワイイのにね~♥️」




 あぁそういえば、この前はぼくとヒカリを追いかけてここまで来てたけど、ヒカリにいさつした後すぐに商店街の方にもどっちゃったんだっけ。





『わたしと、同じなんだね』





 その時にハナが言った言葉を思い出した。



 結局あの言葉の意味はよく分からないままだったな……。




「フンフンフーン♪かわいいと描きがいがあるなぁ♪」




 鼻歌まじりにチビを描いているハナを見て、それを聞くのは止めておこうと思った。




 うん、またいつか思い出した時にでも聞いてみればいっか。




「Zzz…………」




 寝ているチビを描いているハナは、なんだかいつもより楽しそうに見える。




「チビちゃん、ホントにぐっすり寝てるねぇ……」




 ハナの言う通りすごく気持ち良さそうに寝ているチビを見て、ぼくはチビの足が良くなることを願うばかりだった。




「そうだねぇ。寝言で『ゼットゼットゼット』なんて言ってるけど、どんな夢見てるんだろうコイツ……」




「元気に、ヒビトくんと走り回ってる夢じゃないかな?」




「あぁ、いいね。きっと現実になるよ」








 ……会話がそこで途切れた。




 少しせまいこの空間では、ハナの動かすペンの音がよく聞こえる。




 ハナは集中して絵を描いてるみたいだから、会話が無くとも気は楽だ。




 とはいえ、少しだけタイクツに感じたぼくは何となく語り始めた。




「ふぅ。ハナ、今から話すことはひとりごとみたいなモノだから、聞き流してくれてもいいからね。ぼくは今年の春に、この町に引っこして来たんだよ。初めからここに住んでたワケじゃないんだ」




 ぼくが話すとハナは手を止めずに首だけ縦に動かして、うなずく素ぶりを見せた。




「引っこして来て、最初はもちろん一人ぼっちだった。前に住んでたところには友達も居たんだけどさ、学校のスミっこでいつも一人で居た」




 その時のことを思い出そうと上を見上げると、建物のスキマから見えた空は、水色からオレンジに変わろうとしていた。




「それこそ、クラスメイトと話したのは自己紹介の時くらい。それから夏休みに入るまで、ホントに全然みんなと話したり遊んだりはしなかった。ぼくはみんなに声をかけるのがこわかったんだ。みんなもぼくに話しかけニクかったと思う」




 カチカチと、ハナがペンを鳴らしている。




「そんなぼくの気持ちも知らないで、ママは家に帰ると毎日のように『お友達はできた?』って聞いてくるんだ。ぼくはイヤでイヤでたまらなかったよ。それを聞いてくるママも、それに答えられないぼくも」




 ハナがペン回しを始めた。めちゃくちゃ上手いな……ぼくアレできないんだよな。今度教えてもらおうかな。




「そんなある日、商店街で足をケガした白い子猫を見つけたんだ。痛そうにしながらガンバって歩くそいつが心配になって、後を追ってみた。そしたらここまで来て、くつろぎ始めたかと思うと、いきなりこっちを見て話しかけてきたんだ」




「は、話しかけてきた……!?」




 ハナは絵を描く手を止めてこちらを向いた。




「そう、話しかけてきた。もちろん『ニャーニャー』ってね」




「あぁ!びっくりした。チビちゃんが人の言葉をしゃべったのかと思った!」




 まぁ、そんなワケはないよな。



 隠してたつもりはないけど、ハナはその白い子猫がチビだということは、もう分かっているみたいだ。




「そう、それでもぼくは白い子猫とお話したんだ。それから、ぼくが自分のことや学校のこと、ママのことを話すと、その度に『ニャーニャー』って返してくれた。意味が通じてるかどうかなんてどうでもよかった。この町で初めて、何かを話しかけたら返事をしてくれる相手ができた。そのことが、とにかくうれしくてさ。勝手に"チビ"って名前をつけて、ぼくのともだちにした。チビは、ここで作ったぼくの一番最初のともだちなんだ」




「一番最初のともだち……」




 気づいたら、ハナはしっかりぼくの話を聞くシセイになっていた。




 絵は描き終わったのかな。




「そう。ぼくが家に帰ると、いつものようにママが聞いてきた。『お友達はできた?』って。だからぼくは答えたんだ。『出来たよ!白い子猫のチビっていうんだ!!』って!」




 ハナはぼくの話をマジマジと聞いている。




 ここ、笑い所なんだけどな……。




「そしたらママは大笑いしてさ『ネコは友達に入らないでしょ!』って。そう言われてめちゃくちゃ腹が立ったぼくはママと大ゲンガしてね、たしか一週間くらいは口聞かなくなったよ」




 ぼくは笑いまじりに語っても、ハナはシンケンな顔をしている。




 なんか、ちょっとハズかしくなってきた。




「もちろん、ママの言う"お友達"がハナやハルヤたちみたいな人のことを言ってるんだって分かってる。それでも、ぼくにとってはチビだって大切なともだちなんだ。だから……」




「だから……?」




 あ、ヤバい。オチを考えてなかった。




「だから……なんていうか……とにかく、早く足を治して元気になってほしいな~って…………」




 ぼくの話は、なんとも中途ハンパな終わりをむかえた。




「……そうだね。わたしもそう思う。絵、描けたよ」




 あれ?なんだかハナの声に元気が無くなったような気がする。




 上手く描けなかったのかな。




 それとも、ぼくの話があまりに面白くなかったとか……?




