2話 出会い
結局2日ぶり? 1日半ぶり? の投稿となりました。
既に中身がほとんど出来上がっていたので投稿できただけで、また次の話の分は考えないといけないので、今度こそ投稿は遅くなりそうです。
と言っておいて2日後にまた更新したら……その時はあいつ頑張ったんだなって思ってやってください。
ユウが死んだ。その事実を俺の体は勝手に少しずつ受け止め始めた。でもあくまで体だけだ。心は受け止めていない。
ユウは絶対にどこかにいる。俺を置いていくはずがないんだ。
「タカシ! 良い加減部屋から出てきなさい!」
ユウが死んでから学校に行かなくなった。最近は部屋からも必要最小限しか出ていなかったから、ユウの体が焼失してしまったのを聞いたのは親の口からだった。
体がなくなってしまってはユウは戻ってこれない。部屋に引きこもったのが仇になってしまった。
「タカシ! 聞いてるの! 出てきなさい!」
ドアが何度も叩かれる。部屋から出たって何もすることがないから出ても仕方がないのだ。
ドアが破られそうな勢いで叩かれるため、応えることだけする。
「なんだよ」
「さっさと返事しなさい!
あなたこのままでいいと思ってるの?
ユウくんだって悲しんでるわよ!」
うちの親は何もわかっていない、ユウの帰って来る場所をなくしたのは誰だと思ってるんだ。
埒があかず仕方なく部屋から出る。出てきた俺に向けて親が声をかけてくるが、うっとおしいので無視してそのまま家から出た。これでとりあえず親から何も言われずに済む。
服は私服だ。学校を休んでいるので、制服で出るわけにはいかない。
外に出たものの行く当てもなかった。だからなんとなく、ユウが入院していた病院に行くことにした。
病院につく。この病院の外観は、ユウがいてもいなくても何も変わらない。
病院に来たと言うことは、次にすることは病室に行くことである。ユウが入院していた病室に向かった。
ユウがいた病室の前に立つ。ユウの名前が書かれていたプレートはもうそこにはなく、神代奈緒子と書かれていた。
この病室にはユウがいないことを表している。わかっていたことだった。
そのまま病室の前に立っていると、中から声が聞こえた。
「ドアの前にいるのは誰?」
若い女の子の声だった。知らない声だ。ずっとドアの前に人影があったから、怪しんだのだろう。
「すいません、すぐ離れますから」
離れるべく後ろを向いたが、再度病室から声が聞こえた。
「ねえ、良かったら入ってこない?」
そんなことを言われるとは思ってなかったから驚いた……が、ユウのいた病室に入れると思い、入ることにした。
ドアを開けてお邪魔します。と言うと、ベッドにはかなり痩せた女の子がいた。女の子と言っても年は俺やユウと同じくらい。高校生くらいだろう。髪の毛は最近切ったのか肩で切り揃えられていた。
「ねえ、もしかしてあなたって私の知り合い?」
部屋に入った俺に女の子はそんなことを聞いてくる。変な質問だと思った。
なぜ今日初めて会った人にそんなことを聞くのだろうか。
「いや、違いますけど」
俺の顔を射抜くような視線で見て来る相手の顔が見れなくて、視線を逸らして下を向いて答えるとその子はやった。と喜んだ。
なぜ? そう思うしかなかったが、その子ははにかんだように笑うと少しだけ身の上を語ってくれた。
「私ね、事故に巻き込まれてずっと眠ったままだったらしいの。
そして今も記憶喪失だってお医者さんに言われたのよ?
今まで私の知り合いだって言う人がたくさん来て、
良かったね、とか色々言ってくれるんだけど。
正直疲れちゃった。
だって知らない人ばかりなんだもん。
記憶を取り戻したら、その時はこんな風に思って
悪かったって思うのかもしれないけど、
今はそう思ったってしょうがないもんね」
他人事のように彼女はそう言う。顔は笑っている。変な子だなと思った。
実際記憶喪失になってみると、そういう風に感じるのだろうか。
「そう言うものなのか?」
俺にはわからないことだからそう聞くと、
「だって毎回ごめんねって謝らないといけないのよ?
1回2回ならともかく、何十回と続いたら嫌な気分にも
なるよ?」
そう言いながら彼女は顔を覗き込むように見てきた。
少し考えてみる。俺の家に急に知らない人たちが訪れてきて。俺のこと覚えてるか? と言われて……。
うん、そうかもしれない。けど一つだけ思った。俺には訪れてくれる人なんてもういない。
「あなた、私と知り合いじゃないなら、
もっとお話しましょうよ」
ますます変なやつだと思った。
けど運が良いのか悪いのか行く当てもないし、ユウがいた病室にまだ居れる。そう思って承諾した。
「じゃあ自己紹介するね。
私の名前は神代奈緒子……って言うらしいの。
趣味は読書。今はこの部屋から出られないから、
これくらいしかすることがないんだ」
そう言って苦笑していた。
記憶喪失という定義が曖昧だからわからないけど、自分の名前さえ曖昧なものなのだろうか。
「本当なら、今年からこの近くの愛能学園ってところに
通う予定だった高校生よ」
彼女はどうやら同じ高校の生徒らしい。予定だったと言うからまだ通ってはいないみたいだし、違うのかもしれないが。
自分も同じ高校の一年だと伝えると、偶然だね。と言って笑う。
その後、
「あ、いっけないんだ! 学校サボってるでしょ!」
彼女は思い出したようにそう言った。
この小説は書いていて、30話続くかどうかかな……と思っています。
とりあえずまだ続くのでよろしくお願いします。