攻防(参)
[帝都・宮殿]―[永劫廊]
連発式レールガン。トリガーハッピーの使うその銃を彼自身は[スタンド・バイ・ミー]と呼んでいる。彼はその銃を構えこの場所。宮殿の永劫廊なる場所で乱射している。その銃の弾道の先には謎の停滞者。シルエットは女性。顔はベールに包まれていてわからない。トリガーハッピー―[アドルフ・グレオリウス]は。銃を変える。次に手にした銃は劣化ウラン弾。彼は[イグアス]と呼んでいる。それをぶっ放す。しかしそれは悪手だった。この永劫廊の硝子は、[スタンド・バイ・ミー]には耐えることが可能だが、[イグアス]には耐えることができないのだ。それの流れ弾は硝子を割る。全長五百メートルの長い廊下。中庭を見渡せる大きな硝子を、破壊する。
彼の弾を避ける停滞者。そいつの足元には死体の山がある。その上で高らかに笑った。それを見たアドルフは、ランチャーを構える。ランチャーを片手で撃つ肩の強さ。その反動に耐える下半身の強さ。更に身長二メートル十センチ、体重百二十の巨体。しかしその体重はぜい肉ではなく、鍛え抜かれた筋肉。八つに割れた腹筋には目の前の停滞者の爪による傷がある。無論、その分の礼は返している。そいつの仲間を殺したのは宮殿の近衛兵ではなく、アドルフである。否―彼以外に停滞者を殺せるのはこの状況では彼以外にいない。何故なら。「ったく、、、。近衛兵は弱いな。停滞者一体に殺られるなんてな」しかし、彼の考えている事は間違いだらけだ。近衛兵は強い。それ以上にアドルフが強い。それ以上に停滞者は強い。それ以上にアドルフが強い。だからこそ。だからこそ―女性型の停滞者を一人で相手しているのは当り前なのだ。
「チッ!!」彼はランチャーを手放し、ハンドガンを構える。それを見た女性型の停滞者は「グ、、、ガガガ、、、」右腕を割れた窓枠に叩きつけ、自らの右腕を斬り落とす。そして、切断面からは銃口。「ガウンッ!!」火薬の匂いとアドルフの耳を裂く爆音。女性型の停滞者は銃に対して銃を用いた。それは、アドルフにとっても、そいつにとっても、好都合以外の何物でも無かった。「早打ちのアドルフ。って言っても知らねぇか。まぁ良いや。俺に銃を向けたって事は、覚悟はできてるよな?」そいつの放った弾丸を彼は自分の銃弾で相殺させる。両者の放った弾丸が空中でぶつかるなんて本来は有り得ない。トリガーハッピー、乱射魔のアドルフ・グレオリウスだからこそできた芸当。それを見た女性型の停滞者は、左腕を振りかざし、特攻する。それをただ、ただ見るだけのアドルフは。そっと拳銃の引き金を引いた。彼が引き金を引いたのは一回。けれども爆音は、二回聞こえてきた。その音の主は―
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TO BE CONTINUED.......