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ボクはロボットになりたかった

作者: 桜希 澪乃

ボクは“ロボット”になりたかった。


与えられた指示をただ忠実に遂行するだけのモノになりたかった。

“自分で考える”ということを放棄したかった。

ただなにも考えずにいたい。

自分の意思なんて、もういらない。

考えず、感情も持たず。ただいるだけ、従うだけのモノになりたかった。



ヒトという生き物は、便利なようで不便だ。

とても簡単なことで目に見えない傷をつくってしまう。

そして目に見えないケガだからこそ、いつまでたっても治らず痛み続ける。

ケガが多くなれば、その痛みに慣れてしまう。

痛みに慣れてしまうから傷は治ることなくどんどんひどくなっていく。

痛みに気付かないから、癒すことを忘れ、そしていつしか傷はなかったと思い込んでしまう。

そしていつしか体中を蝕んでいく。

蝕まれて…気がついたときには手遅れになっていることもある。



ロボットなら傷が付けば壊れるし、傷の程度では壊れたら動かなくなる。

修理も簡単だ。壊れた部分は取り替えてしまえばいい。

そして最悪…修理が不可能なら、廃棄してしまえばいい。

人間だと、そうはいかない。

だから人間は不便だ。とても不便だ。



この、傷ついたココロの癒し方がわからない。

癒し方がわからないから、修理が出来ない。

そしてボクはロボットではないから、壊れたココロは取替えられない。


だからボクは”ヒトでないもの”になりたくなった。

ロボットに対する憧れが強くなった。

なんで”ヒトであること”というのは、こんなにもツライことなのだろう?

生きることというのは、なんでこんなにつらいのだろう。


でも、生きることを放棄するには勇気が足りない。

だからボクはロボットになりたかった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  童話というより、詩のような文章ですね。  心情描写に特化されていることで、少年の切実さが端々からにじむような印象を受けます。特に、「なりたかった」という一言で、なりたくてもなれないジレンマ…
[一言] なるほど、確かに、どうして負の感情なんて持って生まれてきたのだろうと思うことがあります。生きるために必要なのかどうか、疑問に思いたくなることもあります。でも、死にたくはない。だからロボットな…
[一言] 僕もロボットになりたいです・・・
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