 ハナが持っていたスケッチブックをのぞきこむ。




「なんだ、上手く描けてるじゃない! えっでもなんか……すごいことになってる……」




 ハナはスケッチブックに寝ているチビをそのまま描き写していた。




 相変わらずすごい上手い絵だったけど、どう考えてもおかしい物がそこには描かれていた。




「何この……羽と輪?? 天使みたいな……かわいいけどめずらしいね! ハナがこういうの描くの!」




 ぼくの言葉に、ハナはハッとしていた。



 なにか変なこと言っちゃったかな。




「そ、そうかな? でも、この絵はこれでいいんだよ……。それよりもそうだ!ちょっと聞きたいことがあるの!」




 ハナは何かを思い出したかのように、いきなり声を元気にして言った。




 なんか今日のハナ、ちょっと変?




「いきなりなんだけどさ、"ヒーロージャー"って何?ヒカリちゃん達がよく言ってるやつ!」




 ホントにいきなりだな……まぁいっか。




「ヒーロージャーね、名前の通りヒーローモノのヤツで『トクサツ』って言うんだっけ。ふんいきは○○レンジャーとか、○○ライダーみたいな感じ。でもヒーロージャーはなんというか、すごく変なんだよね」




「変?」




 ハナが首をかしげる。




「そう、まず主人公が全く運動できない。だから、○○パンチ!とか○○キック!みたいな技で戦うんじゃないんだ」




「え、それってヒーロー的には大丈夫なの??」




 ハナは首をかしげる。




「うん。ぼくもそう思ってた。最初の方は敵だった濡れ鴉様に、お姫さまがさらわれちゃった時、主人公の赤色はお菓子とか持っていって、濡れ鴉様にお願いしに行ったんだ。


『お姫さまを返して下さい』


 って。あなたとは戦いたくないです、死んじゃいます!ってね」




「ヒーローモノなのに主人公の頭が低い……!!」




「でも濡れ鴉様は、


『いやふざけるな、帰れよ。なんだお前は』


 って赤色を帰らそうとするんだけど、赤色は国王とか母親に怒られたくないって言ってずっとその場で土下座してたんだ」




「え、えぇ……ちょっと、それはカッコ悪いね…………」




 アハハとハナが苦笑いをする。




「そうなんだ。だけど、何日も土下座しっぱなしで、その場から動かない赤色を見た濡れ鴉様はこう言ったんだ。


『お前の身体クッセェからもう帰れ!お姫さまも解放してやるからさっさと出ていけ!!クセェんだよ!!』


 って。そうしてなんだかんだ、お姫さまを助けることが出来ました。めでたしめでたし。みたいな感じ」




「そっか、ずっと土下座してたからシャワーやお風呂にも入ってないんだ……なんというか、すごいストーリーだね……!でも、お姫さまはちゃんと助けられたんだ、すごいね!」




「そうだよね!! ちなみに戦闘シーンといえばトランプとかオセロみたいなのばかりだけど、なかなか面白いよ。元々はシショーさんがヒーロージャーのファンだったみたい。DVDが全巻ハルヤん家にあるんだ」




「へぇ、シショーさんが……そこから、ヒカリちゃんやハルヤくんもハマったってことなんだね」




「うん、今度みんなで行くときが楽しみだね!」




 ぼくがそう言うと、また数秒間しずかな空気が流れた。





「ねぇ、ヒビトくん」




「なに?ハナ」




 そしてまたもやハナは、いきなり変なことを言い出した。





「もし、大切なともだちが辛い目にあったとき、ヒビトくんはヒーローみたいに、その子のことを助けることが出来ると思う?」





 ハナの青空のような目に見つめられて、ぼくの頭は一瞬だけ真っ白になった。





 ぼくの大切な……ともだち…………?





 チビのこと?いや、ハナのことか?それともハルヤか、ヒカリ?





 ……違うな。みんな、ぼくの大切なともだちだ。





「助けられるかどうかは、分からない。でも絶対に助けたい。ぼくはみんなの辛そうなところなんて、見たくないから」




 それが正直な気持ちだった。




 いきなりそんなことを聞いてきたハナは、なんて答えるのかな。





「わたしもヒビトくんと同じ気持ちだよ。でも、もしかしたら、君には大切なともだちを助けたくても助けられない時が来るかもしれない」




「………………え?」




 なんで……?


 なんで、ハナがそんなことを言うの?




「それはヒビトくんにとって、とても辛いことだと思う。だからその時が来たら、わたしがキミのことを支えてあげる」




「ハナは……何を知ってるの…………?」




 彼女の言葉は、まるでぼくの過去や未来を知っているかのようなモノだった。




「それでもね、わたしにも、どうしようも無くて、辛くて、悲しい時が来てしまうかもしれない……だからね、ヒビトくん」




 そこまで言ったハナは、急に立ち上がり、こちらに向かって歩いてきたと思うと、ぼくに顔を近づけた。









 何も言えなかった。









 ハナの白くてキレイな長い髪がゆれて、何かの花のみたいな良い香りがする。






 間近でぼくを見つめるハナが、何を考えてるのか全く分からなかった。







 まるで時間が止まってしまったみたいだ。








 そんなことを思ってると、ようやくハナが口を開いた。






「その時は、キミがわたしをそばで支えてくれる……?」






 その時のハナは、とても不安そうな顔をしていた。




 まるで、ぼくらの未来に何か良くないことが起きてしまうと知っているみたいに。




 そんな彼女を見て、ぼくが言えることはただ一つだった。





「うん。ぼくが絶対にハナのことを守るよ」

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