二十一話 神界魔法
「……そして、俺は習得しました。」
「習得……何を覚えたの?」
「……師匠なら、『コレ』の意味が分かると思います。」
「俺なら…………?」
俺は、2人に自身のステータスを見せた。
名前・ウルス
種族・人族
年齢・15歳
能力ランク
体力・833
筋力…腕・791 体・809 足・765
魔力・1758
魔法・30
神界魔法・2
付属…なし
称号…【運命の束縛者】
【記憶維持者】
【魔法を極めし者】
【龍神流継承者】
【化身流継承者】
【神界・神眼】(神界魔法・神眼を持つ者に贈られる)
【神界・鬼神化】(神界魔法・鬼神化を待つ者に贈られる)
「つ、強い……グランさんより圧倒的…!?」
「……なっ……神界、魔法……だと!?」
それぞれ違う意味で驚いている2人だが、俺はとりあえず神界魔法について語った。
「……神界魔法、師匠は知っていますよね。」
「…ああ、俺たち英雄でも扱えない、空想上の存在とまで言われている伝説の魔法だ。」
「えっ?神威級が世界で一番難しいんじゃ……」
「一般的にはな。神界魔法はそもそも使える奴が長年いなかったからか、時代とともに記録も無くなっていったんだが……ウルス、まさかお前が習得するとは……」
師匠は未だ信じられないといった様子で呟く。そんな2人に俺は、その習得した神界魔法の能力を話す。
「俺が習得したのは2つです。1つは、対象の情報を全て見透す『神眼』……要は、心眼の上位互換ですね。今、俺の目が紫色なのもこの魔法の影響です。」
「神眼……具体的にはどんな能力なの?」
神界魔法のことを知らないミルがそう聞いてくる。
「神眼を発動すれば、どんな相手のステータスも正確に覗けたり、相手からステータスを隠すことができる……まあ、これは心眼も一緒だが、神眼は心眼を無効化できるんだ。」
「無効化?」
「ああ。今みたいに師匠が心眼を使っても俺のステータスを覗けなかったように、神眼を発動している間はたとえ心眼でも見れないようになるんだ。」
ステータスという情報は、戦いの中で重要な物の1つだ。それを知っているか知らないかで勝敗が決まると言っても過言ではない。
また、逆にステータスを知られていると不味いことも沢山ある。なので俺は、心眼対策として常に神眼を発動しながら旅をしていた。
「他にも、神眼は相手のステータス以外にも色んなことができる。自身以外にも神眼の一部の能力が与えられたり、ステータス以外のことも覗けたり、ステータスの偽装もできたり、それに合わせて魔力反応を小さくしたり……ミル、分かるか?」
「う、うーん……?」
俺があれこれ説明していると、情報量が多いせいかミルが頭を抱えて目を回していた。
そんなミルを見兼ねてか、師匠が手を軽く鳴らす。
「まあ、神眼の話はこれくらいにしておこう……ウルス、もう1つの神界魔法について話してくれ。」
「……分かりました。もう1つは『鬼神化』……これは単純で、発動すれば自分のステータスを強化する魔法です。」
「…………えっ、それだけ?」
さっきの情報量に身構えていたミルが、肩透かしを喰らったかのように疑問を上げる。
「そうだ……まあ、単に強化魔法と言っても、その上昇率が…… 化け物 …………レベル、だけどな。」
「化け物レベル…………実際、どれくらい上がるんだ? 神威級にある強化魔法でも300くらい上げられるが……それより大きいということは、500程度か?」
「500っ!? 私のステータスの倍以上……」
「……大体『1000』くらいですね。魔力も『2、3000』程度上がります。」
「……はっ (えっ)?」
桁の違う上昇率に、2人とも口をぽかんと開けていた。
「…………ええぇっ!!?? 1000って、えぇ…!?」
「……次元が違うな、さすが神界魔法ってところか。しかしそんなものが使えてしまったら、いよいよ世界最強といったところだな。」
「そうですね……でも、流石に鬼神化はその分デメリットも大きいです。何せ無茶苦茶な上昇率なので、使える時間もかなり限られていますし……何より一度発動すれば、1日は動けなくなります。」
旅の時に一度だけ使ったことはあるが……あまりにもステータスが上がりすぎたせいで、自身をコントロールすることすらままならなかった。
「だから、あくまで『奥の手』ってところです。普段使いはとてもじゃないですが……できないですね。神眼の方はいつでも使えるんですが………」
「そうなんだ…………あれ? でも、よくよく考えたらウルスくんに鬼神化は必要ないような……」
「……確かにな。今のお前さんのステータスでも敵う奴はいないだろうし、余程じゃない限り使う必要はないだろう。」
「まあ……そうですね。」
師匠の言う通り、今後鬼神化を使うことになるとすれば…………
(……世界の危機……なんて、な。)
「…………それで、ウルス。1つ聞きたいことがあるんだが……お前さんはどうやって神界魔法を覚えたんだ?」
子供じみた事を妄想していると、不意に師匠がそんなことを聞いてきた。
「それは…………」
それに対して俺は、予め用意していた言葉で返答した。
「……よく、分からないんです。」
「…………なに?」
『世界』滅亡の危機……なんて言いますが、結局は人が生きられないという意味の『世界』なだけで、実際『世界』は何も滅亡しないんですよね。
……だから何だって話ですが。
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