1話 記憶喪失の異性転生
新しく小説書き始めました。
メインに書いてる小説の合間を縫って書くことになると思いますので、
更新が遅いかもしれません。
それでも良ければ是非読んでいってください。
僕は死んだ。
高校1年の夏、病室で、小学生からの親友であったタカシと家族に看取られて死んだ。
タカシのことを少し話そう。
タカシは小学生の時に隣に引っ越してきてそれ以来の友達だ。
合ってすぐ仲良くなった。すごくウマが合って今ではお互いを親友だと思っている。
しかし僕達はお互い以外に友達と呼べる存在がいない。話すクラスメイトくらいはいるけど、それだけだ。
二人でいつも一緒に遊んでいたし、なぜか学校もクラスも変わることなんて一度もなかった。
互いがいれば他の友達なんていらないと、ずっと思っていた。きっと、タカシもそう思ってると思う。
だから……僕はタカシを残していくことだけが心残りだった。
タカシはこの先一人で生きていけるだろうか。友達が他にできるだろうか。人生を楽しく過ごせるだろうか。病室に一人でいるとき何度となく考えた。だけど答えは毎回同じだった。
だけど答えは毎回同じ。タカシは僕なしでは生きていけない。
だから、死ぬ前に神様に祈った。
(神様お願いです。タカシを救って下さい)
僕の願いは抽象的だった。この祈りをしようと思った時にはすでに時間がない。
短い言葉で済ませたかった。だから救って下さいだった。
薄れゆく意識の中で、
『ではお前に機会をやろう。
魂を亡くした少女の体にお前の魂を移してやる』
そう聞こえた。
「ユウ! ユウ!」
俺はユウの体を揺すった、けどユウの体は動かない。
先ほど医師がユウの死亡を告げた。信じられない。
俺はユウと小学生からの親友だった。いつも一緒に遊んだ。何をするのも一緒だった。
クラスだって学校だって、偶然だが一度も変わることなくずっと一緒だった。
なのにユウがいなくなってしまう。そんなことには耐えられなかった。
ユウの家族とも仲が良かった。ユウは一人っ子で、俺はユウと兄弟みたいに扱ってもらってた。
だから最後を看取らせて欲しいと頼んで病室に入れてもらった。
でも本当はユウが死ぬなんて信じたくなかった。きっと笑顔で起きてきて、ごめん迷惑かけたね。なんて言ってくれるのを信じていた。病室に入ってそれを聞くつもりだった。
けどユウは起きない。掴んでいるユウの腕はどんどん冷たくなっていく。
気づいたら涙が流れていた。ユウはこれから起きるはずなのに涙が止まらない。
やめろよ。俺はユウが死んだなんて認めてないんだ。
そう思っていると、ユウの両親が俺の肩に手を当てていた。
「タカシくん、ごめんね。
今までユウくんと遊んでくれてありがとう。
ユウくんが……」
「そんな話聞きたくない!」
ユウの母親の発言を遮って叫んだ。なぜ両親が信じてやらないんだ!
これではユウが戻って来るって信じているのは俺だけになってしまったじゃないか。
俺は病室を飛び出した。あの場所には居られないけどかと言って行く場所はない。病院の庭に来た。なんとなく空を見上げてみる。
空は青い、その青い空の大分下にこの病院の屋上がある。
そう言えばこの病院の一番上の階に、意識が1年戻ってない人がいるって聞いた。
確か交通事故で脳がダメージを受けて……って話だったか。もしユウもそうだったら……まだ……。
そう思うとまた涙が溢れてきた。
病室のベッドの上で僕は目が覚めた。頭を動かして手を見ると動く。あれ? 死んでいない。
僕? 私? よくわからない。どっちだったっけ。
部屋には誰もいない。さっきまで誰かがいた気がしたのに。
体を起き上がらせようとすると、体が言うことを聞かない。捻るようにしてもぞもぞと何度か体を動かしていると、病室に誰かが入ってきた。
病室に入ってきた人は僕を見ると、
「奈緒子!」
そう叫んで抱き着いてきた。
「良かった……本当に良かった……。
あなたずっと眠っていたのよ?」
僕の胸の布が濡れた。抱き着いた人は聴いてもわからないことを何度も話しかけてくる。
そもそもこの人は誰なんだろう。
「あの……どなたでしょうか」
私の発した言葉に、相手が驚いていた。
僕も驚いていた。僕の声はこんなだったっけ?
「……奈緒子?
私よ? あなたのお母さん。
もしかしてあなた記憶が……」
その人は動揺して体が震えているようだった。
暫くして思い出したように、ナースコールのボタンを握るように強く押すのを見届ける。
「そうだわ。連絡しなきゃ!」
あくせくして病室の外に出て行って、誰かに電話していた。
"あなた"とか、"起きた"とか聞こえる。
未だ私には何の話かわからない。
同じ病院にいた、魂をなくした少女の体に僕は転生した。
但し、記憶をなくした状態で。
一話終わりました。
次はいつか、一週間後か。はたまた明日か。